電車になりそう |
始発を見送った後、改めて電車に乗った。 少しずつ乗客が増え始めている。 今まで眠っていた人たちと、 これから眠りにつく人たち。 その境目が、この連なった箱の中では溶けている。 眠気はきっと頭蓋骨に穴を開ける。 そこから溶け出して空気に漂い、朝日にきらめいてる脳みその中で、僕はどんどん薄められていく思考をこの電車の中に広げる。 あの はい は、 いいえ だったのだろうか。 あの 嫌い は、 好き だったのだろうか。 あの 喜び は、 悲しみ だったのだろうか。 頭の中のことがふくれあがりすぎて、今度は身体の輪郭までほどけ始める。 たっぷりと空気と混じり合い、たゆたいながらつり革と椅子ごと人々を包む。 電車に運ばれて行く。 このままどこまでも突き進んで行けるような気持ちになる。 けれど僕が進んでいるわけではない。 僕は僕が迷い込んだこの袋小路ごと、この見知らぬ誰かが組み立て、見知らぬ誰かが舵を執る、前進と停止しか知らない機械に担ぎ上げられているのだ。 スイッチ一つで最高速度と、停止を、少しの誤差もよどみもなく繰り返せたらと思う。 けれど朝はまだ終わらない。 僕はどんどん薄ぺらく飽和しながら、進むことを強いられる。 |
リトルボーイ
2010年12月14日(火) 20時44分31秒 公開 ■この作品の著作権はリトルボーイさんにあります。無断転載は禁止です。 |
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No.4 青山カオル 評価:40点 ■2011-01-06 22:54 ID:iHbq62rA5d6 | |||||
リトルボーイさま。 はじめまして。 拝読させていただきました。 タイトルが気になっていたんですが なるほど。 そういうわけだったんですね。 なかなか味わい深かったです。 ありがとうございました。 |
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No.3 リトルボーイ 評価:--点 ■2010-12-30 15:55 ID:JuijusaHYsc | |||||
> ω ̄)さん ありがとうございます。そう言って頂けて嬉しいです。 終電を逃したら、大抵朝まで飲んでしまうので、帰るのが始発になるんです(汗)。 >OZさん ありがとうございます。 元々焦点を定めて書いた訳ではなく、電車に乗っている時の、雑多な思考が取り留めなくよぎっていく感覚を描けたらなと思って書きました。 ただ、確かにもっとしぼって書いた方が、おもしろく仕上がったかもしれません。参考にさせて頂きます! |
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No.2 OZ 評価:30点 ■2010-12-22 05:10 ID:4MvGQJq3VCA | |||||
離人症的でよかったです。 ちなみに私もよく終電を逃します。 うまい感想が書けずに申し訳ないのですが、 いい詩だと思いました。 @言語の問題:あの はい は いいえ A身体の問題:身体の輪郭までほどける B意思の問題:僕が進んでいるわけではない C行動の問題:誤差もよどみもなく繰り返せたら ただ、上記のように僕が抱える問題が散らばっているように 読めてしまったので、焦点が曖昧で理解が難しいように感じました。 私が作品を読み取れていなければ申し訳ないです。 |
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No.1 ω ̄) 評価:50点 ■2010-12-21 21:20 ID:qwuq6su/k/I | |||||
自分の貧しい語彙と文章表現では、感想述べられ無いが 兎も角良かった。実際自分も電車に乗るとこんな気分がする。薄幸の身の上なので電車とかバスとかこういう按配です。で、終電を逃し、何故始発に乗り込むんだらうか?自宅迄の中継地に駅が有るんだらうか? | |||||
総レス数 4 合計 120点 |
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