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RSSフィード [387] 即興三語小説 ―「溶ける」「錬鉄」「帰れない」
   
日時: 2018/06/10 21:55
名前: RYO ID:NURkPqBk

●基本ルール
以下のお題や縛りに沿って小説を書いてください。なお、「任意」とついているお題等については、余力があれば挑戦してみていただければ。きっちり全部使った勇者には、尊敬の視線が注がれます。たぶん。

▲必須お題:「溶ける」「錬鉄」「帰れない」
▲任意お題:
▲任意縛り:

▲投稿締切:6/17(日)23:59まで 基本的に毎週日曜です。連休のときは連休の末日。投稿がない場合、延長することがあります。

▲文字数制限:6000字以内程度

▲執筆目標時間:60分以内を目安(プロットを立てたり構想を練ったりする時間は含みません)

 しかし、多少の逸脱はご愛嬌。とくに罰ゲーム等はありませんので、制限オーバーした場合は、その旨を作品の末尾にでも添え書きしていただければ充分です。

●その他の注意事項
・楽しく書きましょう。楽しく読みましょう。(最重要)
・お題はそのままの形で本文中に使用してください。
・感想書きは義務ではありませんが、参加された方は、遅くなってもいいので、できるだけお願いしますね。参加されない方の感想も、もちろん大歓迎です。
・性的描写やシモネタ、猟奇描写などの禁止事項は特にありませんが、極端な場合は冒頭かタイトルの脇に「R18」などと添え書きしていただければ幸いです。
・飛び入り大歓迎です! 一回参加したら毎週参加しないと……なんていうことはありませんので、どなた様でもぜひお気軽にご参加くださいませ。

●ミーティング
 毎週日曜日の21時ごろより、チャットルームの片隅をお借りして、次週のお題等を決めるミーティングを行っています。ご質問、ルール等についてのご要望もそちらで承ります。
 ミーティングに参加したからといって、絶対に投稿しないといけないわけではありません。逆に、ミーティングに参加しなかったら投稿できないというわけでもありません。しかし、お題を提案する人は多いほうが楽しいですから、ぜひお気軽にご参加くださいませ。

●旧・即興三語小説会場跡地
 http://novelspace.bbs.fc2.com/
 TCが閉鎖されていた間、ラトリーさまが用意してくださった掲示板をお借りして開催されていました。

メンテ

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Re: 即興三語小説 ―「溶ける」「錬鉄」「帰れない」 ( No.1 )
   
日時: 2018/06/17 20:26
名前: マルメガネ ID:Gz9Aac16

錬鉄工場


 炉に一心不乱に石炭を投入していたリチャードは、石炭用のスコップを置き、真っ黒になった顔を拳で拭った。
 炉は長大な、形状としては徳利を横倒しにしたような反射炉である。
 その中には、製鉄して得られた、鋳物鉄、銑鉄が押し込まれており、彼が焚口に石炭を投入していたのは火力を上げ、中にあるそれらの鉄を溶かすためである。
 炉の中ほどには小さな窓がいくつか開けてあり、ときどき蓋を開閉しながら、錬工が長い鉄棒でかき回し、絡みついた錬鉄を取り出している。
「おい。リチャード。もっと焚け。温度が上がっておらぬ。このままじゃ帰れないぞ」
 錬工の親方が怒鳴った。
「溶けない?」
「いや、溶けるが、全体的に温度が上がっておらんのだ」
 親方に言われて、リチャードは再び炉の中に石炭を放り込み始めた。
 この時代。つまり十八世紀の終わりはこのようにして、鋼ではなく軟鉄を得ていた。それらをするにはかなりの経験と勘だけが頼りの職人技であり、今からすればかなり効率の悪い方法であった。
 少なくとも溶解した銑鉄、鋳物鉄をかき混ぜることによりその部分が脱炭させる方法と言うことでパドル法と呼ばれる。
 そこで得られた錬鉄は様々に利用されていたが、脆い欠点があった。
 ドイツでは木炭製造のために山あるいは原野の森林が丸裸になり、その反省から植林事業が始まり、黒い森が誕生している。
 製鉄は需要の高まりから新たな製法を編み出す過渡期だったのである。
 リチャードは十九世紀の初めに生まれ、一大重工業国になっていたイギリスのベッセマー氏が転炉法を編み出しつつあり、錬鉄工場も存続の危機にあった。
 やがて、ベッセマー氏が編み出した転炉法が成功し、幅広く行われていたパドル法も姿を消していった。
 リチャードが勤める錬鉄工場の最後の操業が行われた後、そこは歴史の彼方に消えた。

 

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