Re: 即興三語小説 -「蚊取り線香」「白猫」「古民家」- ( No.1 ) |
- 日時: 2015/07/12 20:18
- 名前: マルメガネ ID:THSLqXDQ
蚊取り豚に火を着けた蚊取り線香を入れる。 蚊取り豚から出る煙を見ては、ああ夏がやってきたのだ、という実感がわく。 築百年は経つであろう、民家は古民家と呼ばれる。やはり、それらしく蚊取り豚の蚊取り線香と古い古民家の造りとはよく合う。 いつの頃なのかは定かではないけれども、どこともなくやってきた猫が縁の下で子供を産んだ。 五六匹はいたかもしれない。 その子猫は猫好きな人に貰われていって、最後に白い猫だけが残り、結局残った白猫を飼うことになってしまったが、よくネズミを捕えてくれて今では家の主的な存在になっている。 蚊取り線香を入れた蚊取り豚をしげしげと見つめては、時に前足を出して、ちょっかいを出して遊んでいたが、ここ数年は見向きもしない。 長い尻尾をぴんと立てて横を通り過ぎ、風通しの良い座敷で眠っていることが多くなった気がする。 いつまでこうしていられるだろうか。私は時々そう思う。
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