Re: 即興三語小説 ―7月です。今年も半分が終わりました― 期間延長します7/13まで ( No.1 ) |
- 日時: 2014/07/10 20:44
- 名前: マルメガネ ID:Qsp5siOk
『題名なし』情景の描写
遠雷が轟き渡るのが聞こえる。 雨の匂いを含んだ湿った風が吹き、変に蒸し暑い。軒に下げられた風鈴が涼しげな音を奏でるが、それどころの蒸し暑さではない。 遼遠の海洋で発生しているエルニーニョの影響なのかそうでないのかはっきりしない急激な気象の変化に先が思いやられ、ここは一発逆転でラニーニャ現象が起こらないものかと密かに思ったりもする。 遠くで太い光の柱が暗くなった空を切り裂き二筋三筋地上に落ちた。落雷である。 その瞬間に停電があり、唯一蒸し暑さを吹き飛ばしていた扇風機が止まった。 そのうち叩きつけるような激しい雨が遠くから音を集めて降り出し、泥臭いようなどう表現すれば良いかわからない土の匂いを巻き上げる。 激しく叩きつける雨。 鳴り渡る雷を聞きながら、愛用の万年筆をいじり、湿った原稿用紙に滲むインクに悩みながら何かをしたため、停電の回復を待つ。 激しかった雷雨が普通の雨に変わる頃、ようやく停電が回復し、扇風機が作動し首を振り、蒸し暑い空気をかき乱し吹き飛ばし始めた。 いきなり作動した扇風機の風に書きかけの原稿用紙が散り散りに飛び床に投げ出される。 それを拾い集めて外を見やると、雨は漂うようにして降る霧雨に変わり、空も幾分明るくなっていた。雷雨が去ったのだ。 拾い集めた原稿用紙を机に置き、扇風機を停めて外に出ると、蒸し暑い空気はそこにはなく変わって湿った重い空気に満ちていた。
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久しぶりの参加です。これといった筋はありません。情景の描写になりました。
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