I星の記録 |
思えば私はあの装置に対して反感を持つことができたはずだった。 あの装置を我自身が破壊することも、作らなかったこともできたかもしれない。 それ行えば私は全人類の敵、あるいは異星人として処罰されるだろう。 しかし、それは終わったことで私の脳裏に描かれたシュミレーションだ。現実ではそのことは任務には含まれていない。 新しく加えられた任務でさえも私はただ反感を持ちながら、黙々と任務を果たすことを専念する。 振り返ってみれば、我々が故郷は本当に居心地がよかった。安心もできた。快感も思えてた。繁栄し、栄華となり、超越した技術 を持った私たちがこの広い宇宙の中で卓越した種族かもしれないと逡巡もせず思ってた。 だが、ある日の境に、その自負は核を打たれた鏡のように崩れた。 あれは先住民のモノであったのであろうか? それとも我々の中に紛れ込んだいた異種が持ち込んだモノであったのであろうか? 私がアレを見た感想はこの二つしかなかった。いや、私以外にアレを見た者もこの感想しか浮かばないだろう。 アレは円盤型の石版であった。表面には幾何学を用いたのであろうか、さまざまな図形が重ね彫られおり。 その重ねられた図形たちの中心部には絵が貼られていた。いや、レリーフと言うべきだろう。周囲の学術の方式を無視して、その絵 だけはおぞましく、狂気に走った芸術家が心が砕けそうになるぐらいの全霊を持って塗られた絵。 あのレリーフをどのように説明すれば良いのであろうか、今考えるだけで思考は煮詰まってしまう。 それは私だけではなく、分析装置でさえも誤差を生じてしまうほどであった。 思い出しても霞と朧がさえずり、ましては脳裏に烙印として残り、脳内神経の伝言が駆け抜けるたびに、烙印の欠片が伝言に混じる 。集中して思い出そうとしても、ボヤがかかり、思い浮かべたとしても。実物を拝見しない限りはずっと脳に佇む。 不安になる。長くこの惑星に生まれ住んで、この様な心理現象は初めてだ。 どのように解消すればよいかも分からず、私はあのレリーフの烙印を背負っていた。 背負っている不安の中には、私ですら不理解な心理現象が渦巻いていた。 だが、それを気づくのはあの装置が使用した後に理解するようになった。 惑星が覆われていく、除々にゆっくりと手のひらで握るように惑星が沈んでいく。 終焉であった。古い方式で誕生した宇宙、古い方式で誕生した惑星の終わり。 私たちの誰もが畏怖した。すべてを卓越した私たちが大いなる実績を持った私たちが畏怖したのだ。 「この惑星も覆われる」 そのときの私たちはヤケに冷静であったかも知れない。いや、恐怖と言う冷静だったかもしれない。 いつ覆われるかもしらない恐怖、のみこまれる恐怖、死という恐怖。 そのすべてがあの装置を作り出してしまったかもしれない。 みな狂っていた。宇宙を覆う暗黒に逃れるために延年を伸ばすために、あの精神変換機は使用され続けた。 それがこの惑星に対する礼儀だったのか、いまでは考える余地はないだろう。 だが私は精神を入れ替わった個体の中で自問自答する。 宇宙の狭間で見えたあの暗黒は、とてつもなくアノ円盤に書かれた絵に酷似していた。 |
あいぽぽ
2012年04月21日(土) 17時55分23秒 公開 ■この作品の著作権はあいぽぽさんにあります。無断転載は禁止です。 |
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No.2 渦巻三郎 評価:20点 ■2012-05-14 01:28 ID:6VvkBLNH9FU | |||||
クトゥルフっていうのがどんなものか分かりませんが、こういう話は好きです。こういったイメージが、真実作者さんの内からわいて出たものならば、すてきだと思います。 | |||||
No.1 ゆうすけ 評価:10点 ■2012-04-22 18:18 ID:1SHiiT1PETY | |||||
拝読しましたので感想を書きます。 全体的に書きこみが甘く、読みにくいと思います。他者に読んでもらう文章として完成度が低いです。 精神転送機を作って異星の生命体に憑依した主人公の話ですよね。イスの大いなる種族のような感じでしょうか? 仄めかすだけにとどめる設定の描写ですが、情報量が少なすぎだと感じました。少なくとも本筋だけでも分からないと、楽しみ処が不明です。 クトゥルフもの、これは危険なジャンルですよ。私も好きでしてね、過去に書いて酷評されたものです。 雰囲気を出すためなら、もっとまわりくどくて冒涜的で凡長な文章にするべきだと思います。 話の筋を面白くするなら、なんらかの明確なストーリーを本筋として作るべきだと思います。ファンが喜ぶキーワードを入れるかは悩みそうですが。 このSFホラミス板は他の板と比べて過疎化が酷く、愛好家として非常に寂しく思っておりましてね、さらにクトゥルフファンは私の他にあまりいないようですし、余計な事かもしれませんが、感想を書かせていただきました。 |
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