思い出 ( No.2 ) |
- 日時: 2012/11/04 17:38
- 名前: マルメガネ ID:OM5pVV6E
キンモクセイの香りが漂っている。 「秋深し、ってところですね」 マスターが呟くように言った。 「ところで、マスター。その子猫ちゃんのキーホルダーはなんすか?」 野暮な質問と思いつつ、マスターが握る焙煎室のカギについた古ぼけたキーホルダーについてコウが聞いた。 「ああ、これかね。これは遠い昔に同僚だった猫好きの女の子の形見さ」 そう言ってマスターがため息をついた。 あらゆる格闘技、護身術を身に着け、M16A1ですら扱えるマスターの素性はうかがい知れない。 「亡くなったんすか?」 「ええ、亡くなりました。銃器の暴発事故で」 マスターが言う。 店内は相変わらず陽気なジャズが流れている。 コウはどんな女性だったのだろうかと、想像した。
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