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RSSフィード [136] 即興三語小説 ―夏休みの宿題はこれから―
   
日時: 2013/08/25 22:46
名前: RYO ID:9HV.Bohs

粉雪のように儚い夏休みは、宿題しか残らない。
夏祭の後にふらりとよった屋台のラーメンは青春の味がした。
「どんなに遠い目をしても、来週には二学期だからな」
現実に引き戻す腐れ縁の声。
一週間徹夜すれば、なんとか終る。
自由研究は、夏休みの宿題の正しい終らせ方というレポートだ。
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●基本ルール
以下のお題や縛りに沿って小説を書いてください。なお、「任意」とついているお題等については、余力があれば挑戦してみていただければ。きっちり全部使った勇者には、尊敬の視線が注がれます。たぶん。

▲お題:「祭の後」「粉雪」「ラーメン」
▲縛り:なし
▲任意お題:「上達」
▲投稿締切:9/1(日)23:59まで 
▲文字数制限:6000字以内程度
▲執筆目標時間:60分以内を目安(プロットを立てたり構想を練ったりする時間は含みません)

 しかし、多少の逸脱はご愛嬌。とくに罰ゲーム等はありませんので、制限オーバーした場合は、その旨を作品の末尾にでも添え書きしていただければ充分です。

●その他の注意事項
・楽しく書きましょう。楽しく読みましょう。(最重要)
・お題はそのままの形で本文中に使用してください。
・感想書きは義務ではありませんが、参加された方は、遅くなってもいいので、できるだけお願いしますね。参加されない方の感想も、もちろん大歓迎です。
・性的描写やシモネタ、猟奇描写などの禁止事項は特にありませんが、極端な場合は冒頭かタイトルの脇に「R18」などと添え書きしていただければ幸いです。
・飛び入り大歓迎です! 一回参加したら毎週参加しないと……なんていうことはありませんので、どなた様でもぜひお気軽にご参加くださいませ。

●ミーティング
 毎週日曜日の21時ごろより、チャットルームの片隅をお借りして、次週のお題等を決めるミーティングを行っています。ご質問、ルール等についてのご要望もそちらで承ります。
 ミーティングに参加したからといって、絶対に投稿しないといけないわけではありません。逆に、ミーティングに参加しなかったら投稿できないというわけでもありません。しかし、お題を提案する人は多いほうが楽しいですから、ぜひお気軽にご参加くださいませ。

●旧・即興三語小説会場跡地
 http://novelspace.bbs.fc2.com/
 TCが閉鎖されていた間、ラトリーさまが用意してくださった掲示板をお借りして開催されていました。

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○過去にあった縛り
・登場人物(三十代女性、子ども、消防士、一方の性別のみ、動物、同性愛者など)
・舞台(季節、月面都市など)
・ジャンル(SF、ファンタジー、ホラーなど)
・状況・場面(キスシーンを入れる、空中のシーンを入れる、バッドエンドにするなど)
・小道具(同じ小道具を三回使用、火の粉を演出に使う、料理のレシピを盛り込むなど)
・文章表現・技法(オノマトペを複数回使用、色彩表現を複数回描写、過去形禁止、セリフ禁止、冒頭や末尾の文を指定、ミスリードを誘う、句読点・括弧以外の記号使用禁止など)
・その他(文芸作品などの引用をする、自分が過去に書いた作品の続編など)

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メンテ

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Re: 即興三語小説 ―夏休みの宿題はこれから― ( No.1 )
   
日時: 2013/08/30 01:58
名前: 星野日 ID:vGH5AKHM

 カレーといってもスポーツにすぎない。そう言ったのは、第一次世界大戦の頃に活躍したイタリアの軍人だったと思う。
 この言葉にはおそらく、スポーツを所詮遊戯だと見下す、軍人らしい意図があるのだろう。しかし今や、まさに人類は命をかけて、このスポーツに情熱を燃やしているのである。

 記念すべき第百回目の冬季カレーリンピックは、我らが国の首都、八王子で開催された。
 カレーと言えば浜松だろうと思う人もいるかもしれないが、正真正銘のカレーの聖地は八王子なのだ。カレーはインドが産み、北海道の大地で育ち、八王子で巣立ったと行っても過言ではない。それほどまでに八王子はカレー史にとって無くてはならない場所である。だが、あまり熱く語ると本論からそれすぎてしまうので、この話はここまでにしておこう。
 カレーを語ろうとするとき、その人はカレーの迷路に入り込んでしまう。その要素を挙げきれないほどに複雑で魅力的なカレー。
 だがその歴史は決して、輝かしいだけのものではなかったのをご存知だろうか。

 カレーを食べると汗が出るのは、一口でもカレーを食べたことのある人ならば周知の事実であろう(よもやカレーを食べたことの無い人はいないと思うが)。そう、汗が出る。カレーはスポーツであるので汗が出る。身体を動かしていないのに汗が出る。忘れがちであるが、これは異常なことである。
 適度の発汗は体調を整えるが、何事も過ぎれば毒となる。
 つまりカレーは兵器となりうるのだ。
 第二次世界大戦の中期。日本軍がソ連軍に対して行った前代未聞の戦術とはすなわち、カレー爆弾である。
 当時、世界中の新聞が「日本海軍のカレー好きもここ迄に至れり」と戦々恐々したと今日に伝わるあの、カレー爆弾だ。
 酒を飲まないアマゾン奥地の種族に酒を振る舞うと、普段から酒を摂取する民族と比べ用もないほどに酩酊し、もはや毒のような効果を発するという。
 カレーに馴染みのないソ連軍にとってもそれは同じだったようだ。六月を過ぎてもまだ粉雪の舞うシベリア。凍える大地を溶かしたカレー爆弾に、国民たちは混乱し、政府が瓦解しかけるという結果となった。もちろんコレは、当時、カレーに出場していなかったソ連だったからこそ有効な手立てであり、非常に合理的な判断に基づく作戦だったのである。だがカレーは平和利用にのみ使用すべきだという、この作戦への非難は、至極まっとうなものだろう。
 話は逸れるが、この作戦の成功により、以降、日本軍には派手で奇抜な作戦を好む一派が勢力を伸ばす。竹槍対空砲、風船を改造した爆弾、鳥人間計画等、滑稽無糖な計画が立ち上がっては血税を食いつぶし、果ては日本の敗戦の一因となっていく。アニメや戦隊物ドラマ等の架空作品で「カレー好きは何処か呑気で抜けている」というイメージをつけられるのは、こんな歴史を背景にもつのかもしれない。
 そんな歴史を共有するソ連とカレーリンピックで戦うのは、今年で八十二年目となる。

 カレーといえばその鼻孔をくすぐるスパイシーな匂い、それから立ちこめる湯気、熱気、そんなものが思い浮かぶだろう。
 そしてその誘惑と、油断すれば容赦なく削られる体力。あまり詳しくないものは、忍耐のスポーツと思いがちだ。
 その実、カレーにはバランスが要求される。
 本式のカレーでなくてもいい。少し町に出て、そこで見つけたカレーショップに入ってみよう。
 やはり、店で出すようなカレーは完成されている。白米のしっとり具合、カレーの味の濃さ、一緒に出るお冷の温度、そしてそれぞれの分量。最後の一スプーンで、ご飯とルウが同時になくなるよう、計算し尽くされているのだ。しかし、このような完璧さも、食べる側にしっかりとしたバランス感覚がなければ、全く無駄に終わる。プロのカレー選手は、このような店で日々バランスを磨いているのだ。
 カレーリンピックの時期には、一夜にして百トン以上のカレーが消費されるという。
 選手も、審判も観客も、だれもかれもがカレーを食べる。
 陸も海も空も、熱気や冷静さまでもがカレーになる。
 カレーに生き、カレーの上で踊り、カレーを敷いて眠り、カレーを敬い、カレーに抱かれて揺られる。
 カレーリンピックは、カレーに始まり、カレーに終わるのだ。
 胸焼けを通り越して、カレーが水や空気のように感じられてきた頃、ようやくカレーリンピックは幕を閉じる。
 そして、祭の後はラーメンを食べよう。

メンテ
感想です ( No.2 )
   
日時: 2013/09/08 20:53
名前: 朝陽 ID:Kox3.F5Q

 遅ればせながら拝読しました……そしてカレーがゲシュタルト崩壊を起こしました(笑)
 そしてカレー話で終始すると見せかけて、なにげに形式は架空史SFっていう……前にツイッターかどこかで仰っていた、「重い話は軽く」でしたっけ。くだらない話こそ真剣に語れと、この作品をもってして教わった気がします(真顔)

 楽しませていただきました。とりあえず、カレーが食べたいです。

メンテ
Re: 即興三語小説 ―夏休みの宿題はこれから― ( No.3 )
   
日時: 2013/09/10 22:22
名前: 星野日 ID:9wO7oIcU

まさかの返信・・?! ありがとうございます
オリンピック。なんか東京になったそうですね。
つまり、そういうことです(?)

読み直したら、カレー、もういいかなって気分になりました・・・!!

メンテ

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