Re: 三語「保存液」「そびえ」「砂時計」 ( No.1 ) |
- 日時: 2012/01/10 01:27
- 名前: 1 ID:sJDseHTI
「保存液」「そびえ」「砂時計」の三語です。縛りは、極上のハッピーエンドです。 時間は2時までです。
「ソフィエ、ソフィエ、もう寝たの? 炬燵で寝ると風邪引くよ」 首をコックリとコックリと上下運動している彼女に彼は声を掛ける。 「もう寝たんだね」 彼が肩を突っつくとソフィエは後ろに倒れた。炬燵の電源を切り、寒くならないように上着をソフィエに重ねる。 「グゥグゥ… 私はソビエ・マルフィエ・ユイコッチ、ソフィエってお言い。言う事聞かない奴は保存液に浸してやるけんね。一生ユラユラするけんね」 どんな夢を見ているのだろう。ロシアの留学生なのになぜ広島弁と、彼氏はソフィエの寝言に微笑む。 冷えた鍋を温め直し、箸を入れる。 「鍋が食べたいじゃけん、日本人なら炬燵に鍋じゃろうがッ! 熱燗用意せいっ! あほんだらぁ!」 ソフィエの要求を素直に答えた彼、実際にはパンも有り、チーズフォンヌな鍋だった。 締めの御飯を入れるとラザニアに変わっていた。 それでもほくほくと頬張る彼女の笑顔はふつくしい。美味しい物を食べる人の顔ほど無垢な笑顔はないだろう。 冷えた熱燗を口に入れて彼も横になる。 一人の鍋は寂しい、年越しなら尚更だ。この異国の地で彼女は寂しさを紛らわせたのだろうか。 起きたら窓を開けて空気を入れ替えよう。彼女の故郷ほどじゃないけど、日本の清々しい寒さも捨てたもんじゃない。 ソフィエが寝がえりを打つたび、蹴りを喰らう彼。 カウントダウンの砂時計は既に落ちていた。
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