腹に蛇
 いつの頃からか、美香の腹には蛇が棲みついていた。と言っても、腹の中の蛇が見えるわけもない。ただ、自分の腹――ちょうど鳩尾の辺りを太くて長いものがとぐろを巻いて、ゆっくり、ゆっくり、目では確認できないであろう程に、微かに動いているのだ。そのぬるぬるとした感触が、肉の内側に常に貼りついている。そして、長くてとぐろを巻く生き物を、美香は蛇しか知らなかった。だから、腹にいるのは蛇に違いないと、ずっと前から決めていたのだ。自分は腹に蛇を飼っているのだと。
 蛇を飼い始めたのは大学の頃――いや、高校か、もしかしたら中学だったかもしれない。はっきりとはしない。しかし、正社員として働き始めた今現在、腹の中に蛇が居を構えていることは確かだった。
 共に過ごす月日の内に、美香は少しずつ――そう、まるで常温の中で氷が溶けるように少しずつ、この蛇のことを理解していった。最も大きな特徴は、その動き方。美香の感情の変化によって、蛇の動きもまた変化するのだ。例えば、美香が晴れやかな気持でいる時、蛇はほとんど動かない。その存在を確認するには、意識のすべてを鳩尾に集中させ、そのまましばらくじっとしていなければならない。それでやっと、微かに動く存在を感じ取ることができるのだ。逆に、美香の感情が暗雲に包まれている時、蛇は右へ左へと体を動かし、ひどい時はその太く長い体を腹の肉に強く押し付けながら動き回る。ぬるぬるぬるぬると。心に渦巻く暗雲が濃ければ濃いほど、苛立ちが大きければ大きいほど、肉の内側の感触は強くなった。

 働き始めてから、美香は苛立つことが多くなっていた。そのため、腹の中の動きも、激しさを増した。苛立ちの原因は同僚だった。同じ新入社員の大貫という女で、たまったストレスの全てを、なぜか美香にぶつけてくるのだ。まるで、仕事がはかどらなかったり、失敗したりすることの全てが、美香のせいだとでもいうように。
 最も納得のいかなかった出来事は、大貫が体調不良で二日ほど続けて休んだ時のこと。当然、その二日間業務をストップさせるわけにはいかず、不運にも大貫の代わりに、美香がその業務を任された。美香は、二日間、自分の業務と大貫の業務の両方をこなさなければならなくなった。普段の倍の量。美香なりに努力はしたが、大貫の業務の方がかなり残ってしまった。
 大貫は三日後に出社すると、美香を含めたスタッフ全員の前で、大変ご迷惑をおかけしました、と仰々しく謝り、礼を言った。そして、そのままみんな普段の業務に戻ろうとした。美香もだ。しかし、前日までの業務が残っていることが分かると、大貫の美香に対する態度は急変した。まるで、自分を落ち着かせようとでもいうかのように、芝居がかった様子で目をつぶり、
「休んで迷惑かけたのは、私が悪かったよ。うん、それは本当に申し訳ないんだけど――」
 そこまで言うと、今度は目を開き、美香を睨みつけた。やはり芝居がかっていた。
「でも、本当に頑張ったんなら、こんなに残ってないよね? この状態で続きやらなきゃいけない人のこと、少しでも考えたこと、ある? 私に、今からこんなのやれって言うの?」
 こんな風に、大貫はいつも自らを正当化し、逆に責任の全てを相手に押しつけるような話し方をした。その様子も、常にどこか芝居がかっており、目をつぶる、苦しそうに深呼吸する、などの所作から嘘っぽさが滲み出ていた。大貫の理不尽な言葉と、芝居がかった様子を感じ取ったのか、腹にぬるぬるとした感触がし始めた。大貫の言葉一つ一つが腹に響いてきて、その感触はどんどん大きくなる。ぬるぬるぬるぬるぬるぬるぬる。蛇の動きを感じながら、美香は言葉を返した。
「私は頑張ってやったよ。でも、自分のだけでも時間かかるのに、大貫さんのも全部なんて無理だよ」
 聞きながら、大貫は目をつぶって、大きく息を吸い込み、吐いた。怒りを押し殺しているような芝居だった。
「で、自分の仕事はキレイに終わらせてるんだよね……」
 その言葉に反応して、蛇はさらに激しく動き回った。腹の中いっぱいにとぐろを広げ、肉を押し上げながら、右へ、左へ、ぬるぬるぬるぬる――
「私だったら、友達のを優先するけど。美香は思いやりのない人なんだね。もういいよ」
 そう言うと、大貫は苛立ちをアピールするかのように大股で美香の横を通り過ぎ、どしんと音がするほど豪快に椅子に座り、無言で業務を始めた。その様子を、美香はしばらく見つめており、腹の中では蛇が荒れ狂っていた。ぬるぬるぬるぬる。

 そんな大貫の嫌味や八つ当たりは、今や日常となって美香を包囲している。どこにも逃げ場はない。明日も明後日も明々後日も、一か月先も一年先も、想像するどの未来にも大貫がいて、常に不機嫌な態度で美香を責めるのだ。目の前に広がる、何十年という長い時に、見えるのは大貫の顔ばかり……。そんなことはないと頭では分かっていても、どうしてもそう思えてしまい、美香は絶望していた。
 その絶望が大き過ぎたのか、いつからか美香は毎晩眠る前に、こんな風に唱えていた。
「死ね死ね死ね死ね死ね死ね」
 そうすると、唱えに反応して腹の中の蛇はぬるぬると動き始める。美香は仰向けの状態で、そのぬるぬるを楽しんだ。ぬるぬるとしたその感触が、大貫への憎しみを表しているようで、うれしかった。
 そして、ふと、気が付いた。前よりも腹の感触が強くなっている――。なんと言うか……蛇の動く大きさは変わらないのに――いや、むしろ小さいくらいなのに、肉に伝わってくるぬるぬるとした感触が強く、その感触に混じってうろこの擦れる痛みすらあるのだ。動きは小さいのに……。いや……小さいと言うか……なんだか……前より……。
 美香は、毎朝目覚め、それが一日の始まりだと認識した瞬間から、心臓を握りつぶされるような痛みを感じる。続いて、不安が暗雲となって心に広がっていく感じがするのだ。また仕事に行かなければならない。大貫と顔を合わせなければならない。そんな不安が形にもならず、ただひたすら広がっていくのだ。そして、心が黒く染まっていく傍ら、時々、ふと腹に意識を向けて思う。
――なんだか……前より……窮屈そう――

 その日、昼頃から、美香は大貫と手分けして、客一件一件に契約更新についての電話をかけていた。が、ちょうど三十分ほど過ぎたころ、大貫は、わざとらしく目をつぶり、眉間にしわを寄せ、手で口を覆うような仕草をしたかと思うと「ちょっと、体調悪い……」と言って、そのまま休憩に出てしまった。その大貫の「体調不良」のせいで、また、美香が一人で二人分の電話がけをしなくてはならなくなった。腹の中の蛇がぬるっと動く。
 美香は、一件一件電話で説明しながら、五十件以上ある今日のノルマを少しずつ削っていく。だが、電話がつながらないところもあり、質問攻めにあい説明に時間がかかることもあり、二時間たっても十件程度しか進んでいない。そして、大貫は戻ってこない。
 二時間三十分程で、大貫は戻ってくると、すぐさま
「どのくらい進んだ?」
 と聞いてきた。その悪びれない、しかも上から物を言う様子に、蛇がぬるぬると動きを増す。美香は「十二件」と短く答えた。すると、大貫は目を大きく見開いたオーバーリアクションをとり、続けて語調を強めて言った。
「は? え、なに? この二時間以上の間にそれしかかけれてないの?」
 その言葉に敏感に反応し、腹の中で蛇が所狭しと暴れ、肉を押し上げながら移動する。ぬるぬるぬるぬるぬるぬる。
「普通にかけてたら、もっと進んでるよね? それができないって……マジメにやってないか……悪いけど、相当、仕事のできない人としか思えないよ」
 ぬるぬるぬるぬるぬるぬる――
「日中は仕事で電話に出れない人が多いから、進みにくいんだよ。説明だって長いところでは三十分くらいかかったりもするし。大貫さんはあんまり電話かけないから知らないだけで」
 美香が言うと、大貫は、ふう、とわざとらしく息を吐き、目をつぶってぼそりと、しかし確実に聞こえるように言った。
「てゆーか、説明で三十分とか、意味わかんねぇとしか言えない……」
 こんな捨て台詞を吐くと、大貫はそのまま自分のデスクに行き、おもむろに電話を始めた。美香の腹の中では……ぬるぬるぬるぬるぬるぬる――

 その日の夜、一人暮らしのアパートに帰ると、美香はすぐさまソファに座り、背もたれに寄りかかりながら何度も何度も深呼吸した。大貫への怒りのせいで、蛇は腹の中で、まるで逃げ場を探すかのように、激しく右往左往している。荒れ狂っている。そして、今、美香はたまによぎっていた考えが事実だと悟っていた。蛇は確実に大きくなっている。成長している。蛇は動く。ぬるぬるぬるぬる。この中は狭すぎるとでもいうかのように。ぬるぬるぬるぬる。行き場を求めるかのように。ぬるぬるぬるぬる。腹の中の感触が鋭くなっていく。ぬるぬるぬるぬる。どんどんこっちへ近づいてくる。ぬるぬるぬるぬる。怖い怖い怖い。ぬるぬるぬるぬる――。
 美香は恐怖しながら服を捲り、腹を見た。――と、恐れていた光景が現実となっていて、思わず目をそむけた。恐怖で心臓が爆発したような感覚。腹の肉は蛇の動きによって持ち上げられ、ぐねぐねと、それ自体が生きているかのように動いているのだ。心臓を爆発させた恐怖が、一気に全身へ広がった。ぬるぬるぬるぬるぬるぬる――。
 次の瞬間、腹に痛みが走った。その次はさらに強い痛み。そして、裂けるような痛み。ぐねぐねと腹が盛り上がる度に、強烈な痛みが美香を襲う。そして――
 ぎゃああああああああああ!
鋭い、激しい、猛烈な痛みに、美香は動物的な醜い声を上げた。
が、その直後、痛みは消えた。腹を押し上げる物の感触もなくなった。ただ、ぬるぬるだけはあった。これまでずっと共に過ごしてきたぬるぬる――。
 美香は目を開いた。すると、そこには蛇がいた。これまでずっと共に過ごしてきていながら、一度も見たことのなかった大蛇。蛇はちろちろと舌を出しながら、美香を見つめている。空想の友達が目の前に現れたような、安心感があった。そして、美香は悟った。
――あ、私は食べられるんだ。――

 蛇はぬるぬると床を這った。先ほど、ごちそうをたいらげたところだが、まだ腹は満たされていない。もっと喰いたい。次のごちそうの場所は分かっていた。蛇は這いながら進む。ぬるぬるぬるぬる。大貫のもとへ――。ぬるぬるぬるぬるぬるぬるぬるぬる――。
zooey
http://book.geocities.jp/dreamgood100/
2011年05月12日(木) 15時54分55秒 公開
■この作品の著作権はzooeyさんにあります。無断転載は禁止です。
■作者からのメッセージ
本当は青春作品を書くつもりでしたが、なんとなくホラーが書きたくなりました。
同じジャンルで書いた、『ノックの音がした』より、上達していてほしいと思いますが、書き上げたばかりなので自分ではあまり判断がつきません^_^;

この作品の感想をお寄せください。
No.14  zooey  評価:0点  ■2011-09-20 21:44  ID:1SHiiT1PETY
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>夕凪さん
ご感想ありがとうございます。
現代板の方にもご感想いただいて、本当にありがとうございます。

結構前に書いたので、感想がついていてうれしい驚きを感じました。

大貫さんと主人公の人物描写は一つの見せ場と思っていましたので、
好感を持って頂けてよかったです。
ラストのオチはもともと決め手書いていたので、自分ではこれ以上のものが思い浮かばないんですよね…。
でも、今後は、もう少しラストの展開を考えながら書いていきたいと思います。
ありがとうございました。

>FKさん
ご感想ありがとうございます。
かなり前に投稿したのに、お二方にご感想いただいて、驚いています。ありがとうございます。

ぬるぬる、こわいの連続は、仰る通りですね。
この作品は擬音をうまく使おうと思って書いたのですが、逆に寄りかかりすぎたなと反省しております。

大貫さんのキャラは、わりと好意的なご意見をくださった方も多かったのですが、
そのキャラが濃すぎたためにホラーの味を損ねているというのは、
読み返してみて、なんとなく分かりました。
バランスの難しさを感じました。

普段はあまりホラーは書かないのですが、また、書く機会があれば、もう少し成長した作品を投稿できればと思っています。

ありがとうございました。
No.13  FK  評価:30点  ■2011-09-19 14:34  ID:9k6nD5IEsbI
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 読ませていただきました。
 ラストの表現を工夫すれば本当に怖い話になったように感じました。
 それと、「ぬるぬる」や「怖い」の繰り返しが、口で話すのなら効果的なのでしょうが、小説としてはしつこく感じました。また大貫さんのキャラが立ちすぎていて、途中そちらに関心を向けてしまいました。
 でもすごいホラーを書いてくれそうな気がしました。
 ご健筆をお祈りいたします。
No.12  夕凪  評価:40点  ■2011-09-14 23:12  ID:qwuq6su/k/I
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 最後の、蛇が腹から出て来て 主人公を喰い、それから同僚のとこへ行った落ちが今一つ・・・。と言うのは、其処迄の同僚の反応が 面白くて終い迄引っ張られたからです。大貫という名字も利いてたし、言い草が良かったし
大人し過ぎる 主人公の反応の言葉も「もっと言わんかい!」といじいじ思わされ、良かった。非常に巧かった。
No.11  zooey  評価:--点  ■2011-06-21 02:39  ID:qEFXZgFwvsc
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こんばんは、ご感想ありがとうございます。

正気と狂気の間ですか、私もそっちの方が好みかもしれないです。
ちょっと前に『ブラック・スワン』を観たのですが、あれがまさにそんな感じでしたね。
現実と悪夢を混在させて、だんだん悪夢の領域を広げていき、現実を悪夢に近づけていき、
境界線がなくなっていく感じでした。
そういう話の方がぞくぞくして面白そうですが、書くのも難しそうですね。
書ければ書いてみたいですが、それまでに筆力を上げなければ…。
頑張ります。
ありがとうございました。
No.10  お  評価:30点  ■2011-06-17 00:44  ID:E6J2.hBM/gE
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ホラーだったんか。
てなことで、こんちわ。
サナダムシだ、寄生虫に決まってるとか読み進めた僕がいました。
さておき。
蛇腹。胡瓜が生まれたらどうしようかと思った。
さておき。
ホラーですね。たしかに。ふむぅ。そんな感じに読まなかった。でも読み返すとホラーだ。
まぁ、大貫さんのキャラが濃すぎたかな。こんなやつ、今、職場で僕と同じ部署にいますよ。こういう、精神性のヤツね。ただ、うちの場合は、ハナから仕事与えてないので、直接苛立たされることはあまりないですが。それも良いとも悪とも言えませんが。
さておき。
うーん。蛇がね、「実際に」いる感じが最初からしまいた。多分、そのように意図されてそのように書かれたものが、文章力があるだけにそのようにひょげんされてしまったのだろうけども。僕の好みから言えば、なんなら妄想? でもひょっとして? くらいのぎりぎりのラインで主人公が正気と狂気の間をさ迷うような感じで書いてあると、もっと、ほら、ホラーじゃないな感じだったと思うのですが、まぁ、そんなことも、僕の個人的な好みです。最後はやっぱ、あんまり怖くなかったなぁ。予定調和的で。斜め下から突如襲いかかるような恐怖を味わいたかった、蒸し暑い夜のことでした。
あ。点数は、何が何でも30点です。あしからず。
No.9  zooey  評価:0点  ■2011-05-31 21:52  ID:qEFXZgFwvsc
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Physさん

はじめまして、ご感想ありがとうございます。レスが遅くて申し訳ありません。

現代板の作品も読んでくださってるのですね。感謝です。
でも、どれなんだろう…。当たり前ですが、感想寄せてくださってる方以外にも読んでくださっている方はいるんですよね。
そう考えるとちょっと緊張してしまいますね^_^;

この作品は、文章的にはうまくいっているようですが、
作品によってムラがあるので、それは大きな改善点の一つだと自分では思っています。
でも、ほめて頂けてうれしいです。

こわいと言って頂けたのも、本当にうれしい限りです。
とてもこわいものを書きたかったので(とてもではないかもしれませんが(笑))。

ぬるぬるは、やはり使いすぎましたね。
一応、この作品では擬音語を効果的に使って書くというのを一つ目標にしていましたが、滑ってしまったみたいです。
今後は、もっとうまく表現できるよう、頑張ります。
ありがとうございました。

>G3さん
ご感想ありがとうございます。
面白いと言って頂けて、良かったです。それが一番ですからね。
ラストは、もう少し丁寧に書いたほうが良いと、ほかの多くの方からご指摘いただきましたが、
気に入っていただけたのは、うれしいです。
展開は変えずに、もう少し満足感のあるラストを書けるよう、頑張ります。
ありがとうございました。
No.8  G3  評価:40点  ■2011-05-28 13:55  ID:E.rSGHVegM6
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読ませて頂きました。面白かったです。
大貫さんエグイですね。私の勤め先にもそんな感じの人が居たなぁ。と思いだしました。(会社辞めたけど)私は怒りMAXのところで腹から飛びだした蛇が大貫さんを飲み込むんじゃないかと思ったけど。。。意外な最後でした。良かったです。
No.7  Phys  評価:30点  ■2011-05-20 22:49  ID:YyqzxAWUfcw
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拝読しました。

こんばんは。それと、初めまして。

たまに現代板をうろついているPhysといいます。zooeyさんはいつも現代板で
執筆されているので作品はいくつか拝見していました。コンスタントに面白い
お話を書かれる方だと認識しています。今日は久しぶりにホラー板を徘徊して
いたらお名前を発見したので、「せっかくだから感想を書こう」と思って読み
始めました。

文章が全体的に安定していますし、zooeyさんが自分なりの書き方をきちんと
掴んでいらっしゃるのが分かります。冒頭の導入は自然ですし、若干オチが
見えてしまうのも、それがむしろ不気味さを引き立てていたように思います。

みなさんあまり怖くなかったという内容の感想をお寄せになっていますが、
私はけっこう怖かったです。心臓がどきどきというよりは、お腹がぐるぐる…
みたいな(?)。
>そのぬるぬるとした感触が、肉の内側に常に貼りついている
という読み始めでお腹に違和感を感じ、
>時々、ふと腹に意識を向けて思う。――なんだか……前より……窮屈そう――
のところでは自分のお腹を突き破って出てくる蛇を想像して、急いでトイレに
駆け込みました。(嘘です)
そのくらい、臨場感がありました。大貫さんの嫌味な台詞もリアリティがあり
ますし、人物造詣に不自然さを感じることがなかったのはさすがでした。

ただ、後半で「ぬるぬるぬる」が多すぎて、ちょっと話全体の温度というか、
雰囲気がぬるくなってしまったような気がします。かといって他にどんな表現
があるのかと聞かれると、うーん、と頭をひねってしまうのですけど……。
(蛇嫌いなので、考えてるとだんだん気持ち悪くなってきます…笑)

zooeyさんはショートスパンでまとまりのある話をいくつか書いてらっしゃい
ますし、構成力や展開の自然さ、何より文章がとても素敵なので、それをより
高めて、たくさんのエンタメ作品を書いていって下さい。期待しています。

また、読ませて下さい。
No.6  zooey  評価:0点  ■2011-05-19 02:52  ID:qEFXZgFwvsc
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>らいとさん
ご感想ありがとうございました。
文章的には、割とうまくいった方かなと、自分でも思っています。ほめて頂けてうれしいです。
大貫さんは、嫌悪感を持たれすぎるかなとも思ったのですが、結構人気で(?)、手加減せずにいやな人物として描いたのが、良かったのかなと思いました。

内容、「こわいものを」と思って書いたんですが、怖くないですか……
そこは、完全に力量不足ですね。
ラストも、自分ではこれでいいと思っていたのですが、どのご感想も「ラストが」という意見を書かれているので、これは改善すべき点なんですね。
自分一人だと、なかなか気づけないので、投稿してよかったです。
好きと言って頂けてうれしいです。
たぶん、力を入れてない方が、私は気負いすぎずにうまくいくようです。
それもそれで問題ですが^_^;
ありがとうございました!

>楠山歳幸さん
ご感想ありがとうございました。
ぬるぬるをなるべく際立たせたかったので、効果的とおっしゃっていただけると嬉しいです。
大貫さんは、ウケがいいですね。よかったです。
ラストは皆さん仰っているので、次回では必ず良いラストを! と思うのですが、毎回ラストが良くないというご意見を多数いただくので、どうなることやら、です^_^;
でも、改善していけるよう、頑張ります。
ありがとうございました。

>昼野さん
ご感想ありがとうございました。
蛇の描写、悪役(?)の描き方、成功しているようで、良かったです。
ぬるぬるの音は、効果的に使いたいと思って書いたのですが、
とってつけたよう、というのはその意図が前に出すぎたのかなと反省です。
もっと、うまく文章になじませるように書けていたらなぁと思いますが、難しいものですね。
ストーリーの詰めは、仰る通りなんだと思います。
どの作品にも共通してしまっているので、私の大きな欠点なのだと思います。
これから、少しずつでも、改善していきたいと思います。
ありがとうございました。
No.5  昼野  評価:30点  ■2011-05-17 21:52  ID:MQ824/6NYgc
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読ませていただきました。

蛇の描写がよく伝わってきていいなと思いました。大貫さんのキャラもよく書けてるなと思いました。擬音は、個人的にはいまいち効果的に感じられなかったです。なんか、とってつけたような印象です。
毎回、ゾーイーさんの文章力には魅力を感じるのですが、その反面ストーリーがいつも詰めが甘いように感じます。今作でもラストがちょっとしっくりこなかった感じです。
では、自分からは以上です。
No.4  楠山歳幸  評価:40点  ■2011-05-15 09:43  ID:sTN9Yl0gdCk
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 拝読しました。
 良かったです。美香の気持ち、大貫のキャラと態度、とてもリアルで目に浮かぶようでした。文章もとても場の雰囲気が出ていて良かったです。ぬるぬるも効果的でした。
 ラストがちょっと、淡白だったかな、と思います。
 失礼しました。
No.3  らいと  評価:40点  ■2011-05-14 11:15  ID:iLigrRL.6KM
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拝読させて頂きました。
文章が今までの作品の中で一番よかったんじゃないでしょうか?
するすると読めるし、読み応えもあるし、プロのようだなと思いました。
内容はホラーにしてはあまり怖くなかったかなと。
どうせなら大貫に襲いかかってしまうところまで書いてしまったほうがこの場合怖いんじゃないかと思います。
それにしても大貫さん、いいキャラしてますねー。人物が浮き上がるようにリアリティを感じます。
最近、褒め言葉が浮かばないので感想は控えていたのですが、この作品は素直に好きと言える作品でした。チャットによると、ご本人はあまり力を入れてないとのことでしたけど、いいと思います。
No.2  zooey  評価:0点  ■2011-05-14 01:01  ID:qEFXZgFwvsc
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ゆうすけさん

ご感想ありがとうございます。
あー、大貫のキャラにモデルがいるっていうのはばれちゃってますね^_^;
ばれないように書きたかったのですが(笑)
でもほめて頂いてとてもうれしいです。ありがとうございます。

もともと、ホラーやミステリはあまり書かないので、
逆にすごく面白い(と自分で思うもの)が思いついた時だけ書いてることがあって、
アイディアでは、結構いいせんをついてるのかなと自分でも思っています。
よく自分が「腹の中でイライラが蛇のようにうごめいている」とか、そんな表現が好きで
だったら、蛇いることにしちゃおうかな、というのから生まれました。

ラストに関しては、こう、書かない怖さというか、
行間から怖さを感じてほしいなという気持ちで書いたのですが、あまり機能していないかもしれませんね。

サプリメントの話は面白いと思います!
たぶん、これとは別の話にはなってしまいそうですが、そういう話も読んでみたいです。

では、ご感想ありがとうございました<(_ _)>
No.1  ゆうすけ  評価:30点  ■2011-05-13 17:21  ID:1SHiiT1PETY
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拝読させていただきました。

読んでいてむかつき、苛立ちました。大貫のキャラ、最高です。その仕草、言葉づかい、見事に苛立ちを感じさせてくれますね。もしやモデルがいるのかな、とにかく素晴らしいキャラだと思いました。

冒頭から衝撃的な内容で、ワクワクしながら読みました。負の感情を食らって成長する蛇ですね。得体の知れない怖さがあります。
さてエンディング、せっかくホラーなのですから、きっちりと描写した方がより怖いかなと感じました。蛇のお腹がプックリと膨れて、そこで蠢く自分自身とかどうでしょうか? 大貫の恐怖に歪む顔とかも見たいですし。
私もよく指摘されることなので恐縮なのですが、ラストなどをもっと丁寧に書きこむとより怖くなると感じました。
この蛇の出所とか、勝手に想像しております。例えば苛立ちを鎮めるサプリメントを通販で購入、その後苛立ちを感じないけどお腹で何かが成長、しばらくすると蛇が育っていたとか。こういう設定もありかな。
総レス数 14  合計 310

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