Re: 即興三語小説 ―梅雨入りはまだ先― ( No.2 ) |
- 日時: 2013/05/26 22:40
- 名前: 昼野 ID:NGu5IyHk
暗がりの便所の中で、下痢をするということ。あらゆる和蝋燭を消して、暗がりの中で下痢をするということ。 僕は便所の光は、和蠟燭に頼っていた。というのも、天井にある電気が壊れていたからだ。それを治す気力は無かった。僕は生活という事に思考が行かない人間で、部屋の何が壊れても、ほったらかしにしていた。その所為で部屋の中は、廃屋同然に、頽廃しつつある。散乱するゴミというゴミ、それに群がるゴキブリというゴキブリ、蠅という蠅、あらゆる自然の病的なイマジネーションの産物のような生き物らが、我が物顔で、部屋を席巻していた。 それでも僕は、夢ばかり見ていて、現実にはまったく眼が行かない。それも他人に指摘されて(オマエハキミョウナユメバカリミテイテ、セイカツトイウモノニ、イシキガイカナイナア!)、やっと自覚した、という程に、夢ばかりを見ているようだ。 ゴキブリや蠅に囲まれて生活をし、いつしか僕自身が、自然の病的なイマジネーションの産物となったようだった。僕は働いていないし、昼夜は逆転しているし、時間という観念が存在しないし、夢ばかり見ている。 そして今は、暗がりの便所の中で下痢をする、という行動に出ている。それはそれは僕自身の荒廃した精神の、反復の行動だった。僕は「暗がりの便所の中で下痢をしたい」という強迫観念に駆られて、暗がりのなかで下痢をしている。 僕は人間と呼ぶにはあまりにおぞましいものに、変貌している事に、僅かな理性でもって薄々と気付いている。 そして僕は、そういった自分が好きであった。
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