太郎丸と突然のロボ |
「あー、最近なんかつまんねーなー、空からロボットでも落ちてこねーかなー」 太郎丸がそんなことを考えながら家路を行く、まもなく自宅のアパートが見えるというところでふと見上げると。 そこには巨大なロボットが直立していた。 「………?」 あれ、おかしいな、今何か変なものが見えたぞ、気のせいかな? 顔をそらし、目をこすって再び見上げる。 そこには巨大なロボットが直立していた。 「………!??」 バッと後ろを向いて目をそらす、妙な汗が出てきやがった。 いや、まてまて、待つんだ太郎丸、そんな訳はない、巨大ロボットなんて、そんな訳はない、だって現実だもん。これは違う、何かの間違いだ。そうだ、きっと疲れてるんだ。 ふっ、我ながら少々学問に励みすぎたようだ、これはあれだ、きっと私があんまり真剣に勉強に励んだものだからその内容が頭から離れずにロボットが見えた気がしたんだ。古代日本史とロボットに何の関係があるのか分からないが、きっとそうだ。 そうだ、私の脳、日本史のことは忘れろ、あそこに巨大ロボットなんてない。ロボットなんて、ない! 勢いよくふりむく 巨大ロボットが2体直立していた。 「………!!???」 居た、絶対居た、しかも増えてた! ザクみたいなロボットが2体に増えてた!! とっさに顔をそらしたため全貌が見えたわけではないが、右手にマシンガンを持ったザクが斜に構えて2体立っていた! いやいやいや、落ち着け太郎丸、これはむしろ証拠ではないか? 冷静に考えてあんな巨大ロボットがあんな一瞬で現れる訳がない、やはりあれは幻覚なのだ。 しかし、どういうわけか私の目には巨大ロボットが見えてしまう、これではいけない、あんなものを見ているようでは、私の登下校が宇宙世紀になってしまう、なんとかあれが実在しないという事を証明しなければ。 そうだ、人間目に頼らずとも物を見る手段はあるじゃないか、例えば携帯のカメラで撮ったものを確認するというのはどうだろう、アレが幻覚ならばきっとカメラには私のアパートだけが映るはずだ。 意を決して携帯を取り出し、カメラモードでロボットに向ける、フレームの中はすでに三体のロボットで溢れそうだ、さりげなく一体増えていた、いつ増えたんだ、黒い三連星気取りか。ザクの分際で。 シャッターボタンを押す、かわいた音がして画面が暗転し、保存中の文字が浮かぶ、やがて保存が完了した。 太郎丸は落ち着いて撮影履歴を見返し、確かに撮影したことを確認、そして、一度深呼吸をしてからアルバムを開く。 サムズアップを決める三体のロボットが映っていた。 「………!?!?!?」 驚いてロボットを見上げる、三体のロボットは両腕を降ろしてリラックスしたポーズで直立している。画面に目を落とすと、やはり、左の親指を立てたサムズアップのロボットが映されていた。 映った! 映った!! というか動いた!? てかもしかしてこいつら、こっちを見てる!? 太郎丸が軽くびびっていると、ヴぃいいいい、と音を立てて携帯が震えた。 「だわぁあ!!」 おもわず叫んで取り落とす、が、すぐにメールが届いただけという事に気付いて拾い上げる。 確認してみると、メールの送り主は見知らぬ番号だった、誰からだ? と思いつつ開く、そこにはこう書かれていた。 ザクはロボットじゃない、モビルスーツだ 「………」 知るかあああああ!! 死ぬほどどうでもいいわ! なんでそんなこと送ってきた! つーか貴様は誰だ!! ザクのパイロットか!? てかほんとに何、この本文、あれか、こいつは人の心が読めるのか? やだ、何かすごく怖いんだけど。 まあ、この際それは脇に置いておくとしてだ、どうやら私ごときの力ではこの存在を否定することはできないようだ、しかし、もし仮にあのロボット、いやモビルスーツが実在したとしても私はあそこへ向わねばならない、なぜなら、そこに私のアパートがあるからだ。 息をのむ、正直不気味ではあるが、勇気を出して近寄って見る、足元から見上げるとやたらデカく感じた。 と、ロボットの足に謎のボタンがついていることに気付いた、ドクロマークの付いた、黒くて丸いいかにもなデザインのボタンだ。 「………そうか」 今、全ての謎が解けた、どうしてこんなロボットがこんな街中に現れたのか、なぜ一瞬で増えるのか、なぜこんなところにボタンがあるのか。 「ぽちっとな」 自然に私の手はボタンを押しこんでいた、そのボタンはやけに軽く、まるで何も押していないかのようだった。 ちゃらーん、という音がしてボタンが奥に入っていく、次の瞬間、あたりは火の海に包まれた、三体のロボットは激しく爆散し、火の粉が私の周りに降り注ぐ、私はその光景をぼんやりと見上げる、火に囲まれた私はそこから微動だに出来ず、ロボットの崩壊にただ飲み込まれていった。 最後の数秒の間に私は見た、三体のロボットが、私に向かってサムズアップのポーズを決めるのを、そして、その手が、見事なサムズアップを決めるロボットの左手が、私の頭上に落ちてきた。 「う、うわああああああああああああああああああああああ!!!!!」 がばっと体を起こす、見回すと、そこは見慣れたアパートの部屋だった。 「……………」 まさかの夢オチ、ここまでやっといてそりゃねえだろう。 「ちくしょう、勘弁してくれよ、何が悲しくてせっかくの日曜にあんな夢を見にゃあ………」 誰にともなく悪態をついて体を起こす、変な夢を見たせいかやたら体が重い。 とりあえず日浴びでもするかーと、窓に向かってゆき、カーテンを開く。 巨大なロボットの顔が横目でこちらを見ていた。 「……………」 「……………」 「………これは現実かあ??」 |
ざわちゅー
2014年06月18日(水) 23時17分18秒 公開 ■この作品の著作権はざわちゅーさんにあります。無断転載は禁止です。 |
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No.2 ざわちゅー 評価:--点 ■2014-06-20 18:54 ID:akYfucQkqCc | |||||
游月 昭さん、感想ありがとうございます 確かに安っぽいですね、設定を無駄に使ってしまったような気がします、最初のネタで引っ張りすぎてしつこかったとも思います、SFのところに投稿するにはさすがにぺらい内容だったと反省しています |
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No.1 游月 昭 評価:10点 ■2014-06-20 16:01 ID:IIbnOzQ/0rQ | |||||
ひとつ面白いところがありました。ロボットからメールがくるという可笑しな発想。 ただ、オープニングから、昔の安っぽいギャグ漫画のようで、また、それを引っ張りすぎて、面白いストーリーを入れることを忘れてしまっている。 冒頭、ロボットでも落ちてこないか、で早くもネタばらし。二度見でガックリ、それが重なってガッカリ。 もっと細かく設定をして作り直すと、意外に臨場感と感情移入とミステリアス感とが出てきて、このあらすじでも充分面白味は出てくるんじゃないかな、と思います。イメージがどんどん湧いてくるので簡単に書いてみます。 参考;現実的あらすじ 家路をぶらぶら。 通りすがりにビルの隙間からチラッと見えたロボット。引き返してみるとやはりロボット。その足もとに民家の残骸。警察に電話しようとすると、メールが入る。 −−ロボットではなくモビルスーツである。知らせるとお前を消滅させる。こっちへ来い!−− ビックリマークまでついている。覗くとサムアップポーズ・・・・・・そして主人公の心理描写につなげる。世界平和への正義感、ロボットの素性は?など。決心して堂々と歩いて向かう主人公の描写・・・・・・ ※その場に主人公が置かれた場合に、実際にどうするだろうか、というのをしっかり考えると、読者が感情移入できて面白くなってくると思います。 あーだこーだと書きましたが、おもしろかっですよ。 |
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