Re: 即興三語小説 ―明日から4月ですね―「バカップル」 ( No.2 ) |
- 日時: 2013/04/08 13:53
- 名前: 蒼樹 優汰 ID:vCGoJbpI
「バカップル」
カズキはiPhoneに表示された時刻を見て、走って来たサナエを無言で見た。息を荒げながら、僕に苦々しい表情をしているのがわかる。彼女は遅刻魔だ。前回も遅刻した。そして今度こそ遅刻しない、と彼女の方から言ってきたのが昨日のこと。やっぱり、というか、予想はついていたというか「31秒の遅刻だよ」と言ってやると、そのくらい許してだの細かいだのキーキー言ってきた。そして集合時間直前を指し示す腕時計を見せてきて間に合ってると主張してきた。いやいやいや「iPhoneの時刻が君の遅刻を証明している。君の腕時計は壊れている」と言うと、そんなのありえないと否定してくる。iPhoneと腕時計ではどう考えてもiPhoneの方が正確である可能性が高いのに。それを説明してやると「この理系!」と言ってきた。「何だよ文系」彼女はふくれっ面で「そんな細かいことばっか言ってて楽しいの?もっと本読んでおおらかに生きなよ!」と言う「本?本なら読むさ。読まないわけじゃない。文系といっても君は純文学のものを読んでいるのか?大衆文学のものばかり読んでいるんじゃないか?」彼女は言い返さない。いや、言い返せないのだろう。近頃の女子高生は(まぁ僕も高校生ではあるのだが)ライトノベルや携帯小説などそんなものばかり読んでいるのが現状だ。そんなのでよく文系だと威張れるものだ。彼女は苦しげに「うるさいA型男!」と叫ぶ。そうだよ僕はA型だ。「A型だから何だよ?そういう君は典型的なO型だよな。やることなすことおおざっぱで、雑。汚い。きっと小学校の時にはお道具箱の中で水のりが散乱してはさみやら名前ペンやらがベタベタになっていたような女子なんだろう?」彼女は僕を睨みながら目を潤ませている。・・・流石に言い過ぎたかもしれない。忘れていたが、今日は映画を見に行く予定だったのだ。そしてこの人は僕の長年の片思いの相手だったのだ。「悪い、言い過ぎたよ」彼女は「本当に言い過ぎだよ」と呟く。そして「遅れてごめんね」と少しはにかんで言う。僕は彼女のそういう所が好きなのだ。そこが好きで告白したのだ。僕らは手を繋いで歩き出した。
つたない文章ですが 初めて投稿させていただきました。精進します。 ありがとうございました。
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