Re: 新歓と書いて、三語と読め ( No.3 ) |
- 日時: 2011/06/05 01:29
- 名前: RYO ID:LRtNGENE
「森と林の違いって知ってるか?」 「森のほうが木がたくさん生えてて、林のほうが少ないんだろう」 「ふっ」 「なんだ、その勝ち誇った顔は?」 「ふっ」 「だからなんだよ」 「これだから、素人は困る」 「なんだよ」 「まず林の語源を知ってるか?」 「語源?」 「そうだ。『はやし』と十回言ってみろ」 「十回? ピザじゃあるまいし」 「とにかく言えよ」 「わかったよ。はやし、はやし、はやし、はやし」 「遅い。もっと早く」 「はやしはやしはやしはやしはやしはやしはやし」 「で、なにか、わかったか?」 「いや、なにも。疲れただけだ」 「ふっ」 「なんなんだよ!」 「やはりな」 「やはり?」 「ふっ」 「もったいぶるなよ」 「いや、十回言えば分かるかもしれんと思ったけど、やはり無理だったな」 「とりあえず殴っていいか?」 「まぁ落ち着け。林の語源ってのはな、他動詞で植物とかを『生やす』なわけだ。それを名詞化させて、『生やし』になったわけだよ」 「おお。なるほど」 「この意味が分かるか?」 「いんや」 「ふぅ」 「なんだ、そのため息は。そんなに俺にうんちくを語るのは疲れるか?」 「疲れる。いいか、植物を『生やす』のは誰だよ?」 「えっと、人か?」 「そうだよ。つまり、林っては、人が『生やし』たから、『林』なんだよ。人の手が入っているってことなのさ」 「おお」 「ここまで説明しないと、分からないお前に、驚きだよ」 「るせっ」 「まったく。この定義でいくと、この日本にどれだけ森が残っているのか?」 「ほとんどないだろうな。実家の裏山さえ、林だな。言葉はあれど、本物の森はずいぶんとなくなったわけだ」 「違う。俺がいいたいのはそんなことじゃない」 「はぁ?」 「ふっ」 「いい加減、その俺をさげすむような目をやめい」 「ふっ」 「だから――」 「いいか。森があって、林があって、じゃあ、『竹林』はどうなるんだ?」 「竹林?」 「そう竹林だ。なんで林がつく?」 「いや、どうでもよくね?」 「竹林とは人が生やしたものなのか? お前は気にならないのか?」 「ならない」 「では、『竹森』という言葉があっても良いんじゃないか?」 「なくても困らない」 「お前が困るかどうかなど聞いていない」 「じゃ、聞くなよ」 「いや、大事なことだろう」 「そうか? 竹林があるのは、竹の子でも採るために人の手が入るからなんじゃね」 「おお。なるほど。竹の子か。それなら合点がいくな」 「いや、適当に言っただけだ。そこまで納得されると引く」 「つまり、竹森は竹の子のために絶滅し、竹林が生まれたと。そう言いたいわけだな」 「いや――っていうか、絶滅ってなんだよ」 「そうすると、やはりここは」 「竹林でいいんじゃね? 雨に濡れてなかなか風情があるな。春とはいえ、風邪を引きそうだ」 「竹の子を取るから、竹林。これは盲点だった」 「いや、竹の子を取りに来たまでは良かったが、雨に降られたことが盲点だろう。なんで天気予報を確認しなかった?」 「衛星ひまわり二号でも外れることはあるんだろう」 「知らないのか。ひまわりが今何号なのかを」 「しらねーよ。いい加減下りようぜ」 「今日の晩飯は、竹の子づくしだな」 「にしても、お前んちって本当に山を持ってたんな」 「秋は松茸が取れるぞ」 「それは楽しみだな」 「ふっ」 「なんだ、その笑いは。さては俺を呼ばない気か?」 「ふっ」
―――――――――――――――――――――――― ねたが思いつかず、20分くらい。 地の文は書く余裕がなかったので、会話のみにしました。 自虐的に、ふっ。
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