主催者様がしばらくお越しになれないとのことで、一時的に代行させていただいております。 常連さんも飛び入りの方も、どなた様もお気軽にご参加ください!----------------------------------------------------------------------------●基本ルール以下のお題や縛りに沿って小説を書いてください。なお、「任意」とついているお題等については、余力があれば挑戦してみていただければ。きっちり全部使った勇者には、尊敬の視線が注がれます。たぶん。▲お題:「眼帯」「タマムシ」 「春眠」 ▲任意お題:「カフェ」「危険でいっぱい」「ももちゃん」▲表現文章テーマ:なし▲縛り:「登場人物は女性だけ(任意)」 ▲投稿締切:5/6(水)23:59まで ▲文字数制限:6000字以内程度▲執筆目標時間:60分以内を目安(プロットを立てたり構想を練ったりする時間は含みません) しかし、多少の逸脱はご愛嬌。とくに罰ゲーム等はありませんので、制限オーバーした場合は、その旨を作品の末尾にでも添え書きしていただければ充分です。●その他の注意事項・楽しく書きましょう。楽しく読みましょう。(最重要)・お題はそのままの形で本文中に使用してください。・感想書きは義務ではありませんが、参加された方は、遅くなってもいいので、できるだけお願いしますね。参加されない方の感想も、もちろん大歓迎です。・性的描写やシモネタ、猟奇描写などの禁止事項は特にありませんが、極端な場合は冒頭かタイトルの脇に「R18」などと添え書きしていただければ幸いです。・飛び入り大歓迎です! 一回参加したら毎週参加しないと……なんていうことはありませんので、どなた様でもぜひお気軽にご参加くださいませ。●ミーティング 毎週日曜日の21時ごろより、チャットルームの片隅をお借りして、次週のお題等を決めるミーティングを行っています。ご質問、ルール等についてのご要望もそちらで承ります。 ミーティングに参加したからといって、絶対に投稿しないといけないわけではありません。逆に、ミーティングに参加しなかったら投稿できないというわけでもありません。しかし、お題を提案する人は多いほうが楽しいですから、ぜひお気軽にご参加くださいませ。●旧・即興三語小説会場跡地 http://novelspace.bbs.fc2.com/ TCが閉鎖されていた間、ラトリーさまが用意してくださった掲示板をお借りして開催されていました。--------------------------------------------------------------------------------○過去にあった縛り・登場人物(三十代女性、子ども、消防士、一方の性別のみ、動物、同性愛者など)・舞台(季節、月面都市など)・ジャンル(SF、ファンタジー、ホラーなど)・状況・場面(キスシーンを入れる、空中のシーンを入れる、バッドエンドにするなど)・小道具(同じ小道具を三回使用、火の粉を演出に使う、料理のレシピを盛り込むなど)・文章表現・技法(オノマトペを複数回使用、色彩表現を複数回描写、過去形禁止、セリフ禁止、冒頭や末尾の文を指定、ミスリードを誘う、句読点・括弧以外の記号使用禁止など)・その他(文芸作品などの引用をする、自分が過去に書いた作品の続編など)
赤靴の少女 靴も履かずボロ布を纏う貧しい暮らしをした女が居た。女は幼い娘の母であった。母が病に罹り働けなくなると、娘は母と同様に仕事を得ようとしたが、パンも食べられずやせ衰えた少女を使おうとする者はこの町には居なかった。 とうとう母が死ぬと、娘は亡骸を紐を括りつけた板の上に乗せ、引きずって郊外の無縁墓地まで運んだ。そうするといいと、一度だけ少女を買ったみすぼらしい男が教えてくれたのだ。 親の死体を引き摺る子供など、特に珍しくもない時勢だったので、町の者達は特に少女を手伝うことなく通り過ぎる。冷たい風に煽られよろけると、足に痛みが走って転んでしまった。尖った石を踏んでしまったのだ。ここまで健気に母を運んでいた少女だったが、助けを乞う気持ちで板の上の故人を見る。春眠を貪るように穏やかな表情で冷たくなっている母なのだ。生きるに苦しく、死ぬほうが安らかなこの世なのだ。とうとう少女は我慢できなくなり、己のあんまりな境遇に涙してしまった。 そこにたまたま、靴屋が通りがかった。板に乗った遺体と、涙する裸足の幼い少女を見て靴屋は事情を察した。「娘さん。その女の香代にこの靴を受け取ってくれ」 靴屋が渡したのは、赤い革靴だった。一見、質のいい靴なのだが、何故か売れ残っているうちに流行が変わり、持て余している品だったのだ。 渡された革靴を、食べられないかと噛む少女に同情し、靴屋は食べかけのパンを渡すと去っていった。 すこしだけ元気の出た少女は、再び立ち上がり母を墓地へと運ぶのだった。 さてこの赤い靴だが、実は売れないのにもわけがあった。少し前の流行に乗って作られたデザインや糸の縫い目、細やかな修飾が偶然か、あるいは靴職人の悪意があったのか、ある呪いを形成する魔導回路となっていたのだ。生き物の本能は魔導を忌避する。金感情で靴を手に入れた靴屋はともかく、直感で買い物をする客達にとって、この鮮やかで見事な靴はどうしたことか気に入らない物に感じられたのだ。 この呪いは身につけた者の命を徐々に奪い取るという効果だった。 しかし少女が靴を齧ったことでついた歯型が、魔導回路に変化が生じさせた。大地を踏みしめることで生じるエネルギーを元に、自動的に歩くことができる便利な靴となったのだ。それを知らない少女は母を墓地に埋葬し、町に引き返す。不思議とーー履いた赤い靴の効果なのだがーー足が軽く、羽が生えたかのような歩調になった。 母が死に明日どう生きるかの算段もつかないが、パンを食べて取り戻した活力のおかげで、多少は気持ちも向上した。「るんるん」 せめて口だけで強がらねばと歌を口ずさみ、スキップで歩く。 その道の向こうから歩いてくるのは、赤兎と呼ばれて畏れ敬われる英雄だった。下半身が馬、上半身が岩のようにがっしりとした男の風体で眼帯をしている。これまでに単騎で三柱の邪竜を殺したという経歴を持ち、酒場で最強の戦士は誰かという話があれば大抵彼の名前が挙がるほどだ。今日はかつての戦いで失った仲間の墓参りに、この道を歩いているのだった。 赤兎は目の前から歩いてくるみすぼらしい少女を見て眼を細めた。(何気ないスキップのように見えて……尋常でない達人の足運びだ) 男の経歴は輝かしいものだが、同時に妬みや不興を一部から買っていた。それでなくても名を上げようとする戦士から決闘を挑まれることもあったりなど、赤兎という男の命を狙うものは少なからずいた。 みすぼらしく装って油断させ、悪意のない様に振る舞って近づくとはまさに、暗殺の手口の最もたるものである。少女の足運びは眼を張るものがあり、腕を降る様子は自然体だ。しかし、少女の歳に不自然なほど隙がない立ち振る舞いや、口ずさむ鼻歌とは相反してどこか陰のある表情であった。男からすれば、彼女が自分の命を狙った暗殺者だと判断するには十分であった。 男は相手に悟られないよう己の下半身、馬の背に載せた槍にそっと手を伸ばす。そしてすれ違いざまに、丸太のような豪腕に力を込め、少女の体めがけて槍の刃を振りぬいた。 もしその瞬間を誰かが見ていたら、少女をおとぎ話の妖精に例えたかもしれない。 凶刃が少女の体をふたつに分けると思われたその時、彼女は地面を蹴って軽やかに跳躍した。振るわれる刃の腹に片足をつけてもう一度飛び、くるりと体をひねると、大きく振り上げて勢いを付けた踵を男の脳天へと叩きつけたのだ。 ふわりと音もなく地面に降り立ったが、その半瞬の出来事を当事者である少女は近く出来なかった。彼女は浮遊感を覚えてはいたが、半人半馬の美丈夫とすれ違った時に、足を滑らせて転びそうになった……という程度にしか認識できなかったのだ。 見られていたかも知れないと思うと恥ずかしくて、少女は走り去る。後ろで大きなものがドサリと倒れる音を聞いたが、振り向かずに少女は逃げたのだった。 赤靴の女帝。 この十年後に、そう呼ばれるようになる伝説の人物はこうして世の中に現れた。 定住せず各地を旅し、燃髪と恐れられる魔女を下し、赤帽子団とよばれる巨大盗賊団を壊滅させ、時には不毛の地の上で二ヶ月間タップダンスを踊って土を耕した。 天災級特殊害虫であるジゴクタマムシの素をことごとく踏み潰して一地域を救ったかと思えば、別の場所で天にそびえ立つ神殿の壁を駆け上がり神々を怒らせたり、一方でワニを騙して川に橋を作り渡ったという何の意味もない伝説もある。 寝ずに歩き続ける不死者だとも、大地に流れる龍脈を用いた戦闘術・地功流の創設者だとも、真偽定かではない話の残る女である。彼女の教えを元に弟子たちが確立した舞踏魔術は、祈祷を兼ねた踊りと、足で描き出す魔法陣、踏み鳴らすことで生じる魔旋律を利用した三階級魔術として有名である。 世界規模で伝説が残る赤靴の女帝であるが、彼女について綴られる記録はたいてい以下のように始まる。「ある日、足の臭い女がやってきた」と
心地よい春眠から目覚めたケイが目覚まし時計を見る。 目覚まし時計はセットした時刻よりも一時間ばかり過ぎ去っていて、彼女は大慌てで起きた。 セットした時刻にけたたましく鳴り響いていただろう時計を無意識のうちに止めていたのかもしれなかった。「あっ…。今日は、カフェのお仕事お休みだった」 慌てて身支度をしていて彼女が気づく。 その日は勤めているカフェ『アロジムロジ』の店休日であり、彼女が付き合っているいつも右目に黒革の眼帯をしている美形のタツキが来そうな気がして、急いで部屋の掃除にとりかかった。 「ケイ。いるかい?」 玄関先のベルに続いてインターホンを通して彼の声が聞こえる。彼がやって来たのだ。 お気に入りのタマムシ色の掃除機をかけていた彼女は、掃除機のスイッチを切ってそのまま置くと、インターホンに出た。「ちょっと待ってね」 ケイがそう言って玄関のセキュリティドアを解除すると、彼が入ってきた。「あっ…。 掃除中だったの?」「う、うん。ちょっとね」 状況を察した彼に少し恥ずかしそうにケイが答える。「なんなら、手伝ってあげるよ」 タツキがそう言ってきた。「いいの?」 ケイが聞き返す。せっかく来てくれたのに手伝わせるのもなんだろう、と彼女は思ったが、彼のほうはそんなことは気にもせず、さっさと手伝い始めた。「あれ? なんだこれ?」 テーブルの上のものを片付けていたタツキが何かを見つけた。 それは何かしら古びた黒いものだった。「ああ、それ。忘れていたの。あなたが忘れて帰ったものよ」「おれの? 何だろうな」 タツキがいぶかしがっていたが、やがて思い出したらしく、「ああ、そういえば、ここへ来て泊まらせてもらったとき、忘れて帰ったような気がする」と言った。「そう。そのときよ。あたしも忘れていたんだけど」 ケイが答えた。 タツキが発見したものとは自分の黒革の眼帯だった。 彼は発見した自分の眼帯をしげしげと見ていたが、やがてポケットにそれを押し込んだ。 ケイの部屋の掃除はそのあとしばらくして終わった。 ケイがコーヒーサーバーからコーヒーをカップに注ぎ、それを来た彼に差し出しながら「悪かったわ。来てもらったのに手伝わせて」と謝った。「いや、おれもさ。連絡もなしにいきなり来て悪かったよ」 タツキが言う。 どうもお互い様だったようだ。 二人は仲がいい。「それにしても…」「それにしても?」 ケイがタツキに聞き返す。「まさか、ケイの家に自分のモノがあったなんて…。びっくりだったよ」 タツキが苦笑いする。「じゃぁ、それまでどうしてたのよ?」 今度はケイが不思議がった。「たまたま、コウさんに新調してもらったのがポケットに入っていたんだ」 タツキがそう話す。 彼が、コウさん、と言った人物は町外れで倉庫を改造した工房兼住宅で暮らし、革細工をしている大柄で温厚な職人である。 ケイはタツキの素顔を見てみたくなったが、眼帯の下を見るのは少し気が引けた。 しかし、よく見ると彼がしている黒革の眼帯には何かしらの紋様があることにようやく気づいた。 革細工職人の遊び心なのだろう。「ところで、危険がいっぱいの裏のお仕事は?」「今のところないね」 彼はそう言うとカップに残ったコーヒーを飲み干した。________________________________________________ 久々の参加です。話が途中なのはこれ以上思い浮かびませんでした。