リアリティありますか? |
――初めまして、若者たち。 君たちがこれから通うことになる我が校は、幕末に開校されて長らくの伝統を持っている。さらに歴史を遡れば藩の寺子屋としての長い歴史を持つが、その伝統のいくつかが未だにここに息づいている。 今から話すのは、少なくとも幕末から脈々と受け継がれるクラブの話になる。君たちのうち幾人かはサークルや部活の勧誘にあっているかと思うが、これから話すのはそのような一般的な部活およびサークルに関する話ではない。 入部出来るのは君たちが四年生になった頃の話になる。それは誰もが入れるクラブではない。 四年生になった今の時期、また、この講堂に君たちを集めることになるだろう。もし君たちが単位を落とすことも、勉学に励み続けることに脱落して退学していなかったらの話になるが。 講堂で待つ君たちの元へ、卒業していった先輩たち――そのクラブに所属する部員たちがやってきて、同数の生徒たちの肩を叩くことになる。肩を叩かれた生徒たちにはみなここから去っていく。どこに行くのかは知らない。ある人物の話によると君たちがこれから生活することになる寮に呼ばれるということだが、事実であるのかは定かではない。 伝統的なクラブは明治にはたくさんあり半数が所属している状態だったが、大正時代に弾圧にあい、今は4つしか残っていない。 選考については生徒たちが行っている。だからその条件について教師たちに尋ねても憶測以上のことは言えないから尋ねない方がいい。また、誰がメンバーなのか知ることが出来ても、彼らが教えてくれるとは思わない方がいい。 以上だ。 それは俗に言われているあの謎の多い組織のことでしょうか? あの組織とは? 秘密結社のことでしょうか? 秘密にはされているが運営は主にOBの寄付金によって成り立っていると報告されている。よって結社ではない。 そうだ。このクラブについて、ふたつ伝えておくべきことを忘れていた。まずひとつ、その団体は自分たちの存在をつまびらかにするのを好ましく思わない点だ。非常に謙虚に活動しているせいで、教師たちにもここの他の生徒にも彼らの活動の内容が分からないのだ。もし明らかにしようとすれば『好ましい結果が訪れない』という言葉の描かれた封書が届くという噂がある。そのくらいあの守衛のいる建物の中で謙虚な活動をしている点だ。 そしてふたつめに、彼らが肩を叩いた生徒たちの共通点として、優秀な我が校において、特に優秀な人間が声をかけている点を伝えておこう。 幕末から続く我が校において、その我が校の生徒の一部が、我が校の四年生の中で優秀だと感じる人間に声を掛けてきたのだ。卒業した彼らがどこにいるのか想像してみるといい。クラブの運営が彼らの寄付金による点も省みるといい。そして彼らが秘密主義を通している以上、内実を明らかにして欲しくないと思っていることを考えてみれば、この場で君たちが取るべき行動が分かってくるはずだ。私も今、冷や汗をかきながら話しているところだ。本校の中でおおっぴらに話ができるのは、歴史学の竹中くらいなものだ。教科書に書いているのだから仕方がない。 それは、イルミナティに関係していますか? ほら、気を付けたまえ。君は今、二つの団体から目を付けられる危険をおかしているのだぞ。うっかり末梢されてしまったとしても、私たちにも自分たちの生活がある。笑っているな。抹消はされなかったとしよう。肩を叩かれなくなうかもしれないぞ。ほら、少し笑顔がかたくなった。 そのような組織が生徒たちを縛ることになると考えたことはないのですか? 校内の生徒たちが互いに互いを詮索し合うような、とげのある関係性を作ると思われたことは? その問題については古くから着々と議論されてきた。廃止については幾度となく提案が繰り返されている。よかったら我が校の図書館へ行きたまえ。司書に声をかければ、大正から現在まで様々な紙に印字された分厚い資料を渡してもらえるだろう。そこから先は君自身で考えたまえ。なお、他者の視線を気にして生きることになるという校風についてだが、その説明責任については、この大学を選んだ時点で君たちや君たちの父母に我が校の校風として説明している。非常に優秀であっても息苦しい思いをさせたくないと考え、我が校を断念する生徒もいた。彼らにとって非常に残念なことだ。ひとたび社会に出れば、誰も他人の目を気にせずに大きな出来事を成すことはできないからな。それで、質問をしてみたいという勇者は他にいるか? その司書の方がメンバーであるという可能性はありませんか? それは分からない。私たちも様々な憶測を重ねてメンバーを突き止めようとすることがあるのだが、内通者がいるようでどうしても探り当てられないのだ。 あなたはメンバーですか? もし私がメンバーだったとしてイエスと答えるかい? メンバーじゃなかったとしてイエスと答えるかい? ここは優秀な生徒たちの集まりじゃなかったのかね。はい、まだ質問がある者はいるか。たくさん手が挙がったな。だが悪いが私が知っているのはここまでだ。 それでは、以上。解散! |
AAA
2013年04月04日(木) 10時34分52秒 公開 ■この作品の著作権はAAAさんにあります。無断転載は禁止です。 |
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No.3 陣家 評価:10点 ■2013-04-09 01:42 ID:98YScwpXzig | |||||
拝読しました。 リアリティありますか? ですか! なんとも挑戦的なタイトルですね。 では受けて立ちましょう。 自分はわりとキャラクター重視な読み方をする人間ですので、とりあえず本作の主人公とおぼしき大学講師について感想を述べさせていただきます。 うーん、どうやらこの講師、かなり悪いヤツですね。 難関を突破して入学を果たした前途洋々たる新入生に対して、歴史ある学校の前身がもと寺子屋ですから、などといきなり脱力するような妄言を発したかと思うと、ありえない電波話を開始。空気を読んでイルミナティですね! と厨二ボケ倒しでせっかく助け船を出してくれた生徒に対し死亡フラグ宣言。あげくには、真面目な図書館司書のお姉ちゃんの前で「紙に印字された我が校の秘密組織の資料をください」と口走らせようとするなど、非常に悪質と言わざるを得ません。 そういう意味ではなかなかのキャラ立ちだったのではないかと思いますね。 ただ、落ちはいまいちですね。よりリアリティを求めるならば、 7時のニュースです、今日午後、○○大学の入学式典に講師を装った男が壇上で演説を行うという珍事が発生しました。 男は部外者であることに気づいた関係者によってすぐに取り押さえられましたが、あまりにも堂々としていたために大学側が確認している間に確保が遅れたとのことです。 男は、貴様ら全員末梢まで抹消だ! などと意味の分からない供述をしており、警察は男の精神鑑定も視野に入れて取り調べを進める方針です。 なんてどうでしょう。 |
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No.2 AAA 評価:--点 ■2013-04-06 20:05 ID:BrBj.1iOdwk | |||||
卯月さん 感想をありがとうございます。 お名前よく拝見しています。著名な方に感想をいただくことができ、心からうれしく感じます。 改良点やその先の具体的な改良の方法について、非常に参考になりました。次作につなげたいと思います。 それでは、これからもよろしくお願いします。 |
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No.1 卯月燐太郎 評価:30点 ■2013-04-04 18:23 ID:dEezOAm9gyQ | |||||
「リアリティありますか?」読みました。 ■作者からのメッセージ A>>リアリティがありますでしょうか?<< ●教師が一方的にしゃべっていて、それに生徒が質問しているという感じで、この学校の特殊性を説明していると思いました。 「リアリティ」という点につきましては問題とされる校風にエピソードが具体的にありませんので、この時点では「リアリティ」はありません。 まだ、導入部で話はこれからという段階ですね。 その中で具体的な某クラブの内容が示されるのでしょうか。 それと質問している生徒ですが、名前を書いていないし、だれが主人公なのかが、わかりません。 >>また、教師や学生の口調に幼さがあると思います。その点も含めて指摘をしてください。<< >>――初めまして、若者たち。<< ●>はじめまして。 君たちがこれから通うことになる我が校は、< と、こういう流れではないかと思います。 「若者たち。」はいらないかな。 >>今は4つしか残っていない。<< 「4つ」は「四倶楽部しか残っていない」の方がよいかな。 教師がみんなの前で「4つ」と言ういい方は幼い。 どうもこの学校は伝統があるようなので「クラブ」よりも漢字で「倶楽部」の方がよいかなと思いましたが、これは私の単純な思いだけですので、作者様はたぶんこの手の書籍を読んでおられると思いますので、そういった本にはどういった表現をしているかを勉強すればよいと思います。 ●改良点。 この作品というか、書かれている導入部をどうしたら、もっと具体的で面白くなるかというと、ある事件を起こして、それを不思議な方法で解決したということを「主人公である生徒?」の目にさらせばよいわけです。または、その生徒は気がつかなくても「読み手の私たちが気づけばよい」と思います。 ●具体的に言うと生徒が主人公であったとして、その生徒がこれから憧れの学校に入学する、その朝にテレビのニュースで作品の雰囲気に合った事件(たとえば警察が犯人を囲んでいるが人質があり解決できずに、時間だけが経ち人質の生命にかかわるところを、あっという間に解決した集団がいた)を起こしてそれを警察ではなくて、謎の集団(または少人数)が解決した。しかし彼らを見た者はあまりなくて謎めいている。 とか、盗まれていた国宝が戻されたとか。 いろいろと考えれば、あると思います。 事件は、ステレオタイプにならないように、気を付けてください。 文章力はあると思いますが、作品が導入部だけとか、内容に工夫が足りない点とかで「二五点」と少し厳しくいきたいと思います。 こちらのサイトには二五点はないので三〇点を付けておきます。 |
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