ホームに戻る > スレッド一覧 > 記事閲覧
RSSフィード [40] 即興三語小説 ―第110回― 締切りは8/7だ。何のことかは分かるよね?
   
日時: 2011/07/31 22:27
名前: RYO ID:hzwGWpgI

私がしばらく土曜日にチャットにこれない可能性が高いので、
しばらくミーティングを日曜の21時に変更します。

傑作選投票始まってます。
面白いものばかりです。よろしくおねがいします。締切りは8/7 23:59です。
--------------------------------------------------------------------------------

●基本ルール
以下のお題や縛りに沿って小説を書いてください。なお、「任意」とついているお題等については、余力があれば挑戦してみていただければ。きっちり全部使った勇者には、尊敬の視線が注がれます。たぶん。

▲必須お題:「リンク」「遠い空」「嵐」
▲縛り:なし
▲任意お題:「謝辞を考えて」「こんな嫁に誰がした」「ビームサーベルは装備したか?」「このくらいにしといてやる」

▲投稿締切:8/7(日)23:59まで
▲文字数制限:6000字以内程度
▲執筆目標時間:60分以内を目安(プロットを立てたり構想を練ったりする時間は含みません)

 しかし、多少の逸脱はご愛嬌。とくに罰ゲーム等はありませんので、制限オーバーした場合は、その旨を作品の末尾にでも添え書きしていただければ充分です。

●その他の注意事項
・楽しく書きましょう。楽しく読みましょう。(最重要)
・お題はそのままの形で本文中に使用してください。
・感想書きは義務ではありませんが、参加された方は、遅くなってもいいので、できるだけお願いしますね。参加されない方の感想も、もちろん大歓迎です。
・性的描写やシモネタ、猟奇描写などの禁止事項は特にありませんが、極端な場合は冒頭かタイトルの脇に「R18」などと添え書きしていただければ幸いです。
・飛び入り大歓迎です! 一回参加したら毎週参加しないと……なんていうことはありませんので、どなた様でもぜひお気軽にご参加くださいませ。

●ミーティング
 毎週土曜日の22時ごろより、チャットルームの片隅をお借りして、次週のお題等を決めるミーティングを行っています。ご質問、ルール等についてのご要望もそちらで承ります。
 ミーティングに参加したからといって、絶対に投稿しないといけないわけではありません。逆に、ミーティングに参加しなかったら投稿できないというわけでもありません。しかし、お題を提案する人は多いほうが楽しいですから、ぜひお気軽にご参加くださいませ。

●旧・即興三語小説会場跡地
 http://novelspace.bbs.fc2.com/
 TCが閉鎖されていた間、ラトリーさまが用意してくださった掲示板をお借りして開催されていました。

--------------------------------------------------------------------------------

○過去にあった縛り
・登場人物(三十代女性、子ども、消防士、一方の性別のみ、動物、同性愛者など)
・舞台(季節、月面都市など)
・ジャンル(SF、ファンタジー、ホラーなど)
・状況・場面(キスシーンを入れる、空中のシーンを入れる、バッドエンドにするなど)
・小道具(同じ小道具を三回使用、火の粉を演出に使う、料理のレシピを盛り込むなど)
・文章表現・技法(オノマトペを複数回使用、色彩表現を複数回描写、過去形禁止、セリフ禁止、冒頭や末尾の文を指定、ミスリードを誘う、句読点・括弧以外の記号使用禁止など)
・その他(文芸作品などの引用をする、自分が過去に書いた作品の続編など)

--------------------------------------------------------------------------------
 三語はいつでも飛び入り歓迎です。常連の方々も、初めましての方も、お気軽にご参加くださいませ!
 それでは今週も、楽しい執筆ライフを!

メンテ

Page: 1 | 全部表示 スレッド一覧 お気に入り 新規スレッド作成

Re: 即興三語小説 ―第110回― 締切りは8/7だ。何のことかは分かるよね? ( No.1 )
   
日時: 2011/08/01 22:17
名前: はしずめ まい ID:Miq53A.Q

 使用したのは、必須お題の「リンク」「遠い空」「嵐」だけですが、よろしければ。


 遠い空から、嵐の気配が流れてくる。
浮かない顔で街を歩けば、橋に行きあたるたびに飛び込まんばかりにまで気落ちしていることに気づかされる。昼ご飯にと買ったメンチが一つ少なくても、文句を言ってやる気力もない。テンションが落ちている、だなんてそんな軽い言葉で済ませたくない。感情のうつろいをつくるのが億劫で、怒ることさえ面倒だ。
家に帰れば、無口な母がいる。「ただいま」と言っても、どうせ「おかえり」は返ってこないから、わざとそっと家に入ればいい。
「メンチ、二つでよかった」
母と兄とわたし。ほんとうは三つのつもりだったが、最近のわたしは食べてもすぐ戻すから、気力をふりしぼって怒らなくてよかった。兄さえいれば母は満足に思うから、わたしが飯を食おうが戻そうが何しようが、さして関心はないだろう。
家も近いし、あったかいメンチのこともある。わたしは走って帰ることにした。
 鍵を開けて家のなかに入ると、母と兄がリビングでテレビを見ているらしかった。わたしは無音で二人のもとに近づき、黙って昼のおかずをテーブルに置いた。そうして自分だけ部屋に行って、床に寝転がった。
「リンクしてぇ。リンクしてぇよなあ」
 男口調になるのは、小学生のころからだった。他人と話しているときは気をつけてはいるが、それでもときどき口をついて出てきてしまう。それは、兄の口調に知らずに合わせているのかもしれない。むかし兄に「おまえが弟だったらよかったのに」と言われたことも、たしかに、男として生まれていたらもっと兄と心親しくなれるのではという幼少の思いも影響しているのかもしれない。
 だが近頃は、そこに別の理由、潜在的な思いがあるような気がする。すなわち、こうだ。わたしも、男として生まれていたらもっと母に構ってもらえたのではないだろうか。
「男の子のほうがかわいい、か」
つぶやいて、ふっと笑う。もし男として生まれたら、この優柔不断な性格は変わっただろうか。
また、ふっと笑う。
「無理な話だ。そんなことわかるはずない。だいたい、生まれついちまったもんは変えられない」
わかるのは、うじうじした性格が変わらないかぎりは母とは永久にリンクできないわけで、男に生まれようが女に生まれようが関係ない。

 外が、騒がしく音を立てはじめた。どうやら雨が降ってきたようだ。
「……やっとか」
 すぐだからと思って、さっきは傘を持たずに出かけた。こんなことなら、メンチを冷まして濡れて帰ればよかったと思った。
わたしは、がばと起き上がると、部屋を出てリビングに顔を出す。
「外、行ってくる」
ア然としている二人を差し置いて、わたしはこの身ひとつで外に出た。
「いい降りしてんじゃん」
 しばらく暗雲を仰いで佇む。それから、ゆっくりと歩きだすのだった。

メンテ
Re: 即興三語小説 ―第110回― 締切りは8/7だ。何のことかは分かるよね? ( No.2 )
   
日時: 2011/08/08 07:20
名前: 二号 ID:X6onh4pY

「オウルよ、準備はよいか」
「はい、族長」
 洞窟の入り口で族長はこの一日の間に何度も繰り返された同じ問いかけを私に尋ねた。何度聞かれても、私の答えは変わらない。
「よろしい。それでは、ついて参れ」
 松明にともされた明かりが風と共に揺れる。揺れている炎はまるで生きているようだと思う。
「足元に気をつけろ。そして私から離れるでないぞ。ここから祭殿までの道のりは私しかしらん。光の届かないほどに深く、道も複雑に入り組んでおる。」
 族長はそう言って、私は静かにうなずいた。
 灯をともしながら歩いているはずなのだが、どんなに目を凝らしても洞窟の壁面をみることは出来ない。まるで暗闇が濃すぎて光を吸い尽くしてしまっているようかのように思える。今歩いているこの空間は思ったより広い道なのかもしれない。ただ、唯一光に照らされた足元の地面を見て、それが乾いているということだけは分かる。

 どれほど歩いただろうか。族長と私はひたすら無言で歩き続けた。私は前を歩く族長の足元を眺めながら、これから自分の身に起こることについて考えていた。
 私はこれから、部族の掟に従い精霊に仕える神官になるための試練を受ける。
 神官の役目とは、端的に言ってしまえば精霊とリンクすることだ。精霊の言葉を聴き、それを人々に伝え、また人々の声をきき、それを精霊に伝える。それが神官の仕事だ。
 そして、神官は部族内の全ての儀式を司る。新しく生まれてくるものがあれば、精霊にそのものの健やかなる成長と幸運を祈り、新たに結ばれる男女があれば、二人への祝福と誓いを精霊の元に伝える。
 我々の部族の信仰は精霊と共にあり、常に精霊に守られている。人も、獣も、植物も、遠い空で生まれこちらにやってくる嵐でさえも、全てのものは精霊から生まれ、死後は精霊の元に返っていく。少なくとも、そう信じられている。
 
 そして、精霊の元に送られていくものがあれば残されたものの声を届けることもある。死者の弔いや、先祖の供養を執り行う。旅立って行ったものたちに、残されたものたちからの言葉を伝えるのも神官の役割だ。

 これから私は見たことも無いその精霊に試されることになる。

 族長は私を祭殿まで送り届けるとこの洞窟を出で、私は暗闇の中で一人試練に臨む。声を上げることも、明かりをつけることも許されない。肉体を忘れ、暗闇の中で、精神のみで精霊と向き合うのだ。その中で精霊が私を試すだろう。見事に認められれば、精霊の声が私を導いてくれるはずだ。暗闇の中を、声を頼りに進んでいくのだ。逆に、精霊の声を聞くことが出来なければ、きっとこの深く暗い洞窟の中でのたれ死ぬことになるのだろう。
 幸いなことに、そうなったとしても恐らく私の死を悲しむものはそう多くないはずだ。私に妻も子もいない。妻を娶ったことはあったが、彼女はもう五年前に精霊の元へ旅立った。

 やがて族長が歩みを止めた。彼はここが祭殿だと言ったが、私にはそれを見ることが出来なかった。ただそこが広い空間の中であるということが洞窟の中に響く族長の声の響きから想像できただけだ。
「それでは私は失礼するよ。オウル、しっかりとな。暗闇に心を飲まれそうになったときは、なぜ自分が自らこの試練に赴いたかを思い出せ。それがきっとお前を奮い立たせてくれるはずだ」
「はい。ありがとうございました」
 そう言って族長は明かりを持って、きた道を再び引き返していった。
 暗闇の中に、一人取り残された。族長の持つ明かりが遠ざかり、やがてあたりは完全な暗闇に包まれた。
 あたりには音も無く、どこからか吹いてくるかすかな風の存在だけが、私に感じられる唯一のものだった。

 暗闇の中で目を瞑り、心を落ち着かせる。精霊の声を聞くための方法なら、この五年間の間に必死に身につけた。
 大切なことは精霊と共にあろうとすることだ。それは、耳をすませながら何も聞かないでいるということだ。それは、何かひとつのことを心に思い浮かべながら、心を空のままにするということだ。自分が二つのものになる感覚。人の世にありながら、同時に精霊の元に向かおうとすることだ。
 私は耳を澄まし、精霊の声が聞こえてくるのを待つ。
 精霊の声は聞こえない。

 精霊の声を待つ間、彼女のことを考えることにした。精霊の声を聞くことが出来れば、彼女の声も聞こえるのだろうかと。

 以前、部族の外の神官に、彼女の声を聞きに言ったことが会った。
「声を聞きたい者はいるか?」と、彼は言った。
「死んだ妻がいる。できることならば、彼女に会いたい」と、私は答えた。
 その神官は彼女は私にこれこれこう言っていると、もっともらしい話を私に伝えたはずなのだが、その内容を思い出すことは出来ない。なぜだかそれは彼女の本当の言葉ではないのだろうと感じられた。そして、このようなことを言って残された者たちの心を静めるのが、この男の役目なのだろうと理解した。
 そんなことを思い出していると、やがて、風が止んだ。

「聞こえる?」かすかに、どこからか声のようなものがが聞こえた。
「はい、聞こえます」
「そう」と、声は言った。
「あなたが私を導いてくれるのですか?」私がそう尋ねると、どこからか、笑い声が漏れる音が聞こえた。
「どうかしら? 私が悪魔だったら、あなたはどうする? もしかしたら、私はわざとあなたを迷わせて、私たちの仲間にしようとするかもしれない。そんな風に考えてみて。どう? 私を信用できる?」
「あなたは精霊ではないのか?」
「質問はしないで。あなたはただ聞かれたことにだけ答えればいいの。試されているのはあなたで、私ではない。私があなたを試しているの」
 実際には、風を頼りにして進んでいくことだって私には出来る。先ほどからここに吹き込んでくる風から考えるに、恐らく出口は複数あって、それらが風の通り道を生み出しているのだろう。声はもう聞こえた。精霊でも悪魔でも、その声が私を惑わすならば、自分の足で帰ることにすればいい。私はそう考えていた。
 しかし、私の考えを見透かしたかのように、笑い声が聞こえた。
「ここにはいたるところに深い竪穴が散らばっているの。そこに落ちたらもう二度と上には上ることはできない。風を頼りに出口を探すというのは全くの自殺行為ね」
 再び、どこからか笑い声が聞こえた。
「わかりました、信用します」と、私はいった。
「そう、ならついてきて」と、彼女は言った。
 
 それからしばらく、彼女に導かれるままに暗闇の中を進んでいった。暗闇の中であったが、声に従っていれば不思議と道は平坦なものだった。もちろん深い竪穴に落ちることも無く。私は歩き続けた。どれくらい歩いたのかはわからないが、同じところを何度も歩かされている感覚はあった。私はただひたすら耳を澄まし、かすかな精霊の声を見失わないようにと努めた。この声に従っている限りは、私はきっと安全だという気がしていた。他のものには聞こえない声。この声に従っている限り、私は常に精霊に守られていることになるのだろう。これは精霊に認められることで私が手に入れた力だ。精霊に認められない他のものたちにはこの声を聞くことは出来ない。私はこの声が聞こえない者たちを哀れに思い、それと同時に、心地よく暗い優越感に浸っていた。

 そんなことを考えていると、突然彼女の声が消えた。私は暗闇の中に取り残され、身動きひとつ取れなかった。先ほどのよこしまな気持ちが精霊に伝わってしまったのだと、私は理解し、そのことを後悔した。どれだけそうしていたかは分からない。ただそれはとても長い時間のように感じられた。心臓の鼓動が早くなるのを感じた。暗闇が一層身近に感じられる。体がその中にとけていってしまうかのような。やがて思考までもが暗闇の中に溶けていく。薄れていく意識の中で、最後まで残っていたのは、自分の愚かさを恥じる気持ちと、神官を志した理由についての記憶だった。

「思い出せたかしら?」
 しばらくして、再び、突然彼女が口を開いた。その声によって、暗闇の中から意識を引き上げられていくのを感じた。
「目の前にはとても深い竪穴が広がっているわ。底も見えないくらいの。そしてあなたが立っているここはもうがけっぷち。どう? 怖い?」
「怖がらなくてはいけないのですか?」
「このままあなたを突き落としてしまうことだって出来る。 恐ろしくはないの?」と、彼女は言った。
「恐ろしくはありません」
「なぜ?」と、彼女は尋ねてきた。
「あなたが確かに精霊であることは分かっています。これ以上の問答は不要です。ましてや、君がそんなことをするとは思えない」
 彼女は答えなかった。


 再び、懐かしい声で彼女は語り始めた。
「精霊は、私たちは、誰かに声を聞かれることを待っているの。ねえ、死んでしまった後に、自分と親しかった人たちみんなが自分のことを忘れてしまうことって、怖くない?」
「私は死んでしまったくらいで誰かのことを忘れたりはしない」
「ありがとう。でも、怖いの。精霊とはそういうものなのよ」彼女はそういった。
 しかし、残されたほうだって、それは同じだ。私たちはいつだって去っていった人々に声を届ける方法を探している。それがどんなものであれ、突然去っていった人々から何か言葉が来ることを待っている
 彼女が伝えようとしていることが、分かったような気がした。
「自分自身のみでなく、人と精霊を結ぶことが、神官の役目ということか」
「そう」彼女は言った。「いい神官になれそうね」
 それから私たちは無言で対峙していた。
「本当は、もうすぐ出口なの」と、彼女が言った。
「試練が終わったら、君は消えてしまうのか?」
 彼女は答えなかった。答えないということはそれが答えなのだろうと思うことにした。
 そのかわり、背中に何か暖かいものが触れるのを感じた。耳元を暖かい風が撫でた。

「また会えるだろうか?」と、私は尋ねた。
「どうかしら? あなたが精霊の元に帰る時がきたら、その時には会いに行くつもりよ」
「そうか」
「残念?」
「ああ、どうやらそれまではまだまだ長い時間がかかりそうだ。それまで、君を待たせるに忍びないよ」
 彼女は何も言わなかった。
「ならもう少し、こうしていることにしよう」
 それからしばらくして、彼女のぬくもりは私の背中から消えていった。
 暗闇は再び熱を失い、その中で熱を放っているのは、ただ一人、私だけだった。


 すいません。書いている途中で眠ってしまって、遅刻記録を大幅に更新してしまいました。ホントにすいません。めでたい感じの話にしようとしたのですが、なぜだかなりませんでした。すいません。

メンテ

Page: 1 | 全部表示 スレッド一覧 お気に入り 新規スレッド作成

題名 スレッドをトップへソート
名前
E-Mail 入力すると メールを送信する からメールを受け取れます(アドレス非表示)
URL
パスワード (記事メンテ時に使用)
投稿キー (投稿時 投稿キー を入力してください)
コメント

   クッキー保存