最近暑いと思ってきたら、もう六月かよ。最近、記憶が飛んでいる気がしますが、働きすぎかしら?--------------------------------------------------------------------------------●基本ルール以下のお題や縛りに沿って小説を書いてください。なお、「任意」とついているお題等については、余力があれば挑戦してみていただければ。きっちり全部使った勇者には、尊敬の視線が注がれます。たぶん。▲お題:「再会」「午後の時計」「イベント」▲縛り: なし▲任意お題:なし▲投稿締切:6/10(日)23:59まで▲文字数制限:6000字以内程度▲執筆目標時間:60分以内を目安(プロットを立てたり構想を練ったりする時間は含みません) しかし、多少の逸脱はご愛嬌。とくに罰ゲーム等はありませんので、制限オーバーした場合は、その旨を作品の末尾にでも添え書きしていただければ充分です。●その他の注意事項・楽しく書きましょう。楽しく読みましょう。(最重要)・お題はそのままの形で本文中に使用してください。・感想書きは義務ではありませんが、参加された方は、遅くなってもいいので、できるだけお願いしますね。参加されない方の感想も、もちろん大歓迎です。・性的描写やシモネタ、猟奇描写などの禁止事項は特にありませんが、極端な場合は冒頭かタイトルの脇に「R18」などと添え書きしていただければ幸いです。・飛び入り大歓迎です! 一回参加したら毎週参加しないと……なんていうことはありませんので、どなた様でもぜひお気軽にご参加くださいませ。●ミーティング 毎週日曜日の21時ごろより、チャットルームの片隅をお借りして、次週のお題等を決めるミーティングを行っています。ご質問、ルール等についてのご要望もそちらで承ります。 ミーティングに参加したからといって、絶対に投稿しないといけないわけではありません。逆に、ミーティングに参加しなかったら投稿できないというわけでもありません。しかし、お題を提案する人は多いほうが楽しいですから、ぜひお気軽にご参加くださいませ。●旧・即興三語小説会場跡地 http://novelspace.bbs.fc2.com/ TCが閉鎖されていた間、ラトリーさまが用意してくださった掲示板をお借りして開催されていました。--------------------------------------------------------------------------------○過去にあった縛り・登場人物(三十代女性、子ども、消防士、一方の性別のみ、動物、同性愛者など)・舞台(季節、月面都市など)・ジャンル(SF、ファンタジー、ホラーなど)・状況・場面(キスシーンを入れる、空中のシーンを入れる、バッドエンドにするなど)・小道具(同じ小道具を三回使用、火の粉を演出に使う、料理のレシピを盛り込むなど)・文章表現・技法(オノマトペを複数回使用、色彩表現を複数回描写、過去形禁止、セリフ禁止、冒頭や末尾の文を指定、ミスリードを誘う、句読点・括弧以外の記号使用禁止など)・その他(文芸作品などの引用をする、自分が過去に書いた作品の続編など)
お題は、「再開」「午後の時計」「イベント」です。不快指数 目を閉じコール音に集中する彼女、彼氏にメールを送っても返事は一向に来ない。二つ持っていたらその一つは叩き折っていたに違いない。携帯の充電を気にしているのだろう、彼女は閉じた携帯を握りしめ、不安を紛らわせる為に顔を上げて私を見つめる。 安心して下さいな、彼は必ずあなたの元に来ますよ、あなたとの約束を破った事など一度としてありますか? ほら、あなたの好きな愛くるしいウェルシュ・コーギー・カーディガンの赤ちゃんですよ。そうそう、その笑顔で彼を迎えて下さいね。耳触りにならないぐらいの音声を人々に届ける私。意識を私に奪われる彼女。すると彼女の目を背後から男性が手で覆った。電池が切れてさ、遅れてごめんよと言い訳する彼氏に、彼女は有名店のセットニューで許してあげると、彼の罪を笑顔で無くしてあげた。いってらっしゃいと私は心の中で呟いて二人を見送る。 私は広場の中央でただ佇む存在。 常に私の回りでは待ち合わせ、再開、別れ、日向ぼっこを楽しむ家族など、人々が利用してくれる。リサイクル市場やアイドルのイベントなど開催されると、それはもう人々が集合して賑やかになり、私の為にこれだけの人が来てくれたと勘違いし嬉しく思う。顔があったら満面の笑顔を抑えきれず口元が綻んでいただろう。もし私に手足があったら有頂天になり、変な喜びのダンスを踊っていただろう。それが出来ない私は感謝の声の代わりに、ただ毎日の時間と温度と湿度とニュースを垂れ流す。人々が去る時には気を付けて帰って下さいねと心の中で呟く事しか出来ない。 そんなささやかな日常が私にとっては掛け替えのない日々だった。何も出来ない私はこれがずっと続くのだろうと思っていたからだ。 深夜になると私も眠る為、ディスプレイを消す。時間と湿度と温度しか表示されない。ん? 何か騒がしいなと意識を起こす。男女数十名の若者が広場に集まっていた。何かこう漠然とは言えないが、昼間には無い悪意の塊りに、身体があったら身震いや鳥肌を起こしていただろう。私はただ沈黙し彼等を見つめる。 酔っぱらっているのだろう、彼等のけたたましい笑いが広場に木霊する。私の細い身体に落書きするのもいれば、鬱憤を晴らす為に蹴ったり、バットで叩いたりと行き場を見失った力を発散させる。気が済んだのなら帰って下さいなと私の願いも虚しく、彼等の行為はエスカレートしていった。 空き瓶や石を集めて、私めがけてディスプレイに力一杯投げつける。何が楽しいのか全く分からない。勝手に点数を決めては私を砕き壊す。助けを求めても声も出ない私はただ静かになるのを待つだけだった。 オ歯よウ御ザい真ス? 日課である早朝のニュースを伝える事が出来なくなっていた。人々は憐れみの目で私を見上げていた。見ないで下さいと言えない私は心を閉ざしこの惨めな存在を消すようにただぐっと堪える。 業者の人が私を見て首を横に振る。治してもまたすぐに同じ事になるだろうと。一言、ごめんよと私に言ってくれた。いえいえ、お気になさらず、いいのです。いいのですよと、私は涙を流せるものなら泣いて、奥歯があるのなら強く、強く噛みしめて、いいのです。いいのですよと、そう心の中で呟いた。 雨が降り、晴れてまた雨が降る。 壊れた私はいくら頑張っても午後の時間しか表示出来ない。しかも正確に表示されない。日常にあり得ない温度と湿度を表示してしまう。私の心も脆く壊れていく。 耳はないけど人々の声に傾けると、いつしか午後の時計と言われ待ち合わせ場所に使われていた。午後の時計、他にはおかしな時計、コワレタトケイ。深夜には若者達の落書きがさらに酷くなり、さらに破壊行為をされた。 いいのです。いいのですよと。それしか私は呟かない。私の役目はもうすぐ終わる。それは私自身が一番良く分かっている。 私は終わる最期のその時まで、いいのです。これでいいのですよと。間違った時間と不快指数を人々に宛がう。 本当は、本当は声を大にして私は泣きたい! 誰でもいいからこの苦しみと悲しみを分かってもらいたい! それが出来ない私は広場の中央で、これでいいのですよと、そっぽを向いてただ佇む。
その日は、年中でもっとも規模が大きくなおかつ長い休日の初日であった。長い闘争の末に勝ち取り、そして独立を不動のものとした永世独立記念日にあたるその日は朝から晴れ、祝日としては絶好の日和となった。その国は『皇国』と呼ばれ、極東の小国に過ぎないのだが、首都のアキツシマのスザク大通りは三日間続くお祭り一色に染まり、各所で様々なイベントが催されていた。「午後の時計下で待っている」 そのメールを隻眼のタツキが受け取ったのは、新旧の町並みが混在する下町の狭い路地裏を歩いていた時だった。 画面のメッセージを追った彼は、午後の時計とはメイン通りの広場にある時計台のことだ、と直感した。 時計台は高さが二十メートル近くありその頂点には羽を広げた朱雀の像がある、ちょっとしたランドマークとなっており、また午後には時間を知らせる荘厳な音を奏でることでも知られている。 彼は路地裏を抜け出て、広場の時計台を目指した。 広場ではオープンカフェが開かれており、地方から出てきた人や、家族か誰か親しい人と再会を果たした人などで賑わっていた。 タツキは来ているはずのメンバーを探すと、メールどおりとはいかないまでも、時計台の台座付近の席で、マダムとマスター、それに色町に住むナギがのんびり談笑をしていた。「遅くなりました」「大幅に遅れてもないわよ。さぁ、座ってくださいな」 タツキが一声かけると、そうマダムが言った。 空いた席に座ると、午後十二時を指した時計台の時計の頂点の朱雀像が動き、荘厳な音を響かせ時刻を知らせた。 その音が鳴りやむまで、誰も一言もしゃべらない。しゃべっても音で聞こえない。 余韻が晴れた空の彼方に消えた頃、ようやく本題に入った。 その本題とは、大連邦国側と大同盟国側の両陣営からもたらされた、暗殺組織が動き出した、という情報についてである。 世界は永世独立国として存続を図る皇国とそのほか数十国と、大連邦国、大同盟国という三極構造で統治されている。 近年では、大同盟国の盟主国であるミリティアで大統領が演説中に狙撃され、また大連邦国の代表国であるオルティアでも首相が暗殺されるという事件が相次いで起きた。 その事件後に、犯行声明がその組織より発表がなされ、次の標的が皇国であることをほのめかしていた。「俺たちを陥れようとする罠かもしれないぜ。奴ら何考えているかわからないし」 珍しくナギが発言した。「考えられるわね。それを口実に。または、私たちに対しての挑発かもしれないわね」 マダムがそう言って、オープンカフェ特製の闇に似た色をしたコーヒーを飲んだ。「いくら考えても、俺たちの国を取ってもなんの意味もないと思うけどな」「確かにそうよ。これと言った資源もない。ただ、製品を製造しているだけの工業経済国。でも地理的にはどうかしら? 海に囲まれて急峻な山ばかりの島国。これを進出の拠点にすることはできるわ」 はたから見れば、単なる政治経済か軍事上の話にしか聞こえない。 実際には、マダム率いる情報収集部隊と機密警察の連携で、入国した暗殺団のメンバーの動向を探り、摘発を進めているところだ。 しかし、なんでもそうだが完璧とまではいかない。討ち漏らすことだってあるのだ。 マダムは今日までの間に暗殺メンバーを取り逃がした苦い思いを表に出すこともなく、いつもどおり冷静であった。「そういえば、数年前にあったよなぁ」 思い出したように、ナギが肘関節まである黒革の長手袋をした左手で頬杖をついてそう漏らした。「何が?」 タツキがナギに聞き返す。「爆弾テロ」「ああ、ありましたね。あれはひどかったですね」 マスターが言った。 数年前の爆弾テロとは、国内の過激派組織が仕掛けた爆弾が白昼に炸裂し、多数の死傷者を出す惨事となった。 その現場とは彼らがいる広場である。もともと、この広場には建物があった。 その爆弾テロに巻き込まれて左手を無くしたナギは今回の暗殺団について、その過激派とどこかでつるんでいる、と思っているようだった。「とにかく、明日が正念場です」 マダムが、いろいろ話をしていった最後にそう締めくくった。 タツキもナギもその言葉を重く受け止めた。 オープンカフェから離れる時、タツキはどこからか強い殺気を感じて、その感じた方向にさりげなく視線を向けたが、喧騒ばかりが広がっていた。 確かに、本物の殺気を感じた。 ぞっとするほどの殺気ではなかったが、刹那に放たれた殺気。 自宅に戻ったタツキは疲れていたが、その晩、感じた殺気が気になってなかなか眠れなかった。 自分だったら、どう狙撃する? あるいは、どんな手段で狙うか。 タツキは、実行犯の行動を頭の中にめぐらせていた。 雲一つない快晴だった。 少し風が吹き、メイン通りに沿って掲げられた国旗が翻っている。 ものものしい警備体制が敷かれ、沿道で群衆が式典の開始を待っていた。 マダム率いる情報収集部隊は、一般人に紛れ、またさりげなく建物に潜み、あるいは何かに装い、暗殺団の動向を探る。 ひどい雑音が混じる無線で連絡を取り、メイン通りの裏に入ったタツキは、大ホテルに入るあきらかによそよそしく挙動不審な二人組の男を発見した。 ほどなくしてその二人組は大ホテルから断られたのか、周囲を気にしながら向こうへ歩いて行った。 時計台が時刻を知らせる。 メイン通りから軍楽隊が奏でるファンファーレが聞こえてきた。 その直後、乾いた音がして大音響が聞こえた。 タツキがメイン通りに出ると、先導車が白い煙を上げ、先ほど見かけた挙動不審な二人組の男がそこに転がり、沿道はパニックになっていた。 当然のことながら警備隊が右往左往していて、大総統専用車および国賓専用車は立ち往生した状態だった。 そしてまた乾いた銃声が何発か響き、立ち往生している専用車両に向けて、機関銃をさんざん乱射したあげく「革命と闘争は続く。万歳」と、叫びながら爆発物らしきものを抱えてビルの窓から、死なばもろとも、という殺気を持ち飛び降り自殺を図った軍人がいた。 彼が抱えていた爆発物らしきものは炸裂こそしなかったが、彼はその場で息絶えた。 その騒ぎで式典は中止となり、事後処理のためメイン通りが封鎖となって、群衆も自宅に帰された。 それから数日後。 ビルの窓から、機関銃を乱射したあげく爆発物らしきものを抱えて飛び降り自殺をした軍人の身元と、先導車の前で倒れていた不審者の二人組の男の身元が判明した。 国籍は軍人のほうは大連邦国側であり、数年前から精神的におかしくなっていたらしかった。挙動不審の二人組は大同盟国側であり、こちらは重度の薬物中毒だったらしい。 人騒がせな事件に終わったが、暗殺団とは無関係であり、それぞれの大使館から情報に誤りがあった、と謝罪があった。 だが、それぞれに重要なメッセージがあった。 飛び降り自殺を図った軍人が抱えていた爆発物らしきものは、鑑識の結果、中身は世にも恐ろしい毒ガス弾であり、大連邦側のどこかの国で開発され極秘製造されたものだった。 不審者の二人組の男の所持品からは、いままで摘発されたことがない新型の麻薬がみつかり、こちらも大同盟国側の実情をうかがわせた。「おまえのオヤジ、さすがに肝を冷やしただろうな」 げっそりした顔でナギがタツキをひやかす。「冷やすものか。逆に真っ赤になって怒鳴っているよ」 同じくげっそりした顔で力なくタツキがかえした。「ああ、それにしてもなんだったんだ」「終わってみれば、情報に踊らされたのは俺たちだったのか」 胃薬を片手にため息をつき、彼ら二人がぼやく。 いちばん苦い思いをしたのはマダムかもしれないな、とそれぞれに思った。 そして、大連休後の一日の日が沈む。
マルメガネ様、拝読しました。これは続くのですよね? 続きますよね? 緊張感のある世界観が素敵です。タツキに向けられた殺気の正体が気になります。気になります。続き気を楽しみにしています。自作これはなんでしょう? ええ、私にも分かりません。