Re: 即興三語小説 -そういえば秋ってそろそろだね― ( No.1 ) |
- 日時: 2012/09/23 23:33
- 名前: 水樹 ID:2tnBwOWw
「嵐のせいで、注文したとんかつ弁当が、時間通りに届かない弁当になってしまったのさ」 そうですかと、タナカは素っ気ない返事だけで、再び眼を瞑り動きを止める。異質な空間、静寂が内耳に反芻して膨張する錯覚さえ覚える。 「弁当が届きました」 渡され、蓋を空けてタナカに差し出す、豚汁はサービスだ。 少し冷めたのか熱気は感じられない、タナカはソースを掛けると、 「いただきます」 とんかつを箸で丁寧に割き、かっこむ事はせず、ゆっくりと味わう。 御飯一粒残さず平らげると、時間まで横になりますと、布団に入り眼を瞑る。 一段と激しさを増した暴風雨の音しか聴こえない。これからタナカは罪を償う為に殺される。抗う事もしない静かなタナカを私はただ見つめる。
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