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RSSフィード [143] 即興三語小説 ―台風を擬人化する話は、どこへ?―
   
日時: 2013/10/14 22:19
名前: RYO ID:GL4KDhlQ

「おかえりなさいませ」
 僕をそう迎え入れてくれたのは、キミ江だった。まだ幼い童――国籍不明、年齢不詳、本名は吉田キミ江――本名といっても手にしていたお守りにその名があっただけで、定かではない。明治の、文明開化に忙しいこの国に金髪の少女がいたところで、そこまで目立つものでもあるまい。奇異の視線を避けることは難しいだろうが。
 時計が鳴る。もうじきに夕食時であることを教えてくれる。

 ま、こんな書き出しを思いついてみた。
 吉田キミ江、どこで拾えるかしら?

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●基本ルール
以下のお題や縛りに沿って小説を書いてください。なお、「任意」とついているお題等については、余力があれば挑戦してみていただければ。きっちり全部使った勇者には、尊敬の視線が注がれます。たぶん。

▲お題:「おかえり」「時計」「国籍不明、年齢不詳、本名は吉田キミ江」
▲縛り:なし
▲任意お題:なし
▲投稿締切:10/20(日)23:59まで 
▲文字数制限:6000字以内程度
▲執筆目標時間:60分以内を目安(プロットを立てたり構想を練ったりする時間は含みません)

 しかし、多少の逸脱はご愛嬌。とくに罰ゲーム等はありませんので、制限オーバーした場合は、その旨を作品の末尾にでも添え書きしていただければ充分です。

●その他の注意事項
・楽しく書きましょう。楽しく読みましょう。(最重要)
・お題はそのままの形で本文中に使用してください。
・感想書きは義務ではありませんが、参加された方は、遅くなってもいいので、できるだけお願いしますね。参加されない方の感想も、もちろん大歓迎です。
・性的描写やシモネタ、猟奇描写などの禁止事項は特にありませんが、極端な場合は冒頭かタイトルの脇に「R18」などと添え書きしていただければ幸いです。
・飛び入り大歓迎です! 一回参加したら毎週参加しないと……なんていうことはありませんので、どなた様でもぜひお気軽にご参加くださいませ。

●ミーティング
 毎週日曜日の21時ごろより、チャットルームの片隅をお借りして、次週のお題等を決めるミーティングを行っています。ご質問、ルール等についてのご要望もそちらで承ります。
 ミーティングに参加したからといって、絶対に投稿しないといけないわけではありません。逆に、ミーティングに参加しなかったら投稿できないというわけでもありません。しかし、お題を提案する人は多いほうが楽しいですから、ぜひお気軽にご参加くださいませ。

●旧・即興三語小説会場跡地
 http://novelspace.bbs.fc2.com/
 TCが閉鎖されていた間、ラトリーさまが用意してくださった掲示板をお借りして開催されていました。

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○過去にあった縛り
・登場人物(三十代女性、子ども、消防士、一方の性別のみ、動物、同性愛者など)
・舞台(季節、月面都市など)
・ジャンル(SF、ファンタジー、ホラーなど)
・状況・場面(キスシーンを入れる、空中のシーンを入れる、バッドエンドにするなど)
・小道具(同じ小道具を三回使用、火の粉を演出に使う、料理のレシピを盛り込むなど)
・文章表現・技法(オノマトペを複数回使用、色彩表現を複数回描写、過去形禁止、セリフ禁止、冒頭や末尾の文を指定、ミスリードを誘う、句読点・括弧以外の記号使用禁止など)
・その他(文芸作品などの引用をする、自分が過去に書いた作品の続編など)

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メンテ

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Re: 即興三語小説 ―台風を擬人化する話は、どこへ?― ( No.1 )
   
日時: 2013/10/14 23:53
名前: 豆っこ ID:THlzBgAQ

 永井さんときたらたいしたもんだ。
 事務所に突如として現れた黒ずくめの女が「面接していただきたいの、国籍不明、年齢不詳、本名は吉田キミ江」と言うのに、そうなんですかと返せる人はこの日本でもそういないだろう。現に私は受話器に手をかけ、数字の1を連打していた。
 黒のヒールに黒のコートに黒のサングラスに黒のハット。葬式参列者かエージェントか、というようなファッションに私や同期の安田さんなどは怯えてしまっている。自己紹介も、ツッコミどころが沢山あって、本来なら「年齢不詳を自認してんな!」とか言うべきなのかもしれないけど、私たちは怯えているし、永井さんはそうですかって言っちゃったし、今この会社には三人しかいないしで、その意味不明さはなかったことになってしまった。いや追い返せって。
 とりあえず、安田さんは怯えすぎてひきつけを起こしそうになって帰ってしまったから、仕方なく私がお茶係ということになって、出しがてら面接の様子をみてみると、国籍が不明で、年齢が不詳である以外は割と普通の経歴の持ち主らしく、田舎から出て東京の商業高校を卒業してから広告代理店や一般事務やその他諸々の10人に1人は就業経験を持っていそうな職を転々とした後、この時計屋へやってきたらしい。でも、そんなんだからって私の警戒心は揺るがない。だってこんな黒づくめがそんな平凡な人生を送っているわけがないのだ。だまされるな、永井さん。
 永井さんはその経験談をうんうんとうなづきながら、感慨深そうに聞いた後、でもね、と言った。
「でもね、うちは貧乏なくせに二人も従業員を雇ってるもんだから、だいぶ厳しいんだよねえ」
 その調子だ! 私は、心中で応援歌を永井さんに送る フレー!フレー!
「だからねえ」
 ファイト―!ファイト―! ナ! ガ! イ!
「里中さん辞めてくんないかなあ? 今月いっぱいで」
 サンキ、え。
 瞬間、鳩時計が鳴った。八時だ。
 ぽっぽーぽっぽーという間抜けな音を聞きながら、は? という必要もないほど、は? を表現していることが自分でも分かるほどの呆け顔を私がしていると、永井さんが、申し訳なさそうに、そして嬉しそうにつけたす。
「これ、吉田キミ江は、私の娘なんだよ、ああわかってる苗字が違うって言いたいんだろう?僕は昔やんちゃだった時期があってさいろんな国を渡り歩いて外国住まいの日本人を抱いちゃすて抱いちゃすてしてたことがあるんだ、そのなかの女のひとりの娘がこのこ。」
 アフリカの原住民と同居してる日本人との間に生まれたから西暦での年齢は分からないし、国境を越えての移動民族だから国籍が分からないんだとか、永井さんは懇切丁寧にバカみたいに詳しく教えてくれたけど、そんなのはもうどうでもよくて、永井さんの過去が意外とセンセーショナルだったことはさらにどうでもよくて、私の言いたいことはこういうこと。私は自分なりにきちんと仕事をこなしてたはずだし、いきなり娘とか言われても困るしこっちにも生活があるし、説明されたことも申し訳ないけど意味わかんないし。
 そういうことを永井さんに言ったら。
「そうなんですか」
と言ったきり、こちらをもうちらとも見なくなってしまって、吉田キミ江と熱く語らい、
「もう君は今日から僕の家族だよ」とか「おかえり僕のかわいい子」とか怖気の走るような恋人かよって突っ込みたくなるようなセリフを吐き散らしている。
 キミ江はキミ江でサングラスの下からマスカラの溶けたどす黒い涙を流していて、そのうち二人は抱き合って、親子の感動対面シーンが出来上がったりするんだろう。
 二人の中だけで。
 私はその輪の中にはいないし、関係ないししたくもないし、だから文句をいくら言ったって永井さんには届かない。あーくだんねーとか思いながら突っ立ってたら、永井さんがこっちを睨んで
「まだいたのかい!見世物じゃないんだ帰ってくれ」
って。
 永井さんときたらたいしたもんだ。いつか殺してやるからまってろ。

メンテ
感想です ( No.2 )
   
日時: 2013/12/08 20:42
名前: かたぎり ID:me/KDOio

こんにちは。感想を送らせていただきます。

この作品の面白いところは、やはり癖のある文章にあると思いました。一見口語体ではあるけど、こんな思考をそのままする人はまずいないだろうし、不思議な味わいのある文章だな、と考えてしまいました。
一方、描写のバランスは、まだ良くないかなと。
永井さんときたらたいしたもんだ、とあって、すぐに黒衣の女の描写に入るので、もうちょっと具体的に(たとえば普段の永井さんのこと)を絡めて書いていくなどすると、より作品に入りやすかったように思えました。また、ストーリー展開としては、ちょっとあっけない感がありました。あえて起承転結でいうなら、転、が転じられていない印象です。
出だしと〆の文が共通している構成は良かったです。

私からはこれくらいです。これからも頑張ってくださいませ。それでは。

メンテ

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