容疑者Aと被害者B

薄暗い夕暮れ時、廊下を歩くオレ、オレの名を仮にBとしよう。
オレは放送で呼び出され生徒指導室へと向かっていた。別に悪いことをした覚えはない。オレにとっては悪いことではないのだから。オレはそれをがんとして通すと決めた。タバコでも族でもオレにとっては日常的だ。それを覆そうなど許されないのだ。そう決めて生徒指導室へとガラガラと大きな音をたてて堂々と入る。
「やっときたか。遅いぞ。呼び出したら一分もかからずこい。もう放課後だ。」
毎回ヤツはそういう風に皮肉を込めてオレに言うのだ。もちろんオレは反抗的に椅子に座った。
「さっそくだがお前、その懐中にあるものをだせ」
ぽいっと無言で懐にあるそれを机に投げ捨てた。
「まったく、何度言ったらわかるんだ。これはお前にはまだ早い」
と言ってそれはヤツの懐へと仕舞われた。
「あとな、この頃学校に苦情が来ている。暴走族のバイクに乗ったウチの制服を着た生徒にとても迷惑しているとな。コレもお前だろう」
オレはヤツにがんをとばして睨みつけた。やっぱりヤツは気にくわねぇ。この世の悪行と言われるものはすべてオレだと思っていやがる。いやたしかに、オレなのだが気に食わない。さらにいろいろとグチグチ言われたが、オレの耳にはもう届かなかった。実は俺はとても興奮を抑えるのに必死だったからだ。今のオレの手には先のとがったするどい折りたたみナイフが握りしめられている。オレ懐にはタバコ以外にも入っていたのだ。ヤツはそれに気がつかない。それがとてもオレには快感であり、滑稽に感じた。
さぁ、どうしてやろうか

――――そしてBは被害者となった

放課後僕は職員室へとプリントを運んでいた。
僕の名は仮にAとしよう。
普通は嫌がるプリント運びだが僕にとっては楽しいことだった。階段を上りどんどんと職員室へと向かう。そのどんどんの途中に生徒指導室を横切った。僕は生徒指導室の指導中入室禁止というプレートを横目に笑いを堪えた。僕はとても優等生で、こんなところには一度も入ったことがない。どんな馬鹿がそこにいて無様な様を見せているのか見てやりたいものだ。そんなことを考えた内に職員室へとたどり着く。僕は職員室のドアをノックして「失礼します」と丁寧に入り、プリントを先生の机に置いた。これで僕がいかに優等生なのかが分かるだろう。僕は満足し職員室をまた「失礼しました」と丁寧に出て行った。そして生徒指導室の前でふと気になる。好奇心が沸いてきた。馬鹿の顔や部屋の中を見てしまいたくなったのだ。僕は引き戸に手をかけた。そして静かに左へと引こうとした。しかし、引き戸は開かない気がした。普通のことだ指導中なのだから。すると中から奇妙な音がした。
グシャっ!!グチャッ・・・!!
まるで何かが何かで何度も何かを叩き潰すような音だ。僕の引き戸にかけた手がピタリと動かなくなり汗ばんだ。この中で何が起きているのか僕は悟った。だから僕はさらに中への興味が沸いた。もう一度開けようと手に力を入れる。引き戸は閉まっておらず、ガタガタとつっかかりながらも開いた。


いつのことだっただろうか・・・・小学生の頃だったか。
僕は今みたいな夕暮れ時に一人で公園のブランコに座っていた。
時たまキぃーーキィーーーと僕が揺らすたびにブランコは鳴った。その音と一緒に五時の鐘が重なりまるでクラシックのように聞こえた。クラシックの雑音のように子供たちが家へと騒いで帰っていく。僕は一人になった。鐘が鳴り止みとうとうシィーンとなった。僕は小さい頃から優等生だったがその完璧さゆえに孤独であった。僕は家には帰らない。両親は共働きで僕のことなど相手にしてくれず、帰りは真夜中。だから帰っても何もない。いつも僕は一人ここで一日を孤独に過ごし、両親が帰ってくる直前に家に帰るのだ。

キィーーー・・・キィーーーーー・・・キィーーー・・・・・
またブランコが鳴った。


僕は開けてしまった。僕の頭のなかでいつかのキィーーーキィーーーー・・・・という音が鳴り響く。その光景に僕は声も何も出なかった。一人の男子生徒、おそらくは僕が馬鹿にしていた生徒が血まみれでキラリと光る物を振りあげては何かに突き刺す。

グシャッッ!!
グジュッッ!!

二回ほどそんな音がして、まだ生暖かいような鮮やかな真紅の液体が飛び散って僕の頬まで飛んだ。三回目また振り上げようとしたところそいつがこちらを見た。そいつは目を見開き、「見つかってしまった」というような面だった。そいつは立ち上がりこちらにむかって左右にヨロヨロとしながら歩いてきた。僕の頭のなかでキィーーーーっという音がさらに大きく鳴り響いた。僕は立ち尽くしこちらにくるそいつにこんなことを言った。
「僕も殺すのか」
刹那、そいつの手がフルフルと震えて持っていたキラリと赤く光る物は手から離れ、そいつごと崩れおちた。頭を抱えて「もうおわりだ」とかそんなことをボソボソ呟いていた。僕は気まぐれで、哀れで馬鹿なそいつを助けてやろうと思った。そして、僕はそいつの持っていたキラリと光るそれを拾い上げ、勢いよく振り上げる。

頭の中でキィーーーーーーーーッキィーーーーーーッ!と鼓膜がやぶれそうなくらい
そんな音が、グシャッ!グシャリ・・・という音とともに鳴る。
それは雑音などない完璧なクラシックのようににいつまでも、いつまでも鳴り響いていた――――

――――そしてAは容疑者となった


一昨日、oooo高校にて殺人事件がありました。
被害者は高校教師ooooooさんとBさん、犯行現場には凶器と思われる折りたたみナイフが落ちており、捜査をしています。容疑者は未だ行方がわからず・・・・・・
tumi
2013年03月02日(土) 03時03分12秒 公開
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No.2  tumi  評価:--点  ■2013-03-07 01:08  ID:eRo6znQV3Tk
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感想ありがとうございます。

文章作法というものをまったく知らずに書いたので今度からきちんと作法というものを学んでから書きたいと思います。
殺人動機を明確には書いてはいけないのでは、と思ったので殺人動機はあまり書きませんでした。
この文章はホラーだったのですね、怖がらせるという目的もなくただ書いただけなので、あまりそういうことは意識していませんでした。今後参考にしたいと思います。
No.1  ゆうすけ  評価:10点  ■2013-03-04 16:40  ID:1SHiiT1PETY
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拝読させていただきました。

文章がぎこちなく、「……」の用法など基本的な文章作法ができていないために読みにくいですね。
ナイフで刺し殺すだけの殺人動機が分からないのももったいないです。
Aの異常性によるホラーを描くのでしたら、Aの心理描写や過去のトラウマなどを増量したほうがより怖くなると思いました。
総レス数 2  合計 10

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