小春日和の一コマ ( No.2 ) |
- 日時: 2012/03/11 19:11
- 名前: マルメガネ ID:ojp3RmaE
冬の寒さが去り、あちこちで春の便りが聞こえる頃。 ひばりの初鳴きの速報がネット上に流れるなか、古びたものを食べてしまい浮き出た蕁麻疹をぽりぽり掻きながら、下痢に見舞われ、げっそりした顔をして万年筆をレポート用紙に走らせる。 憂鬱な花粉症ももうじき流行るであろう、アレルギーの出やすい季節になったことを思うと、とても気分が沈む。 インクが切れた。 インクボトルの蓋をあけ、万年筆の軸を回し外して、コンバーターで吸い上げる。 下書きを兼ねた原作はまだ完成にほど遠い。 インクを補充して元通りに組み立てた万年筆を机に放りだして、ごろりと横になると暖かな日差しもあって眠気が猛烈に押し寄せる。 目覚めてみれば日が長くなったとはいえすでに夕暮れになり、暖かな気温も下がり始めていた。 作家を目指す青年はくしゃみを一つして、電気スタンドを点し、また何かを書き始めた。
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