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RSSフィード [18] 意訳詩
   
日時: 2011/10/31 12:06
名前: 闇の吟遊詩人(闇雅人) ID:Ru30e.qY

昔、私がTCの常連だったころ、管理人の闇さんに提案して拒否された企画(苦笑)。裏でやるならいいでしょう。参加は自由です。ちなみに「外国の詩」を「教科書的に直訳」せず、「意訳して日本語の詩」にする「意訳詩」というジャンルはあります。上田敏の『海潮音』や、佐藤春夫の『玉笛譜』などがその例です。

なお、TCから離れるにあたり、私の記事は全て削除しておきます。私の企画で孤軍奮闘してくれた「うんこ太郎さん」の応援のために「一時的に」投稿したランボーの詩も削除します。では、失礼致します。もう二度とここへは来ません。

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加川文一 ( No.39 )
   
日時: 2012/09/23 10:33
名前: うんこ太郎 ID:j/97xChI

加川文一の詩の訳に挑戦してみました。

大宅壮一ノンフィクション賞を受賞した石川好の「ストロベリーロード」にも
記述がありますが、加川は「南加文芸」というロサンゼルスの同人文芸誌の同人でした。
この文芸誌は戦争中に日系人収容所に収容されていた帰米二世によって
刊行されていたようです。
帰米二世というのは米国で生まれ、一度日本に戻って教育を受けてから
再度米国にもどってきた日系人たちのことをいうわけですが、
移民一世、二世、帰米二世とはそれぞれ立場が異なるため
時代の奔流にまきこまれ、それぞれつらい確執もあったようです。

これから年末までは、日系人それぞれの立場、日系人収容所、
当時の文芸誌など、このあたりの事情をもっとよく調べながら、
この時代の詩をもっと訳したり紹介したりしていきたいと思います。

さて、加川文一ですが、この意訳詩のコーナーで以前紹介した野口米二郎のように
日本で生まれ、英語で詩を発表した数少ない日本人のひとりだそうです。
昭和56年に77歳で亡くなりました。

今回訳してみた詩は内容から推測すると収容所に訪れた春に関する詩ではないかと思います。

しかしながら手がかりはなく、実際のところは分かりません。
もしもこの時代の詩に詳しい方や、ご存知の方などいらっっしゃれば、
教えていただけますと助かります。

※ ※ ※

村の春

山羊がなき声をあげる、暖かく酔いしれた空気のなかを
春に、チューリップと水曜日とを載せて
きいきいと鳴る荷車が、午後の道をゆけば
黄金の平穏が目を覚ます

この平穏は何百年もの間、村を包んだ金色の静けさ
春へと差し込む黄金の日差しを
さえずる鳥と蜂とが数え
その男は土のなかに喜びや憎しみを感じ入り
磨り減ることのない
自分自身のなかの歳月を噛み締める

その男とは意味ではなく、彼は私だ
私はここにやってきて、そして辿り着いていないもの
地上の夢のように後回しになっている
しかし春よ! お前の豊かさで
私の屈辱を覆わないでおくれ
屈辱というものこそは死よりも深いという
だが、この豊かな春の前では
死は所詮深い嘘でしかないだろう

※ ※ ※

The goats yawn in the warm drunk air.
In the spring the tulips and Wednesdays
And creaking cart on the afternoon road
Wake the gold atomosphere of centuries
Settled deep in the village peace.
And in the spring where the gold of sunlight
Is numbered by hummingbirds and bees,
The man attends to his earthly joy, hated
Year in and year out by his identity
Which no other proof can reduce.
The man is not a meaning but he is I,
I who came and could not quite arrive,
Postponed as an earthly dream.
But O spring! out of your contentment
Do not praise me overmuch for my humility,
For humility is deeper than death,
And death at its best is but deepest lie.

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