Re: 糞まみれの瀬戸物の壊れやすい蠅まみれの三語 ( No.2 ) |
- 日時: 2011/07/25 00:05
- 名前: 昼野 ID:lIduCPbc
君の眼球を覗く。君の眼球には草原が映っている。それも大殺戮の果てた後の、血塗れの草原が映っている。血に塗れた草原の草の一本一本が、太陽の光を反射して、眩しい。 僕は君の目を愛おしく思って、舌を伸ばして眼球を舐める。白眼の部分だけを用心深く舐める。 少ししょっぱい味を予想していたけれど、君の目はなんの味もしなくて、ただ仄かに暖かさを舌に残すのみだ。 僕たちは浴槽に漬かっている。生暖かい湯を張った浴槽。その中には無数の金魚を泳がせている。近所のペットショップで買った、肉食獣の餌用として売られていた一匹60円の、血の色をした金魚。 金魚は僕たちの裸の身体にときおりぶつかり、その度にくすぐったい思いをする。君はいたずらに金魚の一匹を指でつまみ上げる。そして僕にウインクをしてみせてから金魚を噛まずに飲み込んで見せた。 僕たちは平穏な日常から逸脱し、「心の慰め」といった言葉が氾濫する当世風の生き方に背を向けて、こういった行為をして楽しんでいる。先のことは考えていない。過去のことも考えていない。 金魚を飲む君の姿を見て、ペニスが勃起する。君はその僕のペニス先端、尿道口を舌先で舐める。そのままフェラチオに移行する君の頭を撫でる。射精へと高まっていく意識のうちに、頭を撫でるのをやめて、君の首に手をかける。 君を殺そうと、手に力をこめる。君はあまり苦しそうではない。拒絶する素振りも見せない。相変わらずフェラチオを続けている。 やがて射精し、君の首にかけていた手を離す。君は金魚を飲んだ時のように、精液を喉を鳴らして飲み込んで見せた。 君は笑みを浮かべて僕に話しかける。 「何を見ていたの?」 「君の眼球。大殺戮の後の、血塗れの草原が映っていたよ」 「それは私の心象風景そのものかもね」 「君の心の中で生活したい」 「平穏さに飽き飽きした?」 「そう」 僕がそう言うと、君はむだ毛剃り用のカミソリを、僕の首筋にあてた。僕は僕で、再び君の首に手をかけて、力を込める。 やがて僕は首にかけた手を離し、君もカミソリを離した。不意に可笑しさがこみ上げてきて、二人で笑い合った。
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