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RSSフィード [19] 即興三語小説 ―第100回― 三桁の大台。浮気と不倫は同義らしい
   
日時: 2011/03/26 23:54
名前: RYO ID:Z2OMptMY

 三語が100回です。
 いつのまにか100回です。
 投稿してくださった皆様、ありがとうございます。
 これからもよろしくお願いします。
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●基本ルール
以下のお題や縛りに沿って小説を書いてください。なお、「任意」とついているお題等については、余力があれば挑戦してみていただければ。きっちり全部使った勇者には、尊敬の視線が注がれます。たぶん。

▲必須お題:「負けるな」「美しすぎて、何が悪い」「最後の一枚」
  ▲縛り:100回記念で、縛りはありません
▲任意お題:「美しすぎる罪で逮捕する」「菫の砂糖漬け」「木下闇」「ぽぽぽぽーん」「鼻からうどんを垂らす根性なし」

▲投稿締切:4/3(日)23:59まで
▲文字数制限:6000字以内程度
▲執筆目標時間:60分以内を目安(プロットを立てたり構想を練ったりする時間は含みません)

 しかし、多少の逸脱はご愛嬌。とくに罰ゲーム等はありませんので、制限オーバーした場合は、その旨を作品の末尾にでも添え書きしていただければ充分です。

●その他の注意事項
・楽しく書きましょう。楽しく読みましょう。(最重要)
・お題はそのままの形で本文中に使用してください。
・感想書きは義務ではありませんが、参加された方は、遅くなってもいいので、できるだけお願いしますね。参加されない方の感想も、もちろん大歓迎です。
・性的描写やシモネタ、猟奇描写などの禁止事項は特にありませんが、極端な場合は冒頭かタイトルの脇に「R18」などと添え書きしていただければ幸いです。
・飛び入り大歓迎です! 一回参加したら毎週参加しないと……なんていうことはありませんので、どなた様でもぜひお気軽にご参加くださいませ。

●ミーティング
 毎週土曜日の22時ごろより、チャットルームの片隅をお借りして、次週のお題等を決めるミーティングを行っています。ご質問、ルール等についてのご要望もそちらで承ります。
 ミーティングに参加したからといって、絶対に投稿しないといけないわけではありません。逆に、ミーティングに参加しなかったら投稿できないというわけでもありません。しかし、お題を提案する人は多いほうが楽しいですから、ぜひお気軽にご参加くださいませ。

●旧・即興三語小説会場跡地
 http://novelspace.bbs.fc2.com/
 TCが閉鎖されていた間、ラトリーさまが用意してくださった掲示板をお借りして開催されていました。

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○過去にあった縛り
・登場人物(三十代女性、子ども、消防士、一方の性別のみ、動物、同性愛者など)
・舞台(季節、月面都市など)
・ジャンル(SF、ファンタジー、ホラーなど)
・状況・場面(キスシーンを入れる、空中のシーンを入れる、バッドエンドにするなど)
・小道具(同じ小道具を三回使用、火の粉を演出に使う、料理のレシピを盛り込むなど)
・文章表現・技法(オノマトペを複数回使用、色彩表現を複数回描写、過去形禁止、セリフ禁止、冒頭や末尾の文を指定、ミスリードを誘う、句読点・括弧以外の記号使用禁止など)
・その他(文芸作品などの引用をする、自分が過去に書いた作品の続編など)

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 三語はいつでも飛び入り歓迎です。常連の方々も、初めましての方も、お気軽にご参加くださいませ!
 それでは今週も、楽しい執筆ライフを!

メンテ

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木下闇 ( No.5 )
   
日時: 2011/04/03 23:00
名前: RYO ID:CQwstoXM

 木下闇――見上げれば鬱蒼と茂る木々が降り注ぐ光を通してくれない。いつものように息を潜める。人間に見つからないように。これはもう癖だなと苦笑する。人間の目に映らない術を身につけて、久しい。もう大分板についてきたのだと思う。もう鼻からうどんを垂らす根性なしなどと呼ばせはしない。人間の目に映るということは、まだまだ未熟の者で、鼻からうどんを垂らす根性なしという不名誉な称号がひっそりと仲間内で与えられる。
 とはいえ、先日おかしなことがあった。人間と目が合ったのだ。日の当たる石の上に腰掛けて、おやつに菫の砂糖漬けを食べているときのことだった。菫を口に運ぶ手が、思わず止まってしまった。一枚一枚ゆっくり食べていた菫の砂糖漬けの最後の一枚を思わず落とすところだった。ただその人間はとても美しかった。そうとても美しかった。見とれてしまっていた。風も吹くのを止めた。木々もその枝を揺さぶるのを止めた。小鳥もさえずるのを止めた。時間さえ止まっていた。

 木下闇――目を凝らす。光は降り注いでいるというのに、そこは何も見えない。あれは気のせいだったのだろうか。溜め息を吐く。溜め息に気がついてくれないだろうかと期待を込めて。ぽかぽかとした春の陽気も、ここまで上ってくると暑くてしかたない。登山を趣味にして久しい。自分に負けるなと、毎週のように山頂を目指して登ってきた。そもそも登山を始めた目的はダイエットだったけれど、今ではすっかり山の魅力に取り付かれてしまった。もうぽっちゃりとは言わせない。随分と無駄な脂肪は落としたのだから。
 とはいえ、私の今の目的は山頂にはない。今の目的は、あのとき見た妖精をもう一度見つけることだ。見つけてどうするかは決めていない。ただもう一度、見てみたかった。ぽぽぽぽーんって出てきてくれるといいのにと思う。初めて目が合ったときは、木下闇からちょっと離れた石の上に膝を組んで、紫の花びらをかじっているところだった。あれは多分菫か何かと思うけれど、そんなことより、愛らしさと、神々しさに目を奪われていた。深い緑の髪と瞳と、白い肌。思いがけないことに目を丸くして、時間が止まった様子はなんとも愛らしい。永遠とも思えるくらいの静寂が流れた気がした。

 思えば、人間の目に映らないというのは、人間を見ないということに等しいのかもしれない。人間から見られないのだから、こちらからわざわざ見る必要はないのだろう。それはつまり、ずっとまっとうに人間を見てこなかったということと違いはないのかもしれない。そんな想いに狩られて、焦がれる。あの人間ともう一度会うことは叶うのだろうかと。人間の目に映らないというのが今は恨めしい。これは息をするように、自然と風に乗れるようになるように、勝手に身につき、染み付いていくものだ。やらないことのほうが相当に難しい。今にしてみれば、このような能力はもう恨めしい以外の何ものでもなかった。
 こんな気持ちになるなんて――菫の砂糖漬けが口の中で、ふわりとその香りを広げる。風は緩やかにふわりと乗っていきたい気持ちを、座る石の硬さに刻み付けるようにこらえる。どうせなら、恨み言の一つでも言いたいものだ。私の一族にあるまじき気持ちにさせた恨み言を。
「美しすぎて、何が悪い」
 そう返されるのかもしれない。そう考えたら、おかしくなって、笑いながら、石の上に仰向けになる。やっぱりそこには、木下闇が広がっていた。

 思えば、妖精というのは、ときどき聞く話だった。そのときは妖精なんてと、一笑に付して聞いてたけど。まさか自分が見ることになろうとは。まったく信じてなかったし、今も夢か幻でも見たんじゃないかと思う。信じていなかったものが、眼前にいた。奪われたのは目ではなく、心だったのかもしれない。それは自然への畏怖の念にも似て、でもどこか小さな子どものよくやる空想の産物を思わせて、捕らえて離さない。大人でいることのほうがよほど難しい。
 こんな気持ちになるなんて――切り株に腰掛けて、ペットボトルのスポーツドリンクを飲む。飲み慣れた味がどこかで現実を教えている気がする。風が吹く。強く。山頂が呼んでいる気さえする。山が嫉妬しているのかもしれない。美しすぎる何かに心を奪われることは罪なのかしら? あるいは奪うことが罪なのかしら? だったら、
「美しすぎる罪で逮捕する」
 っていうのはアリかもね。逮捕できても、すぐに放してあげないと可哀想よね。花びらをかじるように儚いんだから。そう考えたら、おかしくなって、スポーツドリンクを飲み干す。やっぱりそこには、木下闇が広がっていた。

――――――――――――――――――――――――――――――
二時間半くらい。二千字いっていないくらいです。
任意まで全部つかってみました。
物語性を排除してみました。どこか童話っぽくしてみました。
対比させてみました。
ある意味実験的ですね。
もうちょっと描写とか感覚が表現できると雰囲気が出たんだろうなと。

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