とりあえず設置--------------------------------------------------------------------------------●基本ルール以下のお題や縛りに沿って小説を書いてください。なお、「任意」とついているお題等については、余力があれば挑戦してみていただければ。きっちり全部使った勇者には、尊敬の視線が注がれます。たぶん。▲お題:「暗がり」「和蝋燭」「人間」▲縛り:なし▲任意お題:「きせき」(変換可。平仮名、カタカナ、漢字問わず)▲投稿締切:6/2(日)23:59まで ▲文字数制限:6000字以内程度▲執筆目標時間:60分以内を目安(プロットを立てたり構想を練ったりする時間は含みません) しかし、多少の逸脱はご愛嬌。とくに罰ゲーム等はありませんので、制限オーバーした場合は、その旨を作品の末尾にでも添え書きしていただければ充分です。●その他の注意事項・楽しく書きましょう。楽しく読みましょう。(最重要)・お題はそのままの形で本文中に使用してください。・感想書きは義務ではありませんが、参加された方は、遅くなってもいいので、できるだけお願いしますね。参加されない方の感想も、もちろん大歓迎です。・性的描写やシモネタ、猟奇描写などの禁止事項は特にありませんが、極端な場合は冒頭かタイトルの脇に「R18」などと添え書きしていただければ幸いです。・飛び入り大歓迎です! 一回参加したら毎週参加しないと……なんていうことはありませんので、どなた様でもぜひお気軽にご参加くださいませ。●ミーティング 毎週日曜日の21時ごろより、チャットルームの片隅をお借りして、次週のお題等を決めるミーティングを行っています。ご質問、ルール等についてのご要望もそちらで承ります。 ミーティングに参加したからといって、絶対に投稿しないといけないわけではありません。逆に、ミーティングに参加しなかったら投稿できないというわけでもありません。しかし、お題を提案する人は多いほうが楽しいですから、ぜひお気軽にご参加くださいませ。●旧・即興三語小説会場跡地 http://novelspace.bbs.fc2.com/ TCが閉鎖されていた間、ラトリーさまが用意してくださった掲示板をお借りして開催されていました。--------------------------------------------------------------------------------○過去にあった縛り・登場人物(三十代女性、子ども、消防士、一方の性別のみ、動物、同性愛者など)・舞台(季節、月面都市など)・ジャンル(SF、ファンタジー、ホラーなど)・状況・場面(キスシーンを入れる、空中のシーンを入れる、バッドエンドにするなど)・小道具(同じ小道具を三回使用、火の粉を演出に使う、料理のレシピを盛り込むなど)・文章表現・技法(オノマトペを複数回使用、色彩表現を複数回描写、過去形禁止、セリフ禁止、冒頭や末尾の文を指定、ミスリードを誘う、句読点・括弧以外の記号使用禁止など)・その他(文芸作品などの引用をする、自分が過去に書いた作品の続編など)------------------------------------------------------------------------------
カツーン、カツーン。 一人の男が、地下へと降りていく。 顔はつぶされたように、頭が平らで、片目は眼帯で隠されている。 背は曲がり、片手は杖をつき、もう片手には和蝋燭がはいった提灯。 男は、有名な人形作りの名人であった。 それはまるで本当に生きている人間かのように精巧で、驚かせていた。 その人形は恐ろしいことに、髪までのびる。 この暗がりにつれてこられたのは、いつだっただろうか。 そんなことは、まったくわからない。 全く日のはいらない場所なので、地下だと思われる。 そして、時々、不気味な片目の男が、あらわれる。 今もまた、男があらわれた。 一切身動きはできない。 身体をさわってくるが、何もできない。 縛られているわけでもないのに、何もできない。 ふむ、ふむと、小さな声をあげながら、丹念に身体をさわってくる。 最初のころは、あまりに気持ち悪かったのであるが、段々と心地よくなってきているのが、また恐ろしい。 この男が人形作りをしていることは、喋っている中身で、なんとなくわかっていた。 ああ、きっと人形はこうやって作られているのだろうか。 男にあうたびに、自分の意識が強くなるたびに、実感できて恐怖がどんどん胸の奥でひろがっていく。 逃げ出したい。 けれども、ここを出てどこへいけばいいというのだろう。 一体ここがどこだかすらわからない。 このまま、人形が完成するまで、ここで閉じ込められて、その後どうなるかなんて考えたくもない。 だけども、その日にちはどんどん近づいてきているのはわっきりとわかる。 かれの手つきが、次どの部位を作成してくるのかをはっきり教えてくれる。 嗚呼これで最後かもしれない。 さようなら。 片目の男と紳士が喋っていた。 黒い装いに、シルクハットにヒゲ、そしてぶら下げた懐中時計。 まるで自分が紳士だと喧伝するような格好だった。「これですか。全く見事なものだ」「ええ、傑作です。今度こそ、と思うのですが。やはり完成していないようだ」「そうですか、では」 暗がりから出された女は、車へ移され、運ばれていく。 ああ、わたしたすかったんだわ。 あの暗がりから抜けれたのね。 神様ありがとう。 これから、変態貴族に弄ばれる未来と知らない人形は、今を喜んでいた。 人形に魂が宿るという奇跡に気付く者は、まだいない。
暗がりの便所の中で、下痢をするということ。あらゆる和蝋燭を消して、暗がりの中で下痢をするということ。 僕は便所の光は、和蠟燭に頼っていた。というのも、天井にある電気が壊れていたからだ。それを治す気力は無かった。僕は生活という事に思考が行かない人間で、部屋の何が壊れても、ほったらかしにしていた。その所為で部屋の中は、廃屋同然に、頽廃しつつある。散乱するゴミというゴミ、それに群がるゴキブリというゴキブリ、蠅という蠅、あらゆる自然の病的なイマジネーションの産物のような生き物らが、我が物顔で、部屋を席巻していた。 それでも僕は、夢ばかり見ていて、現実にはまったく眼が行かない。それも他人に指摘されて(オマエハキミョウナユメバカリミテイテ、セイカツトイウモノニ、イシキガイカナイナア!)、やっと自覚した、という程に、夢ばかりを見ているようだ。 ゴキブリや蠅に囲まれて生活をし、いつしか僕自身が、自然の病的なイマジネーションの産物となったようだった。僕は働いていないし、昼夜は逆転しているし、時間という観念が存在しないし、夢ばかり見ている。 そして今は、暗がりの便所の中で下痢をする、という行動に出ている。それはそれは僕自身の荒廃した精神の、反復の行動だった。僕は「暗がりの便所の中で下痢をしたい」という強迫観念に駆られて、暗がりのなかで下痢をしている。 僕は人間と呼ぶにはあまりにおぞましいものに、変貌している事に、僅かな理性でもって薄々と気付いている。 そして僕は、そういった自分が好きであった。
『夜が満ちる』 いつの日か新宿の歌舞伎町は眠らない街と言われるようになった。 その裏通りにある古いビルのモルタルの壁に貼り付けた青いネオン管はくすんでおり、パチパチと音を立て今にも消えてしまいそうだった。人通りはほとんどなくてすえたにおいがあたりに漂っていたのは、酔っ払いがげろを吐いたり小便をしたりするからだ。 ネオン管はただ青いだけで、階段の下が「バー」なのか、何の店かはわからなかった。 コートを着て帽子を深くかぶった者が階段を下りていった。その者は夜だというのにサングラスまでしていた。 地下に降りると分厚いヒノキの扉を開けた。 するとそこには深い森が広がっていた。 夜の森である。 梟(フクロウ)が針葉樹の太い枝に留まり大きな目を見開いて扉から入ってくる者を見張っていた。 そいつが入ってくると「ほーほー」と森の中に梟の鳴き声が吸い込まれていった。 そいつは暗がりの森の奥へと続く獣道を歩いていった。そいつが通ると虫たちが声をあげる。くねくねとした獣道をしばらく行くと空き地に出た。地面には、和蝋燭が円陣のように並べられ、まるで何かの儀式をしているように思える。炎が歌舞伎町のあかりとは違う、赤い、あかりを放っていた。 古だぬきや七尾狐や一つ目小僧、傘男などいろいろな妖怪が集まっている。 その妖怪たちの話し声がそいつが来ると急に静かになった。みんながみんなそいつを見る。「どうでした、あちらの様子は?」 化け猫が尋ねた。「だめだな」そいつは革靴の裏に付着したガムを手袋のした手ではがすと暗い声で言った。「しかし、なんか入り込める隙はないのですか?」「動物園に白熊はいたが、やつは神の使いではなかったよ」「そうですかい、昔から白い動物は神の使いと相場が決まっていたものですから、てっきり、われわれの同類かと思いましたよ」 すると白蛇がもっともだとうなずいた。「それじゃあ、あちらの世界に、もはや夜は来ないのですか? 昼は太陽があかるくて、夜は夜で煌々とあかりが灯っている。これじゃ、われわれ妖怪の出番はないですね」「いいやそうでもなかったよ」 そいつは帽子をとり、コートを脱ぎ、サングラスをはずし、靴を脱ぎ捨てた。「人間たちの心の中は、夜そのものだったよ。真っ暗な闇の世界だったよ」 夜はその真っ暗な姿をあたりに解けこましながら「新しい都市伝説は奇跡のごとく、いくつも始まっていたよ」 そううそぶくと、もはや妖怪たちにも夜の姿は見えなくなっていた。―― 了 ――――――――――――――――――――――――――――――▲お題:「暗がり」「和蝋燭」「人間」▲縛り:なし▲任意お題:「きせき」(変換可。平仮名、カタカナ、漢字問わず)
神踏島 神前に点された和蝋燭の炎が上にすう、と伸びて揺らめく。 その炎が照らし出す周囲以外は全くの暗がりで、聞こえてくるのは風の音と潮騒ばかり。 絶海に浮かぶ孤島の神踏島。 伝説いわく、荒ぶる神が海を渡るとき踏んだがために平らになったというその島の、海神祀る宮で厳かに神事は行われていた。 老いて痩せ枯れた神官が掠れて震える声で祝詞を読み上げるさまは、伸びる和蝋燭の火影に照らされて、禍々しい空気をより濃くしている。 人間の深い業に魅せられて集まり来る物の怪の気配か。「ふるへゆらゆらとふるへ……」 古き神々の世の呪の言の葉が宮の内部に響く。「ひふみよいつむななやここのたりてとう。ふるへゆらゆらとふるへ」 吹き込む海風が和蝋燭の炎をなびかせ、依代の少年の周囲に張られた注連縄の紙垂を揺らせる。 なおも老神官は掠れて震える声で呪を唱え続ける。「おほわたつみの神にまうしてまうさく、かみふみしまのみあらかつかえまつりし、むらじの…」 老神官が続ける。「かみくだりて、宿りたまへ」 長い祝詞の末。 闇は一段と濃さを増していた。
暗がりにひそんで、息を殺していた。 道場の片隅には和蝋燭が一本きりともされて、わずかばかりの光を投げかけていたけれど、それはほんとうにちっぽけな火に過ぎなくて、かえって周りの闇を深めているように思えた。その、灯りの届かない片隅にまぎれて、戸口のすぐそばに背中をつけてもたれたまま、音のしないように、細く、細く、息をしていた。 じりじりと芯のくすぶる音に紛れて、閉てられた戸の隙間からひっそりと何かが入ってきているのではないか。気づいたときにはすぐそばにそいつがいて、首筋に生臭い息が吹きかけられるのではないか。そういう自分の妄想と戦うのは辛かった。もともとわたしは怖がりなのだ。オバケが怖くてひとりで夜中にトイレにいけず、しょっちゅう姉をゆさぶり起こしていた子供のころと、いまと、何も変わってはいない。 ――人間のほうが、怖いさあ。 それはもともと祖母の口癖で、おばあちゃん子だった姉もすぐにまねをするようになった。わたしが何かを怖がって半べそをかくと、きまって祖母とそっくりおんなじ口調で、姉がいった。人間のほうが怖いさあ。 意味もわからず子供が口まねをしてと、大人たちはみな笑ったけれど、姉にわかっていなかったはずがないと思う。あのころ姉はいじめられていた。子供は怖い。加減を知らない。大人も怖い。何もなかったふりをする。 人間のほうが、怖い。 ほんとうだね、お姉ちゃん。息でささやくと、闇がわずかに温もりをもったような気がした。この暗闇の中に姉がいる、と思うと、ほんのすこし恐怖が遠のいた。妄想でも何でもよかった。縋れるものが欲しかった。 蝋燭は、ほんとうなら消すべきだった。そうすれば気づかずに、あいつらは通り過ぎるかもしれない。けれどわたしはそうしなかった。怖かった。代わりに暗がりで息を潜め、なるべく音を立てないように、ときどき姿勢を変えた。いつでも動けるように。 ――どこに隠れた。 切迫した調子の声が、だんだん近づいてくる。足音はひとつやふたつではない。 お姉ちゃん。ささやくと、微風が吹いて蝋燭の火を揺らし、頬をなでて通り過ぎていった。冷たくなった指に力を込めて、せめて血を巡らせようとした。 ――そっちに回れ。 怖い。 寒くないのに鳥肌が立っていた。暗がりに潜んでいるのは、わけのわからない妖怪なんかじゃない。もっと怖いものだ。 大人になれば、いろんなものを怖がらなくてすむようになると思っていた。あのころ目に映っていた大人たちは、みんなどっしりと構えていて、滅多なことでは怖がったりおびえたりしないものだった。自分もいつかそういうふうになるんだと思っていた。 だけど現実には、大人になればなるほど怖いものが増えた。おはなしの中に出てくる怪物や妖怪なら、きっと主人公がやっつけてくれる。だけど現実には、ヒーローは颯爽と現れて悪漢を倒してくれたりなんかしないし、警察は頼りにならない。わたしがそのことに気がついたのは、姉が姿を消したあとだった。 ――どこにいきやがった。 憎々しげな罵声とともに、苦しげな息づかいが聞こえる。 怖い。怖い。人間は怖い。姉のゆくえは知らされなかった。捜索願はもみ消された。騒ぎのあったのを聞いた者はいたはずなのに、何も聞かなかったことにされた。 ――灯りが見えるぞ。 蝋燭は消したほうがよかった。だけどわたしはそうしたくなかった。音を立てないように立ち上がる。 わたしは人間が怖い。わたしはわたしが怖い。手が冷たく濡れている。寒くもないのに指が震える。ずっといやなにおいがしている。制服が汚れて気持ちが悪い。 ――痛え。ちくしょう、あの女。 ――おい、しっかりしろ。 お姉ちゃん。 口に出さずに呼びかけると、闇が揺れて、視界が涙ににじんだ。お姉ちゃん。お姉ちゃん。怖いよ。怖かったよね。許せないね。あいつら、許せないよね。 ――おい、こっちだ。 あんまり手が震えるので、ハンカチを使って、右手に柄をくくりつけていた。そのハンカチがじっとりと濡れて重い。金気くさいにおいが鼻について、さっきからずっと気持ちが悪い。 悪態と足音が徐々に近づいてくる。手の震えが止まる。息を詰めて、戸が開くまでの時間を数えている。さん、に、いち――---------------------------------------- うまくまとまりませんでした……無念!
窓から差し込む太陽の光が、少年の顔に照り付ける。ちりちりと肌が焼ける感覚と、目に来る眩しさに、彼は顔を背け、いらいらと拳で机を叩いた。 外はいい天気なのに、彼は遊びに行けない。一昨日、サッカークラブの合宿の際に、階段で転んで右足を骨折してしまったのだ。彼はそのまま家に連れ戻され、試合に出るどころか、応援することもかなわなかった。何より、試合ではなく、ただ普通に転んで怪我をしたことが情けなくて、家に着くとわんわん泣いた。しかし、すぐさま、今度は泣いていることが情けなくなって、困ったことに余計に涙が溢れた。 さすがにもう涙は出ないが、その時の自分の姿が脳裏にちらつくと、胸がつぶれるような感覚になって、覚えず目を瞑ってしまう。この時もまた、そんな風にして彼は瞼を閉じた。 瞼に日差しが当たる。視力検査の際に瞼をペンライトで照らされる時みたいに、蜘蛛の巣状の血管が見え、うえ、と気分が悪くなった。 しかし、しばしを置いて、瞼にかかる光が弱まり、すうっと赤っぽい蜘蛛の巣が消えて、暗がりが生まれる。そっと、目を開けてみた。 ちょうど、流れてきた雲に太陽が隠れたところだった。強い日差しがないだけで、世界は今までと変わって見える。窓の外の灰色っぽいコンクリが、先程よりも濃い色となっていた。彼は、何でもいいような気持ちで、ただぼんやりと、外の景色に視線を泳がせた。 太陽が雲間から出てきたり、隠れたり。そんなことの繰り返しを、ただ見つめるだけで時間が過ぎていった。しかし、何十度目かの繰り返しの際、ふと、世界の色が変わっていることに彼は気が付いた。灰色だったコンクリが、オレンジ色にてらてらとしている。 驚いて、視線を上げると、さっきまでよりずっと大きな太陽が、ぽったり、熟れた夏みかんみたいに、コンクリの色より更に濃く、オレンジ色に輝いていた。薄く、眩しく、目に痛い光ではなく、世界を染め上げるみたいな、しっかりとした色。空は、見事に絵の具で塗ったみたいになっていた。その色の力強さに、太陽の影響力に、彼は声を失った。 そして、昔、祖父の家で見た、暗がりの中で煌々と輝く、大きな和蝋燭の炎を思い出した。ゆらっ、となりながら、同じように周囲の暗がりを染め上げていた、オレンジ色。祖父はそれを少年に見せながら、こう言った。炎みたいに強い子になってくれよ。 思い出すと、何だか急に、すとん、と腑に落ちる感じがした。漠然としていたが、突然、強さというものの意味が、魂に入って来た気がした。人間の強さも、目の前の色、蝋燭の炎と同じではないかと思えた。 自分の気にしていたことが、なぜか小さなことに思え、彼はゆっくり、握った拳で机を叩いた。-----------------------------和蝋燭が微妙すぎたので、ちょっとだけ付け足してしまいました。本当にちょっとですが、ごめんなさいごめんなさい。。。。
「ききっ、き、きききせききき、着せてよ! はっ、はや、はやく!」 彼が小母さんをせかして法被を羽織るのをみたのが九歳の頃。 秋祭りの出店にたかる人群れを縫っていくと、十字路に出る。 そのまま西へまっすぐ突っ切って、頭の後ろで鳴ってるラッパをひと通り聞き流す。 ――ぷっぱかぱっぱっぱー ――ぷっぱ ぷっぽこっぺぽ ぱーぱ ――ぱっぱ ぱっぱっぱー ――ぺっぽ ぺっぽこぱっぱっぱー 和太鼓に音頭をとられてのファンファーレ。 出店の途切れた十字路の先を暗がりへちょっとすすむと、そこが古橋書林。 古橋くんの実家。 まだ日の暮れはじめ。電気は、ついている。開店中。「こんにちはー」 といって引き戸をあけると、お店には誰もいない。 店のたたずまいは、昔日とちっとも変わっていない。 変わっていないが、変わってしまった。この店もまた――やはりというべきなのだろう――文具屋をかねた地方の個人書店の、いかにも、というふうなうらぶれた感じを纏ってしまっている。 それはあたかも、壁の棚に十数年(もしかしたら数十年)差されっぱなしの本の背が、日に焼け、色褪せ、まっ白に、茫々とかすんでゆくのと歩みをおなじくしてきたかのようだ。 右手に雑誌と新刊用の什器。 左手の入口側には文庫、奥まったところへむかって単行本の類が収まっている。 いちばんこちらには岩波文庫がまるまる一棚。 むかしここで買った『ロウソクの科学』が思い出されて、ついついないかと探してしまう。 ――小学校のとき買ってもらって、大学生になってもまだ持っていて、いつだったか、都合があって引越しした際に失くしてしまった。 越してすぐに何度か停電があって、気の落ちつかない生活をしているときにふと、蔵書にファラデーがあった、と思い出した。ホームセンターで買ってきた蝋燭に火を着けながら、あれには和蝋燭が出てきたっけな、と。 はたして古橋書林にファラデーはなかった。 棚をずらっとみてまわったが、めぼしい掘出物もない。 こういうふるいところがまだやっていれば、あるいは……そう思っていたが、あては外れた。 店の人間にはとうとう会わなかった。 入口にあるわずかな段差を跨ぎ越して通りに出る。 いつか聞いた吃音が耳の底に甦る。 ……かき氷買って食べたっけなあ。 神社に集まってくる字毎の山車は数を増しつつある。 祭囃子はいっそう騒がしく、より猥雑になりまさる。 横笛、小太鼓、大太鼓。 雑踏、喧騒、笛の音、ラッパ。 ぱっぱか ぺっぱかぷっぺっぱー
>しんさん髪まで伸びる人形つくれるってのはなんかすごいですね。怖かったです。>卯月 燐太郎さん卯月さんの描くファンタジーはなんか好きです。短い中にもメッセージ性があってよかったです。>マルメガネさん雰囲気が伝わってきて良かったです。ラストは怖いですね。>朝陽遥さん「子供は怖い。加減を知らない。大人も怖い。何もなかったふりをする。」この一文が、なんかしっくり来ました。人間の怖さが具体的に伝わってきた感じです。>zooeyさん炎のイメージが眼に浮かぶようで、印象的な作品でした。>はさん情景が浮かんできて良かったです。書店の描写がなんか好きです。
『魂やどるもの』 僕は深夜になると外に出る。 そして資源ごみを漁ったりする。 たまに使える物が捨てられているときがある。 昔のラジカセや傘など、少し修理すればよい、それらは持って帰る。 おかげで僕の部屋はゴミ屋敷のようになっている。 その夜、資源ごみを漁っていると人間の頭らしい物を見つけたので、驚いた。 死体かと思った。それで資源ごみで以前拾った和蝋燭の火を近づけてみて、よく観察してみると、死体ではなくて、精巧に出来た人形らしかった。 ごみの中にうずもれた人形の上に重なっている物をどけてみると、等身大の女性の人形で、蝋燭の炎が彼女の目を虚ろに映した。 じっと見ていると、ぞくぞくする。 僕は人形を抱きかかえると少しふらつきながらゴミ屋敷に帰って行った。 部屋の中では相変わらず、ゴキブリがごそごそと動き回っていた。 部屋で人形が着ていた服を脱がすと、一番きれいなタオルを水道水で濡らして身体をぬぐった。「ほんとうによく出来ているなぁ……。身体のあちらこちらに傷がついているが、何度も何度も汚れを水に濡らしたタオルで拭いて、服も洗濯して、部屋に干した。 朝になり、窓から陽が差し込んできて僕は起きた。 仕事をしなくなってから、どれほど経っただろうか……。 あんまり考えたくなかったが、つい頭の中に世の中の雑念が浮かんでくる。 そうだ、深夜に拾ってきた人形はと思い、部屋の中を見回すと、裸のままで横たわっていた。 和蝋燭のあかりで見た時は妖艶に見えたが、陽の光で見ると人形に気品さが漂っていた。「きれいなひとだなぁ……」と僕は呟いていた。 人形を触ってみると体温はないし肌に触れてみると固さはあったが、人形に思えずに傷がついているところに軟膏を塗ってみた。すると、人形が少し動いたような気がしたが、それは僕がろくに食事もしていないので、精神的に参っているからだろう。 夕べ食べたコンビニの賞味期限切れ弁当が悪かったのか、下痢模様で便所に駆け込んだ。ボロのアパートで二〇ほどある部屋で三人しか住んでいない。一人は耳の遠い老婆で、もう一人は一日中酒を飲んでいる老人だった。おかげで便器に排泄物が付着しているが、管理人がいないので誰も掃除をしない。春先になるとコバエが集まって来るし、夏になるとまるまると太った銀バエが羽音を鳴らしている。 出す物を出すと腹が減ってきた。 ボランティアで食事を用意してくれるところがあるので、僕はそこに出かけておにぎりと沢庵を食べ、味噌汁を飲んだ。 ボランティアの人に「元気か――」と声をかけられて、僕はあいまいにうなずいた。 部屋に戻ると、人形の清楚な服が乾いたので着せてみた。 なかなかよく似合っている。 目鼻立ちが整っており、唇も薄くて知性的に見える。 体に比べて頭が小さいのが彼女をより美しく見せているのだろうか。 唇に指で触れてみると、昨夜は人形全体が固い物で出来ているように思えたのだが、弾力があり、柔らかいことが分かった。それどころか白い歯まできれいに並んでいる。 僕は少しばかりの幸福感を味わった。 そして、人形をじっと見ていた……。 唯一つの情報源と言ってもよいパソコンをネットにつないで人形のことを調べてみた。 数人の「生き人形師」がいることがわかったが、手元にある人形の姿形、特に表情を見ると、神踏島というところに以前いた有名な人形師の物に似ていると思った。 神沼妖樹という人物で彼の作る人形には魂が宿ると書いてあったが、表情を見ると本当に魂が宿っているように見えてしまう。 写真がいくつかあったので、観てみたが、たしかに人形の様だが光と色彩の加減で人間に見えてしまう。「いやぁ、人間以上ではないか……」 神沼妖樹はすでに亡くなっているが、勘当された弟子がいて人形工房で生き人形を創っているという。どうも、性を対象にした人形を創ったので、勘当されたらしいがそれはかなり古い話らしい。 神沼妖樹には、娘がいることが分かったので、資源ごみから銅線を集めて売ったお金があったので電話をかけてみた。 神踏島は瀬戸内海にある孤島で二〇軒ほどの集落があるだけだった。 電話がかかると、落ち着いた女性の声が聴こえてきた。 僕は人形を拾ったことを話し、それが神沼妖樹の物に似ていると言った。 すると詳しく話を聴いた彼女は、神沼の弟子である桐山平吉の作品だろうという。 現在の桐山平吉は人形創りと言うよりもセックスを対象にした製品を作っているらしい。 それで桐山の人形工房に電話をかけてみると、ぜひ逢いたいと言ってきた。 午後には、桐山が僕の部屋を訪ねてきた。 顔が半分つぶれていて眼を負傷しているのか、眼帯をかけていた。背が曲がっていて杖をついて歩くので、廊下を来るのが伝わってきた。 桐山が部屋を訪ねた時間帯はまだ、明るかったが、彼の雰囲気で部屋が暗がりのように感じた。 彼は人形を一目見て、これは私が作った人形で何かの手違いで捨てられたものだから、引き取らせていただきたい、と申し込んできた。 手渡された茶封筒には札が数枚入っていた。 しかし人形の眼を見ると、いつの間にか潤んでいるのが見て取れたので、僕は人形が彼を怖がっているのかと思い断った。 桐山は、また来ると言い残して帰って行った。 人形が涙を流すということがあるのだろうか……。 僕はもう一度桐山の師匠である神沼妖樹を調べてみた。 すると写真が出てきた。神沼とその娘との写真らしかった。 神沼と並んで若い女が写っており、娘の玲子と記してあった。 いまから三〇年前の写真である。 僕はそれを見て背筋が凍るのを感じた。 なんと神沼の娘と自分の部屋にいる人形が同じ容姿をしているからである。 と言うことは何か……、桐山は神沼の娘を人形として作ったのか、それも人間の女性を意識して。 僕はもう一度神沼の娘に電話をかけてみた。 この人形を桐山に渡してよい物かどうか迷ったからだ。 すると、彼女は、自分と同じ容姿の人形がいることに驚き、すぐにそちらに行くと言ってきた。 僕が部屋を片付けて待っていると、翌日にやってきた神沼玲子は、四〇歳ほどにしか見えなかったが、実年齢は四七歳と言う。言葉遣いといい、容姿といい、洗礼された美しさがあった。 彼女は、僕が持っている人形に似ていた。 たぶん、あと三〇年ほど若ければ、人形のような初々しい容姿になるのだろう。「この人形は私をモデルにして創ったのでしょう、桐山が父の下で修業していた時は、付き合ってほしいと何度か申し込まれました……。しかし、彼が人形をセックスの対象で作ろうとしていることがわかったときに、父は怒りまして、彼を追い出しました」「あなたの心はどうだったのですか?」「そのころのわたしは、まだまだ、世間知らずで子供でした。一七歳で高校に通っていました。桐山さんはその後、交通事故に遭い、身体を悪くされたようです」 僕は、それが原因で、桐山はあのような姿になったのかと思った。 二人で話し合っているところに、ドアがノックされた。 開けてみると、腰を曲げた桐山がいた。 夢中で話をしていたので、彼の杖の音に気が付かなかったのだろう。 桐山は玲子が来ているのを知って驚いた様子だった。「お前、来ていたのか」「あなたに、お前呼ばわりされる筋合いはございません」 桐山は玲子の姿を頭からつま先まで見つめると、「それにしても、奇跡としか言いようがない。まさか、私の作った人形が齢を重ねるとはな……」 桐山は不思議なことを言った。「桐山さん、何を言っているのですか?」と、玲子が冷たく反応した。「お前、自分が作られた当時のことや、どうして神沼先生の娘になったかを知っているだろう」 そういわれて、玲子が怯えた目をしたのを僕は見た。「俺は、玲子さんが中学生のときから神沼先生の下で修業していた。そのうちに玲子さんの美しさに心の動揺を抑えきれなくなり、一七歳になったときにあなたを作った。玲子さんとそっくりな人形を。そしておれは毎晩玲子を抱いた。そうすることにより、俺の神沼玲子への思いは抑えることが出来るようになった。何しろ、本物と変わらない人形で従順だったからな。ところが、神沼先生が車で帰ってきて車庫に入れるときに、背後にいた玲子さんに気が付かず、ひき殺してしまった。神沼先生は玲子お嬢さんをとても大事に育てておいでだったから、それはもう、哀しんだものだったよ。それで、俺は自分の作った玲子の人形を提供した。あまりにもそっくりなので最初は先生も驚くと同時に俺をなじったりしたが、やがて、彼は泣き伏して俺に礼を言った。それからあとは、お前自身がわかっているだろう。先生はお前を娘ではなくて、女として見ていたのを。俺は先生がもう立ち直れないと思い、先生の所での修業をやめた。ある意味、玲子お嬢さんがいたから俺は先生の下で修業していたのかもしれない。亡くなったとなると、先生の所にいる意味が無くなる」 僕は訊ねた。「それで玲子さんの死亡届は出したのですか?」「いいや、陶器づくりの窯で一夜燃やし続けたよ。そして人形の玲子がお嬢さんに成り代わった」 桐山は玲子をじっと見て、それにしても年まで重ねるとは人形にも魂を込めることが出来るのだな」「そんなこと嘘よ、あなたは私が精神を患う病気になったことをいいことにデタラメを言っているのよ。たしかにあの当時の一年間の記憶が私にはないわ。でも、私が人形だなんて、先日も人間ドックに入り、精密検査をしたところよ」「人形が人間になったということだよ」 桐山はそういうと、部屋を出て行った。「玲子さん、あいつは狂っているのですよ」 僕が彼女に慰めの言葉をかけると、彼女は泣き崩れて、しばらくすると帰って行った。 いつの間にか夕暮れになった。 和蝋燭に灯がともったので、振り向いてみると人形の玲子が微笑を浮かべて、「あなたのことを、これからどう呼べばいいの?」と甘えてきた。 ――了――▲お題:「暗がり」「和蝋燭」「人間」▲縛り:なし▲任意お題:「きせき」(変換可。平仮名、カタカナ、漢字問わず)――――――――――――――――――――――――昨日突然「即興三語小説」を創ろうということになり、二十二時ごろからミーティングを中止して、上のお題と任意お題で作品を創ることになりました。私も作品創りに参加して、出来た物を読んでみると、下記のお三方の作品を膨らませたら、面白くなるのではないかと思い、「しんさん、昼野さん、マルメガネさん」の作品を元にして、今回のお題と任意お題で、再び、作品を創りました。「作品を提供してくださったみなさま」、ありがとうございました。
感想・しん言い訳をば書かせてください。話のぱっとよめば、すぐ人形の視点がわかるとおもいます。それは書いている途中に気付いていたので、オチのとこを大事にしました。人形がばれても面白いとみえるようにしたかったんですね。喜び、やったー!かみさまありがとう! といいながら、もっと悲惨な目にあう予定を書いて、段差でくすっと笑ってもらって、さらに、魂が宿ったことにより、そういうのを感じてるようになったので、魂が宿ったのは良いことなのかな、最悪なんじゃないか?というオチなのですが。読んでもわかりません。意図をわかりやすく書くのに失敗しました。この言い訳を読んでからの、感想がいただけるかもしれません。意図がわからなかったのに、わかったようにして、慰めなくて、わからなかったといっていただけたほうがいいかもしれません。・昼野さん題名:なし哲学的ですね。なんともいえません。ごめんなさい。・マルメガネさん題名:神踏島ごめんなさい。よくわかりません。・朝陽遥さん題名:なしおしいですね。何か一味つけば、オチでもあれば、ストーリーになりそうなんですが。おばあちゃんは情報源としてだしたからいいとして、短いストーリーでは、登場人物をだすと、できるだけ有効利用してほしいところです。お姉ちゃんが出てきたので、できれば、呼ぶだけじゃなくて、何か利用してほしかったですね。このままなら、お母さん の方が自然かもしれません。・zooeyさんごめんなさい。いまいちわかりません。・はさん雰囲気がいいですね。>ぱっぱか ぺっぱかぷっぺっぱー何かきにいってしまいました。・卯月 燐太郎さん題名:『夜が満ちる』>「人間たちの心の中は、夜そのものだったよ。真っ暗な闇の世界だったよ」このセリフの裏づけに一つ事件がほしかったですね。題名:『魂やどるもの』こちらは不気味でよかったです。――――――――――――――――――――――――今回はチャットルームでとりあえず、必須ではないけど、二十分三題といっていたので、頑張って書き上げると、三十分かかってしまい、遅れた!と思ったら、一時間縛りだったようです。もちろんこれは、必須ではなくその場にいた人だけのノリなので、▲投稿締切:6/2(日)23:59まで のほうが正式な締め切りです。みなさん気にせずいつも通りのノリで書いてください。時間制限を気にしすぎた関係で、練れなかった人がおおいようで、申し訳ないのですが、『わからなかったです』というコメントをいくつかあげました。わからなかったものはスルーして、何もかかないほうが、波風がたたずにいいかなとおもったのですが、いつも感想をかいていて、今回だけ書かないとか、今回は一部の人のしか書かないとかだと不自然ですので、わからなかったものは、わからなかったと書きました。申し訳ありません。――――――――――――――――――――――――読んでいただき、さらに感想までいただきありがとうございます。・昼野さん感想ありがとうございます>髪まで伸びる人形つくれるってのはなんかすごいですね。怖かったです。凄い人形をつくれるという印象をもっていただくために書いたところですね。うまくいったようです。でも実は日本の人形は大体少し髪の毛が伸びるときいています。飽くまで少しですけどね。感想ありがとうございました。・卯月 燐太郎さん感想ありがとうございます。>この作品の良さは雰囲気でしょうね。作品を読み始めると主人公は人形と言うことがわかり、おびえているということもわかります。そしてその人形を創っているのは名人と言われる者なのですが、姿が不気味です。「顔はつぶされたように、頭が平らで、片目は眼帯で隠されている。背は曲がり、」とこんな容姿です。彼から創られる人形は彼から離れることを望んでいるようですが、やっとその時が来たかと思うと、容姿はまともだが、変態貴族にもてあそばれる運命が待っている。人形なのだから読み手は本来何とも感じないと思うのですが、魂が吹き込まれているので人間として読み、彼女のこれからの身と精神を案じてしまいます。私の言い訳の部分までよんでいたようでしょうか。優しい感想ありがとうございます。
――[122] 即興三語小説―― 感想&返信●しんさんこの作品の良さは雰囲気でしょうね。作品を読み始めると主人公は人形と言うことがわかり、おびえているということもわかります。そしてその人形を創っているのは名人と言われる者なのですが、姿が不気味です。「顔はつぶされたように、頭が平らで、片目は眼帯で隠されている。背は曲がり、」とこんな容姿です。彼から創られる人形は彼から離れることを望んでいるようですが、やっとその時が来たかと思うと、容姿はまともだが、変態貴族にもてあそばれる運命が待っている。人形なのだから読み手は本来何とも感じないと思うのですが、魂が吹き込まれているので人間として読み、彼女のこれからの身と精神を案じてしまいます。●昼野さん精神の崩壊した人物を描いた作品だと思いました。だから部屋が異常に散らかっています。俗にいうゴミ屋敷というやつです。「セイカツトイウモノニ、イシキガイカナイ」と他人には指摘されている。生活も精神も崩壊しているので、食事もまともではないし、衛生的なところで食べているのでもない。だから下痢をするようなことになる。主人公は自分が壊れていっていることを知っているが、そんな自分が好きだということは、わずかに残っている理性もやがてなくすのだろう。●マルメガネさん荒ぶる神が海を渡るとき踏んだがために平らになったというその島の、海神祀る宮で厳かに神事は行われていたのだが、やればやるほど「人間の深い業に魅せられて集まり来る物の怪の気配」老神官は掠れて震える声で呪を唱え続けるが、「長い祝詞の末。闇は一段と濃さを増していた」という怖い結末。結局、人間の力の及ばない事態になっているという事でしょうね。●朝陽遥さん雰囲気は絶妙なのですけれど、構成が悪い。「起、承、転、結」で「「起」しか書かれていない。もしかしたら、「承」に入りかけと言ったところです。話の引っ張り方は実にうまかったです。●zooeyさんこの作品では終始太陽が出てきます。和蝋燭が出て来るのは後半のラスト近くになってからです。そして祖父が、「炎みたいに強い子になってくれよ」と言うことを思い出します。炎よりも、この作品では太陽の印象の方が強いです。祖父はなぜ、「太陽みたいに強い子になってくれよ」と言わなかったのでしょう。●は、さん子供の頃「吃音」だったが大人になり、子供のときの場所を訪れてみると昔日と変わっていないが、実際のところは時代の流れに押し流されていた。友達の家であり書店であったところを出て神社でやっているまつりに行ってみる、という話。掌編とエッセーとの間のような作品でした。へたにドラマを作るよりもこういったところからイメージを広げていくと作品になるのでしょう。●「返信」です。●昼野さんご感想、ありがとうございました。>>卯月さんの描くファンタジーはなんか好きです。短い中にもメッセージ性があってよかったです。<<●私の個性をよく御存じですね。短い作品でもドラマがなければと思ってしまう性格です。近頃はだんだんと日常に近い物を描くようにしているのですけれど、つい、オチを付けてしまいます。●しんさんご感想、ありがとうございました。題名:『夜が満ちる』>「人間たちの心の中は、夜そのものだったよ。真っ暗な闇の世界だったよ」このセリフの裏づけに一つ事件がほしかったですね。●「セリフの裏づけに一つ事件がほしかった」まったくその通りです。題名:『魂やどるもの』こちらは不気味でよかったです。●こちらの方の作品は主人公を「神沼玲子」に代えて書いても面白いのが書けそうだなぁと思っています。他人の複数の作品を膨らまして演出するのって、面白いですね。それでは、みなさんありがとうございました。