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RSSフィード [122] 即興三語小説 ―梅雨入りはまだ先―
   
日時: 2013/05/26 21:59
名前: RYO ID:Sw9uMqZ.

とりあえず設置
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●基本ルール
以下のお題や縛りに沿って小説を書いてください。なお、「任意」とついているお題等については、余力があれば挑戦してみていただければ。きっちり全部使った勇者には、尊敬の視線が注がれます。たぶん。

▲お題:「暗がり」「和蝋燭」「人間」
▲縛り:なし
▲任意お題:「きせき」(変換可。平仮名、カタカナ、漢字問わず)
▲投稿締切:6/2(日)23:59まで 
▲文字数制限:6000字以内程度
▲執筆目標時間:60分以内を目安(プロットを立てたり構想を練ったりする時間は含みません)

 しかし、多少の逸脱はご愛嬌。とくに罰ゲーム等はありませんので、制限オーバーした場合は、その旨を作品の末尾にでも添え書きしていただければ充分です。

●その他の注意事項
・楽しく書きましょう。楽しく読みましょう。(最重要)
・お題はそのままの形で本文中に使用してください。
・感想書きは義務ではありませんが、参加された方は、遅くなってもいいので、できるだけお願いしますね。参加されない方の感想も、もちろん大歓迎です。
・性的描写やシモネタ、猟奇描写などの禁止事項は特にありませんが、極端な場合は冒頭かタイトルの脇に「R18」などと添え書きしていただければ幸いです。
・飛び入り大歓迎です! 一回参加したら毎週参加しないと……なんていうことはありませんので、どなた様でもぜひお気軽にご参加くださいませ。

●ミーティング
 毎週日曜日の21時ごろより、チャットルームの片隅をお借りして、次週のお題等を決めるミーティングを行っています。ご質問、ルール等についてのご要望もそちらで承ります。
 ミーティングに参加したからといって、絶対に投稿しないといけないわけではありません。逆に、ミーティングに参加しなかったら投稿できないというわけでもありません。しかし、お題を提案する人は多いほうが楽しいですから、ぜひお気軽にご参加くださいませ。

●旧・即興三語小説会場跡地
 http://novelspace.bbs.fc2.com/
 TCが閉鎖されていた間、ラトリーさまが用意してくださった掲示板をお借りして開催されていました。

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○過去にあった縛り
・登場人物(三十代女性、子ども、消防士、一方の性別のみ、動物、同性愛者など)
・舞台(季節、月面都市など)
・ジャンル(SF、ファンタジー、ホラーなど)
・状況・場面(キスシーンを入れる、空中のシーンを入れる、バッドエンドにするなど)
・小道具(同じ小道具を三回使用、火の粉を演出に使う、料理のレシピを盛り込むなど)
・文章表現・技法(オノマトペを複数回使用、色彩表現を複数回描写、過去形禁止、セリフ禁止、冒頭や末尾の文を指定、ミスリードを誘う、句読点・括弧以外の記号使用禁止など)
・その他(文芸作品などの引用をする、自分が過去に書いた作品の続編など)

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Re: 即興三語小説 ―梅雨入りはまだ先― ( No.3 )
   
日時: 2013/05/26 22:40
名前: 卯月 燐太郎 ID:ip2f/3Pk

『夜が満ちる』


 いつの日か新宿の歌舞伎町は眠らない街と言われるようになった。
 その裏通りにある古いビルのモルタルの壁に貼り付けた青いネオン管はくすんでおり、パチパチと音を立て今にも消えてしまいそうだった。人通りはほとんどなくてすえたにおいがあたりに漂っていたのは、酔っ払いがげろを吐いたり小便をしたりするからだ。
 ネオン管はただ青いだけで、階段の下が「バー」なのか、何の店かはわからなかった。
 コートを着て帽子を深くかぶった者が階段を下りていった。その者は夜だというのにサングラスまでしていた。
 地下に降りると分厚いヒノキの扉を開けた。
 するとそこには深い森が広がっていた。
 夜の森である。
 梟(フクロウ)が針葉樹の太い枝に留まり大きな目を見開いて扉から入ってくる者を見張っていた。
 そいつが入ってくると「ほーほー」と森の中に梟の鳴き声が吸い込まれていった。
 そいつは暗がりの森の奥へと続く獣道を歩いていった。そいつが通ると虫たちが声をあげる。くねくねとした獣道をしばらく行くと空き地に出た。地面には、和蝋燭が円陣のように並べられ、まるで何かの儀式をしているように思える。炎が歌舞伎町のあかりとは違う、赤い、あかりを放っていた。
 古だぬきや七尾狐や一つ目小僧、傘男などいろいろな妖怪が集まっている。
 その妖怪たちの話し声がそいつが来ると急に静かになった。みんながみんなそいつを見る。
「どうでした、あちらの様子は?」
 化け猫が尋ねた。
「だめだな」そいつは革靴の裏に付着したガムを手袋のした手ではがすと暗い声で言った。
「しかし、なんか入り込める隙はないのですか?」
「動物園に白熊はいたが、やつは神の使いではなかったよ」
「そうですかい、昔から白い動物は神の使いと相場が決まっていたものですから、てっきり、われわれの同類かと思いましたよ」
 すると白蛇がもっともだとうなずいた。
「それじゃあ、あちらの世界に、もはや夜は来ないのですか? 昼は太陽があかるくて、夜は夜で煌々とあかりが灯っている。これじゃ、われわれ妖怪の出番はないですね」
「いいやそうでもなかったよ」
 そいつは帽子をとり、コートを脱ぎ、サングラスをはずし、靴を脱ぎ捨てた。
「人間たちの心の中は、夜そのものだったよ。真っ暗な闇の世界だったよ」
 夜はその真っ暗な姿をあたりに解けこましながら「新しい都市伝説は奇跡のごとく、いくつも始まっていたよ」
 そううそぶくと、もはや妖怪たちにも夜の姿は見えなくなっていた。

―― 了 ――

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▲お題:「暗がり」「和蝋燭」「人間」
▲縛り:なし
▲任意お題:「きせき」(変換可。平仮名、カタカナ、漢字問わず)

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