いつか会う君へ
 西暦3011年4月、目出度く4階級に進学した僕は、将来の夢に向かい有意義な学園生活を送っていた。現在の教育システムは、各国をA〜Z地区に整理した事で中心部に学校が設けられ、1〜5階級と一貫した教育が施行されている。階級は40人程の共学だが、国に依っては1階級数人とゆう地区も存在している。この星が衰退した背景には、10世紀程前の環境破壊から少子化の一途を辿った結果だと父から聞かされているし、Y地区では独裁者に依る内戦で壊滅状態に陥り、現在の人種存続に多大な影響を与えている事は民族授業から学んでいた。
 父の仕事は空動車を造る事だが、交通手段の全般を占める現在、生産が追い付かないと製造責任者の父は嘆いていて、家政ロボット相手にいつも愚痴を聞いて貰っている。そんな父を見て将来は空動車の新車種を手掛けたいと日々勉学に勤しんでいるのだが、何せ少子化、よりレベルの高い人材育成に社会全体が力を注ぐ風潮に、過去の恥堕落な後始末を後世に押し付けられている様な気がして、今は少し冷めた目で将来を見つめている。しかしそんな過去の産物が今の社会を造り上げ、特殊能力を持つ人種を生み出した1つの要因に成っているのかも知れないと今は思い直している。
 
 春先の連休が明けた朝、担任の吉岡先生と共に1人の女子生徒が教室に入って来た。
「皆静かに!え〜今日から学園生活を共にする事に成った長谷成美さんだ。皆仲良くする様に」
「長谷成美です。今日から皆さんと一緒に勉強する事に成りました。宜しくお願いします」
「ん。え〜席は・・・甲斐の隣だな。甲斐、宜しくな?」・・・おいおい、小林と大喜多の隣も空いてるだろ〜・・・。
「甲斐君、これから宜しく」
「よろしく」・・・それからヘッドホンを付け指示すると、ディスプレイにアンドロイドのカーリーが現れ、流暢な古代語で始業の挨拶を始めると1時間目の古代授業と表示された。続いて古代文字がずらりと並ぶ画面へと切り替わり、吉岡先生の朗読と説明がヘッドホンから流れ始め、1時間目の古代授業が進んで行った。3時間目の人体学も中場に差し掛かった頃、じっと目を閉じ微動だにしない長谷を不思議に思い始めていた。前の学校で習ったのだろうと思いながらも心の深層を覗いてみる事にした。
))))) ●×◆▽★■○☆×◎▲●□×●−△★△★▼◇■×◎ (((((
「えっ!」初めて自分の能力が通じない相手に出会った事の驚きで、僕は大きな声を出していた。
「甲斐、どうかしたのか?」
「いえっ、ちょっと思い出した事が有ったので・・すみませんでした」
「先生、甲斐は美人が隣に来たから緊張してるんですよ」
\ ハッハッハッハッハ /
「甲斐そうだったのか・・・まぁ何だ、これも修行だ。これを機に悟りを開け」
「違いますよ、先生。大喜多余計な事言うな」暫く不貞腐れていたがどうにも腹の虫が治まらず大喜多の深層を探る事にした。
))))) ・・・・・・ ・・・・・ ・・・・・ ((((( あの馬鹿、昨日近所の女風呂を覗いてやがる。・・・しかし何故長谷は透視出来なかったんだろう。 その時授業の終了を告げるカーリーの声が流れ、ディスプレイには3時間目終了の文字が現れた。
「甲斐君、私トイレに行きたいんだけど、案内して貰えないかな?」
「いいよ。僕も行くから付いて来て」僕の能力を知る者は両親以外誰も居ない。遺伝子の組替え、人工臓器の埋込み等のテクノロジーに依って欠陥の無い肉体が作り出された事で、人類は特殊能力を持つ者達へと姿を変え始めていた。
「甲斐君はどこから通学してるの?私はJ地区のFよ」
「僕はE」
「じゃぁ帰りは同じ方角ね。一緒に帰らない?」
「あぁ、いいよ」
 4時間目の言語授業が始まるとディスプレイ上には各国の偉い先生達の顔が現れ、4つに区切られた其々の画面下には通訳された言葉が瞬時に文字と成って流れ、新しく発見された星への植民地を検討する議論がされている。その星はポラリスと北斗七星との中間に位置し、発見者の名前からカリオス星と話されている。
「ねぇ甲斐君」
「何?」
「甲斐君は何カ国語迄理解出来るの?」
「全て出来るよ」
「・・・私は1カ国曖昧だわ」僕の能力は過去を透視出来る事だが、過去の人も持っていた5感を対象物に集中する事に依って過去の出来事が鮮明な画像と成って脳裏に流れ始める。これを過去の人達は第6感と呼んで持て囃して居た様だが、今では小さな幼児迄も持ち合わせている者が居て、国連も1人でも多くのエスパーが確認される事を望んでいる。
「カーリー・・・カーリー?」
「何ですか?拓人」
「調べて貰いたい事が有るんだ」
「昼食の事ならお断りします」
「違うよ、エスパーの確認状況を知りたいんだ」
「そうでしたか、失礼しました。・・・現在の確認状況は、予知能力5人、念動力1人、瞬間移動3人、いずれもJ地区外で確認されています。因に昼食はアザラシのハンバーグステーキです」
「そうか、有り難う」
「どう致しまして」
「甲斐君何こそこそ言ってるの?」
「いや、カーリーに昼食が何か聞いていたんだよ・・・ハンバーグだって・・ハハハ」・・・合計8人か・・・カーリーの回答は現在国連に報告されている件数だから、無告知の数を含めると3倍近くのエスパーが存在するだろうし、J地区にも僕を含め3人は居る筈だ。
「じゃぁ今日はここまで」吉岡先生が教壇を降り教室から出て行くと、言語授業の内容をコピーした2枚のメモリチップが排出され、その一枚を長谷に手渡した。ヘッドホンを机の収納場所へ納めるとディスプレイがゆっくりと沈んで行き、カーリーが言っていた2人分の昼食が浮上仕始めると、長谷も手慣れた様子で除菌シャワーの光に手を翳し始めている。
「ねぇ、この食材は何?」
「養殖アザラシだよ」
「そぅなんだ・・・前居た所はワニが主だったわ」以前長谷が住んでいた所は、海面上昇により面積が半分程に縮小された場所らしく、小さな島々は父が生まれた時には既に海中の1風景へと変わっている。食料事情も人類同様大幅に変貌を遂げていて、特に主食の米は砂漠化が進んだ3世紀前には完全に地球から消え失せ、植民地化された星からの搬入に頼っている。砂漠化が進んだ陸地とは反対に海域は広がり多くの魚介類が新たな生態系を形成し、食卓に並ぶ副食の8割は海産物から作られている。そんな食卓事情の解決策を、新たな星の可能性に求める今、早急な植民地への調査開拓とそれに伴うエスパーの発掘を、新星への派遣にと国連は力を注いでいる。だから能力を持つエスパーは事実を直隠し其々の現実を日々生活しているのだろう。
「甲斐君、授業始まるわよ?」
「えっ」午後からの授業は宇宙史と空動車の実習でカーリーが教官を勤め、4階級を卒業する時には免許を取得出来る仕組みに成っている。主に空動バイクは進学する時に国連から学校を通して配給を受けるが、卒業する時には返還する事に成っている。使用時には掌をスキャナに当て登録者のみ始動する様設定されていて、利用状況は全てカーリーに記録されている。バイクに比べ空動車の時速は音速迄達し運転時には保護スーツの着用が義務付けられている。
「おい、甲斐。続いて現在の地球外生命体は、から読んでくれるか?」
「・・・・」
{ウエカラナナギョウメ} 突然頭の中に本文の行を知らせる声が聞こえ、回りを見渡したが皆ディスプレイに集中している。
「はい。現在確認されている地球外生命体は、2630年M地区Gに現れたウイン星人と2723年のマカロ星人、2871年には人類初の植民地調査で発見されたガリック星人が確認されており、共に同じ銀河星に位置しているが性質は異なり、ガリック星人に関しては2880年以降交流を中止している(国連は宇宙条約に記載)。しかしウイン星人から受けた様々な先進技術は地球人の宇宙進出を画期的に進歩させた」
「よし。甲斐もういいぞ。今読んだ中にガリック星人と出て来たが、この事に付いて知識の有る者は居ないか?」
「はい」
「おぅ、羽村。何だ?」
「はい。2871年の発見で接触の試みに成功したに思われましたが、3年後帰還した飛行士の妻にガリック星人の子供が誕生し、遺伝子を植え付けた地球侵略だとゆう事が発覚しました」
「その通りだ。何から知った?」
「はい。宇宙条約を読みました」
「そうか。今羽村が言った宇宙条約は5階級の宇宙法で勉強する事に成るが、知りたい者はカーリーに頼んでコピーをして貰ってくれ」僕は能力が備わった時から過去に遡り歴史の事実を知っていたから、メモリチップを長谷に手渡そうと差し出したが手を横に振った。
「それでは今日はここまで」
 保護スーツを着用後、屋上に在る空動車の前にクラス全員が集合すると、カーリーは順次生徒を照合して管制塔に送信している。
「それでは空動車の運転方法と点検整備の実習を始めます。前回学科授業で習った構造と機能を参考にしてこれからの実習に活かして下さい」空動車が動く原理は重力を動力に変換する反動盤の開発に依る物だが、それは2630年から交流しているウイン星人の技術提供による物で、人類の移動手段を画期的に進歩させた。車の形は海底に住むエイを細長くした流線型をしていて、車体下には全面反動盤が取り付けられて有る。
「それでは2班に別れて車の回りに集まって下さい」流線型の黒い外観は鈍い光沢を放ち、カーリーが側面に有るセンサー部分に手を当てると、ドアがゆっくりと翼状に跳ね上がり、学科授業で習ったシンプルなパネルからグラデーションの光が流れる様に点滅している。
「では三名毎に乗り込んで下さい」車内は3カ所に座席が据えられ、前方は立って移動出来る広さだ。羽村を含む三人が車内に乗り込むとカーリーは棒状のハンドルを握り、先端の凹み部分に親指を置くと車体は音も無く地面から浮き上がり停止した。
「今の動作が始動方法に成ります。次にハンドルを前に倒すと前進し、引くと後退します。左右も同じ要領です。いいですか?」
\ はい / 
「ではここ迄の操作を交代で各自覚えて頂きますが、今は的確にゆっくりと行なって下さい」クラス全員が操作手順と車の動きを理解すると、カーリーの模範運転を見学したが、その滑らか且つ俊敏な動きは想像を遥かに越えていた。その後計器類の説明と反動盤の点検整備を習い、授業は終わった。
「では時間も後僅かに成りましたが、これから4階級を卒業する迄に運転技術を身に付け、5階級からの空動船操作に移れる様一緒に頑張りましょう。以上、お疲れ様でした」最後に空動船の話しを聞き終わると其々に溜息が漏れた。
「甲斐君どうだった?」
「あれじゃぁ遣る気が失せるよ。カーリーも授業を楽しく、遣る気が湧く様に進めて貰わないと・・・」
「そうよねぇ。じゃぁ着替えたら地下の駐車場で」
「分かった」保護スーツに着替え地下に降りると長谷はバイクに跨がり宙に浮いていた。長谷と一緒に地下駐車場から赤茶けた空が覗く出口へとバイクを進ませ、一気に反動力を上げ学校を後にした。
 帰る途中、いつも見ていた不思議な廃墟跡に立ち寄ろうと長谷に合図を出したが、一向に聞き入れないから少し離れた丘に誘い着地した。
「長谷、あそこは危険なのか?」
「そうよ」僕は何が危険なのか聞こうとした時、建物は大きな音と共に跡形も無く崩れ落ち、灰色の砂煙が中心を包み込む様に高く舞い上がった。
「・・・なぜ崩れると分かったんだ?・・・君は・・・」
「そうよ、予知能力が有るの」それから長谷は3階級の2学期に予知能力が備わった事を話し、未来予知を重ねるに連れ、人の思考も読める様に成ったと話した。今回の転校も同級生に疑われ始めたからだと言った。
「そうか・・・なら僕の能力も知っているんだ?」
「ええ。私の過去を調べようとした時気付いたわ」
「あの授業中の声も君だったのか・・・でも能力を知られると危険に晒される事に成ると思うけど?」
「それは・・・」これから数種類の特殊能力を僕は身につけ、様々な危ない目に遭うからだと長谷は言った。
「ここも早く立ち去ったほうがいいわ」そう言い終わると長谷は勢い良くとバイクを飛び立たせ、僕もその後を追った。暫くして崩れ去った廃墟跡を振り返ると国連の空動船が現れていて、開いたドアから数十人のパトロール隊が出てくる様子が小さく見えた。自宅に着くと母が勧める夕食を後にして、2階の部屋で長谷の言った言葉を思い返しながら眠りに落ちてしまっていた。
{ カイクン・・・カイクン? } 誰かの問い掛ける声で目を覚まし、それが長谷からのテレパシーだと気が付いた。
{ ナニ?ハセ }
{ ワタシノイッタコトデナヤンデナイカトオモッテ }
{ ソリャナヤムサ・・ハセ、コレカラボクニソナワルノウリョクッテナニ? }
{ ・・・ヒトツハモウツカッテルワ }
{ ・・・テレパシー・・・ }
{ソウヨ。ワタシトセッスルヨウニナッテカラ、アナタノノウリョクハカクダンニアガッテルワ。ダカラコクレンハセカイニテンザイスルエスパータチヲイッカショニアツメタイトカンガエテイルノヨ }それから長谷は、長いテレパシーをすると上の能力を持つエスパーに察知される可能性が有るからと一方的に交信を閉ざしてしまった。
 翌朝起床を告げる母の声で目をしたが、保護スーツのまま眠っていた事について何も聞かなかった。特殊能力については母が一番の理解者で、母の父も特殊能力者だったと聞いているし、いつか僕にも特殊能力が現れるかもしれないと冗談混じりに話していた。
「拓人、今朝はちゃんと食べて行きなさいよ?」
「分かってるよ。昨日は実習で疲れていただけさ」朝食を摂り、地下に停めてあるバイクを始動させ地上に出ると、長谷が向かいの家屋上で待ってくれていた。
「甲斐君おはよう」
「おはよう」
「あれから良く眠れた?」
「眠れる訳無いだろう、途中で途絶えるんだから」
「仕方ないわ、長い交信は危険なんだから。それより今朝のニュース見た?」
「・・・・」
「もう少しエスパーの自覚を持った方が良いわよ?」
「分かったよ。だから何?」
「昨日の廃墟跡からエスパーが発見されたのよ」そのエスパーは国連に能力を悟られ身を隠しながら生活していたが、到頭国連エスパーの力に屈したとゆう事だった。
「すると昨日の崩壊は国連エスパーによる物だったのか?」
「そうね・・・」
「君は予知していたからこそ廃墟跡に行くのを嫌がったんだろ?」
「違うわ。ニュースを見て私も気付いたんだけど、自分よりレベルの高い能力者の存在は分からないのよ。だから廃墟が崩壊する所しか予知出来なかった。甲斐君が私に気付かなかった様に・・・」
「すると国連エスパーの力は君より上って事に成るのか?」
「当たり前よ、比較に成らないわ。あの崩壊は念動力に依る物だろうし、空動船も未だ現れてなかった事から考えるとテレポート(瞬間移動)も併せ持ってると思うわ」
「・・・・」
「私は甲斐君の進化に賭けたのよ?私は小さな物なら動かせる力が最近身に付いたけど、能力を使った後は立ち上がる事さえ出来ない程疲れてしまっていて、女の体力では限界が有ると悟ったの・・・だから早く甲斐君に全ての能力を身に付けて貰って、これからの出来事から私達を守って貰いたいの」切羽詰まった話しを聞き、これから起こる出来事に不安を感じずにはいられなかった。
「長谷、君の能力開発方法を僕に教えてくれないか?」
「いいわ。まず邪心は捨てて、今甲斐君が持てる能力をフルに使う事。それが1日通して習慣と成れば必ず新しい能力が生まれる筈よ。でも気を付けて、外では未知のエスパーが常に監視をしているから、意識を消す訓練も忘れてはいけないわ」
「分かった、やってみるよ」それから低速で飛んでいたバイクの速度を一気に上げた。
 教室に入り席に就くとカーリーがディスプレイに現れ、現在の食材事情と栄養学の文章に画面が切り替わると、それを説明するカーリーの声がヘッドホンから流れ始めた。まずはクラス全員を透視する事から始める事にして、最前列の加藤に意識を集中した。加藤の自宅は僅かに緑地が残るJのIに在り、両親と祖父の四人暮らしだが、二階級に上がる年に2つ違いの妹を病気で亡くしていて、当時病床に就く妹に必ず加藤が食事を食べさせていた。そんな優しい妹思いの加藤が、兄弟の居ない僕をとても優しい気持ちにさせてくれた。それから隣の松永に意識を移すと、彼女は帰宅してから車の運転をお父さんに教えて貰っていて、スムーズに運転出来ない事を悔しがっている姿が見えた。だがそんな松永の3階級での成績は殆どがAランクに評価されていて、人知れず努力を重ねる才女なのだと彼女を見直した。次の机は宮武と中谷だが、2人は幼馴染みなので省略しようとも思ったが、二階級の頃から仲の良い2人が気に掛かり少し覗いてみる事にした。驚いた事に3階級から2人は付合っていて、週末には互いの家を行き来する仲に成っていた。・・・ちくしょう〜。
{ カイクン、マジメニヤッテル? }
{ ・・・アア }

 そんな日常を繰り返し一週間が過ぎた頃、僕の体に異変が起き始めていた。
「甲斐君教えて?さっき先生が言った・・・甲斐君どうかしたの?」
「いや、ちょっと目眩がするだけだよ」
「・・・カーリーに診て貰う?」
「そうしてみるよ」医務室に着くとカーリーは直ぐに透視線で体を調べてくれたが、異常は見つからなかった。
「拓人、暫く横に成って様子を診ましょう」
「分かった。ありがとうカーリー」
 深い眠りから目が覚めた時には午後の授業が終わる頃で、幸い目眩は治まっていたが、今度はふわふわした様な感覚が起きていて、昼食を食べなかったせいだろうと思ってもみたが、それにしては体に力が漲っている。
「拓人、今日の授業は終わりましたが、帰宅出来そうですか?」
「大丈夫。カーリー今日は有り難う」医務室を出ると迎えに来た長谷と丁度出くわし、そのまま地下駐車場まで降りた。家に帰ると夕食を一緒に食べる様母に奨められたが、睡魔に襲われ2階のベッドでそのまま眠ってしまった。
 
 翌朝母の声で目を覚まし食卓に就くと、父はいつもの様に国際新聞に目を通しながらお気に入りのカップで珈琲を飲んでいた。母は父の弁当を作っていたが、調味料が切れたと引出しやら冷蔵庫を探し回り始め、結局買って来たまま車の後部席に置き忘れている事を思い出し、父にそれを咎められている。通学時間も迫って来たから、それを横目に家を出ると真新しい保護スーツを着た長谷が待っていてくれた。スーツの事を聞くと、昨日誕生日で父からプレゼントされた物だと嬉しそうに話してくれた。Eを出た辺りから国際警備隊の車を見掛ける事が多く成り、学校の手前で警備隊の一台に捕まってしまった。結局簡単な身元照会だけだったが配給バイクが何より僕達の身の保証をしてくれていた。警備員が立ち去る時、何が起こったのか聞こうとするが僕の声は警備員には聞こえない、何度も何度も問い掛けるが僕の声は届かない。
「拓人時間よ!起きなさい」
「ぅん・・・」母の声で目が覚めた僕は身支度を整え食卓に就いた。良く眠れたせいか体調も戻り食が進む。僕が食べ終わる頃、弁当を作っていた母が胡椒が見当たらないと探し始め、冷蔵庫を覗いた所で車に置き忘れていた事を思い出し、買物袋を下げ笑いながら部屋に帰って来た。父は読んでいた国際新聞を食卓に置くと、そそっかしい母を咎め始めた。
 何なんだこれは・・・僕は見た夢と現実とがこんがらがり、未だ夢の途中かと錯覚した。家を出てバイクを始動させたが、今朝の長谷は未だ来ていない。アクセルを回し顔を上げると長谷のバイクが見え始め、ジャケットはやっぱり真新しい色に変わっている。
「甲斐君おはよう」
「おはよう」
「このジャケット良いでしょう?」
「似合ってるよ・・・お父さんの誕生日プレゼントだろ?」事実を答えた僕の言葉に察しが付いたのか、長谷はこう言った。
「予知能力が身に付いたのね」それから僕の見る夢は日を追って間隔が狭く成り、1週間後には自分の意志で予知が出来る様に成っていたが、未だ3日先の力でしかなかった。
「甲斐、最近元気が無い様だけど何か有ったのか?」幼馴染みの中谷が声を掛けて来た。
「最近夢見が悪くてさ」
「何だ、そんな事か。彼女にでも振られたのかと思ったぞ。で、どんな夢なんだ?」そう言うと中谷は長谷の方をちらりと見た。
「色々有るけど・・最近ではお前と宮武が付合っている夢を見たよ」
「・・バカな、そんな事有る筈無いだろう」中谷はびっくりした様子でそそくさと席に戻って行った。
{ ナカタニクンハミヤタケサントツキアッテルンダネ }
{ ソウダヨ・・・ハセハカレシイナイノ? }
{ イナイワヨ }
{ ヘェ〜 }
{ ナニヨ?トウシシテモムダヨ } 長谷と出会ってから何度か透視を試みているが、一度も成功していない。だから長谷の話す事だけが過去を知る手掛かりでしかなかった。
 カーリーの始業時間を告げる声が流れると画面に2時間目の人道史の文字が表示され、植民星初の開拓者と成ったアメリカの初老男性の顔が映し出された。その男性は小さな頃から星に興味を持ち、いつしか新たな星に行ってみたいと考える様に成ったと開拓者に至迄の経緯を話している。僕は興味深く男性の話しを聞いていたが、家族の話しに移った所で訓練を始める為4列目の松田に意識を集中した。松田の実家は現在JのLに在り、本来なら第2高校に通う事に成るのだが、両親の都合で祖母の家より第1高校に通っていた。しかし父の仕事が落ち着いた事で松田は1学期が終われば本来の学校に戻る手筈と成っていた。松田の3日先に変わりは無い。隣の豊田は相変わらず朝晩のバイトに精を出していて、朝は新聞配達、夜は近所の居酒屋で皿洗い。前々からバイトの話しは聞いていたが、4階級を卒業する時には空動車を購入したいと考えている事を知り、豊田の大人びた考えに少し驚いた。しかし残念な事に2日後豊田は新聞配達の途中事故に遭い、空動車の夢は終わりそうだ。その事故から回避させ夢継続の手助けをする事は簡単だが、幸い大事には成らないし冷たい様だが運命だと思い割り切った。この頃の長谷は過去よりも未来を予知出来ないと駄目だとよく言うが、未来予知には強い疲労感が伴い開発意欲を減退させている。2時間目の授業も終盤に差し掛かった頃、外には今朝見掛けた国際警備隊のパトロール車が頻繁に見え始めていた。
{ ハセ、ナニカアッタノカナ? } 長谷に送ってみるが応答は無い。横目で見ると顔を数回横に振ったのを合図に僕も直ぐ様意識を消した。

 それから月が変わり数日経った月曜日を境に長谷は学校から姿を消し、僕が送るテレパシーにも応答は無かった。
「おい、甲斐。長谷はどうしたんだ?お前が虐めたからじゃないのか?」時偶大喜多のちょっかいが気持ちを逆撫でするが、長谷の姿は今も変わり無く映っている。
「長谷にも色々事情が有るんだよ」
「何だ、知ってるんじゃないか。白状しろよ甲斐」長谷は以前の高校で能力が知られそうに成り転校したと話していた。その事が国連に密告され、今回の欠席に繋がっているのだが、来週からはいつもの様に登校して来る。

 五月中場からの訓練は後数人を残す迄に成っているが、数日前から宙に浮く感覚を覚え捗っておらず、それとは又別に体の火照りも感じ始めていた。6時間目の宇宙史の授業を終え下校していると、1台の車が猛スピードで迫って来て、回避不可能と悟った瞬間母の悲しい顔が脳裏に浮かび、直後見覚えの有る民家の駐車場に僕は浮かんでいた。急いで表へ出て確認したが、やはりそこは見慣れた僕の家だった。
「・・・これが瞬間移動なのか・・・」夕食が終わりその出来事を両親に話すと、誰かに見られてはいないかとの確認をして安心すると、これからいつも意識を消す事を僕に義務付けた。
 
 週末の夜、僕はなかなか眠りに就く事が出来ずに寝返りを繰返していた。
{ カイクン・・・カイクン? }
{ ハセカ? }
{ ソウヨ }
{ カワリナカッタノカ? }交信しているうちに国連の監視の事を思い出した。
{ ハセ、イマソッチヘイクヨ }
{ エッ }長谷が取分け驚いたのは、自分の身を守る事で能力を閉ざし、予知出来ていなかったからだろうとその時の僕は思っていた。それから目を閉じ長谷の顔を脳裏に強くイメージすると体がゆっくり揺れ始め、目を開くとパジャマ姿の長谷がベッドの壁に凭れ掛かっていた。
「甲斐君・・・とうとう身に付けたのね・・・」
「ああ。まだ距離は短いけどね」
「凄いわ・・・甲斐君が予知出来なかった訳ね・・・」
「えっ?・・・そうだったのか・・・」長谷のレベルを越えていた事を今気付いた。それから授業1週間分のメモリチップを長谷に手渡し、窓際に向けた勉強机の椅子に座った。
「それで長谷の方は?」
「暫く国連エスパー達の偵察が続いたけど、何とか切り抜けられたみたい」
「そうか」それから瞬間移動を会得する迄の事を話し、通学は頻繁にコースを変える事に決めた。
「長谷、前君は自分より能力が上の人と接すると能力が発達すると言ったよな?」
「ええ、言ったわ」僕は長谷の手を取りベッドから立たせ肩を抱いた。
「甲斐君・・・」
「君もこれから必要に成る」言い終わると同時に部屋から静かに消えた。
 僕の部屋に着くと長谷は満面の笑みで瞬間移動の感想を語ると、部屋が男臭いと顔を歪め又笑った。それから学校、海岸を移動して回り、町が見渡せる小高い丘から夜景を眺め、僕達は初めての口付けを交わした。

「拓人、起きなさい。長谷さん来たわよ」
「ぅんっ、ん〜何?」
「何じゃないでしょ、今日は長谷さんとAに行くんじゃなかったの?」夏休みに入った3日後、以前から長谷に頼んでいたAの探索に僕は出掛ける事にしていた。僕の能力はこの二ヶ月の間で格段に進歩していて、時空間移動(タイムスリップ)迄も身に付けていた。なぜ寝坊してしまったかとゆうと、Aの下見と予知をしていたからなのだが、どうやら途中で眠ってしまったらしい。今回の遠出は長谷家族が転出せざるを得なく成った原因を探る事で、その確認如何に依っては、これからの行動は大きく左右される事に成るだろう。筋力トレーニング等の成果が現れ始めた長谷は、少しの距離なら瞬間移動出来る迄に成っているから、この機会に真相を突止め、国連からの防衛手段を模索しようと考えたからだった。母の小言を聞きながら車庫に降り、僕達はバイクを西に向け一気に加速した。2度の瞬間移動をして長谷の住んでいた場所に近付くに連れ、辛うじて残っていた緑も見えなく成ると、磨りガラスを透して見るかの様な砂漠が広がり始めた。減速して進み始めると、砂に埋もれる微かな街並みが見え始めた。
「長谷、あそこか?」頷くと付いて来る様手招き、街の外れに在る小さな廃校跡に僕達は降り立った。
「ここが二階級で通っていた学校よ」
「ここならバイクも見つからないし安全だな」砂に半分埋もれ駐輪場にバイクを停め、僕達は街へ向かって歩き出した。街は空から見た印象と同様に、到底人が生活しているとは思えない環境で、気配すら感じられない。
「長谷、本当にここなのか?」
「そうよ。今に分かるわ」そう言うと数世紀前には大勢の人で栄えていただろう百貨店の前で足を止め、掌を壁の一部に押し当てた。すると壁は砂煙と共にスライドし始め、地下に続く階段が目の前に現れた。
「甲斐君、付いて来て」慣れた様子で長谷は階段を下り始めた。
「ああ」薄暗い階段を下り踊り場を右へ曲ると、淡い光が足元を照らし始め、光が眩しく目を射した時、そこには巨大な地下空間が広がっていた。
「長谷、ここで育ったのか?」
「そうよ、驚いたでしょう」
 地下には買物をする婦人達や友達と楽しげに歩く学生達、それに夏休みが嬉しくて仕方ないかの様な子供達が、所狭しと走り回っている。
「さぁ、行くわよ」迷路の様に繋がっている地下道を三十分程歩いただろうか、人影は次第に見えなく成り静かな大広間へと辿り着いた。
「甲斐君、ここが私の住んでいた場所よ」回りを見渡すと幾つもの地下道が交差する大きな空間に成っている。一見何の変哲も無い場所だが、数メートル間隔に扉が設置して在り、侵入者から守られる様カモフラージュされていて、扉は見えなく成る迄続いていた。
{ ココカラハコトバハナシヨ }
{ ワカッタ }長谷は1本の地下道へと向かって歩き出した。2つ目の大広間から左に折れ、次の広間を右斜めに進み、5つ目の扉の前で長谷は立ち止まった。
{ ココガワタシノスンデイタイエ }僕は直ぐに当時の事を透視仕始めた。
))))) ・・・・ ・・・・ ・・・・ ・・・・ ((((( この地下道は当時から変わり無く現存しているが、隣の住人が2度変わっている。2度目の住人は最初に住んでいた人と同じで、移転していた期間は長谷が転出する時を前後していた。僕はその事を長谷に伝えようとした時、長谷が僕の腕を掴み言葉を発した。
「意識を消してっ」次の瞬間最初に降り立った廃校跡の駐輪場に立ち戻っていた。
「どうしたんだ?」僕は透視をしていて何も察知出来ていなかった。
「後で話すから今はここから離れましょう」只成らぬ長谷の異変にそのままバイクに跨がり瞬間移動した。
 2度目の瞬間移動で海を渡った時、低速飛行に切替え長谷に言った。
「何が有ったんだ?」
「あの時扉を開けて誰か出て来ようとしたのよ」
「・・・そんな事で慌てて逃げ出したのか?」
「違うわ。出て来ようとした人に私と同等の能力が感じ取れたからよ」
「何だって・・・でも今居る住人は君が生まれた時から隣同士じゃないか?」
「そうよ。当時の畠さん家族に能力を持っている人は誰も居なかった」
「その後能力を身に付けた人が居るって事か・・・誰?」
「8歳だった久美ちゃんよ・・当時よく遊んでいたから、私が久美ちゃんの潜在能力を引出したんだわ」
「君の能力が分かる様に成った久美ちゃんは、理解出来ずに両親に話していたんだな・・・しかし肝心なのは国連に通報して身を隠していた畠家族が又元の家に戻って来ている事だよな?久美ちゃんの能力は勿論国連に把握されているだろうし、より能力を開発され、国連の為に行動する様教育されていると思って間違いないな・・・元の家に戻って来たのも、君が現れるのを待ち構えていたんだよ」
「・・・・」
「君の話しだと僕よりレベルが低いみたいだから、今夜にでも又探ってみるよ、それに僕の事は知らないだろうから」
「危険過ぎるわ。さっきの一件で必ず国連エスパー達が待ち構えている筈よ」
「・・・・」
「それより帰ってから畠さん家族の事を両親に聞いてみるから、それからでも遅くないんじゃない?」
「・・・そうだな」
「じゃぁ今夜家に行くから」
「分かった」

 食卓を囲み今日の出来事を話しながら食事していると、玄関で物音がした。
「何かしら、音がしたわね?・・・成美さん来られたんじゃないの?」
「拓人ちょっと見て来い」僕は父に言われるまま食卓を立ち、廊下に出た。
 玄関には服が引き裂かれ、涙でぐしゃぐしゃに成った長谷が立ち尽くし、僕の顔を見る成り崩れ落ちる様に倒れ込んだ。
「父さん、母さん」長谷を抱き起こすと消え入る様な声で言った。
「私の力じゃどうにも成らなかった」そう言うと長谷はゆっくりと目を閉じ意識を失った。
「父さん、行って来るよ」
「分かった。思う様にやって来なさい」僕は全ての神経を長谷に集中して過去に飛んだ。

 時空を越え長谷宅に遡ると、長谷は母親と一緒に夕食の支度を始めていた。2人を確認した後物陰に身を隠し、観察を始めた数分後、お父さんが帰宅して和やかに夕食が始まった。その時国連の空動船が頭上に出現し、夕食をしている部屋に2人のエスパーが突如現れた。国連エスパーは三人を連行しようとしているが、長谷の念動力に阻まれ思う様に捕らえられない。そうこうしている内にもう一人のエスパーが現れ、視線を長谷に向けたかと思うと体は窓ガラスを突き破り屋外に吹き飛び、長谷は体を反転し空中で消えた。そこ迄見届けると直ぐに今朝の長谷宅目掛けて時空を越えた。

「甲斐君・・・」
「今日の探索は中止だ」
「どうしたの?」
「国連の罠だ」長谷に予知能力が備わった時に遡り、予知の口止めをするつもりだが、その時から僕の事を知っていた事に成ると気付き振り返ると、長谷は手を差し出していた。
「これ、過去の私に渡して」

 14歳の長谷の部屋に着くと、現れるのを知っていたかの様に長谷は僕の顔を見つめていた。
「成美ちゃん、こんにちは。僕は君を助ける為に未来から来たんだ」
「・・・・」
「今は信じられないと思うけど、どうしても約束して貰いたい事が有るんだ」
「何?」
「今成美ちゃんは僕が現れる事を知っていたよね?その能力の事をお父さんお母さん意外の人に話さないで欲しいんだ」
「なぜ?」
「それを話すと未来の君は辛い事に巻込まれるんだよ」
「辛い事って?」
「お父さんお母さんと離ればなれに成ってしまうんだよ」
「・・・・」
「約束して貰えるかな?」
「約束する」
「絶対?」
「ぜったい」指切りして預かったカチューシャを手渡した。
「未来の君からだよ」
「わぁ、ありがとう」鏡の前でカチューシャを付け振り向くと、14歳の長谷は嬉しそうに微笑んだ。
\ 成美、誰か居るの? /

 5年後、僕は空動車の会社に就職をして慌ただしい毎日を送っていた。その頃の地球上では不思議な事が各地区で起こり始めていて、ある地区では次第に副食食材が捕れなく成り、ある地区では日々人口が減り続けている。
 そんなある朝の朝礼。
「では以上の事を心掛け、各自の職務を遂行して下さい。では新入社員の紹介です」
「今日から皆さんと職場を共にする事に成りました長谷成美です。よろしくお願いします」長谷は僕を見つけるとニッコリと微笑み、髪には当時のカチューシャが淡く輝いていた。

そして僕と長谷との第2章が始まった。
入谷緋色
2014年03月12日(水) 19時31分44秒 公開
■この作品の著作権は入谷緋色さんにあります。無断転載は禁止です。
■作者からのメッセージ
初めての拙いSFです。どぞよろしく。

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No.2  游月 昭  評価:0点  ■2014-05-21 23:34  ID:5PhxNt2MGXg
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こんばんは。一応全文読もうとしましたが、無理でした。


漫画だと思いました。
つまり、会話に頼っている。
だから、未来の景色が全く浮かばない。
情景描写がない。(やばい、私の新作も)
漫画は景色や人が視覚から情報収集が出来る。

会話と少しのナレーションでは、
誰が何処でどうした
というだけで、
どんな格好、服の色、をした、
どんな顔の人、年齢層、が、
どんな話し方、態度で
どんな立地の、
どんな素材でできた、
どんなイメージの建物で
どんな景色、光、温度、植物、空
など。

現実と小説内の世界がこんがらがる!みたいな背景をまず最優先に入れることをお勧めします。


はい。今書いたことは、私に言い聞かせるようなものでした。私も頑張りますので、あなたも頑張ってあなたの世界を構築してください。勉強になりました。ありがとうございます。
No.1  游月 昭  評価:0点  ■2014-05-10 19:01  ID:5ZzWE3oSpa2
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こんにちは!

とりあえず冒頭で感じた事を。
後で全部読んで、点数を付けます。

入谷緋色さんも初めての投稿ということですから。


ほんとは、読むのやめようかと思ったんです。何故かというと、語り口の固さはいいとして、記号、数字、壁紙の鬱陶しさに加えて、会話文の辺りから、学校システムの設定に安っぽさを感じさせてしまうところ、脳内を覗いた時の描写の無さ。
せめて脳内を覗くという要の部分だけは、丸ペケみたいなものではなく、しっかりと表現するべきではないかなあ、と思いました。
というわけで途中で読むのをやめました。
しかし全部よまないと、評を述べる資格もないので、後で全部読もうと思います。
では、またのちほど。
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