次週はお盆で、みなさまお忙しいだろうということで、締め切りが2週間後になっております。ぜひこの機会に、ふるってご参加くださいませ!--------------------------------------------------------------------------------●基本ルール 以下のお題や縛りに沿って小説を書いてください。なお、「任意」とついているお題等については、余力があれば挑戦してみていただければ。きっちり全部使った勇者には、尊敬の視線が注がれます。たぶん。▲お題:「クイーンエリザベス」「祝福」「ゆるぎない」▲縛り: 「悲壮な場面を入れる」▲任意お題:「熱帯低気圧」「キミドリ原野」「とかげ君を応援したい」「わきげ力」▲投稿締切:8/21(日)21:59まで▲文字数制限:6000字以内程度▲執筆目標時間:60分以内を目安(プロットを立てたり構想を練ったりする時間は含みません) しかし、多少の逸脱はご愛嬌。とくに罰ゲーム等はありませんので、制限オーバーした場合は、その旨を作品の末尾にでも添え書きしていただければ充分です。●その他の注意事項・楽しく書きましょう。楽しく読みましょう。(最重要)・お題はそのままの形で本文中に使用してください。・感想書きは義務ではありませんが、参加された方は、遅くなってもいいので、できるだけお願いしますね。参加されない方の感想も、もちろん大歓迎です。・性的描写やシモネタ、猟奇描写などの禁止事項は特にありませんが、極端な場合は冒頭かタイトルの脇に「R18」などと添え書きしていただければ幸いです。・飛び入り大歓迎です! 一回参加したら毎週参加しないと……なんていうことはありませんので、どなた様でもぜひお気軽にご参加くださいませ。●ミーティング 毎週土曜日の22時ごろより、チャットルームの片隅をお借りして、次週のお題等を決めるミーティングを行っています。ご質問、ルール等についてのご要望もそちらで承ります。 ミーティングに参加したからといって、絶対に投稿しないといけないわけではありません。逆に、ミーティングに参加しなかったら投稿できないというわけでもありません。しかし、お題を提案する人は多いほうが楽しいですから、ぜひお気軽にご参加くださいませ。●旧・即興三語小説会場跡地 http://novelspace.bbs.fc2.com/ TCが閉鎖されていた間、ラトリーさまが用意してくださった掲示板をお借りして開催されていました。--------------------------------------------------------------------------------○過去にあった縛り・登場人物(三十代女性、子ども、消防士、一方の性別のみ、動物、同性愛者など)・舞台(季節、月面都市など)・ジャンル(SF、ファンタジー、ホラーなど)・状況・場面(キスシーンを入れる、空中のシーンを入れる、バッドエンドにするなど)・小道具(同じ小道具を三回使用、火の粉を演出に使う、料理のレシピを盛り込むなど)・文章表現・技法(オノマトペを複数回使用、色彩表現を複数回描写、過去形禁止、セリフ禁止、冒頭や末尾の文を指定、ミスリードを誘う、句読点・括弧以外の記号使用禁止など)・その他(文芸作品などの引用をする、自分が過去に書いた作品の続編など)-------------------------------------------------------------------------------- 三語はいつでも飛び入り歓迎です。常連の方々も、初めましての方も、お気軽にご参加くださいませ! それでは今週も、楽しい執筆ライフを!
「私はもう死ぬわ」「死ねば?」「だから最後の頼みぐらい聞きなさい」「いつものアレか?」「そう。死にゆく者にゆるぎない祝福を」「でも君は死ねないのではないのかい?」「いいえ、死ねるわ。……条件付きだけど」「死神が、死ねるの?」「当たり前のことを疑問詞にして返さないで」 そこで君は、高らかに笑った。「だってあなたも、死神じゃない」「私のことを、クイーンエリザベスと名付けなさい」 それが君の望みだった。 大鎌構えて振り回し、人間どころかあらゆる妖怪や神様の命までも狩り取ってきたとても強い君の。「そんなに、死にたいの?」「ええ死にたいわ。だってつまらないもの。こんな世界」 君は力を持ちすぎた。その力を振るいすぎた。 その先に待ち受けているものが何かも知らずに、あの頃の君はただ、死神の職務に忠実すぎた。 その先の、虚無。何も無い世界。 人間を狩り、動物を狩り、植物を狩り、妖怪を狩り、幽霊を狩り、神様を狩った。 後に残るのは死神ばかり。 狩る命がなくなった死神達は次々と仲間を狩り、されど死に切れず、何も無い世界に空虚な人形として転がるのみ。 後に残るのは、僕と君だけだった。「じゃあ逆に訊くわ。貴方はなぜ自分を狩らなかったの?」「狩られて人形になったところで意識は残る。でも肉体は動かない」「それが嫌だったのね」「ああ」 半ばため息のような、返答。「でも都合が良かった。私が死ねるもの」「僕が君を、殺すの?」「そうよ。死神に名前をつける。そうすると死神は死ねるようになる。簡単でしょ?」「でもそれは確証がない。名前をつけたところで僕が君を狩れば君は人形になってしまうかもしれない。人形になったらもう二度と死神には狩ることができない」「やらないよりやったほうが面白いわ」「でも」「やりなさいといっているの。新米の貴方には私に逆らう権限が無いはずよ」 確かにそうだった。いくら対等なように振る舞っていても、所詮新米は新米。僕は君には逆らえない。「早く。私のことをクイーンエリザベスと呼ぶの」「クイーンエリザベス」「そう。そして私を狩って」「それは自分で出来ないのかい?」「自分の鎌で自分を狩りたくはないわ」「……わかった」 僕はまだ誰も狩ったことのない、新品の自分の鎌を持った。 そしてそれを君――クイーンエリザベスの首にあてがう。「あ、そうだ」 そこで唐突に君は言った。「貴方にも名前を付けてあげるわ。好きなときに死ねるように」「僕は……」「そうね、熱帯低気圧とかでいいかしら?冷めた貴方が少しでも熱くなれるといいな」「早くして欲しいんじゃなかったのかい」「ねえ熱帯低気圧。私はここで死ぬけど死神って遺言を遺せるのかしら」「……遺せるんじゃないかな」「じゃあ私から熱帯低気圧へ。私と貴方は腐れ縁」「意味は」「自分で考えて。じゃあその大鎌を引きなさい」 僕は言われた通り鎌を引いた。 クイーンエリザベスの首からは死神ではあり得ない赤い血液が飛び散り、僕はそのまま返り血を浴びながらクイーンエリザベスの首を切り落とした。 それは、クイーンエリザベスが無事に死ぬことが出来たことを意味していた。 クイーンエリザベスの血は、暖かかった。「僕と君は腐れ縁……全くその通りだ」 気が付くと、僕は勝手にそう口走っていた。「僕は人間のときも君をこうして殺した」「僕は人間のときも君に逆らえなかった」 僕は元々人間だったのか。しかし僕の人間としての記憶はない。 しかし口は勝手に動き続ける。「僕は人間のときも君に名前をつけた」「そして、僕は人間のときも君を……愛していた」「そう、殺したくなるぐらい」「君を、愛していた」
王宮の前には、多くの人が密集していた。人、人、人の身動きもロクに取れないほどの密集率。押しあいへし合うそれらの熱気がまたすごい。みな興奮してざわめいている。そのごたまぜになった感情は、期待、喜び、そういった、めでたいものを前にした明るいものだ。 それを一望できる王宮のバルコニーに、着飾った女性が立っていた。「みなさん、こんにちは。本日から女王の称号を戴くことになりました、エリザベスですわ」 クイーンエリザベス万歳! 演説を始めた彼女に向かって、そんな声がそこかしこから聞こえる。 エリザベスは、それににっこり笑って答えた。「国民のみなさん。みなさんがご存じの通り、わたくしが手に入れたこの王位は、血族を蹴落として手に入れたものです」 母親を排除し、父親を押しのけ、親類を寄せ付けず、途中まで協力していた第一継承権をもつ兄をも蹴落としてその地位を手に入れた彼女だが、その悪辣とも言える行いに反して、熱狂的に国民から支持され、祝福されていた。 なにせ、彼女のような王族の登場は、この王国の全国民の悲願だったのだ。「でも安心してくださいませ。わたくしは、みなさんに精神的な苦痛を与えることは致しません。そう。わたくしは、異常な性癖を持ち合わせてなどおりません!」 この国の王族は、ゆるぎない変態集団とし有名なのである。 例えば、エリザベスの祖父に当たる前々代の国王は『裸の王様』の異名を持っていた。盛装を嫌い、というかそもそも服を着るのを拒み、上半身裸でそのわきげ力を見せつけるのが当たり前、ひどい時にはパンツ一丁、それどころか市内の見回りと称して裸で馬に乗り、見るに堪えないその姿で市民を阿鼻叫喚のるつぼにしたこともあるらしい。「わたくしの親類縁者は、みな何かしらの変質的な嗜好を持ち合わせてます。残念ながらそれを野放しにしていては、国民の皆様の安眠を確約することは出来ないでしょう。いつ王族が奇行に走るか、意味のわからない法令を施行するか、そんな不安におびえることになってしまうでしょう!」 またエリザベスの父である前王レラニーは無類の生足好きであった。嫁選びの際にはガラスの靴を職人に作らせ「この靴にぴったり合う足の持つ主がわたしの理想の女性だ!」と宣言し、国民の女性一人一人にはかせて回ったという逸話はあまりに有名である。レラニー王は国民の時間と税金を無駄に消費し「もしこの靴にぴったりだったら、変態の嫁にされる……!」という恐怖で女性の精神を圧迫した。その愚策でひとりの貴族の女性が選ばれるまで、レラニー王は「死んでレラ」と、愛称でもって切実に死を願われ続けた。「ですから、わたくしはわたくしと同じく変質者ではないと噂されていた双子の兄と共に、親類から始め、最終的には父である前王を政治の場から隔離することに成功しました! これで、わたくしの母のような不幸な人間を出さずにすみます」 ちなみにレラニー王と結婚したその貴族、つまりエリザベスの母に当たる女性は、五年ほど昔に王宮を飛び出て実家の領地に引きこもっている。国民の間では「国王の性癖に耐えきれなかったんだ」と、もっぱらの噂だ。 そんな王族との縁子を持つことを、みな嫌がる。「しかし、その直後、わたくしはあることに気がついてしまったのです」 だって、変態なのである。 相手が常軌を逸した変態とわかっているのだ。そんなところに娘や息子をやりたくないのが親心だし、本人だって変態の相手などしたくはない。いや、それだけならまだ利益に目をつぶれる人間いる。いるのだが、もうひとつの問題として、生まれる子供も変態になると決まっているのだ。 他国の王侯貴族はおろか、国内の貴族ですら、喜ばしいはずの王族との婚姻に嫌悪感を覚える。王族と血縁を持った瞬間、社交界の場では「ほら、あの国の変態の……」「おお、あれが有名な変質者血筋のお仲間か」などと陰口をたたかれる屈辱に耐えなければならない。王族との縁子を持つメリットより、大いなる精神的苦痛が課されるそのデメリットの方が大きいのだ。「兄も、わたくしと同じく変態ではないと期待されていました。実際、わたくしもそうだと思ってきました。だから、彼と共に他の王族との戦いに身を投じました。しかし、わたくしは気がついてしまったのです。兄もまた――特殊な性癖を持つ人間なのだと」 クイーンエリザベスは悲しげにそっとまぶたを伏せる。「変態の血筋は、絶やさなければなりません。王族というのは、常に清く、公明正大でなくてはならないのです。ですから、わたくしは断腸の思いで、協力していた兄をも排除いたしました。わたくしは、正常です。おそらく、わたくしの子も正常でしょう。いえ、正常に育て上げてみせます!」 いままでの王族は、漏れなく変態だった。 だが、この女王は違う。 平民から貴族まで、王族以外の全員が望んでいた、王族史上初めての変態ではない人間なのだ。「わたしはこの国の王族を、他国に誇れる王族にしてみせます! いままでの黒歴史など消し去る王族が、この国の輝かしい未来が、いま始まるのです!」 クイーンエリザベスが高らかに宣言すると同時に、地面を打ち鳴らすほどの歓喜の歓声が鳴り響いた。 女王の自室。 そこでは一人のメイドが主の帰りを部屋で待っていた。無表情に見えるが、時折、足のつま先が上がり床を叩いている。なにやら焦燥している様子だ。 メイドは、手のひらにトカゲを乗せていた。 実はこのとかげ、ただのとかげではない。クイーンエリザベスの兄である、元王子。この度の王族の排除のほとんどを取り仕切った、エルレインである。 容赦ないことに、妹による魔法でトカゲにされたのだ。 メイドもとかげも、一言も口を利かずに待機していた。元凶たる本人がいなければ、何の進展もないと両者わかっているのだ。 そう待たずに、扉が開いた。「ただいま帰りましたわ、お兄様、ティア」 悪びれもなく、笑顔でひょっこり顔をのぞかせる。 王家唯一の真人間と謳われるこの王女――いや、もう女王か。その言動は、クイーンエリザベスと祝福される若き為政者の振る舞いにしては、少々幼い。 まず先に動いたのは、ティアと呼ばれたメイドのほうだった。「エリザベス様。どうか思い直していただけませんか」 手のひらに乗せていたとかげの元王子をテーブルに移しながら、沈痛な表情で申し出る。 彼女はメイドではあるが、高潔な人格者として知られるメディチ侯爵の令嬢でもあり、才媛として広く知られている。社会勉強の一環として、王宮に奉公しているのだ。この国の行く末を、少なくとも現在王位にある女王よりは案じている。 そしてティアは、エリザベスの王女時代から使えているため彼女のことをよく知っていた。「エルレイン様を人間に戻し、国民の誤解を解いてくださいませ。まだ間に合います。いまは熱狂的に支持されておりますが、エリザベス様の、その……王家特有のご病気がばれましたら、国民は一気に手のひらをかえしましょう。期待が高かった分、そのしっぺ返しは強烈です。そうなる前に、エルレイン様に王位を受け渡すべきなのです!」 そう。残念なことに、エリザベスもゆるぎない変態の王家の例にもれず、変態なのだ。 エリザベスは、人をいじめて喜びを覚える。そんな性癖を持っているどSの変態で、あくまでその対象が血縁者限定に限られているから国民にその性癖が露呈していないだけなのだ。「あら、ティアはそんなにそのとかげ君を応援したいんですの?」「はい」 自分の兄であるとかげを指差すエリザベスに、ティアははっきり頷く。とかげにされたとはいえ喋れるのだが、エルレインは交渉の邪魔はするまいと黙ったままだった。 だが「そう。けれど、いくらティアの頼み事でも、い・や・で・す・わ」 案の定、エリザベスはあっさり笑って断る。「エリー。お前な……」 そのやり取りを耐えられなくなったとかげの王子、エルレインも苦々しく呟く。「自分が何をやってるのかわかってるのか?」 そもそもこのエルレイン達の母親が実家に逃げ帰ったのも、実はこの妹のせいなのだ。母親は普通の貴族の生まれながら「この美しい足は誰かを踏むべきものだ。できるならば平民よりも、自分より身分の高い人を踏みたい」と常人にはとうてい理解できないことを常々思っていたらしく、生足好きでそれに踏まれると喜びを覚えるという変態の国王とはこれ以上ないほどお似合い夫婦だった。「全然わかりませんわ。お父様のように、お母様のように、わたくしはわたくしのしたいようにしただけですもの」「……はっきり言おうか、エリー」 だが、その二人の間から生まれたエリザベスは、物心ついてから母親のことをねちねちじくじくちくちくいやがらせやらを続けた。その結果、母親はもう耐えきれなくなって実家に逃げることになった。「あのな、エリー。お前、王位ってもんは趣味で奪っていいもんじゃねえんだよ……!」 要するに、エリザベスが王位を簒奪したのは、その趣味によるものなのだ。 この変態王族を一網打尽にする計画はもともとエルレインが画策し、ティアの協力を仰ぎながら取り仕切っていたものだ。双子の妹である王女と共に国民から「変態ではない」と期待されていた彼は、その期待にこたえようと行動したのである。 そして、その最後で妹に裏切られた。 ティアがとかげのなったエルレインを発見し、エリザベスに理由を問い詰めると、いわく「王位を取られて悔しがる親類および父親、そしてお兄様の姿は見ていて楽しいのですわ。お兄様の味方をしていたのは、その一環なの」とのことだ。使命感に駆られて行動した王子とは、行動原理があまりに違う。「エリザベス様。わたしからもお願い申し上げます。国民の為に動いていたエルレイン様の功績を奪い、その理由づけの為にエルレイン様まで変態に貶めるなど、あまりに無体。政治は、趣味で、お遊びで弄んで良いものではありません。わたくしたち貴族、王族は常に公務の無私であり、国益を、国民を優先して動くべきなのです」 真摯にうったえるが、エリザベスの笑顔は崩れない。「あら、でも変わらないと思うの。誰が王位に就こうと、うちの一族はみぃーんな変態。残念ながら、国民の期待にこたえることは出来ませんわ」「ですから、エルレイン様は違うのです。この方は正真正銘、王族史上初の――」「いいえ」 やわらかい笑顔のまま、首を横にふってティアの言葉を遮る。「わたくし、知っていますの。隠してはいるものの、お兄様も変態。我が王家の、ゆるぎない変態の一員。ねえ、このシスコンお兄様」「――え?」 ティアは、無意識のうちに一歩後ずさった。ティアは、この王子に限っては変態ではないと信じていたのだ。だからティァは国の為、エルレインに知恵を貸し、陰ながら支えてきた。 なのに、まさか……?「お、王子……?」「おいおい、エリー。勘違いするなよ? ティアに誤解されるじゃないか」 妹たる女王の言葉を、トカゲになったエルレインは慌てない。どころか、とかげの分際で器用に鼻で笑って見せた。 そんな王子の様子にティァは安堵の息を漏らす。どうやら、エリザベスの勘違いの――「まったく、何てことを言ってくれるんだよ。確かに俺はお前のことを愛してる。ああ、母上より父上より深く広くお前を愛しているさ。こんなトカゲにされたいまでも愛してる。だがな、それはあくまで家族に向ける感情の域を出ていない。例えば、腹心の部下にエリーの行動を見張らせて逐一報告させていたのは、妹のことを知りたいという兄心の一環だ。エリーが昔に使っていた布団やシーツ、服や下着を回収させていたのは、妹の過去の思い出が欲しかったからだ。基本的に妹にしか反応しないが、それは妹とひとつになりたいという、そんな純粋な思いだ。俺は、お前らと違って正常なんだ!」「申し訳ありません、エリザベス女王様。わたし、本日をもって王宮からお暇をいただきたく存じ上げます」 いつの間にそこまで下がったのか。熱弁をふるうとかげの王子から無意識でも離れたかったらしく、ティアは扉を開いて半ば部屋を出ていた。「しまったやっべぇ口が滑ったぁあああああぁあああ!」 エルレインが叫ぶが、それを見るティアの顔に同情はない。いっそ冷徹で、勝手にやってろこの変態王族共、と顔にはっきりと書いてあった。「あら、辞めちゃうんですの。さびしくなりますわ……。でも、無理に引き留めるものではありませんわね。今日まで御苦労さま、ティア。あなたは良く仕えてくましたわ。召使えてくれた人間に友愛の情まで持てたのは、あなただけ。その旨、きちんとメディチ侯爵に伝えておきますわね」「過分なお言葉、もったいのうございます」「ちょちょ、ちょっと待つんだティア。俺は変態じゃないんだ! さっきのは軽いジョークなんだよ! だからマジで見捨てないでくれ! 参謀代わりのお前がいないと、ここからの挽回は――」「エリザべス女王様への愛を語る時、うっとりしておりました。この上なく嬉しそうに総合を崩しておいででした。超キモかったでございます」「しし、してねーよ! 家族への愛を語ってただけで、そんな顔になるわけねーだろ。てか、爬虫類の表情がわかるのかおまえは!? 表情筋ないんだぞ!?」「いいわけはよろしいです。もうあなたに協力する理由は一切ございません、へんたごほんごほんエルレイン元王子」「おい、いまナニ言おうとしたメイド!?」「わたしはもうメイドではございません。誇りあるメディチ侯爵家の三女、ティア・メディチです」 エルレインが無表情でせきこんだティアを言及するが、彼女の目にある侮蔑の光は揺らがない。「もう王家に希望はないとはっきり判断しました。いえ、そもそも少しでも期待していたわたしが愚かだったのです、しすこげふんげふんエルレイン元王子。革命でも起こって、王家の高貴なる血筋が絶えることを切に願います」「おま……っ。んなことになったら、この国たぶん滅ぶぞ!?」 この国は、王族の力によっているところが大きい。この呪わしき変態一族を王族たらしめているゆえんは、その高い戦闘能力にある。男児ならばかならず一騎当千の猛者となり、女児ならば変幻自在の魔女となる。戦の時には王族自ら前線に出張り敵を蹴散らすその姿は、「王族が変態でも別にいいんじゃないか! 彼らは勇猛果敢に国を守ってくれている!」と国民や貴族に畏敬の念を抱かせるほど圧巻である。 しかし、ティアの白けた視線は動じない。「知ったことではありません。いえ、むしろ、未来の為、人民の為、人類の為、こんな王族が治める国など滅んだほうがよろしいのではございませんか? ねえ、変態シスコン元王子」 エルレインは、ティアのあまりにはっきりした物言いに絶句する。不敬も甚だしいのだが、兄がいじめられている様子がたのしいのか、エリザベスはにこにこ観覧していた。 だが実際、これがいまの国民の気持ちである。一昔前の乱世ならばいざしらず、最近は国内外を問わず落ちついて平和なのだ。いま王族に対する敬意は、新たな女王へのものを除けば地に落ちていると言っていい。もしクイーンエリザベスの変態性が表ざたになったら、すぐにでも反乱が起きるほどの不満が国民には積み重なっている。「わたしはもうメイドなどやめて、ただの貴族の娘にもどり他のまともな方と結婚でもして幸せになります。さようなら。いままでお世話になりました。もう二度と会うことはないでしょう」「そう。でも、結婚するときは知らせてくださいな。お祝いしますわ」「お言葉、つくづくもったいのうございます。それでは」「だから待ってくれティアッ、ティア! 待っ――ちっくしょぉう俺の野望がぁああああああ!」 ばたん、と。 わざとらしく音を立てて、ティアは扉を閉めた。『さぁってお兄様。ティアもいなくなったことですし、気兼ねなく遊びましょう。あっちに、お父様もおじ様もおば様も、みーんな小動物に変えて閉じ込めてありますの。うふふ。遊びがいがありそうですわ』『ちょ、エリー、やめろ、やめるんだ! いくら妹でもやっていいことと悪いことが――』『うふふ、そんなこと言って内心では喜んでるくせに。顔がだらしなく崩れていますわよ、お兄様のへ・ん・た・い』『おかしいだろう! なんでお前らは爬虫類の表情を読めるんだよ!?』『うふ。それにわたくし知ってますのよ。お兄様が王位を欲した理由。妹とでも結婚できる、っていう内容の法律を作りたかったんでしょう?』『な、なぜそれを……ティアにもばれないようにひた隠しにしてたのに!?』「…………いま、自分の使命がわかりました」 漏れ聞こえるそんな会話を聞きながら、ティアはひとつの決心をした。まともなる王家の人間を擁立して、誇りある秩序をこの国にもたらそうとしたのだが、あまりに浅薄だったらしい。ティアは、自分の考えの甘さに恥入り、己の心を戒めた。 もう容赦はしない。 かつかつと足音を響かせながら、ぐっと握りこぶしを作って決意を固める。「一刻も早く、この国を滅ぼさなければ」 高潔な人格者として知られるメディチ侯爵に厳しく育てられた、メディチ家三女の才媛、ティア。 これからそう遠くない未来に、かつて女王に使えていた彼女が民衆を率いて革命を起こすこととなる。そこからこの国は民主主義に移行し、王族は残らず国境付近に送られ「勝手にやってろ変態共! わたしたちの人生に関わってくるな!」みたいな扱いを受けることになるのだが……王権を剥奪されても、身内や趣味の合う一部の特殊な人間の中で自分たちの欲求を満たしていた彼らは、けっこう幸せそうだったらしいらしいとか……。 まあなんにしても。 それはまた、別の話である。-------------------------------------------------------- 作成時間三時間オーバー、字数七千字越えという三語にあらざる迷惑な作品です。興がのったとしか言い訳のしようが……こんな話ばかり思いつく自分の頭が残念でなりません。
中学校といえば、どこの学年にも奇人変人が一人か二人はいるものである。私のクラスも例外ではなく、みずからを「エリザベス女王の生まれ変わり」と信じて疑わない者がいて、ある特定の集団から注目を集めていたものだ。 きっかけは社会科の授業だった。大学ではイギリス文学を専攻していたというシェイクスピア好きの教師が歴史の担当だった。彼は、この稀代の劇作家が活躍する一時代を作った偉人として、イングランド王国テューダー朝第五代国王、エリザベス1世を私のクラスで紹介したのだ。 一人の女生徒が、そのわずかな余談にひどく感銘を受けたらしい。エリザベス1世の父親は、男子の王位継承者を残すために何人もの妃と結婚・離婚を繰り返し、ついにはローマ・カトリック教会より破門されたヘンリ8世。王室史上最高の知識人としても名高かった彼を父にもち、幼いころより聡明に育った彼女は、異母弟エドワード6世の夭折、異母姉メアリ1世の処刑という出来事を経て、波乱あふれる女王としての道を歩み始める。 その女生徒の父親は善良そのものといったサラリーマンであり、母親といえば笑顔の素敵な専業主婦、おまけに弟も姉もいない一人っ子だった。むしろそうした無難すぎる家庭環境が、彼女に女王なる存在への強い憧れを抱かせたのかもしれない。かの教師よりエリザベス1世の話を聞かせられて以後、彼女は青春のただ中にある四ヶ月間を、偉大なるイングランド女王の生まれ変わりとして過ごすこととなった。 とはいえ、誰もが見ている教室のど真ん中でいきなり「我を讃えよ。されば汝らに祝福を与えん」などと叫び出したわけではない。彼女はあくまで日本人らしく、場の空気を読むことに長けた性質を手放さなかった。女王としての真価が発揮されるのは、もっぱら特定の男子生徒と過ごす時に限られた。 それは、エリザベス1世に出会うまでは存在すら知らなかった、地理・歴史部に所属する部員だった。地味な立場にマニアックすぎる知識探求、男ばかりの花のない環境が重なって、彼らは部活の解散さえも考えていた。そこへ彼女が現れ、我が意をえたとばかりに女王さながらの行動をとり始めたのだ。 救世主の登場を喜ばぬはずがない。もともと、スポーツや音楽活動といった花形をあえて避け、ひっそりと深遠な知識の収集に努めていた者たちである。マゾヒスティックな気質を開花させた彼らは、みな一様に彼女への従属を望み、認められた。そして、すべてが彼女を中心に回り始めた。ж 彼らはしばしば、エリザベス女王の周囲で歴史に翻弄された男性を演じた。ある時は父ヘンリ8世、またある時は異母弟エドワード6世、もしくは劇作家シェイクスピア、哲学者フランシス・ベーコン。即位前のエリザベスに性的悪戯を試みて斬首刑に処されたトマス・シーモアや、十数年にわたって関係を噂されたレスター伯ロバート・ダドリー、あるいは新大陸にイギリス植民地を築いた寵臣ウォルター・ローリー卿。さらにはスペイン無敵艦隊に立ち向かった海賊フランシス・ドレイク、対するスペイン国王フェリペ2世、果てはフランス王国ブルボン朝を開いたアンリ4世などになりきって部室の中を歩き回り、語り合い、見つめ合い、罵り合っては和解するという放課後を過ごした。 やがて男性にとどまらず、血染めのメアリと呼ばれた異母姉メアリ1世、姦通罪により斬首されたエリザベスの実母アン・ブーリンさえも彼らは演じるようになった。かつらをつけ、衣装をまとい、化粧を整え、乏しい知識から必死に当時のイングランド王国を想像し、それらしくふるまおうとする彼らの姿は、たとえどんなに滑稽なものだったとしても鬼気迫っていた。そしてそれ以上に、周囲がどれほど役割を変えようともエリザベス1世であり続ける彼女の姿は、絶対の名を付した王政にこの上なくふさわしいものだった。 部室はまさに異空間と呼ぶにふさわしく、現実世界の影響を強く拒む彼らの理想郷が展開されていた。多感な思春期における若気の至り、などといった一言では片づけられないほど、ゆるぎない結束が彼らの間には生まれていた。 それがいつか終わりを迎えるものであることを、当事者として参加し続けていた彼らは理解できない境地にまで達していたに違いない。想像世界への適度な没頭は、人間としての可能性を広げてくれる。だが、過度な没入は単なる妄想であり、幻想の美しい色彩を失った害毒でしかない。何より、彼らはそろそろ受験勉強という圧倒的な現実に直面する必要があった。いつまでも若さという名の特権に甘えているわけにはいかなかったのだ。 ある日、彼らは部室の机に一冊の文庫本を発見した。『涼宮ハルヒの憂鬱』と題されたそのイラスト表紙を見て、その文化を嫌悪する何人かはあからさまに顔をしかめた。だが数人の瞳の奥には好奇心の輝きが見えた。数日後、その小説を読了したらしき者の一人が部活をやめた。より優れた『女王』の支配する虚構世界を見せつけられた彼は、やがて興味の矛先を本格的にそちらへ移していくこととなる。 数日後、今度はクイーンエリザベスの名を冠したバラが花瓶と一緒に活けてあった。薄桃色で暑さ寒さに強く、病気に打ち勝つ力強さをもった品種である。まさに我らの女王にこそふさわしい花束だ……と思ったのは知識探求の足りない者だけで、知的好奇心の豊かな者は気づいてしまった。いや、何としても気づくべきだったのだ。 美しいバラにトゲがあるように、この花束は彼らに疑心暗鬼をもたらした。そう、これは同じエリザベスでもエリザベス2世に捧げられたバラだ。現代の女王なのだ。エリザベスは現代において、ほかにいるのだ。君たちの崇める女王など架空存在にすぎない。無言のメッセージを受け取った彼らは部室から去り、彼女の崇拝者は再び減少した。 その後も彼らにとって得体の知れない贈り物が続いた。模型として置かれた客船クイーンエリザベスは、エリザベス2世と同名の母にちなんだものであり、現代文明の象徴だった。絵葉書に印刷されたクイーンエリザベス国立公園は、アフリカ大陸ウガンダに広がる雄大な自然風景であり、彼らのイメージする貴族社会とまったく相いれないものだった。 彼らは同じ部員の中に犯人がいると確信していたようだが、口にすることはなかった。儚く美しい幻想世界に生きながら、そこから逸脱した現実的な推理を展開するという不粋な行為を誰もが許せなかったのだ。そして調子外れの王宮寸劇を繰り返したあげく、最後に訪れた破滅を摩耗した理性によって受け入れ、ついに解散を迎えたのである。ж 今宵、私は自宅にミキシンググラスとカクテルグラスをそろえ、彼らに与えた最後の贈り物を自身への褒美と変えるべく準備を始める。 氷を入れたグラスに、まずドライジンを半分。仏コアントロー社のホワイトキュラソー、ならびにレモンジュースを四分の一ずつ。最後にニガヨモギから抽出した緑のリキュール、アブサンを少量加え、ふたをしてステア。しかるのちカクテルグラスに注ぐと、気品あふれるブラウンの色味がわずかに泡を立てながら姿を現した。 甘い味わいを楽しみつつ、私は女王の支配する部室で目撃した数々の光景を思い出す。最も彼女に魅せられていたのは、顧問を務めていた私だったのかもしれない。こうして酒をたしなむ程度には大人の経験を積んだ私だからこそ、彼女が見せる中学生離れした言動、仕草、振る舞いに強く惹きつけられたのかもしれない。 今ならわかる。大人に憧れつつどこまでも子供だった彼女は、処女王の異名をとったエリザベス1世を名乗ることで男子と対等に付き合いたかったのだ。肉体関係を望まない彼女は、ただでさえそういったものに奥手な部員たちを巻きこみ、いつまでも優しい幻想世界にわが身を置いておきたかったのだ。 ああ、なんと可憐で健気なことか。担任としても彼女に向ける視線は特別なものだった。同僚の彼には感謝してもしきれないほどだ。彼が彼女の可能性を切り開いてくれたおかげで、私は担任である以外に顧問としても女王と場を同じくする喜びに恵まれた。 だが、どんな喜びも漫然と続くばかりでは慢性化し、いつかは刺激を求めて暴走に転じるものである。崩壊を見守るのは繁栄を傍観する以上の快楽だった。彼らが現実を知り、次々に部室を去るたび、彼女は気丈な顔の奥に涙を隠し、ずっと耐えていた。それを感じ取ることで、私の心にいっそうの破壊願望が生まれたのは何ら不自然なことではない。 今や彼女と最後まで残っていた部員たちは、校舎内で飲酒行為に及んだものとして停学処分を受けている。私が置いたクイーンエリザベス・カクテルのレシピを読み、実際に作ろうとして、ほかでもない私の発見によって破滅を迎えたのだ。聖なる空間を侵害する謎の敵に対して立ち向かう方法が、まさか未成年に禁じられた嗜好品にみずから手を出すことだったとは。中学生の考えることはわからないものだ。期待していたとはいえ、本当に実行してくれるとは思わなかった。 私は無情の、いや無上の幸福に包まれている。この時間が永遠に続いてくれたらいい。彼女らに訪れた不幸の味を確かめながら、いつまでもその蜜に溺れていたい。それが終われば、また作りだせばいい。いつか彼女のように優れた人材を見つけ、再び導けばよいだけのことだ。何を恐れる必要があるだろう。何もためらうことなどない。ж 携帯電話が鳴った。メールのようだ。誰からだろう。パソコンのアドレスならいざ知らず、携帯のほうを誰かに伝えたことはほとんどない。せいぜいが両親兄弟か、ごく親しい友人か、緊急連絡先として教師間の配布物に掲載したくらいである。 メールを開いた。発信人より先に、現れた画像データに目が向かう。文庫本、花束、客船、絵葉書、紙。何かの薬品を使ったのか、あちこちに指紋の跡が浮かび上がっている。べたべたと虫が這いまわったような画像に続いて、ひと続きのメッセージが現れた。 文字は血のように赤く、斬首された男の背景が画面いっぱいに広がっていた。『トマス・シーモアは裁かれねばならない 我々の世界を滅ぼした罪は重い』 ――女王は、まだ、この世界に生きている。 差出人の名を見つめ、私は手にした女王のカクテルを飲み干した。 それはもはや蜜の味ではなかった。――――――――――――――――――――――――― 見直した時間を含めると、三時間をさらに超えていそうです。いけませんね。いろんな意味でエリザベスさんに振り回されたようです。
やっぱ三語は楽しいですね。頭の、最近ずっと使ってなかったところを、考えようとするたびに刺激される感じです。>時雨樹舘さん 死神がほかの生き物の、というか概念自体の命を刈りすぎて互いに殺し合い、殺されると人形になる。ふしぎな世界ですね。新鮮でした。 短い会話のやりとりと、そっけないくらいのヒロインの死が組み合わさっている。個人的には、いっそ滑稽に感じるくらい明るい雰囲気の下で一連の物語が展開されると、かえって悲壮なムードが高まったような気もします。三語の宿命とはいえ、両者の名前がどこかコミカルな響きを逃れえないものであるがゆえに。>とりさとさん お久しぶりです。イメージそのままのライトノベルですね。ドSヒロインですね。ほどよくHENTAIですね。いろいろはっちゃけてますね。こういう方面のお話を書くようになっていたのはびっくりで、でも楽しかったです。 とかげ王子のイカレ具合がばれるシーン、あの辺のひっくり返しがすごかったですね。ソフトな変態さんが続々あふれ出るお話として、何かもうとにかくお腹いっぱいな気分になれました。その勢いでティアも何かとんでもない性癖があったりとか……な展開だと鳥里さんらしくない作品になりそうですが(この手の委員長キャラあってこそなイメージを勝手にもってます)、個人的にはそういうカオスなのも好みだったかもです。>じぶんの クイーンエリザベスの壁を少女への執念一つで突破するには、ごてごてと余計なものをつけすぎました。学校は舞台にしたくなかったのにー。
時雨樹舘さん。 はじめまして、こんばんは。 この悲壮な雰囲気。一番縛りに対して体当たりをしている作品でした。縛りをガン無視したわたしには、その心意気がちょっと眩しい。一時間というしばりもきっときちんとまもられてるんだろうな……うう、色々と無視した自分がはずかしい。 淡々と進んでいく会話が雰囲気をだしています。中身が見えてこないのがちょっと残念ですが、それはそれで三語の醍醐味とも思います。不思議な設定の世界を、短い中、いい空気を使って書ききられていますね。 今後も、三語で遊んでいただけると嬉しいです。 とりさと。 そういえば昔はこんなの書いていなかったことを、ラトリーさんの感想で思い出しました……あれぇ? とにかく、恥じらったらおしまいだと思って書いてました。その割にはところどころ吹っ切れていません。 ラトリーさん。 お久しぶりです。わぁい、三語にラトリーさんが戻ってきたー。 まさかホラーとは予測できなかったです。エリザベスにふさわしい感じの、装飾の豪華な文章。でも、個人的にはもっとぐちゃぐちゃなほうが真っ直ぐエリザベスさんの狂気が感じられて好きだったかも知れません。が、これはこれで、なんかイギリス王室っぽいので、ありです! 一人称なのに、語りがやたら外からだな、誰の視点だろう、と思っていたら、なるほどこの終わりかた。見事な不意打ちでした。完全に他人ごとで、酔っている人の現実に、幻想だったはずのことがするりと中に入ってくる。ぞくりとさせていただきました。たった一文の為にある話って、好きです。綺麗に収めてきましたね。
自分→見直しも何もせず勢いだけで書いた為最後辺りが意味不明とりさと様→とかげ君に笑いました。変態王家にも笑いました。ティア様が可愛いです。面白いです。腹の皮がよじれました。ラトリー様→世界観はんぱないです。エリザベス様が所々壊れていて面白いのか怖いのか。最後のメールはやばいです。今夜夢に出ます。感想すら語彙力不足な時雨樹舘でした。すみません