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RSSフィード [81] 即興三語小説 ―金メダルじゃないといけないんですか? 銀メダルではダメなんですか?
   
日時: 2012/08/05 22:44
名前: RYO ID:AyKCwiQo

 エルビス・プレスリーがドーナツの食べすぎで死んだと教えてくれたのは、中学校の英語の先生だった。
 なんでそういう話をしたのか、今になっては謎だ。
 英語の授業に限った話ではないが、期末テストも終わり、夏休みを待つだけとなってしまっては、どこか倦怠感をはらんでいたとしても仕方ないのだろう。
 とはいえ--
 お焼香をあげながら、遺影を見つめる。にっこりとドーナツを頬張る顔がそこにはあった、ドーナツはポンデリングだ。
 今日は夏休みの最後の日。金曜日が八月三十一日で、土日をはさんだから、いつもよりちょっとだけ永かった夏休み。
 隆が逝った。もし夏休みがいつもどおり終わって、二学期が始まっていたのなら、もし夏休みの宿題が終わっていたのなら、もし英語の先生がエルビスの死因をあの日教えなかったのなら――
 もし、という悔恨は尽きない。
 ちなみに、隆はドーナツが好きで、少しばかりぽっちゃりしている奴だが、ドーナツは死因とは関係ない。ミスドでドーナツを買った帰りに交通事故にあっただけだ。ただドーナツ好きという共通点のせいで、泣くに泣けないじゃないか、ばかやろうめ。

 とりあえずこんなところで。
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●基本ルール
以下のお題や縛りに沿って小説を書いてください。なお、「任意」とついているお題等については、余力があれば挑戦してみていただければ。きっちり全部使った勇者には、尊敬の視線が注がれます。たぶん。

▲お題:「倦怠」「ドーナツ」「悔恨」
▲縛り: なし
▲任意お題:なし

▲投稿締切:8/12(日)23:59まで 
▲文字数制限:6000字以内程度
▲執筆目標時間:60分以内を目安(プロットを立てたり構想を練ったりする時間は含みません)

 しかし、多少の逸脱はご愛嬌。とくに罰ゲーム等はありませんので、制限オーバーした場合は、その旨を作品の末尾にでも添え書きしていただければ充分です。

●その他の注意事項
・楽しく書きましょう。楽しく読みましょう。(最重要)
・お題はそのままの形で本文中に使用してください。
・感想書きは義務ではありませんが、参加された方は、遅くなってもいいので、できるだけお願いしますね。参加されない方の感想も、もちろん大歓迎です。
・性的描写やシモネタ、猟奇描写などの禁止事項は特にありませんが、極端な場合は冒頭かタイトルの脇に「R18」などと添え書きしていただければ幸いです。
・飛び入り大歓迎です! 一回参加したら毎週参加しないと……なんていうことはありませんので、どなた様でもぜひお気軽にご参加くださいませ。

●ミーティング
 毎週日曜日の21時ごろより、チャットルームの片隅をお借りして、次週のお題等を決めるミーティングを行っています。ご質問、ルール等についてのご要望もそちらで承ります。
 ミーティングに参加したからといって、絶対に投稿しないといけないわけではありません。逆に、ミーティングに参加しなかったら投稿できないというわけでもありません。しかし、お題を提案する人は多いほうが楽しいですから、ぜひお気軽にご参加くださいませ。

●旧・即興三語小説会場跡地
 http://novelspace.bbs.fc2.com/
 TCが閉鎖されていた間、ラトリーさまが用意してくださった掲示板をお借りして開催されていました。

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○過去にあった縛り
・登場人物(三十代女性、子ども、消防士、一方の性別のみ、動物、同性愛者など)
・舞台(季節、月面都市など)
・ジャンル(SF、ファンタジー、ホラーなど)
・状況・場面(キスシーンを入れる、空中のシーンを入れる、バッドエンドにするなど)
・小道具(同じ小道具を三回使用、火の粉を演出に使う、料理のレシピを盛り込むなど)
・文章表現・技法(オノマトペを複数回使用、色彩表現を複数回描写、過去形禁止、セリフ禁止、冒頭や末尾の文を指定、ミスリードを誘う、句読点・括弧以外の記号使用禁止など)
・その他(文芸作品などの引用をする、自分が過去に書いた作品の続編など)

--------------------------------------------------------------------------------
 三語はいつでも飛び入り歓迎です。常連の方々も、初めましての方も、お気軽にご参加くださいませ!
 それでは今週も、楽しい執筆ライフを!

メンテ

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真夏のドーナツ ( No.1 )
   
日時: 2012/08/14 19:39
名前: マルメガネ ID:cg.m.aRs

「あー。だりぃ。いまどきドーナツなんて、なんで買って来ねばならんのだ」
 倦怠感全開でタツキがこぼす。
 外は暑く、路面から陽炎がぬらぬらと湧き上がっている。
 そればかりではない。折込のチラシにも期間限定販売、と書いてあったりもする。
 これを逃すとキリトから遺憾の意を表されると同時に、悔恨を残すことにもなる。
 自宅を出ると、あまりの暑さに卒倒しそうになった。
 果たしてたどり着けるのかどうかもわからない。
 しかし、文句を言われるのは嫌だ。
 ぬらぬらと陽炎が立つ路上はまるで砂漠のようだ。出歩いている人などほとんどいない。
 汗だくになってショップに行くと、炎天下のさなかにもかかわらず行列ができていた。
 行列が極遅で進む。そして一人が倒れ、二人目が倒れた。
 脱落者が続出してもショップに進む人々。
 卒倒しそうな暑さに耐え、どうにかカウンターにたどりついたとき、それは売り切れていた。
 最悪な気分だった。
 しかたなく、すごすごとショップから撤退して、近くのスーパーに入る。
 冷房が天国か極楽に感じる。
 そこで物色して、限定販売のドーナツ似たものを探し当てた彼はそれを買い求め、またぬらぬらと陽炎が揺らめき立つ路上をふらふらになりながら自宅に戻ると、キリトが沸き立った麦茶を冷やしていた。
 痛恨の一撃を食らった気がしたが、クーラーの効いた部屋は涼しさを通り越して肌寒ささえ感じる。
 ぐったりしながら、スーパーで買ったドーナツの包みを開けると、外の熱気で炙られて出来立てを少し過ぎたような生温かさだった。
 それをキリトはおいしそうに食べていた。
 生温いドーナツと沸き立って間もない麦茶の組み合わせの妙な夏の午後のおやつになった。

メンテ
Re: 即興三語小説 ―金メダルじゃないといけないんですか? 銀メダルではダメなんですか? ( No.2 )
   
日時: 2012/08/17 01:30
名前: 水樹 ID:zH2lCF5Q

お題は、「倦怠」「ドーナツ」「悔恨」です。


ドーナツ化現象


 火照った身体をアイスコーヒーで冷まし、甘さを抑えたドーナツを齧る。冷房が効きめを顕わにさせると、汗で滲んだ私の背中を乾燥させる。今日も暑いねと思うが口には出さない、聞いてくれる人が居ないのもあった。


 一人でいるのに若干の飽きを感じ、かと言ってただ騒がしいだけのテレビを見る気にもなれない、耳に音を入れたくないのもあり、ふと何かを思い出したかのように小さい世界を覗くが、当たり前にドーナツの穴の先には誰もいない。買い過ぎたかなと食べきれない半分は冷蔵庫に仕舞う。こうして残りの半分は明日にし、無味無臭の簡素な一日を私は繰り返す。
 ドーナツの穴の中にいる人、買い過ぎたドーナツを食べてくれる人は私の前から消えてしまった。


 少しの間、距離を置こう、そう言って彼はこの小さな空間から出て行った。悔恨の情念も湧かない私は彼を引き留めなかった。些細な口論すら、彼との生活には生じなかったのを覚えている。何が倦怠なのかなと、日常を巻き戻すといつも思い当たるのは、過剰にお互いを求め合う事をしなかったせいだなと、それに突き当たる。
 触れ合う事など決して出来ないのは最初から分かっていた。所詮はドーナツの穴からお互いを窺う関係。


 彼とは違い、私は何かを諦めきれないのだろう。
 私は未だ彼に依存し、心は脆く穴の空いたドーナツと化している。
 それを仕舞う小さな紙の箱の中、この狭くて静かな空間に身を置いている。


メンテ

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