刻まれし騎士の反発 |
死を目の前にしたとき、私は思った。私の人生は、誰かに刻み込まれただろうか?私という存在をだれが記憶しているのか。そんなとき、1人の男の話を思い出した。あれはまだ自分が若りし頃、南の大陸を横断していた時の話だ。 *********************************** それなりに発達した小さな街を訪れ、その日の宿を探そうとしていた私に男が話しかけた。 「あんた旅人かい? こりゃあちょうどいい。……1つ面白い話があるんでさぁ。」 男は話家と言う職業らしく、なんでも旅人を捕まえて妙な話を聞かせる仕事だそうだ。丁度足がくたびれたところだったので、近くの茶屋で話を聞いてやることにした。 男の話はこう始まった。 中世ヨーロッパに、酷く剣さばきの悪く弱い騎士がいた。あまりにも弱いので、仲間の騎士からも辞めろと言われ続け圧力を受けていた。 「旅人さん。男はどうしたと思いやす?旦那の予想を聞かせて貰いたい。 「……怒りに震えて、仲間を斬ったのか?」 単純な話だったので、簡単に答えた。今思えば酷く的はずれな予想だったと思う。しかし男はのってきたのか嬉しそうに語り出す。 「……騎士は常に剣を持ってるんでさぁ。剣さばきが悪いその男じゃ斬れやせん。」 「なら、どうしたんだ? 男は、何の反発を起こしたんだ?」 男はニヤリと微笑み、息を整えて話した。 何故か俺達しか客のいない茶屋の空気が針積めた。 「…………男は……王を殺したんでさぁ。………王を殺し、男はこう言った。」 ―――騎士など所詮戦場でしか意味のない存在だ。その証拠に王を守りきれなかった。 「……男はどうなったんだ?」 やはり、処刑去れたのだろうか? 「……彼は、死にやした。自分の手で。騎士達に嫌な記憶を刻み込むように。……旦那、これが彼の精一杯の反発でさぁ。」 男は終始けなされ続けてた。 しかし、最後に大罪を、死をもって憎き騎士達に刻み込んだのだ。 ―――お前達も無力だ。戦場で守れても、王宮で王を守れないければ意味がない。所詮私と同じなのだ。 と。 私には、何かを成しえたという覚えはない。 こんな私を、誰が心に刻み込んでいるというのだ。 |
KeiTa
2013年01月02日(水) 19時13分07秒 公開 ■この作品の著作権はKeiTaさんにあります。無断転載は禁止です。 |
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No.2 クジラ 評価:0点 ■2013-01-22 19:50 ID:52PnvSC7.hs | |||||
これはなんとも評価しづらい作品だと思いました。 これでは小説になっていないのではないかと思います。 それとジャンルにも合っていませんね。 |
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No.1 帯刀穿 評価:0点 ■2013-01-03 10:34 ID:DJYECbbelKA | |||||
良い悪いという前に、評価しようのない部分が多い。 童話的にせよ名前の一つも出てこないし、王と騎士の関係にしても 守護する者とされる者の定義を使った形だけだ。 小説のワンシーンとして使用する、というならアイデアとして 別段非難することでもない。 ただ、必要な描写や説明もないので、あらすじに限りなく近いと感じた。 というのが個人的な感想だ。 ところで……この作品のジャンルは、板違いなのではないだろうか。 SFにも、ミステリにも見えない、無論ホラーにもだ。 |
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