それは愛だね ( No.2 ) |
- 日時: 2014/12/28 23:04
- 名前: tori ID:nNqD1XDk
ラグビー部の部室はプレハブで、何代か前の先輩たちが手作りしたものだった。 筋力トレーニング用のダンベルだったりとか、タックル練習用のマットみたいな器具なんかが置いてある。 半分ぐらい倉庫の扱いだけど、練習がだるい時は集まってトランプしたりして時間を潰したりもしていた。
その部室で、ぼくはアンナと二人きりだ。 アンナはニュージーランドからの留学生だ。赤みの強い茶色の髪と灰色の目をしている。 時間は二〇時を過ぎている。学校の正門も後門も鍵がかかっているような時間。職員室の光も消えて、校内に残っているのは二人だけだろう。
ぼくは英語が得意ではない。 アンナは日本語が得意ではない。 たぶんお互いの言っていることは半分も通じてない気もする。
アンナのことを抱きしめる。 首筋に顔をうずめて、片手を彼女のふとももに添わす。夏の夜の人間のにおいがする。アンナの手が、ふとももに添わせたぼくの手に重なる。そのままスカートのなかに誘いこまれる。
うめくような声が漏れる。 これからすることについて興奮している。
暗闇のなかでアンナの顔をみた。白い肌が赤くなっているように見える。小さな唇に引き寄せられていった。 前歯がぶつかるぐらい激しく舌をからませた。唇を押しつけあう、唾液をまぜ、呼吸を交換する。 スカートのなかで絡めた指がそのまま下着中に入っていく。やわらかな感触。ふとももとは違ってどこまでも指が沈んでいきそうなやわらかさがある。 唇を離す。 アンナは下着を脱ぐ。 ぼくはズボンを下着ごと下ろす。 アンナが部室のマットのうえに腰を下ろして、スカートをたくしあげる。暗くて細部は分からない。部室の窓から差しこむ外灯の光ぐらいしか光源はない。アンナが、ささやくような小さな声で何かを言う。
※ ※ ※
電球を点けた。 切れかけで、ときどき点滅した。
アンナは乱れた服を直していた。ぼくは後始末に使ったティッシュを地面に埋めていた。
衣擦れの音がやむ。 足音が近づいてきた。手を握られる。ふり向くとアンナの顔がある。 ぼくは英語でアンナに好きだ、と言う。アンナは首を傾げる。ぼくは日本語で言い直す。アンナは笑って、ぼくの頬に唇を押しつけた。
「ことばはふべんだ」
アンナの片言の日本語に、ぼくは頷いた。
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