Re: 三語「保存液」「そびえ」「砂時計」 ( No.4 ) |
- 日時: 2012/01/10 02:16
- 名前: タナカ ID:sJDseHTI
「保存液」「そびえ」「砂時計」の三語です。縛りは、極上のハッピーエンドです。 時間は2時までです。
「あけましておめでとう」 「う、うん、あけましておめでとう」 ああ、これは夢なんだなと思ったのは、僕への第一声が殺人鬼だったからだ。身長二メートル。筋骨隆々身体に、アイスホッケーのマスク、もはや一時間三語と言えば殺人鬼。手抜きな作者の苦心の作。しかもどんなサービスショットか分からないが、ムチムチの筋肉裸にエプロンだった。全くもって意味が分からない、新年早々こんな初夢に心底がっかりだ。 「君の為におせち料理を丹精込めて作ったんだ、口に合うと嬉しいな」 夢の中で味などあるのかなと、黒豆を食べる。 これはっ! 程よく煮込んであって、素晴らしく美味しい。箸の止まらない僕に殺人鬼はマスクの中で微笑んでいるようだった。伊達巻、蒲鉾、他の料理も絶品だった。複雑な心境、涙を流しながら僕は食べていたに違いない。 「腹ごしらえしたら、初詣行きたいな」 「う、うん」 なぜ殺人鬼なのだろうと、心底悔やむ僕がいる。歌って踊れて初日の出万歳みたいな、ミニスカのアイドルに、営業スマイルでも言われたかった。 人ごみをすり抜け、僕達はお賽銭を投げた。 袴に着替えた殺人鬼は、手を合せ、熱心にお祈りする。少し気になり殺人鬼に聞いてみた。 「何てお祈りしたんだい?」 「え~、僕から言うのぉ? 恥ずかしいなぁ」 こんな遣り取りは望んではいない、新年早々だからと、僕は握った拳を緩める。殺人鬼はマスクの下で頬を染め、 「君に邪魔な書き手の人を、この手で葬りさりたいって、お願いしたのさ」 すぐに実行できるのでは? お願いでもなんでもないだろう。 「みんな凄い書き手の人達だからね、影響される事はあっても、邪魔な人なんていないさ」 「じゃぁ、そうだなね、君に酷評を入れた人を、夢の中で地の果てまで追い回すさぁ。聳える山中の洞の中、保存液に浸かして、砂時計をいくら反転させようと、無限地獄もアリだね。夢の中なら何でもありだからね。なんならマスクを取って僕の素顔を見せるさ、トラウマ間違いなしだね。そんな初夢を見たら二度と書けなくなる事間違いなしさ」 それもどうかと思う。だけどここは殺人鬼の想いを受け入れよう。 本当にそんな夢を見たら面白いなと、ちょっと楽しみな僕がいる。
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