烙印

さようなら 
さようなら 
さようなら
もうこの世に未練はなにもないのです


私にやさしくしてくれた 数少ない友よ
どうか悲しまないでください
どうか自分を責めたりしないでください
私がこんなふうになってしまったのは
決して 決して
あなたのせいなんかじゃないのですから
ただ私がこの世の中に うまく適応できなかった
ただそれだけのことなのですから


疲れ果ててしまったのです
もうこれ以上生きているのがつらいのです
あの日あの時 あの人が放った言葉が
刃のように私の心をずたずたに切り裂いた
私の中の とてもとても大切な何かが
壊れていく音を
確かに 確かに聞いたのです


あの日以来 私の中の私は死んでしまいました
生きてるけど ただ息をしているというだけで
死んでしまったも同じようなものでした
毎日がどうしようもなくて
毎日が虚しくて 虚しすぎて
早くいなくなってしまいたい 
消えてなくなってしまいたい
存在そのものを否定されたのです
この先生きる理由など どこにありましょうか


そりゃ 楽しいことがないわけでもないのです
写楽展へ行きました
華宵の展覧会へ行きました
エレカシの野音にも行きました
旅行にも行ったし
友達とたわいないおしゃべりして笑いあったり
そういうのがとても大事な時間であったことを
今更ながら しみじみ実感してみたり


こんなに充実した日々を送っているというのに
それでも それでもね
どうしても拭うことができないのです
自分には生きてく自信も勇気もなにもありゃしないのです
生きていてもいいんだよと
自分に云ってあげることさえできないのです


誰かに必要とされたかった
必要とされる人間になりたかった


だけど現実 やることなすこと空回りするばっかりで
必要とされるどころか
いつだっていつの間にか嫌われてしまうばかりで
いつの間にか呆れられて がっかりされてしまうばかりで



ダメ人間 ダメ人間 ダメ人間 ダメ人間 ダメ人間
人として最低 最低 最低 最低 最低



「お前なんか産みたくて産んだわけじゃない」
「ばばあに親父にそっくりだ」
「あの女によく似てクソ生意気なガキだ」



他人が怖くて 自分が嫌いで
疑いながらも それでも信じたくて
信じた矢先 いともあっさり
ばっさり斬り捨てられる


人間なんて所詮そんなもの、だなんて
世の中すべて見知ったような顔して
自分のことも愛せないくせに
他人のずるいところばかりを見てしまう


だからもう そういうのは止めにしたいのです


さようなら ごめんなさい
ごめんなさい さようなら


抗精神薬を154錠飲みました
眠気も吐き気もなにも起こりません
不思議なくらい
いまは穏やかです
みゆきの曲をリピートしたまま
このまま眠りに堕ちてしまえばいい


生まれてしまったことも
憎まれ疎まれ いつも邪魔者扱いだった日々も
自分のダメさ加減もなにもかも
みんなみんな忘れさせて
二度と思い出さなくさせてほしい



さようなら
さようなら
さようなら



気がつけば病院のベッドの上
点滴がぶらぶらぶらさがっていました


どうやら丸一日意識を失っていたようです




結局 私はまだ
生きることをケイゾクしています




この死にぞこないめが
陽炎
2011年12月04日(日) 04時32分46秒 公開
■この作品の著作権は陽炎さんにあります。無断転載は禁止です。
■作者からのメッセージ
毎度長くて重い詩にお付き合いくださいまして、本当にありがとうございます

言語化できるか、しないほうがいいか迷ったのですが
自分の弱さだったりずるさだったり
そういうのをずっと書いてきたわけだから
今回も包み隠さず、全部ゲロっちゃえと
この詩を書くことができました

不快に感じた方は遠慮なく仰ってください


12月8日 一部改稿

この作品の感想をお寄せください。
No.8  小夜  評価:30点  ■2011-12-30 15:23  ID:kzVZi6vy1G.
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こんにちわ☆

遅ればせながらコメントを。

自分を消したくなる気持ち、分かります。

私も昔はそうだったので。

でも薬を飲むどころか、薬を手に入れる勇気すら無くて…。

しかも、遺書の文面すら上手に纏められず。

なので結局、保留のまま。

最近では、よぼよぼ婆ちゃんになってからでも良いかなと思ってみたり。

うぅむ。

私、とてつもなく変な事を書いてますね。

御免なさい(汗)

とにもかくにも。

また来年も陽炎さんとTCで逢えると願っております☆

では。では。

良いお年を♪

追伸 : 今年もお世話になりました。
     来年もよろしくお願いしますですぅ♪


No.7  陽炎  評価:--点  ■2011-12-17 09:27  ID:RZS1SxfqTqg
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☆ザイチさんへ☆

いつもありがとうございます

自分から逃げられるものなら
逃げ出してしまいたいですよ
ODしてしまったのだって
自分をこの世の中から消してしまいたくて
消えてなくなっちゃえばいいのにって
そう思いながらクスリをあとからあとから飲んで

私はザイチさんが云ってくれるような人間じゃないんだよ
困難が起きるといつだって逃げてしまいたくなるし
死んでしまいたい衝動にかられることもしばしばだし

でもさ、なんかこのまんま死ぬのも悔しいし
この世に生きていた証みたいなもんをさ
やっぱり残してから死にたいし

誰かの心をひっかいてでも
私を覚えていてほしいって
きっとどっかで思っていて

だから詩を書くのかもしれませんね
私も、ザイチさんも

いつもホントにありがとう
心より感謝
No.6  ザイチ  評価:0点  ■2011-12-15 22:38  ID:a3P/NMA3Ra6
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毎度、評価が付けられなくてすみません<m(__)m>
どんなにか困難な日々でしょうに、書くこと=生きること=自分から逃げないで生きようとしていく陽炎さんの言葉に圧倒されます。
最後も排他的だけれども、決してマイナスではない気がして、
弱って倒れそうになっている自分を、むんずと奮い立たせる力のある言葉だと思いました。
私は書くことで、死を回避してきたなぁと、振り返るとそんなことをあらためて思っていますが、
陽炎さんも同じ種族のような気がします。
いや、そうであってほしい気持ちです。
No.5  陽炎  評価:--点  ■2011-12-06 05:18  ID:RZS1SxfqTqg
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☆水樹さんへ☆

読んでくださいましてありがとうございます
気に入ってもらえたのでしたら、とてもうれしいです

たしかに「彼女たちの生き方」と比べると
言い回しだとか言葉の構成とかに距離を感じるかもしれませんね
私自身はあまり意識して書いていませんが
そう云われると、ああ、そうかと
逆にこちらが気づかされたりしました

痺れたといってもらえてよかったです
ラストも気に入っていただけたようで何よりです

ありがとうございました


☆ゆうすけさんへ☆

いつもありがとうございます
なんだかゆうすけさんのコメントのほうが詩的ですね
私の詩について分析までしていただいて

ゆうすけさんったら結構スパルタね
夕陽を見ながら全力疾走なんて
二昔前の青春ドラマか(笑)と
突っ込みを入れたくなっちゃったじゃない

と、まあ冗談はさておき
自分なんか誰も必要としてないし
いらない人間でしかないって
消えてしまいたくてね
ODしてしまいました

こうして詩にしてしまえるくらいにまで快復しましたが
まだ不安は拭えないです
頭痛がやたらひどくてね
割れそうなくらい痛い
ODの後遺症らしいです
バファリンを通常の量で飲んでも
一向に効かないので
また飲みすぎてしまう
それでも痛みがとれなくて
不安でたまらないから
頓服の安定剤も飲んで

完全にクスリに依存してしまってますね
なんとか抜けられる道を見つけないと

「本日、未熟者」いいですよね
カラオケで歌うと、かなり気持ちよいですよ
先日は友達と「夜会」へ行ってきました
みゆきは59歳とはとても思えないほど
めちゃくちゃかわいかったです

音楽は私の生活には欠かせないものです
テレビ見なくても全然平気へっちゃらなんですが
音楽を聴いてないとなんかね
エレカシやみゆきをリピートでずっと聴いてます

最近は寒くなってきたので、あんまりお酒も飲んでないです
ヨーグルトと紅茶ばかり飲食してます
他人に云うと必ず、もっと健康的な食事しなよと
たしなめられます(苦笑)

いつも本当にありがとうございます
No.4  ゆうすけ  評価:50点  ■2011-12-05 18:23  ID:JKvnnKRNUoA
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詩とはなんだろう? 面白い小説とか詩ってなんだろう? ふとそんな事を思いました。心の池、その水面にどれだけ大きい波紋を作ってくれるか、小石だったら小さい波、大きい石だと大きい波。どれだけ心を揺さぶる力があるか、私はそんな気持ちでTCで作品を読んでいます。
ごつごつした大きい巌が、どっぼんと心の池に落とされた気分です。波はうねりとなって、心の奥にしまってあった切ないところまで届きました。
ストレートな直球勝負のパワー、美辞麗句で飾り立てることのないそのままの想い、空をかけるわけでもなく地べたを這いずりまわる泥と血潮のついたような想い、それが陽炎さんの詩の魅力だと思います。
ありのままをゲロっちゃう、遠慮することはないですよ。本気で書かないと、小石になっちゃいますもん。重い想いを込めてこそ、大きい波ができますよ。
目の前に陽炎さんがいて泣いている、そんな気配すら感じられそうですよ。

ダメ人間、最低、さようなら、連続するところが詩としては心に響きますけど、あまりにも切なくなってしまいます。とりあえず海岸で夕陽を見ながらひたすら全力疾走させたくなるぐらいに。
最後の「この死にぞこないめが」あまりにも強烈です。毎日筋トレさせたくなりますよ。今生きている実感、体に血潮が流れる実感、自分のために生きる実感を感じさせたい。遮る者、邪魔する者、嫌な記憶、嫌な自分、全てを蹴散らして一歩を踏み出す力、きっとあるはずです。振り払う手に絡みつく闇、何度払ってもまた纏わりついて離れない闇、きっと振り払えるはずです。踏み出して転んだら起きればいい、傷を負うなら向こう傷、倒れるなら前のめり。
――また熱く語ってしまった。詩板以外だとギャグ小説を書くゆうすけなんですけどね。悲しい記憶とかをネタにして書いたりしてね。

「本日、未熟者」これ私も好きです。ほっとするんですよね。音楽を聞くのもいい気分転換になりますからね。私はクラシックが好きで、勝手に歌詞を付けて歌ったりしますよ。なるべく明るい歌詞にして。

寒暖の差が激しいですし、風邪ひいていませんか? お酒じゃないでホットココアを飲んだ方が寝られますよ。
私はストレス解消にスイーツを食べ過ぎて太っちゃいましてね。コンビニって危険ですよね。ミニストップが通勤路にあるんでチョコソフトとか食べ過ぎた
。とりあえずカワゴエシェフのパフェを食べてからダイエットする予定です。
No.3  水樹  評価:50点  ■2011-12-05 03:10  ID:r/5q0G/D.uk
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陽炎様、読ませていただきました。
こういうのを求めていた私がいました。
人それぞれ想いは違いますが、『彼女たちの生き方』はちょっとリアルなのかなと。それより少し距離を置いてありますね、心に突き刺さる言葉に痺れました。
拒絶の中にある依存が堪らないです。
締めの一行も素敵です。
No.2  陽炎  評価:--点  ■2011-12-05 02:32  ID:RZS1SxfqTqg
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☆うんこ太郎さんへ☆

いつもありがとうございます

写楽展は6月ごろに行ったんですけどね
面白かったですよ
どこがどう面白かったかうまく説明できませんが
展示の仕方も面白いなあと思いました
ただ、ものすごい人で
全部観まわるまで5時間くらいかかりましたけどね

みゆきの曲で好きな曲ですか
「友情」「蕎麦屋」「孤独の肖像1st」
「二隻の舟」「時刻表」「鳥になって」
「愛だけを残せ」「PAIN」
「おまえの家」「世情」「誰のせいでもない雨が」
「I Love You,答えてくれ」「ボディトーク」「宙船」
「命の別名」「命のリレー」「本日、未熟者」「Maybe」
などなど、いっぱいありすぎて挙げたらキリがないですね

私の場合、詩作はある種はけ口みたいなところがありますからね
まあでも、楽しいから続けているんでしょうけどね
何もできないけど、詩作だけは真剣に取り組んでいると自負しています

ありがとうございました
No.1  うんこ太郎  評価:30点  ■2011-12-04 09:21  ID:7KchoCYyAto
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拝読いたしました。
この世に未練がない、つらいですね…。

写楽展はどうでしたか?
中島みゆきの曲は、なにがお好きなのですか?

だれかに必要とされたい、ぼくもそう感じることがあります。
それでいて自分自身はだれひとり必要だと思っていなかったり……。

誰かに必要とされたいと思うよりも、だれかが必要だと言ってあげられる、
そういう風になれたらなあ、そう思いますけど、まあ、言うだけ番長です…。

詩を書くことって、楽しいですよね。
陽炎さんにとっては、もっと切実なものかもしれないですけど……。

包み隠さないでいいと思います。
そしてももっと、もっと、全部げろっちゃえば、いいと思います!

では。

拙い感想ですみません。

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