シュレディンガーの猫箱

 箱が二つあった。
 大きい箱と小さい箱。
 
 ひとつだけ、開けていいと言われた。
 片方しか開けてはいけないと言われた。

 私は迷った。
 三日三晩悩んだ。
 その場に立ち尽くしたまま、
 私は終わらない自問自答を繰り返した。

 そうしている間に、
 いつの間にか、
 二つの箱は見えなくなってしまった。
 
 つまりは、こういうことだ。

 どちらを選ぶこともできずに、
 私はこの世界を彷徨うこととなった。

    
  /


 箱が二つあった。
 大きな箱と小さな箱。

 ひとつだけ、開けていいと言われた。
 片方しか開けてはいけないと言われた。

 私は迷った。
 一晩中悩み続けた。
 そうして、とりあえず小さな箱を開けた。
 大きな箱には罠がある。
 私はそう思ったから。

 けれど、開いた箱は空っぽだった。

 私は悔やんだ。
 大きな箱にすれば良かった。
 そうすれば、きっといいものが入っていたのに。
 
 開くことのない大きな箱。
 その中身が私にとっての宝物だった。


  /


 目の前に箱が二つある。
 大きな箱と小さな箱。

 ひとつだけ、開いていいと言われた。
 片方は開けることができると思った。

 彼女は迷わず大きな箱を開けた。
 開けられるのはひとつだけ。
 だから迷う必要はない。
 もうひとつの中身が明かされることはないのだから。

 だけど、開いた箱は空っぽだった。

 それでもいい。
 彼女はゆっくり肩を揺らす。

 用意された幾憶ものあみだくじ。
 どれを引いても彼女にとっては当たりくじ。


ひより。
2011年01月21日(金) 16時19分17秒 公開
■この作品の著作権はひより。さんにあります。無断転載は禁止です。
■作者からのメッセージ
どちらの道を選んでも悔いなく、笑顔で進んでいけるように。
そういう気持ちを込めた詩です。

はじめての投稿ですが、よろしくおねがいします。

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No.2  新地  評価:30点  ■2011-01-30 01:57  ID:I8l.ZdILHq.
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うーん……。
私には、どれもバッドエンドに見えます。
でも、面白かったです。
No.1  二代目  評価:30点  ■2011-01-27 20:17  ID:4rTYQLEeS/o
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気の持ちようで結末が決まる。
同じ道程でも週末にはそれほどの差がある
おもしろいなぁと単純に思いました
総レス数 2  合計 60

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