ホームに戻る > スレッド一覧 > 記事閲覧
RSSフィード [59] 帰ってきた即興三語小説―もう回数はいらねぇや
   
日時: 2012/01/29 23:07
名前: RYO ID:BnwndjSo

お待たせしました。三語復活です。
 やっぱり、やってないといけないよね。
 --------------------------------------------------------------------------------

●基本ルール
以下のお題や縛りに沿って小説を書いてください。なお、「任意」とついているお題等については、余力があれば挑戦してみていただければ。きっちり全部使った勇者には、尊敬の視線が注がれます。たぶん。

▲お題:「イチゴ」「ピラニア」「ポメラニアン」
▲縛り: なし
▲任意お題:なし

▲投稿締切:2/5(日)21:59まで
▲文字数制限:6000字以内程度
▲執筆目標時間:60分以内を目安(プロットを立てたり構想を練ったりする時間は含みません)

 しかし、多少の逸脱はご愛嬌。とくに罰ゲーム等はありませんので、制限オーバーした場合は、その旨を作品の末尾にでも添え書きしていただければ充分です。

●その他の注意事項
・楽しく書きましょう。楽しく読みましょう。(最重要)
・お題はそのままの形で本文中に使用してください。
・感想書きは義務ではありませんが、参加された方は、遅くなってもいいので、できるだけお願いしますね。参加されない方の感想も、もちろん大歓迎です。
・性的描写やシモネタ、猟奇描写などの禁止事項は特にありませんが、極端な場合は冒頭かタイトルの脇に「R18」などと添え書きしていただければ幸いです。
・飛び入り大歓迎です! 一回参加したら毎週参加しないと……なんていうことはありませんので、どなた様でもぜひお気軽にご参加くださいませ。

●ミーティング
 毎週土曜日の22時ごろより、チャットルームの片隅をお借りして、次週のお題等を決めるミーティングを行っています。ご質問、ルール等についてのご要望もそちらで承ります。
 ミーティングに参加したからといって、絶対に投稿しないといけないわけではありません。逆に、ミーティングに参加しなかったら投稿できないというわけでもありません。しかし、お題を提案する人は多いほうが楽しいですから、ぜひお気軽にご参加くださいませ。

●旧・即興三語小説会場跡地
 http://novelspace.bbs.fc2.com/
 TCが閉鎖されていた間、ラトリーさまが用意してくださった掲示板をお借りして開催されていました。

--------------------------------------------------------------------------------

○過去にあった縛り
・登場人物(三十代女性、子ども、消防士、一方の性別のみ、動物、同性愛者など)
・舞台(季節、月面都市など)
・ジャンル(SF、ファンタジー、ホラーなど)
・状況・場面(キスシーンを入れる、空中のシーンを入れる、バッドエンドにするなど)
・小道具(同じ小道具を三回使用、火の粉を演出に使う、料理のレシピを盛り込むなど)
・文章表現・技法(オノマトペを複数回使用、色彩表現を複数回描写、過去形禁止、セリフ禁止、冒頭や末尾の文を指定、ミスリードを誘う、句読点・括弧以外の記号使用禁止など)
・その他(文芸作品などの引用をする、自分が過去に書いた作品の続編など)

--------------------------------------------------------------------------------
 三語はいつでも飛び入り歓迎です。常連の方々も、初めましての方も、お気軽にご参加くださいませ!
 それでは今週も、楽しい執筆ライフを!

メンテ

(指定範囲表示中) もどる スレッド一覧 お気に入り 新規スレッド作成

Re: 帰ってきた即興三語小説―もう回数はいらねぇや ( No.1 )
   
日時: 2012/02/03 10:26
名前: zooey ID:pA7Em9UM

 涼しげな淡い水色の空。そこに、ジリリリリ、とチャイム音が響いて、乾いた空気を震わせる。音に驚いたのか、数羽の鳥が木の葉の間から空色の中に飛び出していく。
 卒業式用の緑のガウンを着たままの生徒たちが、数人、校舎から飛び出して、大声で叫びだす。わあー、とか、おおー、とか。意味をなさないその声は、チャイム音よりさらに大きく空気を突き抜けて、ずっと、ずっと、上の方まで届いていく。
 そんな様子を遠くの方に聞きながら、少年が二人、校舎裏に座っている。8インチほどしかないコンクリの上に腰を下ろして、その先の側溝に、ひざを折り曲げて足を渡している。一人は赤毛で、白い肌にも赤みが差していて、いかにも少年らしい。もう一人は金髪で、健康的に日焼けした肌にそばかすが印象的だ。二人とも、ぼんやりと空を見上げている。
「もう、中学、終わっちゃったね」
 空に向けていた顔をそばかすの方に向けながら、赤毛が口を開いた。
「うん」
 そばかすは、相変わらず空を見つめながら答えた。そのまま、乾いた空気と共に、沈黙がさらりと流れた。
「昨日、何した?」
 そばかすが聞いた。
「んー、ペットショップ行った」
「何見た?」
「普通だよ。犬とか、猫とか」
「ふうん」
 そばかすは自分で聞いておきながら、さして興味もなさそうに言った。それを聞いて、赤毛は、
「でも、魚もいた。なんてんだっけ? 川にいる奴。で、ほら、人とかも食っちゃうような魚」
「え? 何? サメ?」
 そばかすが、空から視線を移して言うと、赤毛が笑い出した。
「サメがペットショップにいるかよ? しかも川にもいねーよ。ほら、もっと小っちゃい奴でさ」
 赤毛が言うとそばかすは少し不機嫌そうに眉間にしわを寄せて、再び空の方に顔を向けた。赤毛は少しためらいながら、
「あの……、あれだよ。暑いとこ、そう、なんだっけ、アマゾン川? とかにいてさ……」
「ピラニアだ」
 そばかすが、赤毛の言葉を遮るようにして言った。それを聞くと、赤毛の顔に喜びの色が差した。
「そう、それだ。それが、いたんだ」
「ふうん」
 再び沈黙が訪れた。そばかすは空を見つめていて、赤毛はそばかすの顔をちらり、ちらりとやっている。
「なんか、買っってもらったのか?」
 そばかすが言うと、赤毛の顔に再び笑みが広がった。
「うん、犬。ポメラニアンって奴。弟の誕生日だったから」
「お前に買ったんじゃないんだ」
 そばかすが言うと、赤毛は視線を下に向けてから、ぽつりと
「うん」
 赤毛の口調の変化が気になったのだろうか、そばかすは空に向けていた視線を赤毛に移した。それから、しばらく見つめると
「良かったじゃん、その方が」
「うん」
 赤毛はそう言って下に向けていた顔を空の方へ向けた。そばかすはそれを確認すると、自分も同じように空を仰ぐ。二人の前髪を、風がゆるゆると撫でていった。
「オレは、リズ・エバンズのパンツ見た」
 今思い出したかのように、そばかすがふいとそんなことを言った。赤毛の顔に、再び無邪気な笑みが広がって、
「マジで? 何色?」
「イチゴ柄」
 そばかすが言うのを聞くと、赤毛はからりとした声をあげて笑い出した。
「イチゴ! 何だよ、かわいいな。男よりケンカ強そうな筋肉女のくせに、イチゴ柄はいてんだ!」
「ああ」
 そばかすは、笑っている赤毛と視線を合わせ、口の右端を吊り上げてみせた。だが、すぐにその視線は下の方に向けられ、端の笑みも消えてしまう。赤毛も彼の反応に違和感を覚えたのか、笑顔が真顔にすうっと呑み込まれていった。二人の間を風が静かに流れていく。
「オレ、リズのこと、好きだったんだ」
 そばかすが言うと、赤毛は目を大きくして彼を見た。風が相変わらず、二人の頬を撫でていく。少し間を置いて
「あの……ごめん」
 赤毛がそばかすの靴の辺りを見ながら言った。
「あ? 何が?」
 そばかすは赤毛の顔をばっちり見ながら言う。
「だって、オレ、筋肉女って言ったし……」
 今度はそばかすが声をあげて笑った。
「いーよ、別に。だって、筋肉女じゃん」
 それを聞くと、赤毛もそばかすの顔の方へ視線を上げて、そして、一緒に笑った。それから、二人は笑いながら空を見上げた。白い雲が、水色の中を泳ぐように動いていく。そのまま、二人はしばらく黙って、髪の毛を揺らして去っていく風を感じていた。
「やっぱ、お前、知らなかったかあ」
 そばかすが空を見ながら、言った。
「うん」
「リズも知らないんだろうな」
 そばかすは、やっぱり、空を見ながら口だけ動かして、言う。
「リズは、きっと、オレがあいつのこと好きだったって、知らないまんま、ずーっと過ごすんだよ。そんで、リズにとっては、オレはずっと、他のクラスの奴らと、なんにも変わんないんだよ。昔の中学の同級生って、そんだけなんだ」
 赤毛はそこまで黙って聞いていた。が、そばかすの顔を見て、それから、意を決したように
「今から告ってみれば?」
 そばかすは空に向けていた視線を下げ、目の前の空間を見ながら、首をふった。
「今じゃ、かわいそうだよ」
「そっか……」
 再び、さらりとした空気の中を、沈黙が流れた。二人は黙ったまま、それぞれ空を見たり、コンクリの染みを眺めたり、側溝の中を覗いたりしていたが、そのうち、赤毛が
「お前、キスって、したことある?」
 そばかすは少し間を置いて
「ないよ」
 赤毛はしばらくコンクリの上を歩くアリを見つめていたが、何かを思いついたように、ふいっと顔をあげて、そばかすを見て
「オレらでしてみる?」
 そばかすは、一瞬、いつも細めている目を大きく開いて、赤毛を見た。その驚きの表情が、次第に普段の、つっぱった顔に戻っていき
「しねーよ」
 そばかすの返事に、赤毛は笑って彼を見た。
「いや、ホントに最後だから、ためしに、どうかなって思って。ダメか」
「ダメだよ」
 二人は顔を見合わせて、そして、二人そろって笑った。それから、空を見ながら
「オレ、キスしてみたかったなあ」
 赤毛が言うと、それに被せて、そばかすも、
「オレも、してみたかった」
 そう言って、少し間を置いてから
「リズは、そのうち、誰かとするんだろうな」
 赤毛はそばかすの方に視線を動かした。
「関係ないじゃん」
「うん、関係ないな」
 それから二人は、顔を見合わせた。言葉には出さないが、目で何かを伝えあい、分かった、というように同時にうなずいてみせ、それから、手元の方へ視線を移す。
 二人の手には、拳銃が握られていた。どちらも父親の持ち物かなにかなのだろう、扱う手がぎこちない。そばかすが、ふう、と息を吐き、それから、決意したように顔をあげた。続けて、ゆっくり、伸ばした腕をあげて体とちょうど九十度の角度のところで、止める。銃口は、赤毛の方を向いている。
「お前もやれよ」
 そばかすに言われて、赤毛も銃をそばかすに向けた。その腕は、まっすぐ伸びてはおらず、少し、ひじを曲げている。赤毛の銃口が自分に向けられているのを確認すると、そばかすは
「じゃあ、一、二の、三で、撃つぞ」
 赤毛は目を伏せ、少しの間黙っていたが、そのうち、遠慮がちに、言った。
「あのさ、オレらが死んで、それで、なんか、ショック受ける人って、いると思う?」
 赤毛は、その人物を探し出そうとしているように、眉間に少ししわを作っている。しかし、すぐにそばかすが
「いねーよ。だからやるんじゃん」
 その言葉に、やっと、赤毛は目をそばかすの方へ向けた。
「うん」
「じゃあ、やるぞ」
「うん」
「一、二の、三でな」
「うん」
 それから二人は見つめ合い、そばかすが
「一、二の、三」
 パン!
 乾いた音が空気に高く響く。空の方まで突き抜けるその音に驚いて、また、木の葉から鳥が何羽か、ぱらぱらと飛び立つ。それから、再び、静寂が、ゆっくりと辺りを満たしていく。
 目をつぶったままのそばかすの耳に、辺りの音が届いてきた。静かに耳の辺りでささやき、髪を撫でていく風。あれ? おかしい……。ゆっくりと動く思考がその考えに辿り着いたとき、自分の足もとに、何やら重みが増したことに気が付く。そっと、目を開けると――
 赤毛が倒れていた。横に向けた顔は、目をつぶり、口を薄く開いている。ちょうど額のところに丸く、黒く塗りつぶしたような穴が開いていて、そこから幾筋も鮮やかな赤色が流れ出ている。
 そばかすの頭は真っ白になった。ただ、ただ、目に映るその姿があるだけで、思考も感情も、動かない。しばらくの間、彼はそのままの状態で、赤毛を見つめていた。が、だんだんに、ゆっくりと氷が溶けていくように、彼の思考が動き始めて、ある瞬間、目の前の事実に気が付いた。
 ――こいつが死んで、オレだけ、生きてる――
 それを悟った彼は、急いで赤毛の手に握られている銃を掴むと、自分のこめかみに当てた。そして、引き金を引こうとするが――手ががくがくと震えだした。彼の意識はそれを引こうとするのに、彼の指はどうしても動かない。ただ、引き金の手前でぶるぶると震えている。胸にぶわりと熱さが湧いて、それがどんどん上の方へのぼってくる。顔の方まで上がってくると、目から涙がぼろぼろこぼれ出した。引かなきゃ、引かなきゃ、引かなきゃ――。頭でそう思っても、手は全く動かない。ただ、ただ、焦るほどに震えが増して、涙が溢れるだけだった。
 彼は銃口をだらりと下げた。そして、そのまま、声をあげて、顔を下に向けて、泣いた。風がさっきまで、二人に吹いていたのと同じように、そばかすの頬だけに触れていく。しばらくそのままで時間が流れた。
 しかし、ふいと、そばかすの頭にあることが浮かんだ。彼は赤く、腫れぼったくなった目を銃に向けて、その弾倉の中を確認する。と――
 弾が入っていない。
 それを目にすると、再び胸に熱いものがせりあがってきた。涙がじわりと目にたまってくる。
 赤毛は死んでしまった。彼が単に弾を入れ忘れたのか、それとも入れずに撃ったのか、そばかすが知ることは、できない。しかし、この事実は変わらない。赤毛は弾のない銃で撃って、そばかすは弾のある銃で撃った。
 そばかすは、今度は声をあげず、ただ、涙がとめどなく頬を伝っていくのを感じていた。濡れた頬に吹く風が、ひやりとさっきより冷たい。彼はしばらく赤毛のことを見つめていた。額から流れる血は、さっきより量を増し、赤毛の白い肌を伝っていく。それを見ていると、また、ふいとある考えが頭をよぎった。
――顔をきれいに洗ってやろう――
 そう思って、そばかすは、赤毛の体を抱きかかえ、そのまま、水飲み場の方へ、歩いていった。

――――――――――――――――――――――――――――――――――――
日曜日に来れるかどうか分からないので、早めの投稿です。
一時間では……全然終わってないです。しっかりはかってないですが、二時間以上はかかってるかと……。スイマセン。

メンテ

(指定範囲表示中) もどる スレッド一覧 お気に入り 新規スレッド作成

題名 スレッドをトップへソート
名前
E-Mail 入力すると メールを送信する からメールを受け取れます(アドレス非表示)
URL
パスワード (記事メンテ時に使用)
投稿キー (投稿時 投稿キー を入力してください)
コメント

   クッキー保存