今週から9月ですね。夏休みも終わって、 もう少しすると、なんとなく年末を意識し始めるんだろうな。 秋を感じるのはもう少し先になると思いますが。 ----------------------------------------------------------------------------●基本ルール以下のお題や縛りに沿って小説を書いてください。なお、「任意」とついているお題等については、余力があれば挑戦してみていただければ。きっちり全部使った勇者には、尊敬の視線が注がれます。たぶん。▲お題:「秋風」「盆栽」「保存」▲任意お題:なし▲表現文章テーマ:なし▲縛り:なし▲投稿締切:9/6(日)23:59まで ▲文字数制限:6000字以内程度▲執筆目標時間:60分以内を目安(プロットを立てたり構想を練ったりする時間は含みません) しかし、多少の逸脱はご愛嬌。とくに罰ゲーム等はありませんので、制限オーバーした場合は、その旨を作品の末尾にでも添え書きしていただければ充分です。●その他の注意事項・楽しく書きましょう。楽しく読みましょう。(最重要)・お題はそのままの形で本文中に使用してください。・感想書きは義務ではありませんが、参加された方は、遅くなってもいいので、できるだけお願いしますね。参加されない方の感想も、もちろん大歓迎です。・性的描写やシモネタ、猟奇描写などの禁止事項は特にありませんが、極端な場合は冒頭かタイトルの脇に「R18」などと添え書きしていただければ幸いです。・飛び入り大歓迎です! 一回参加したら毎週参加しないと……なんていうことはありませんので、どなた様でもぜひお気軽にご参加くださいませ。●ミーティング 毎週日曜日の21時ごろより、チャットルームの片隅をお借りして、次週のお題等を決めるミーティングを行っています。ご質問、ルール等についてのご要望もそちらで承ります。 ミーティングに参加したからといって、絶対に投稿しないといけないわけではありません。逆に、ミーティングに参加しなかったら投稿できないというわけでもありません。しかし、お題を提案する人は多いほうが楽しいですから、ぜひお気軽にご参加くださいませ。●旧・即興三語小説会場跡地 http://novelspace.bbs.fc2.com/ TCが閉鎖されていた間、ラトリーさまが用意してくださった掲示板をお借りして開催されていました。--------------------------------------------------------------------------------○過去にあった縛り・登場人物(三十代女性、子ども、消防士、一方の性別のみ、動物、同性愛者など)・舞台(季節、月面都市など)・ジャンル(SF、ファンタジー、ホラーなど)・状況・場面(キスシーンを入れる、空中のシーンを入れる、バッドエンドにするなど)・小道具(同じ小道具を三回使用、火の粉を演出に使う、料理のレシピを盛り込むなど)・文章表現・技法(オノマトペを複数回使用、色彩表現を複数回描写、過去形禁止、セリフ禁止、冒頭や末尾の文を指定、ミスリードを誘う、句読点・括弧以外の記号使用禁止など)・その他(文芸作品などの引用をする、自分が過去に書いた作品の続編など)
盆を過ぎると、それまで暑く湿ったような風から爽やかな秋風に変わったことを感じる。夏空に沸き立つ入道雲もいつしか流れるような雲に変わり秋めいているが、その去りゆく夏を惜しむかのように蝉が鳴き騒いでいる。 形見としてもらった盆栽は、種の保存、という目的ではないが庭に鎮座している。青々と茂っているさまを見れば、いつしか剪定してやらねばならないだろうな、と思いつつもその手法、管理についての知識は全くなく途方に暮れる。 いずれにしても処分するには忍びなく、そのまま飾っておくべきか、庭に植えるべきか、ということになりそうだが、庭に定植するとなれば暑さが和らいだ時期とはいえ、冬を待たねばなるまい。 時間を少し巻き戻せば、初盆を迎えた外戚のおじいさんのものだった。 生前は猫の額ほどの狭い庭に様々な木や植物を植えて、なおかつ流木で作ったものらしい鉢をつりさげていた。 それらの世話をしながら、時には愛でていた。 形見としてもらった盆栽もそのうちの一つで、かなり手入れがなされていて、それはみごとなものだったのだ。 たくさんあったそれらは、愛好家などに引き取られていったが、最後の一鉢だけはどういうわけか巡り巡って自分の家に来た。 物好きねぇ、と言われるけども来たものは仕方がないことだし、返すこともできない。 ただ、あの猫の額ほどの狭い庭に暇をみつけては入って、なにかの作業をしていたおじいさんの姿を思い出せば、そうそう簡単に処分できなくなる。 そこまでの愛情があると思えば。 縁側に座り、秋の様相を見せ始めた空を見上げ、缶ピースの缶から一本煙草を取り出して、火をつける。 香りを含んだ煙が秋風の中に消えていくのを眺めつつ、私は盆栽の保存を決めた。
性懲りもなく粗筋です。プロット立てるまでに3,4時間くらい。粗筋書くのに3,4時間くらい。================================夏の終わりのBOY MEETS 魔王 蒹垂 篤梓================================ブレーンストーミング・落葉・斜陽・落ち目、衰え・カリスマの魅力の衰え・衰えに抗う・新旧対立、新旧交代・引退勧告・追い落とし、策謀、・嫉妬・見栄・円満な引退・第二の人生のスタート・諦めたふりをして、くすぶり続ける情熱・才能を保存しておく魔法/アイテム・他人の才能を奪い保存する・カリスマコレクター・老後の趣味・老人の手慰み・盆の上の宇宙・盆上宇宙の世界樹・コスモパワーに目覚める(笑)・盆栽サークル・引退した元カリスマ達の集まり・衰えたりといえどスペシャリスト揃い・足りないのは希望と発想力?・虫の声・虫との対話、虫の知らせ、危機の兆候・気温が下がる・乾燥し始める・食欲、読書、夜長、恋、紅葉、観光、・秋雨前線、台風・波乱・実り、結実、収穫、成果が出る・苦労が報われる・センチメンタル・アンニュイ・冬の到来の予感・質量保存・エネルギー転換・夏の終わり・蝉の声が消えていく・夏休み最終盤、始業式、二学期の始まり・夏の間に変わったこと・成長したこと、しなかったとこ・宿題の残り・夏の思い出・人生のやり残した宿題・涙もろくなる、感情的になる・遺品・想定されない(偶然の)/意図されたメッセージ・盆栽を棲処にするミニマムなナニか・絶滅に追いやられかけたナニか・可能な限りあらゆる交配を繰り返す・惑星一つ飲み込む勢いで適合遺伝子を探す飛躍・盆栽の鉢に封じられた魔王・大昔、異界にて魔王を封じた勇者・戦ってる内に気心が知れて勝手に和解・ほとぼりが冷めるまで封印されとけ・うっかり持って帰ってきた・すっかり忘れてた・どうする?・他の仲間も面倒なので封じていたのを忘れてた・才能に限界を感じて勇者を引退・今はただの女好きの爺・ワシだけいつも肉弾戦でカッコ悪いんじゃもの・最後に残った盆栽、さて何だったか?・勇者機関・昔懐かしい「来訪者居座り系」展開?・戦闘:世界の存亡を賭けたじゃれあい・平穏:異常な来訪者と平凡な日常・やたら庶民臭い魔王・最終兵器・盆栽を棲処にする魔王・ふふふ、資質だけならワシを凌駕しよるわ・両親は凡人・植え付けられた常識が覚醒を阻害・まあ、本人次第じゃろな・……ということが昔あってね」・元は小さな生き物=スライム================================プロット序:とんでもなく間抜けでおっかないBoyMeetsGirlinsert・爺さんと僕 → 盆栽から出てきた魔王と名乗る美少女turning-point1・魔王、ブチ切れる破:これでいいのか的な日常moving-action・ 魔王対元勇者たち → 手打ち → 穏やかな日常風景turning-point2・最後の一個の盆栽から這い出るモノ急:みんな仲良く暮らしましたとさbest-peak・魔王、爺さんピンチ → 少年の覚醒 → 対決 → 勝利epilogue・みんな仲良く暮らしましたとさ・……ということが昔あってね」================================粗筋 夏休みも最終盤、宿題の残りが気になる頃。少年は、近所にある祖父の家で話を聞いている。夕方に吹く風はひんやりとして、早くも秋風を思わせた。 ふと気になったのは、いつも庭に並んでいる盆栽。手入れしている様子もないのに枯れもせず、また繁りすぎもしない。手に取ろうとして……、独りでに動いた? 思わず取り落としてしまう。が、鉢は割れず、枝の一本も折れなければ、葉一本落とすこともない。「忘れとった」 祖父の言うには、三百年ほど前にこことは違う異世界で魔王と対決したが決着が付かず、ある条件で手打ちをし、一時的にという約束でその盆栽に封印したのだと。「すぐに解放して、条件とした約束を果たそうと思っていたのじゃが……」 その後のごたごたで忘れていたのだという。あんた、いくつだよ?「お前、秘密守れるじゃろな」 念押しの理由も分からず、迫力に呑まれて頷く少年。何やら呪文めいたつぶやきを口の中でもごもごやる祖父。すると、まばゆいばかりの光に包まれ、そこには……「やっと、出れた!」 異国風の、カラフルでひらひらとしたローブのような物をまとう美少女が、鬼の形相で立っていた。まさか、本当だったとは。「ぶん殴る!」 いきなり戦闘モードの少女……魔王。 老いたりとはいえ元勇者、常識外れの戦闘力で魔王と対決する祖父。しかし、実力差は明らか。「ワシ殺したら、美味いもん喰えんぞ」「ふん。ワタシがこの地を征服し支配すれば美味い物なぞいくらでも食い放題ぞ」「嘘を吐かんか。何もかも殲滅してしもて、傅く者どころか、作物一つ残さんじゃろが。支配なんぞ、よくも言うたもんじゃな」「う」 図星だったようだ。「だが、このままでは気が済まぬ。殺しはせぬが、遊びの相手にはなって貰うぞ」 足腰立たぬまでこてんぱんにされた祖父がいた。「この辺で取れる店屋物を片っ端から注文するかのう」 ちゃぶ台に乗りきらず、折りたたみのテーブルを二つ広げてようやくという大量の料理を前にして、魔王というトンデモな、見た目だけは可憐な美少女がきらきらと瞳を輝かせている。猛然と食べる魔王。唖然とするばかりの少年を横目に、あっという間に皿を片づけていく。完食するのに三十分はかかっていないだろう。「今日のところは勘弁しておいてやろう」 結局居着いてしまった魔王。何だかんだで、毎日のように遊びに来る少年。数百年ぶりに力の加減を覚えた魔王。戦う相手としてではなく、ただそこにいるだけで価値のある存在としての他人、あるいは自然やあらゆる物を生まれて初めて感じる。 そんなことでしばらく平穏な日が続く。 一つだけ、残った盆栽がある。そこから滲み出る粘液状のモノ。始めはバクテリアなど小さな眼に見えないものから、次第に小さな虫などを補食する。黒い粘液であるそれは、小さな隙間の暗闇に入り込んで身を隠す。 やがて近隣で動物が姿を消す。犬、猫、ペットたちに行方が知れなくなる。時々見掛けた野良猫の姿も見なくなる。 そしてついに、人が消える。「忘れとった」 見ると、最後の盆栽の鉢に小さなヒビが。そこから逃げたのだろう。老元勇者と魔王がじゃれ合った時に出来たに違いない。「今度は何なのさ」 憤る気持ちは皆同じ。否、魔王だけは愉しげに瞳を輝かせている。根っからの戦闘狂である。「分からん。結局正体は知れなんだが、次元を一つ呑み込まんとしとったバケモノじゃ」「で、ソレも盆栽に入れて忘れてたと?」「うむ」「神聖樹の効果で相当力は削がれておったはずじゃがのう」「この盆栽、そんな作用があるの?」 魔王の方を見る。「確かに、ワタシの力も削がれておるようじゃ。どうりで身体が怠いと思うた。しかし、言うてもこの次元世界で、曲がりなりにも今のワタシと張り合えるのはこの爺しかおらぬぞ。それも数日もすれば完全に復活するであろうな。あまり効果はないのではないか」 しれっと言う魔王。「こやつの場合は力の強すぎるただの馬鹿じゃから、浄化と言うて削げる力はそう多くはないのう。しかし、あれは違おう。あれは他者の力を呑み込んで肥大化するモノのようじゃ。その力を吐き出させる効果はあるはずじゃ。上手くすれば元の姿に戻っておろう。元がどんなものであったか、ワシは知らんがのう」 ともかく捜索に当たる。 夜。闇の中を蠢くモノのある。始めに見付けたのは魔王。躊躇いや逡巡などは、もちろん、ない。「まずいぞ!」 相手は形を持たない粘液生命体。千切れようと弾けようと、一欠片の断片から元に戻る。全盛期の魔王なら、圧倒的な熱量で素粒子レベルにまで解体できたかも知れない。その差は大きくないと当人は言う。しかし、致命的な差であった。「魔王が取り込まれてしもうたら取り返しの付かんことになる」 そこに割って入ったのは、力を持たない少年。資質はあれども、その使い方を知らぬ。それが、「見違えたぞ、少年」 姿は同じ、心根も性格も変わらない。けれど、その存在の有り様が根底から変わっている。「魔王ちゃんを助けなきゃと思ったら……。それに、聞こえるんだ」「聞こえる?」「うん。寂しい、寂しいって」 今も巨大化を続けるソレを見上げる少年。「ちょっと、お話ししてくる」 少年には聞こえた。コレの声が。小さな小さな、いわゆるスライムと呼ばれる生態であった。乱獲され、最後の一匹となった時、奇跡は起こった。気紛れに降り立ったその世界の神を呑み込んだのだ。以降、呑み込んだモノの力を行使することが出来るようになる。 しかし、そのスライムの望んだのは、力ではなかった。自らの遺伝しに適合する、つまり、子孫を残しうる相手を探すことだった。種の保存を図る――その強い本能的な衝動に突き動かされていた。呑み込むのは、相手を知るため。急襲するのは適合しなかったから。それしか、出来ることがなったから。 けれど、本当は何よりも、「寂しかったんだな」 少年は手を差し伸べ、「友達になろう」 *……ということが、昔あったんだ」 と、その少年は言った。見かけだけは古い古い石造りの塔の一室。「魔法使いの塔」と呼ばれている。 対面するのは、見た目には少年と歳の変わらない少女。その実、年の差は一世紀ほども空いている。少女は今年この学園に入学したばかりだ。「その後、魔王さんはどうしたんですか?」「元気にしてるよ。呼ぼうか?」「いえ……、勘弁して下さい。塔が消滅してしまいます」 あれから随分器用になって、相変わらず傍若無人なところもあるけど、その実かなり繊細にはなってるんだけどねぇと心の内でつぶやく。「当人が聞くと傷付くと思うよ」「そう……なんですか?」 この塔の最上階に、誰もが憧れる魔法学院の学院長がいる。見目麗しく、優しく暖かみのある笑みを浮かべ、しかも、圧倒的な魔力に繊細な魔法制御力を備え持つ。あらゆる次元世界の魔法使いから尊敬され、理想とされる。 そんな学院長であるが、ちょうどこの時、くしゃみが止まらなかったという。「少年め、どんな噂をしておるのだ」 愉しげに、少し残忍な笑みを浮かべるのだった。(。・_・)ノ================================キー•アイテム盆栽:神聖樹。世界樹的な何か。都合の良い感じで御利益がある。キャラクター•ジャーナル少年:爺さんの孫 勇者としての資質はあるが普通に育てられた弊害で発揮できない。 常識が、異能を制約している。 資質だけなら祖父以上か。爺さん:災厄と呼ばれた勇者機関所属の元勇者 魔王と、「災厄」と呼ばれるヤバいモノを封じた 引退してからは普通の人生 子がいて孫がいる 子供に勇者の資質はない その資質は孫に受け継がれる 自身異世界から流れ着いた異界流民魔王:戦闘狂の美少女 往時の爺さんと互角の強さ 戦闘が愉しすぎて決着もつかず手打ちした 手打ちの条件は旨いもの腹一杯だった ほとぼりが冷めるまで神聖樹に封じられる そのまま忘れ去られ現在に至る 強者とは戦いたがり、殺さずにいられない 弱者に価値を見いだせず、殺さずにいられないスライム:冒険者による乱獲で絶滅の危機に 種族で最後の一匹 神を飲み込み災厄化 次元をさまよい生けるもの全てを呑み込む元勇者パーティー 当時の勇者が魔王と対決する時に組んだパーティ 組んだというか押しつけられたというか お目付役的な役割 実力は世界最高峰ではあったが勇者より数段劣る 結界術師を含む 戦いの邪魔という理由で封印され忘れ去られる その中に結界術師は含まれない 結界術師=婆さん?キーワード勇者機関:勇者召喚管理機構とも。謎組織。(。・_・)ノ
二本目、やはり粗筋です。=================================そばにいても 蒹垂 篤梓=================================ブレーン?ストーミング・落葉・斜陽・落ち目、衰え・カリスマの魅力の衰え・衰えに抗う・新旧対立、新旧交代・引退勧告・追い落とし、策謀、・嫉妬・見栄・円満な引退・第二の人生のスタート・諦めたふりをして、くすぶり続ける情熱・才能を保存しておく魔法/アイテム・他人の才能を奪い保存する・カリスマコレクター・老後の趣味・老人の手慰み・盆の上の宇宙・盆上宇宙の世界樹・コスモパワーに目覚める(笑)・盆栽サークル・引退した元カリスマ達の集まり・衰えたりといえどスペシャリスト揃い・足りないのは希望と発想力?・虫の声・虫との対話、虫の知らせ、危機の兆候・気温が下がる・乾燥し始める・食欲、読書、夜長、恋、紅葉、観光、・秋雨前線、台風・波乱・実り、結実、収穫、成果が出る・苦労が報われる・センチメンタル・アンニュイ・冬の到来の予感・質量保存・エネルギー転換・夏の終わり・蝉の声が消えていく・夏休み最終盤、始業式、二学期の始まり・夏の間に変わったこと・成長したこと、しなかったとこ・宿題の残り・夏の思い出・人生のやり残した宿題・涙もろくなる、感情的になる・遺品・想定されない(偶然の)/意図されたメッセージ・盆栽を棲処にするミニマムなナニか・絶滅に追いやられかけたナニか・可能な限りあらゆる交配を繰り返す・惑星一つ飲み込む勢いで適合遺伝子を探す・倦怠期・別れ話・別れ話のもつれ・ストーキング・離別=================================ブレーン?アレンジメント・夏の終わりと共に訪れる離別・若者のために立ち上がる老人達・かつてのカリスマ達・ある日、盆栽に住み着いたナニか・ナニかを追うナニか・濡れ衣? それとも…・近所の爺さんの遺品の盆栽・自称魔法使いの爺さん・爺さんの語る「与太話し」・黒い捕食者・他者の幸運を糧に生きるモノたち・宿主を不幸にしないため一定期間で余所に移る・爺さんの秘密道具・自称爺さんの孫という爺さんの妹・そして僕は、魔法使いの弟子になった。=================================プロット序:ウチの盆栽に小人さんが住み着いた!?insert・近所の爺さんの遺品の盆栽に小人が住み着く → 逃げられる、相手にされない・猫に襲われそうなところを助ける → 親しくなるturning-point1・怪しい男に声をかけられる破:イヤなヤツ!moving-action・怪しい男の話を小人にする → 黙っていなくなるturning-point2・再び男に遭う急:才能の開花、そして魔法使いの弟子になるbest-peak・心を覗かれたようなイヤな感じ → 小人さんの身に危険の迫ることを感じる・爺さんちへ忍び込む → 爺さんの孫を自称する女性に会う → 魔法のスティックを得る・女性の手引きで小人さんの危機に駆けつける → 目覚めた魔法の才覚で敵を倒すepilogue・魔法使いの弟子となる → 小人さんとパートナーになる=================================粗筋 少年がそのモノに気付いたのは、月の明るい夜。暦の上ではとっくに秋で、けれど昼間には夏の名残りの蝉が鳴く。夜になれば秋虫が鳴き、ひんやりとした秋風が吹く。 庭を眺めながら、縁側に置いたおにぎりに手を伸ばそうとして、ぱっちり目が合う。 小さな子供の掌くらいのソレ。身体があって手足が生え、ちっちゃな頭が乗る。それも、美少女の。「小人さん?」 声を掛けると、ハッと気付いて一目散に逃げていく。「待って」なんて言う暇もない。月皓りを避けて暗がりの中へ。それでも、逃げて行く先はばっちり見えた。 それから何度か少年は小人の少女を見掛ける。相変わらず気付いた瞬間に逃げられてしまって、言葉を交わす機会を与えては貰えなかったが。 縁側の隅に、一つだけ盆栽の鉢がある。 近所に住む老人が亡くなったのが数日前。遺品の中からこの盆栽が少年の元に届いたのは、老人の妹という人物が少年に届けて欲しいと言ったからだそうだ。少年がよく老人を訪ねて話を聞いていたことを、何かで知ったのだろう。それとしても、十代の少年に盆栽という選択はどんなものだろうか? その盆栽の樹の根元に小さな握り拳くらいのドアが付いていることに気付いたのは、あの月の夜の翌日のことだった。不思議なことにそのドア、少年以外には視えないらしい。 猫の鳴き声を聞いたのは、それから数日後のこと。少年宅に飼われる猫は気侭でふてぶてしく、時々帰ってきて餌をねだる以外はどこにいるのか知れたものではない。 少年がキャットフードの用意をしていると、「助けて!」 女の子の切羽詰まった声。放り出して声の方へ向かえば、小人さんが猫に押さえつけられている。「ちょっと、笑ってないで助けてよ」「ごめん、ごめん」 少年は猫の首根っこをひっ捕まえて持ち上げる。「レディはもっと丁重に扱うものだぞ」 と、餌のある方へ。「ありがとう」 はにかんだ少女の礼に、「どういたしまして」 朗らかに笑って返す少年だった。 ある日、道を歩いていると見知らぬ男に声を掛けられる。見るからに怪しい男。その場で警察に通報しようとしたら、警告めいた言葉を残して去って行く。曰く、「幸運をもたらす座敷童ばかりじゃない。座敷童に見せかけた疫病神に気を付けろ」 あまりの怪しさ、中途半端に格好を付けた素振りの滑稽さが印象的で、帰ってから小人さんに話す。あの一件から、普通に話くらいはしてくれるようになっていた。 知り得たのは、小人さんたちが流浪の民であること。連絡を取りあいながら、基本は一人であること。人とは関わりを持たないようにしているということ。冬になる前には、ここを出て行かないといけないということ。少年のことを嫌っていたわけではないということ。 少年の話を聞く小人さんはいつも好奇心に瞳を輝かせ愉しそうにしている。ところが今日は、「そう」 素っ気ない返事。妙な胸騒ぎを覚えながらも、その場は分かれるしかなかった。 翌朝、少年は盆栽の樹の幹にドアがなくなっていることに気付く。「まだ何ヶ月も先だって言ってたのに」 ひどく落胆する少年。 そこに近付く影は、あの怪しい人物。「正体がばれたから逃げ出したのだ。言ったろう、アレは福をもたらすモノではない。取り憑いた者の持つ幸運を喰らい、幸福を啜って生きる魔性のモノ。アレが去った後には全ての運を奪われ破滅し、生命すら投げ出した亡骸だけが残る。お前が運が良かったのだ。そうなる前に私に会った」「そんなこと!」「なら、なぜ逃げた。何も言わずに姿を消したのは疚しいからだ。違うか」 そんなことはない! 心の内で叫ぶも声になって出ない。男の言葉に呑まれる。男の放つ雰囲気、男の眼に引き寄せられる。まるで心の内までを見透かされ、探られるように。 その不快感に、身体ごと捻って目を逸らす。「もはやお前には関係のないこと。忘れてしまうがいい」 立ち去る男。釈然とせず立ち尽くす少年。 心掻き乱す厭な予感。拭いきれない不安。どうしたら…… ふと思い出すのは、あの老人の言葉。「誰にも相談できないような困ったことが起こったら、ワシを頼れ。誰にも分からないようにこっそりと、そして確実に問題を解決してやろう。何しろワシは、高名な魔法使いじゃからな」 完全に信じていたわけじゃない、けれど本当だったら面白いな、いいのになと思って聞いていた老人の話。魔法を使った数々の冒険。巨大な竜と戦い、神にも匹敵する魔王との死闘、わくわくする昔語り。それは全て自分の体験だという。自分は魔法使いなのだという。 少年の老人の家へ走る。今どうなっているのか、誰かいるのか、そんなことは考えていない。ただ走る。そこに答えがあると信じて。 老人の家に人の気配はない。玄関のと二手を掛けると、鍵はかかっていない。悪いとは思っても、止まるものではない。何を探しているのかも分からず、ただ、家の中を見て回る。まるで、探している物の方から呼びかけられると信じているように。「何をしている」 声を掛けられたのは、よく話を聞かせてくれた、縁側のある居間に入った時だった。人がいるとは思っていなかったから、飛び上がるほどに驚き、咄嗟にどうしていいのか分からない。怒られるのか、警察に突き出されるのか、そんなことを思った。「探し物を」 それだけ言うのが精一杯だった。「見付かったのか、その探し物は」 そこに立っていたのは若い女性。すらりと長身で、長い黒髪を自然に垂らしている。「いえ、まだ」「見付かりそうか。もし見付けられないのなら、君は不法侵入の罪に問われることになる」 いかにも可笑しげに口元を歪める。その嗜虐的な表情が美しいと思った。 と、心の中に響く音……なのか、声なのか。じんじんと胸を打つ。温かい。まるであのお爺さんに語り掛けられているように。心を委ねれば身体が導かれて動く。「あった」「おめでとう。君は犯罪者になることを免れた。間違いなく、祖父の友人のようだな。それは祖父が友人になった者によく渡していたものだ。杖ほどの威力はないが、簡単な魔法を使う時の補助になる、魔法のスティックだ。使い方を誤らぬよう心して使うが良い」 それは二十センチくらいの、何の変哲もない木の棒。いえば、タクトに似ている。「使い方は?」「棒に聞け」 言ったっきり歩き去ろうとする女性。老人の孫娘と言ったか。「どうした、付いてこないのか。祖父の晩年の相手をしてくれた礼だ。今君が向かうべき場所へ案内してやろう。特別だぞ。普段の私はこんなに親切じゃない」 橋の袂から土手を越えれば河原がある。土手沿いに川上に上がっていくと、川幅は狭まり、河原もなくなって、山の中へ入っていく。しばらく行くと、不思議な窪み。斜面にぽこりと空くが、奥に続く深みはない。ただの窪み。だのに、その先に永遠の闇を見るかのような錯覚に陥る。 そこに例の男がいる。今まさに、地面に倒れる小人さんを掴み取ろうと、「止めろ」 叫ぶ少年の意志はタクトを通じて迸り、男の手元で弾ける。「その子に手を触れるな」 不敵に嗤う男。「来るな。来るんじゃない」 少年の近付こうとするのを制止する小人さん。「前にも君を助けた。また、助けるよ」「馬鹿。お前んところの飼い猫じゃないんだ。こいつは本当にヤバいヤツだ。殺されてしまう」 再び男が小人さんを掴もうとするのに、少年が念を飛ばす。しかし、今度はわけもなく弾かれた。「こいつは人類にとって害をなす害虫だ。私はそれを駆除するだけのこと」「ごめん。君を騙してた。コイツの言うことは本当なんだ。あたしは、あたしたちはお前たち人間の運を糧として生きている。他に命をつなぐ方法がないんだ」「そう」「だから、あたしのことなんて放っといて」「でも君は、先に出発の日を決めたいた。僕ともなるべく接触しないようにしていた。それはなぜだい。君の種族がどうかしらない。種の保存を図るために人を不幸にするのかも知れない。でも、君は違う。だって、僕は君といてとても愉しかった。僕は君から幸せを貰ったんだよ。君が僕の幸運を少しばかり使ったとしても、それは君から貰った物なんだよ。僕はちっとも、不幸になっていない。君に遭う前より、幸せな気分なんだ」「馬鹿、そんな恥ずかしいこと」「僕は、僕のこの幸福感のために、君を取り返す!」 けれど少年の攻撃は男に通じない。どれだけ気持ちを込めても、全て弾き返されてしまう。男が動いた時にも、少年はまるで反応も出来なかった。気付いた時には腹に強烈な痛み。身体が半分川の水に浸っている。「やめて。止めてくれ。そいつは関係ない。あたしはどうなってもいいから、そいつのことは」「そうはいかないな。ガキのくせに私に楯突こうなんて、将来のためにもお灸を据えておかないと」 男が足を振り上げ、勢い付けて振り下ろす。 もう駄目かと思いながらも諦めきれず、せめて身体を丸めて耐える姿勢を取る。が、痛みはこない。のろのろと状態を起こすと、唐人の孫娘という女性が、男を派手に蹴り飛ばしていた。「勘違いするな。お前を助けたわけじゃない。ああいう手合いは生理的に受け付けんのだ」 と平然と言う。ふと溜息を吐き、「使い方は棒に聞けと言ったろう」 掃き捨てるように言うと、私はいつからこんなに甘くなったんだと独りごちる女性。 タクトに意識を集中する。気配を感じる。歓迎されるような、すこし拗ねているような。心の内で謝り、そして、改めてよろしくと挨拶を交わす。 男が立ち上がる。怒りに震え、平静をかなぐり捨てて。 咆哮を挙げて迫る野獣。 けれど少年は怖れることなく、焦りもなく、タクトの伝える気配のままに心を集中させる。「凍えろ」 少年の唇から漏れた言葉は、少年のものであり、そうでないモノの発する声。 男の動きが鈍り、男を中心にして急激に温度が下がる。「雪?」 小人さんの掌にくっきり形の見える氷の結晶。男の周囲一メートルほどだけに、雪が舞う。「なるほど、お前は私とは逆向きのサディストのようだな」 どこから嬉しそうな女性の声。川底の石を一つ拾い、男に向けて投げつける。 凍り付いた男は、粉々の破片となって砕け散った。 *「お前のさっき言ったことはただの詭弁だ。そんなことで幸運は増えん。お前の家に世界樹の枝があるだろう。それがわずかずつ幸運を呼び込んでいたのだ。その娘が糧としたのはお前の運ではなく、世界樹の集めた運だったのだよ」「じゃあ、あそこにいる限りこの子は」「生きるには困るまいな。ただし、所詮は枝の一本に過ぎん、限界はある」「やっぱり、あたし旅に出るよ」「そう短絡するな。方法はある。少年、私の弟子になれ。魔法使いになって世界の深淵に触れれば、ある程度の運をコントロールすることは可能だ。お前の頑張り次第では、その娘を、お前と同じサイズにすることもできるぞ。そうすればつがいになって子を成すことも出来る」 カッカッカ 高笑いする女魔法使い。「そう照れるな。出来るかどうかは少年の頑張り次第だ。どうするか、今決めろ。次はないぞ」 そうして希代の女魔法使いに初めての弟子が出来た。(。・_・)ノ=================================状況設定キャラクター小人さん:他者の幸運を糧として生きる種族爺さん:かつての魔法使いの大家。引退。死去。自称爺さんの孫:爺さんの妹。偉大な魔法使い。黒いの:小人を捕らえ売買するバイヤー。ステージキー?アイテム盆栽:世界樹的なナニか。ご都合的な御利益。 幸運をため込む作用がある魔法のスティック:魔法の杖の簡易版魔法の護符:幸運を呼び寄せ、邪気を寄せ付けない 術式により魔力を幸運に変換し補充する必要あり(。・_・)ノ
物理学者が目を疑う。 それは、高速でしかも不規則に飛行する盆栽を目撃したからだ。 盆栽はごく普通の愛好家が愛でるような松の盆栽だったが、高速飛行にも関わらず風圧なぞどこへやら姿を保ったままだった。 運動の保存の法則はともかく、いかなる原理で飛行しているのかは皆目見当もつかない。 疑って当然だったのである。 その謎の飛行物体としての松の盆栽の存在は、彼以外にも多数目撃され、超常現象研究家の格好の研究対象となってしまった。 国際学会においても取りざたされ、自然の摂理法則にそぐわないという見解が全会一致でなされたが、目撃した物理学者は空飛ぶその松の盆栽を追い続けることにした。 そして数年後。何回目かの秋風が吹き始めたころ。 物理学者は一つの結論に達した。 それはやはり存在してはならない、ということだった。 かつて超常現象愛好家あるいは研究家が信じて疑わなかったハチソン効果なる非公式の物理現象に類するものであると。 果たしてそもそも松の盆栽は飛行できるのかということにおいては、様々な実験を繰り返してきたところだ。 しかし盆栽は盆栽。庭の盆栽棚にあってピクリともしない。 数々の実験装置を試行錯誤して作り上げた何代目かの怪しい装置もいまやただのガラクタ同然である。 諦め、そして装置を解体することに決め、その電源を落とすとき、彼は間違ってボリュームを上げた。 装置は怪しい唸りを発し、やがてプラズマ放電を繰り返し起こして、ついには煙を上げて燃え始めた。 そのわずかな手違い、ミスだったが、再び彼は庭にある盆栽がひっくり返るのを目撃した。 しかし、実験装置はただの焼けただれたジャンク品となり、その設計書や設計図は無く、再実験は不可能だった。 物理学者は思う。やはり、盆栽は盆栽でいいのだと。
池に餌を落としてやると、たちまち水面に錦鯉が集まってきた。 鮮やかな模様が浮かび上がる身をくねらせながら、我先にと塊に群がって忙しく口を動かしている。野性の力強い本能を間近に見るようで、悪い気はしない。 食欲旺盛なのがこの魚の持ち味だ。雑食性で、小魚に水草、ミミズにカエル、口に入るものならたいてい何でも食べる。錦の名を冠する美しい外見を手に入れても、その貪欲な性質は変わらない。人間の都合など魚の知るところではない、ということか。 池から広大な庭へと視線を移し、ため息をつくように深呼吸をする。 こんな立派な建物が親の持ち物とはとても思えない。だが現実は現実だ。 俺が都会で苦労している間、祖父母の遺した屋敷を相続していろいろと手を加えたらしい。親父が退職金をかなりつぎこんだのだろう。 錦鯉の泳ぐ池、瓦をふきなおして長屋が二つ直角に交わるような様式に改築した住居部、縁側沿いにずらりと並んだ盆栽。どれも金に困らない定年世代の贅沢趣味を体現したようなしつらえだ。装飾自体に罪はないが、果たしてその持ち主はどうか……? つい数時間前の出来事に思いをはせていると、秋風が頬をなでた。 昼下がりの穏やかな日差しが、夏の遠くなったことを教えてくれる。夜ともなればなおさらで、ゆうべは心地よく眠ることができた。 だが、親父はそうもいかなかっただろう。二人いる子供のうち、出来の悪いほうの長男がこうして帰ってきて、気にくわない「将来の夢」の話など持ち出したのだから。 親父は会社勤めを引退したが、おふくろはラジオのパーソナリティを続けている。六十を超えても若々しい……いや、かん高くて若すぎるとさえ思える声質を生かし、毎回やたらと高いテンションで、悩める少年少女の友達のようにふるまっている。 バカバカしいとは思うものの、俺だってそんなおふくろの息子だ。声を使う仕事にあこがれた。ルックスや立ち居振る舞いに自信がなかったというのもある。妹のように化粧品を売るなんてことはできない。だが、それに負けない何か「大きな」仕事をしたい。 人前にはあまり出たくないが、世の中に俺の実力を示したい。すごい奴だと、一人でも多くの人間に思ってほしい。そう夢見て、長く都会に身を置いてきた。 親父はそんな俺の訪問を冷たくあしらった。自分が公務員として勤め上げた三十八年を栄光ある過去のように振りかざし、いまだ定職に就かない俺を邪険に扱った。 夜の訪問だったから、おふくろはラジオ局のほうに行っていて不在だった。二人でおふくろの出ている番組を聴いた。現役時代さんざん暴力を振るっていたくせに、さも「できた夫」のように耳を傾けているのが腹立たしくて仕方なかった。 昔から水と油の関係だと思っていたが、久しぶりの再会でも変わらなかった。むしろ悪化していた。親父はこんなにも醜い男だったのか。老いてますます私腹を肥やし、輝き続けるおふくろと対照的にどこまでも堕ちていく。俺の眼にはそうとしか映らなかった。 将来の夢を伝えるのとあわせて借金の申しこみをするつもりだったが、その気もなくなった。こんな男に金の問題で頭を下げる必要はない。金を得るならもっとうまいやり方があるだろうと、俺はあらためて自分に言い聞かせたものだった。 そして今、日の当たる時間にこうして池のほとりに立っている。懐には親父の財布から抜き取った一万円札が十枚。行きがけの駄賃には充分な金額だ。 おふくろはまた局のほうへ出かけている。ゆうべ遅くに帰ってきて今朝早くの出発で、ろくに会話する機会もなかった。仕事を楽しんでいる身を邪魔したくはない。さっさとやることをすませて帰ろう。そう思い立ってからはすばやく行動できた。 また秋風が吹いた。身につけたダークスーツに鼻を近づけ、かいでみる。特に匂いはしない。見たところ、黒い見た目のおかげで付着した斑点も目立たないようだ。 親父には葬式に着ていくみたいな服だと言われたが、別に間違ってはいない。もともと軽い冗談のつもりでコーディネイトしてみた。それがたまたま、ジョークの切れ味を増した上に本当に喪服として機能するようになっただけのことだ。 息の根を止めるときは、勢いに任せて一瞬で終わらせた。服を脱がせ、風呂場へ運んで解体するのはさすがにくたびれたが、どこかで聞いたか見たかした話を思い出しながらやれば何とかなった。居間のパソコンも、手口の詳細を調べるのに大いに役立った。 あらためて深呼吸しながら、池を見下ろす。鯉たちはみんなほうぼうに分かれてのんびりと泳ぎ回り、さっき落とした餌は影も形もない。 ――これはひょっとして、予想以上にうまくいくかもしれないぞ。 大量の肉をどう処分するか迷っていたところだった。骨は鍋で煮てやわらかくしてから砕けばいいが、肉塊の処分はそうもいかない。保存だって利かないし、さっさと人目につかない形に変えてしまうに越したことはない。 その点、別の生き物に食べさせるのはてっとり早い。鷹や鳶に何匹かさらわれたとはいえ、広大な池には軽く二十匹以上の鯉が悠々と泳いでいる。好きで池に放した鯉に食われるのだ。親父もきっと悪い気はしないだろう。 俺はさらなる餌を運ぶべく、親父を置いた風呂場へ戻ることにした。――――――――――――――――――――――――― 今回も三時間ほど使ってます。
かんそ。>マルメガネ氏1本目…情緒は感じました。淡々と起伏のない文章に情感があります。が、それだけです。2本目…よくわかりませんでした。>ラトリーさん前回の続きでしょうか。それとも、パラレルなのかな。いずれ、今回は、前回よりも無理から感が強く、あまり楽しめませんでした。ミスリードしようとしてるのかなぁと思いながら、どこに引っ張ろうとしているのか分からずもやもやした感じ? ラストも特別驚きもなく、後味が悪いだけなような。うぅん。
>マルメガネさん一作目は随筆の趣がありますね。こういう季節を織りこんだ文章がたくさん連なれば、語り手の心情もそこはかとなくうかがえる作品として力をもってきそうな気がします。二作目は冒頭から変化球。高速で不規則飛行する盆栽の謎が何もわからないままだったのは、個人的にはちょっと心残りです。せっかく興味深い始まりですし、わからないならわからないなりにたとえば世界中を飛び回って破壊の限りを尽くすとか、人間と結婚して子供をもうけたりとか、そういう妙ちくりんな展開があってもよかったかなと思いました。個人的な考えですが……>お さん論語に『仁者必有勇、勇者不必有仁(仁者は必ず勇あり、勇者は必ずしも仁あらず)』という言葉があります。「仁徳のある人は必ず勇気をもっているが、勇気のある人が必ずしも仁徳をもつとは限らない」勇者にしても魔王にしても、この国ではゲームアニメ漫画その他コンテンツの影響でわずかな年数のうちにいろんな意味をもつようになったと思いますが、そのおかげでキャラクターとしての使い勝手はかなり優秀なものがありそうですね。物語の流れを追いやすいつくりになっていると思います。長めのストーリーを組み立てる上で目立ってくるのは、やはり今回だとあまり日常でもひんぱんには使われない「盆栽」。勇者や魔王といった浸透度の高い記号に比べると浮きがちな題材と思われますので、これを物語の重要な要素に位置づけるとすればその存在にそれなりの意味をもたせる必要がありそうです。その際、ストーリーに関わってくる発端はどうしても「老いた男性が趣味で手入れするもの」としての典型的な形になりますが、その後の展開にも要所で盆栽ならではの関わり方をしていくと独自性が出てきて面白いかなあ、なんて思ったりしました。>自分いわゆるサプライズをつくる時、二通りのやり方があると思っています。「初めにささいなものとして描き、後でそれが重大な事実や出来事であったことを明らかにする」「初めに一定のイメージを強く想起させるものとして描き、後でまったく別物のインパクトある姿を見せる」ミスリードとしてより優秀なのは後者だと思いますが、やっぱり難しいですね。前者をある種の「逃げ」のような形で使ってしまうのは、できれば避けていきたいところです。もしかしたら、今後もこんな風に微妙なつながりがあるかないかくらいのお話を書いてみることがあるかもしれないです。