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RSSフィード [169] 即興三語小説 ―34歳、男が春の宵の頃に送りつけるショートメール
   
日時: 2014/04/06 22:08
名前: RYO ID:RGaEkciI

 34歳、男が春の宵の頃に送りつけるショートメール
 どう考えてもの程度の低いホラ話。
 こういう男は多分引きこもりで、オタクで、世の中に絶望して、責任転嫁はやたらと上手い。そんな奴だろう。
 春に送る辺りに、キチガイが増える時期を抑えていると言える。
 ショートメールがある意味不気味かもしれない。
 一瞬、誰?と思わせることはできるはずだ。
 もっとも、放置されたらそれで終わりだろうが。 

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●基本ルール
以下のお題や縛りに沿って小説を書いてください。なお、「任意」とついているお題等については、余力があれば挑戦してみていただければ。きっちり全部使った勇者には、尊敬の視線が注がれます。たぶん。

▲お題:「34歳」「春の宵」「ショートメール」
▲縛り:なし
▲任意お題:なし
▲投稿締切:4/13(日)23:59まで 
▲文字数制限:6000字以内程度
▲執筆目標時間:60分以内を目安(プロットを立てたり構想を練ったりする時間は含みません)

 しかし、多少の逸脱はご愛嬌。とくに罰ゲーム等はありませんので、制限オーバーした場合は、その旨を作品の末尾にでも添え書きしていただければ充分です。

●その他の注意事項
・楽しく書きましょう。楽しく読みましょう。(最重要)
・お題はそのままの形で本文中に使用してください。
・感想書きは義務ではありませんが、参加された方は、遅くなってもいいので、できるだけお願いしますね。参加されない方の感想も、もちろん大歓迎です。
・性的描写やシモネタ、猟奇描写などの禁止事項は特にありませんが、極端な場合は冒頭かタイトルの脇に「R18」などと添え書きしていただければ幸いです。
・飛び入り大歓迎です! 一回参加したら毎週参加しないと……なんていうことはありませんので、どなた様でもぜひお気軽にご参加くださいませ。

●ミーティング
 毎週日曜日の21時ごろより、チャットルームの片隅をお借りして、次週のお題等を決めるミーティングを行っています。ご質問、ルール等についてのご要望もそちらで承ります。
 ミーティングに参加したからといって、絶対に投稿しないといけないわけではありません。逆に、ミーティングに参加しなかったら投稿できないというわけでもありません。しかし、お題を提案する人は多いほうが楽しいですから、ぜひお気軽にご参加くださいませ。

●旧・即興三語小説会場跡地
 http://novelspace.bbs.fc2.com/
 TCが閉鎖されていた間、ラトリーさまが用意してくださった掲示板をお借りして開催されていました。

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○過去にあった縛り
・登場人物(三十代女性、子ども、消防士、一方の性別のみ、動物、同性愛者など)
・舞台(季節、月面都市など)
・ジャンル(SF、ファンタジー、ホラーなど)
・状況・場面(キスシーンを入れる、空中のシーンを入れる、バッドエンドにするなど)
・小道具(同じ小道具を三回使用、火の粉を演出に使う、料理のレシピを盛り込むなど)
・文章表現・技法(オノマトペを複数回使用、色彩表現を複数回描写、過去形禁止、セリフ禁止、冒頭や末尾の文を指定、ミスリードを誘う、句読点・括弧以外の記号使用禁止など)
・その他(文芸作品などの引用をする、自分が過去に書いた作品の続編など)

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メンテ

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Re: 即興三語小説 ―34歳、男が春の宵の頃に送りつけるショートメール ( No.1 )
   
日時: 2014/04/09 19:55
名前: しん ID:QkEYAG/k

題:さくら咲くころ

 風がふくと、桜の花びらが舞う。
 はらはらと舞う桃色は美しいけれど、それは桜の木がその身を飾る美がはぎとられていっているのだと思うと、せつなくなる。
 もう日が暮れはじめているというのに、同僚が桜の下で暴れている。美弥子は、少し離れたベンチからそれを眺めながら、カップ酒にくちをつけた。
 美弥子の口からは、おもわず溜息がもれる。
 あのノリにもうついていけない、若くない自分に、そして、ここ三年続く不幸に思わずもれてしまったのだ。こうやって幸せはにげていくのだろうか。散りゆく桜をみながらそう思う。
 同僚から目をそらすと、目には一本の桜がうつる。
 ――まるで自分のようだ。
 枝に花がついていない、ちってしまったであろう桜を見て、もう一度溜息をついた。
 日が傾いて、赤光が桜をてらす。
 春の宵、春のおわりはもうすぐそこだ。
 三十四歳、美弥子、三十五歳になる。
 
「先輩、こんなとこでなにしているんですか」
 宴会から抜け出して、一人の同僚、というより、新人が声をかけてきた。
 一瞥をくれて「別に」とだけいっておく。
「お隣いいですか」
 といいつつ勝手に隣にすわる。きかなければいいのに。
 いがいとこの男、きがつくようで、お酒をもってきていたので受け取り
、話をきいてあげることにした。
 どうせこの機会に酔ったふりして上司の愚痴とかそういうものを吐き出したいのだとおもっていたら、意外と美弥子を楽しませようとしているように笑い話をかたる。話の中身よりも、なにか必死に話している姿がおもしろくてわらえた。
 笑うと、新人くんも一緒に、嬉しそうにわらった。
 でも、男はこりごりだ。一人で生きていくことをきめていた。
 一昨年、十年つきあって、このひとと結婚するのだとおもっていたひとと別れた。理由はいまだによくわからない。まともな話もせずに、ショートメールひとつで関係がおわってしまった。電話も拒否され、家ももぬけのからになり、共通の友人もだれも間をとりもってくれなかった。
 ずっと彼と一緒になるとおもっていたので、茫然自失となるしかなかった。そのショックと、歳も歳でもあるし、次の男があらわれるとおもわない。
 おもわず一本だけ、装飾のない、わびしい桜の木をみて、再び、溜息がもれた。
「先輩、その木、好きなんですか?」
 曖昧な苦笑いでこたえるしかなかった。
「ここってソメイヨシノしかないじゃないですか。寿命が短くて、ちってしまうと、あまりに寂しいのでうえたそうですよ」
 ソメイヨシノ、今同僚の宴会のまわりで乱れ咲きしている、美しい桜。
 花はほどよく淡い色合いで、風のたびに花弁が泳ぎ、世を彩る。
 それは美弥子にはまぶしくみえた。
「だから、そのヤエザクラをうえたそうです。ヤエザクラは、遅咲きの桜でして、ソメイヨシノが散ってから、美しく咲く桜なんです。その、ぼくは、そういう桜のほうがすきなんです」
 説明をきいて、はっと新人くんの顔をみると、目はらんらんと輝き、何かをうったえかけていた。わざわざここに、美弥子の隣に、酒をもってあらわれた意図、それが何かなどときく無粋なことはしない。
 この桜はわたし自身で、かれてしまっているのだとおもっていた。しかし、まだまだこれから本番で、他がちってから、咲き誇るのだ。
「あの、おれ、先輩の、いや、あの、美弥子さん――――
 宵桜は、いつのまにか、夜桜となっていた。日が暮れると、また別の美しさを桜がもっていた。
 桜はまだこれからが本番なのだ。
 美弥子はまだ、三年つづいた厄年がおわることにきづいていなかった。

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