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RSSフィード [79] 即興三語小説 -大人になったら夏休みがないことに驚いた人は手をあげること―
   
日時: 2012/07/22 22:26
名前: RYO ID:xg2G31AE

 熱にうなされると、頭痛の刺激さえ心地よく思えるのかもしれないなんて、きっと脳みそがしゅうまいみたいに蒸されているに違いないんだから、これくらいまだまだ!――熱中症対策の基本は、「自分の感覚を信じるな。気温と湿度を信じよ」と言われているとかいないとか? とりあえず思考が破綻していることは疑いようもなかった。

今週の15分くらいの三語
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●基本ルール
以下のお題や縛りに沿って小説を書いてください。なお、「任意」とついているお題等については、余力があれば挑戦してみていただければ。きっちり全部使った勇者には、尊敬の視線が注がれます。たぶん。

▲お題:「熱」「刺激」「しゅうまい」
▲縛り: なし
▲任意お題:なし

▲投稿締切:7/29(日)23:59まで 
▲文字数制限:6000字以内程度
▲執筆目標時間:60分以内を目安(プロットを立てたり構想を練ったりする時間は含みません)

 しかし、多少の逸脱はご愛嬌。とくに罰ゲーム等はありませんので、制限オーバーした場合は、その旨を作品の末尾にでも添え書きしていただければ充分です。

●その他の注意事項
・楽しく書きましょう。楽しく読みましょう。(最重要)
・お題はそのままの形で本文中に使用してください。
・感想書きは義務ではありませんが、参加された方は、遅くなってもいいので、できるだけお願いしますね。参加されない方の感想も、もちろん大歓迎です。
・性的描写やシモネタ、猟奇描写などの禁止事項は特にありませんが、極端な場合は冒頭かタイトルの脇に「R18」などと添え書きしていただければ幸いです。
・飛び入り大歓迎です! 一回参加したら毎週参加しないと……なんていうことはありませんので、どなた様でもぜひお気軽にご参加くださいませ。

●ミーティング
 毎週日曜日の21時ごろより、チャットルームの片隅をお借りして、次週のお題等を決めるミーティングを行っています。ご質問、ルール等についてのご要望もそちらで承ります。
 ミーティングに参加したからといって、絶対に投稿しないといけないわけではありません。逆に、ミーティングに参加しなかったら投稿できないというわけでもありません。しかし、お題を提案する人は多いほうが楽しいですから、ぜひお気軽にご参加くださいませ。

●旧・即興三語小説会場跡地
 http://novelspace.bbs.fc2.com/
 TCが閉鎖されていた間、ラトリーさまが用意してくださった掲示板をお借りして開催されていました。

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○過去にあった縛り
・登場人物(三十代女性、子ども、消防士、一方の性別のみ、動物、同性愛者など)
・舞台(季節、月面都市など)
・ジャンル(SF、ファンタジー、ホラーなど)
・状況・場面(キスシーンを入れる、空中のシーンを入れる、バッドエンドにするなど)
・小道具(同じ小道具を三回使用、火の粉を演出に使う、料理のレシピを盛り込むなど)
・文章表現・技法(オノマトペを複数回使用、色彩表現を複数回描写、過去形禁止、セリフ禁止、冒頭や末尾の文を指定、ミスリードを誘う、句読点・括弧以外の記号使用禁止など)
・その他(文芸作品などの引用をする、自分が過去に書いた作品の続編など)

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 三語はいつでも飛び入り歓迎です。常連の方々も、初めましての方も、お気軽にご参加くださいませ!
 それでは今週も、楽しい執筆ライフを!

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『ふしあわせ』 ( No.2 )
   
日時: 2012/07/24 21:49
名前: 沙里子 ID:ODSCkhRY

 あなたはとても丁寧にわたしの首を絞める。湿っぽいわたしの皮膚に優しく指をまとわりつかせて、すこしずつ、すこしずつ力をつよめてゆく。あなたの肩越しにわたしはぼんやりと天井を見つめながら、怖いな、と思う。でも抵抗はしない。体中の力を抜いて、あなたにすべてを任せる。あなたのつめたい指の感触や、すこし荒い息遣いや、違和感を伴う淡い刺激や、下腹部に溜まってゆくあまやかな熱を、瞼を閉じて静かに味わう。
 すべてが終わったあとあなたは必ず、おいしいものを食べに行こう、と言う。いまから? と午前一時をまわったばかりの時計を見ながらわたしは訊く。いまから、とあなたは余裕をもって答える。
 わたしたちはアパートを出て、街に向かって歩き出す。夏の夜。空気は重たい熱を孕んで沈みこみ、ときおり吹く風は素肌にべったりとはりついて剥がれない。わたしはあなたのすこしうしろを歩く。あなたがこちらに向けてそっと手を差し出していることに、わたしは気づいている。でも気づかないふりをする。そうしてほんの少しだけ寂しがるあなたを眺めて、かわいい、と思う。
 街は静まりかえっていた。コンビニとチェーンの古本店の灯りだけが煌々とあかるい。あなたは大通りの裏手にひっそりと佇む中華料理屋さんに入る。油でべたべたの床を歩き、カウンターのいちばん端に二人ならんで腰掛ける。店内にほかのお客さんはだれもいない。やっと出てきた店員に、あなたはラーメンと焼き飯と餃子を頼む。あなたに促されてわたしも焼きうどんとしゅうまいを注文した。厨房の奥でコンロに火がつく音、つづけてフライパンの上で油がはぜる音がひびきはじめた。あなたは何も言わない。いつくしむようなまなざしでわたしの首を眺めている。見られていることを意識して、わたしは背筋をぴんと伸ばす。やがてあなたは笑う。満足げに笑う。わたしも笑う。あなたが笑っているから、笑う。料理をはこんできた店員は、笑い合っているわたしたちをまじまじと見ながら奥へ引っ込んでゆく。それを見てまたあなたは笑う。
 湯気のたっている熱々の料理を、わたしたちは食べる。油に濡れた餃子を咀嚼し、こってりしたスープがからんだ麺をつるりと嚥下する。食べているあいだ、わたしはあなたのことを考えないようにする。あなたといると、わたしはゆるやかに死んでいくような気がする。ごはんを食べるとまた、生き返る。そしてまたあなたに殺される。生き返る。その繰り返し。果てなどない。わたしは死につづけ、生きつづける。いつまでも。
 会計を済ませてから、わたしたちは店を出る。喉が渇いたと言うと、あなたはコンビニでジュースを買ってくれる。あなたはとても優しい。部屋に帰ってすぐわたしはエアコンをつける。空気が整いはじめると、わたしはねむくなる。あなたの膝に頭を置くと、ますますねむくなる。
 ――僕のこと好き?
 わたしの髪をいじりながら、あなたは訊ねる。
 ――うん。
 まどろみながら、わたしは答える。
 ――僕を許してくれる?
 ――うん。
 ――僕から離れない?
 ――うん。
 ――ずっとそばにいてね。
 うん、と舌足らずに呟きながらわたしはあなたの頬を撫でる。そのままゆっくりと指先をおろしてゆく。くちびる、おとがい、くびすじ。おやゆびで喉のふくらんだところをかるくつぶすと、あなたはかすかに身じろぎする。こわいんだな、と思った。でも言葉にはしない。首から手をはなして腰に腕をまわす。そのまま抱きしめていると、シャツからあなたの汗のにおいがした。おもいきり吸いこんで、そうしてあなたをみあげて微笑む。あなたも微笑む。わたしたちは微笑みつづける。ふたりきりで、向かい合って。いつまでも。


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久しぶりの三語です。ちょうど一時間。
読んでくださった方、ありがとうございました。

メンテ

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