悪夢 ( No.2 ) |
- 日時: 2016/10/30 21:33
- 名前: みんけあ ID:Wt47AdCY
悪夢
▲必須お題:「沼」「西部」「ウ-30」 ▲任意縛り:「後味が悪いホラー小説」にする
男は悪夢で目を覚ます。部屋の明かりを点けたまま寝てしまった。 ふと、窓を見るが外には何もいない。 夢を反芻し、窓の外から手を振っていた。肌が真っ白な人を思い出す。手を振るだけの人。肌は白く、眼球は無く、穴は全て真っ黒だった。笑顔でただ手を振る。その手は自分と違い、指が縦に裂かれ、二十本だった。全部の指の本数でウー30と呼んでいるが、なぜウーが付くかは思い出せない。 呼び鈴が鳴っていた。呼び鈴で起こされたのかもしれない。 ピザの宅配を頼んでいたのを思い出し、男はすぐ様ドア開ける。 品物を貰い、お金を払う。ピザ屋は腰のポシェットに代金を入れ、お釣りを探しながら、 「そうそう、お友達が玄関で待っていましたよ」 ピザ屋の後ろにはさっき見ていた悪夢の白い人間が、笑顔で手を振っていた。 男はドアを閉めようとするが、ピザ屋が足でドアを食い止め、 「お釣り忘れていますよ、30円ですね」 ドアの間から出された手は真っ白で、器用にも縦に裂かれた指にコインが挟まっていた。 男は夢から覚めると絶叫した。
「先輩、またあの患者ですね、薬の量少ないんじゃないんですか?」 男の叫び声が病院内に響いていた。 「西部の沼地で発見された時はまだまともだったのにね。薬増やしてから最近多くなったのかな?」 「あの患者イケメンなのに勿体ないっすね」 「ああ、生まれついての奇形児で手の指が十本しか無かったんだって。手術で治るのに、今まで手術は拒んでいたみたい。ここの病院に来て気がふれて自分で喰い千切ったんだよね」
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