Re: 即興三語小説 ―台風直撃の夜の三語です ( No.1 ) |
- 日時: 2012/09/17 12:19
- 名前: 水樹 ID:zH2lCF5Q
お題は、「猿」「真っ白」「りんご」です。
とある無意味な実験
縦横高さ十メートルの床壁一面真っ白な部屋に、大人の雌猿一匹、人間の赤子一人を置く実験が始まった。一般には公にされない実験。
二十分後 猿は異様な部屋に奇声を発しながらも、すぐに赤子に乳を与える。一日三回、天井の穴から果物を落とす。部屋の四隅にはベッド、常に流れる水、糞尿用の穴、テレビが置かれている。最初、糞尿を撒き散らす猿だったが、部屋に慣れると、糞尿用の穴に排泄を行った。
二日後 真っ白な壁に時間を表示してみると同時に、立体映像の窓を儲け、時間通りに朝夕夜と表示する。猿は時間通り、夜になると赤子と一緒にベッドに入った。
三日後 朝と夜に三時間ずつ、厳選したテレビを配信する。猿は全く興味を示さず、赤子を育てる。
五年後 赤子だった子供は、テレビの影響下で猿をママと呼ぶ、猿は愛くるしい目で子供を撫でる。
六年後 洋服を落とすと男の子は着衣した。ママは匂いを嗅いで首にまくだけだった。
七年後 男の子の関心はテレビだけになった。ママは一度男の子を抱擁し、手で割ったりんごを与えると、距離を置いて別々の生活を送る。
八年後 男の子が部屋から出たいと、喚き散らし発狂する。部屋の隅に怯えるママ。睡眠ガスで眠らせる。
九年後 所構わず、毎日自慰行為に耽る彼。ママは軽蔑の眼差しを向けているようでもあった。
十年後 猿は寝ているママの手足を洋服で縛り、必死に身を捩って抗うママを抑えつけて犯す事六回、膣内射精を行った。そのすぐ後、猿は無抵抗のママの首を絞めて殺すと、ママの額に歯を立て頭から齧る。涙ながらに人の言葉を失い、ただ呻き、無我夢中でママの血肉を貪る猿は満腹になると横になった。それ以降、一度も身体を起こす事もせず自慰行為を繰り返す。一切何も口に入れず、点滴などを駆使したが、猿は息絶えた。
|
|