Re: 即興三語小説 -お題が溜まっている。どうしたものか- ( No.1 ) |
- 日時: 2014/11/28 00:16
- 名前: ローズ ID:y153U0fI
机の上に佇むラジオがミステリアスな大悪党、景山傑にSATの精鋭が向かって行ったとのニュースを雑音混じりに伝えた。浜中が手を伸ばし、ラジオのOffボタンを押した。沈黙が部屋を包む。 「平川さん、ちょっと話いいですか。ディープな話ですけどお願いします」口調こそ穏やかだが、浜中は平川に有無言わせないつもりのようだ。 「何だ。」平川の返答は落ち着いていた。 「私は、個人的にあの景山傑を知っています。そして、私には彼を止める権利がありません。だから勝手ながら私は平川さんにに彼を止める方法を託します。自分勝手ですが、お願いします」浜中の表情は見えなかった。 「どういうことだ?」 「あの男、景山は俗に言う超能力者とかいう突拍子のない存在です。彼は、次元を操ることが出来ます。それはつまりSATを含む〈普通〉の人間が入り込めない所を作り、そこに逃げ込むことが出来るのです」浜中は機械的に、早口気味に説明する。 「意味が分からないのだが」平川が眉間を揉む。 「深夜ですしね」浜中が口角を上げた。「あなたが超能力者が存在することに納得かということはどうでもいいのです。私は、あなたにしか託せないのですよ。景山を倒す方法を。」浜中は一瞬止まり、空気を吸い込んだ 「紹介します。空間移動者、テレポートとも呼ぶ能力を持つ人。矢倉楓さんですよ」浜中の口から流れるように言葉が出た。 突然、二人だけだった部屋に一人の女性が唐突に現れた。確かに、一秒前までこの女はこの空間に存在していなかった。 「矢倉楓です。」その女は言い、頭を下げた。そしてふわりと笑った。「よろしくお願いします。あなたが平川先生ですね」 「は、はい」話しかけられた平川はその空間異動者≪テレポーター≫をしげしげと眺める。 「矢倉楓≪1309号≫は平川さんに協力してもらう。平川さん、よろしくお願いします。矢倉楓≪1309号≫は景山傑を確保後、何者かが回収に来ますので。その回収に来た者へのパスワードは 〔アングロラファイドデス〕です」最初の一行は矢倉楓に向かって、残りは平川に浜中は伝えた。浜中はつばの広い帽子を目深にかぶった。 「申し訳ありません、時間です」彼は生を感じさせない声で言った 「浜中?どうしたんだ、突然」平川は問うた。矢倉は無言で浜中を見ていたが、視線は彼の向こう側を見ているようだった。 「では。さようなら、平川さん」浜中はドアを開け、夜の闇に溶けていった。
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始めてSF/ファンタジー/ラノベ的なのを書いてみました。お題に次元とか書いてあった時点でSF風味しか思いつきませんでした……
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