Re: 即興三語小説 -夏休みなんてなかったのですよ- ( No.1 ) |
- 日時: 2014/07/25 20:42
- 名前: マルメガネ ID:1cLgteHs
雨宿り 遠くから音を集めて雨が降りだし、雨足を強めてゆく。 梅雨明け宣言がいつ出るのかわからないその雨に追われた龍樹は、巨大な拳骨で殴られたようにくの字のように曲がった頼りない鉄柱で支えられた商店の張り出しの下で雨宿りして凌ぐ。 叩きつけるようにして降っていた雨は小一時間もすると弱まり、舞うように細かな霧雨に変わったのを見計らって、彼は商店の張り出しから飛び出し、まだ水たまりがあることも構わず駆け出した。 バシャバシャと水が跳ね、靴とズボンの裾を濡らす。 急に降り出して濡れ、乾きかけたワイシャツから独特の臭気が漂ってくる。 コンビニに駆け込みビニール傘を買い求めて出ると、再び降り出していた。 龍樹は買ったばかりのビニール傘を差し、濡れてぐちゃぐちゃ音を立てる靴を脱ぎ、溜まった水を出してまた履き家に向かって歩き始めた。
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