Re: 即興三語小説 -一気に秋めいてきました ( No.1 ) |
- 日時: 2014/09/22 17:47
- 名前: マルメガネ ID:W9Vb0wmM
ある日の喫茶室
差し出されたパンケーキをほおばりながら、ひとときの巷説に耳を傾ける。 「…は殺せないらしいよ」 そんな会話が聞こえてきた。最初のほうを聞き逃してしまったために、それが何であるのかさっぱりわからない。聞き逃しの鉄板ともいうべきか。 てへぺろするわけでもないのだが、それはまことに気になるもの。しかし、聞き返すのもめんどうなのでそのまま聞いていて、ぎくりとする。 「暗殺に失敗して、逃走した犯人は殺せない。なぜなら彼は自死を遂げたのだから」 ぎょっとしてその会話をしている人物に目を向けると、彼らは何かの作品の打ち合わせだったらしく、お騒がせしました、みたいな視線を送られた。 私は早とちりの気まずさとその視線に耐えられなかった。 しかし、ふんだんに流れる流言、まことしやかにささやかれる噂というものは興味は尽きない。人の口に戸は立てられないのだ。 さりげなく、わかりました、みたいな視線を送り返し、また興味ありそうな巷説に耳を傾ける私がいた。
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