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RSSフィード [82] 即興三語小説 ―これからが夏休みの人は、ちゃんと申し出ること―
   
日時: 2012/08/19 22:38
名前: RYO ID:taFCmLcE

 厳しい残暑に汗をぬぐいながらも、空腹を覚えて洋食屋のドアを開ける。
「キャァァァァ!」
 店内からけたたましく響いた叫び声は、高く若い。店内を一瞥すると、ハニートーストを食べていた女子高生が立ち上がり、震えている。叫んだ拍子だったのか、白いセーラー服に蜂蜜が飛んで黄色のしみを作っていた。同じテーブルに座っていてるもう一人の女子高生は、驚きの顔を表情を浮かべている。カウンターの向こうの厨房で驚いた顔をしているのは、この店のシェフか。
 床をすばやく這う黒い影--もう一刻の猶予もなかった。私は胸ポケットに右手を伸ばして、すばやくそれを放つ。黒い影めがけて。黒い影は壁の隙間に入り込もうとしていた。まさに逃す寸前だった。黒いそいつから伸びるは私が放った白い名刺。黒いそいつは、持ち前の生命力でぴくぴくと六本の足を小刻みに震わせている。
「案ずるな、シェフよ。ゴキブリ一匹もいない店など、とんでもなく期待はずれなのだよ」
 私は近くのカウンターに腰を落ち着かせにいく。
「あ、あなたは……」
 目を丸くしているのはシェフ。女子高生の二人は互いに肩を抱き寄せて震えている。
「に、日夜、国民のために、寝食を惜しんで働くという--」
 私はゆっくりカウンターの椅子に腰を落ち着かせる。シェフがつばを飲み込むのが分かる。
「そう、サ、サラリーマン!」
 私はゆっくりずれたメガネを直しながら、口元を上げて言う。
「とりあえずお冷をもらえるかね?」


 私の夏休みはコレからだそうです。
 先週はミーティングできなくてすいませんでした。
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●基本ルール
以下のお題や縛りに沿って小説を書いてください。なお、「任意」とついているお題等については、余力があれば挑戦してみていただければ。きっちり全部使った勇者には、尊敬の視線が注がれます。たぶん。

▲お題:「蜜」「残暑」「洋食屋」
▲縛り: なし
▲任意お題:なし

▲投稿締切:8/26(日)23:59まで 
▲文字数制限:6000字以内程度
▲執筆目標時間:60分以内を目安(プロットを立てたり構想を練ったりする時間は含みません)

 しかし、多少の逸脱はご愛嬌。とくに罰ゲーム等はありませんので、制限オーバーした場合は、その旨を作品の末尾にでも添え書きしていただければ充分です。

●その他の注意事項
・楽しく書きましょう。楽しく読みましょう。(最重要)
・お題はそのままの形で本文中に使用してください。
・感想書きは義務ではありませんが、参加された方は、遅くなってもいいので、できるだけお願いしますね。参加されない方の感想も、もちろん大歓迎です。
・性的描写やシモネタ、猟奇描写などの禁止事項は特にありませんが、極端な場合は冒頭かタイトルの脇に「R18」などと添え書きしていただければ幸いです。
・飛び入り大歓迎です! 一回参加したら毎週参加しないと……なんていうことはありませんので、どなた様でもぜひお気軽にご参加くださいませ。

●ミーティング
 毎週日曜日の21時ごろより、チャットルームの片隅をお借りして、次週のお題等を決めるミーティングを行っています。ご質問、ルール等についてのご要望もそちらで承ります。
 ミーティングに参加したからといって、絶対に投稿しないといけないわけではありません。逆に、ミーティングに参加しなかったら投稿できないというわけでもありません。しかし、お題を提案する人は多いほうが楽しいですから、ぜひお気軽にご参加くださいませ。

●旧・即興三語小説会場跡地
 http://novelspace.bbs.fc2.com/
 TCが閉鎖されていた間、ラトリーさまが用意してくださった掲示板をお借りして開催されていました。

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○過去にあった縛り
・登場人物(三十代女性、子ども、消防士、一方の性別のみ、動物、同性愛者など)
・舞台(季節、月面都市など)
・ジャンル(SF、ファンタジー、ホラーなど)
・状況・場面(キスシーンを入れる、空中のシーンを入れる、バッドエンドにするなど)
・小道具(同じ小道具を三回使用、火の粉を演出に使う、料理のレシピを盛り込むなど)
・文章表現・技法(オノマトペを複数回使用、色彩表現を複数回描写、過去形禁止、セリフ禁止、冒頭や末尾の文を指定、ミスリードを誘う、句読点・括弧以外の記号使用禁止など)
・その他(文芸作品などの引用をする、自分が過去に書いた作品の続編など)

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 三語はいつでも飛び入り歓迎です。常連の方々も、初めましての方も、お気軽にご参加くださいませ!
 それでは今週も、楽しい執筆ライフを!

メンテ

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すぎゆくもの ( No.1 )
   
日時: 2012/08/21 20:13
名前: マルメガネ ID:jYM3DOzM

 立秋が過ぎた。
 そう感じたのは残暑にもめげず洋食屋に行き、その店を出た時に感じた風の心地よさからだろうか。
 水の中にたらしこんだ蜜のようにもやもやと熱くやけた路面から立ち上る陽炎でさえもその勢いはなく、うるさく鳴いていた一週間の命の蝉ですらもその鳴き声は変わっている。
 秋の空と夏の入道雲。
 私はいまだ盛夏を思わせるような厳しい残暑の中、軒下に吊るされた風鈴の音色に耳を傾ける。
 プールの帰りなのか真っ黒に日焼けした子供たちの声がする。
 強烈な西日の差す扇風機のみがある部屋に居て、悶え焦がれるような暑さに悩みながら、まとまらない物語の執筆をつづける。
 気がつけば、夕暮れに近くなっていた。日も短くなってきたようだ。
 侘しく去りゆく夏を惜しむかのようにヒグラシが鳴いていた。

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