Re: 即興三語小説 ―メリークリスマスって言いかったんだって思うよ― ( No.1 ) |
- 日時: 2013/12/29 19:43
- 名前: マルメガネ ID:mk7COURI
年末の情景
恋人たちがより集うクリスマスを境に、年末の忙しさが増してきた。 慌ただしさもさることながら、寒さも手伝ってもやしそばを食いたくなってもおかしいことではない。 路上で吐き、何が原因か知らないが喧嘩になっているおっさん連中を尻目にこそこそとうらぶれた路上を歩き、一軒のラーメン屋に向かう。 暖簾をくぐり、結露した店の引き戸を開けると熱気に似た生温かいような湿った空気と一緒にもやしとねぎの匂いがする。 一杯のもやしそばを頼み、それらをすする。 外の寒さで冷えた体が温かくなっていくのを覚え、また交わされる雑多な会話に耳を立てて聞く。 満腹感を覚えて、店を出ると冷たい風が吹いていて雪が舞っていた。 喧嘩していたおっさん連中の姿もない。 うらぶれた路地を後にして、寂れ果てたような古びた隙間風の入るアパートに戻り、ほっとしたようなそうでもないような心持ちもしたが、ボロのストーブを焚き、そしてヤカンをかけ、ラジオをつけた。 ラジオから流れる気象情報は、冬型気圧配置が強まり全国的に荒れ模様の天気になるとのことだった。 ため息を漏らすと、それが白い息になって寒い部屋に消えた。
|
|