Re: 夏の読書強化合宿! ( No.1 ) |
- 日時: 2011/07/23 06:43
- 名前: 言葉に惹かれて ID:yEVSLxEs
まずは、端崎さん、レスを立てていただきありがとうございます。 お疲れ様でした。
わたしが紹介したいのは、愛してやまない内田百閒とヘッセです。
内田百閒『冥途・旅順入城式』岩波文庫 ヘルマン・ヘッセ『青春は美わし』新潮文庫
百閒のは短編・掌編がほとんどなので、読みやすいと思います。 怪奇小説みたいな感じです。『冥途』以外の作品でも、この世のもの ではない世界が描かれています。 ヘッセのは、青春は美わしのほかに『ラテン語学校生』という のがあります。どちらも好きですが、私としては後者のほうが 好きです。
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Re: 夏の読書強化合宿! ( No.2 ) |
- 日時: 2011/07/23 14:50
- 名前: 二号 ID:dZ4Entxo
修正版 端崎さんどうもありがとうございました。
山崎ナオコーラ『人のセックスを笑うな』 今年の芥川賞の候補にもなった方の作品ですね。内容は19歳の男の子の主人公と39歳のユリという女性の関係を描いたものです。文章は今風というかだいぶ軽めのものなのですが、読みながら感性だとか言葉について色々考えさせられました。あ、内容も面白かったですよ。でもそれ以上に考えさせられました。こういう書き方もあるのか、と少し驚きました。不思議な作品です。
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Re: 夏の読書強化合宿! ( No.3 ) |
- 日時: 2011/07/23 07:07
- 名前: 端崎 ID:J84mIBlM
立てた手前、とりあえず一冊。
高田渡『バーボン・ストリート・ブルース』(ちくま文庫)
フォークシンガー高田渡のエッセイ集です。 詩人の詩に曲をつけたり、吉祥寺の焼き鳥屋で昼間から飲んでたり、おもしろい人なんですが、お金がないからその辺に生えているタンポポを食べていた人がいる、なんてうそかほんとかよくわからないようなへんてこなエピソードがちょいちょい書かれていて、おもしろい本だと思います。人柄もそうなんですが、文章もひょうひょうというかさばさばというかしていて、おかしみがあると思います。 軽めの本なので、なんだか夏バテ気味、というときによろしければぜひ。
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Re: 夏の読書強化合宿! ( No.4 ) |
- 日時: 2011/07/23 16:28
- 名前: HAL ID:buSP6.RQ
- 参照: http://dabunnsouko.web.fc2.com/
わあ、わあ! オススメの本とかありすぎて困る……! などと叫びつつ。とくべつ思い入れの強い心のバイブルたちを書き残してゆきます。
■大好きなファンタジー
ル・グウィン『西のはての年代記』シリーズ 上橋菜穂子『精霊の守り人』シリーズ 小野不由美『十二国記』シリーズ 梨木香歩『家守綺譚』
■ハードボイルド
横山秀夫『クライマーズ・ハイ』 藤原伊織『シリウスの道』
■笑えて泣けて心温まる愛すべき小説
荻原浩『ハードボイルド・エッグ』 夏川草介『神様のカルテ』 森見登美彦『有頂天家族』
■歴史・時代ものから
司馬遼太郎『燃えよ剣』 和田竜『のぼうの城』 高田郁『みをつくし料理帖』シリーズ
■号泣した!
宮部みゆき『名もなき毒』 ロイス・ローリー『ザ・ギバー』(新訳は『ギヴァー』) ダニエル・キイス『アルジャーノンに花束を』
こうやって並べていくと、ぜんぶ読み返したくてたまらなくなりますね……!
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Re: 夏の読書強化合宿! ( No.5 ) |
- 日時: 2011/07/24 01:04
- 名前: 山田さん ID:iEdlTfGo
思いつくままに列挙してみます。 きちんと作品の説明が出来ていないので、興味を持たれた方はアマゾンあたりで確認してください(汗)。
・リチャード・ブローティガン『西瓜糖の日々』(河出文庫) 一番好きな作家は誰? と聞かれたらこの人をあげます。 現在、手に入る作品が少ないのが残念ですが、この『西瓜糖の日々』は文庫にもなっているし、読みやすいと思います。 同じく『アメリカの鱒釣り』も文庫になっていてお勧めなんですが、普通の小説とは少しことなる形態になっているので、まずは『西瓜糖の日々』からということでお勧めします。 ファンタジーになるのかな。 かわいらしいんだけど残酷な世界が待っています。
・イタロ・カルヴィーノ『むずかしい愛』(岩波文庫) この作者も面白い作品がいっぱいあるのですが、僕はこの短編集が一番好き。 彼の作品によく登場する自意識過剰人間も健在だし、大笑いしてしまうようなテイストもあります。 ホロリとするか、暖かい気持ちになるか、深く考え込むか、とにかく色々な印象が残る作品です。 ちなみにこの作家さんの存在は蜂蜜さんに教えてもらいました。感謝です。
・ポール・オースター『最後の物たちの国で』(白水Uブックス) この人も面白い作品が多い作家さんです。 フィクションでありながら、現在の不況日本の現状を見るかぎり、ノンフィクションじゃないかと錯覚してしまうような世界が繰り広げられています。 それでも最後には希望が……そんな作品です。
・ジュール・シュベルヴィエル『海に住む少女』(光文社古典新訳文庫) 脆弱で美しく自己犠牲の精神に溢れているかと思えば、残酷で悪意プンプン。 そんな世界です。
・フアン・ルルフォ『ペドロ・パラモ』(岩波文庫) かなりの人物が登場します。そしてそのほとんどは死者。 語り口も一人称からいきなり三人称に変わったりします。 それぞれの断片が大きな流れになってひとつの物語を織りなしていて、終わったかと思うと再び最初に戻る。 そんなウロボロス的な作品です。
・カート・ヴォネガット『ガラパゴスの方舟』(早川文庫) この人の代表作といったら『スローターハウス5』とか『猫のゆりかご』になるのかな。 この2冊も面白い作品なんですが、僕はこの『ガラパゴスの方舟』が一番好きです。 SFなんだけど、人間のおかしさ、残酷さ、悲しさ、やるせなさ、そんな世界がきちんと描かれています。 ユーモラスでもありシニカルでもあるんだけど、全体を通じて作者の人間に対する愛に満ちているように思います。
・高橋源一郎『君が代は千代に八千代に』(文春文庫) これは逆説的なお勧め作品。悪意に満ちた短編集といった感じです。 読むんじゃなかった、という感想を持つ人も多いかと思います。 僕も最初の短編を読んでいる途中、本当にゲロを吐きそうになりました。 読んで後悔する方もいると思いますが、間違いなく強烈な印象は残ると思います。 ちなみにこの人の作品では『さようなら、ギャングたち』が抜群に好きです。 今は講談社文芸文庫から再販されているみたいです。
・小川洋子『寡黙な死骸 みだらな弔い』中公文庫) この作者さんの作品の中ではこれが一番好き。 独立した11の短編からなるんだけれど、それらが絶妙に繋がりを持って一つの世界を築いています。
・梨木香歩『家守綺譚』 (新潮文庫) この人も多くの素晴らしい作品を書いていますが、やはりこの初めて読んだ梨木香歩作品には特別の想いがあります。 僕が失ってしまったもの。失いたくないもの。かたくなに守ってきたものがあります。 不思議な世界なんだけれども、それが当たり前の世界。 久しぶりに心が震えた作品でした。 この人の作品では『村田エフェンディ滞土録 』(角川文庫)や『りかさん』(新潮文庫)、『からくりからくさ』(新潮文庫)などもお勧めです。 ちなみにこの作品は、おさんに教えてもらいました。感謝です。
・道尾秀介『ラットマン』(光文社) 僕は普段は推理小説は読まないんだけど、これは面白かったです。 どんでん返しのどんでん返し。 推理小説でもあり、きちんとした人間ドラマでもあります。 これはかなたんさんに教えてもらいました。感謝です。
・小島信夫『アメリカン・スクール』(新潮文庫) なんか下手な文章だなぁ、と思うかたもいるかもしれないですが、とても心に響いてくる八篇の短編集です。 どれをとっても面白く、どれをとっても胸に迫ってくる、そしてどれをとってもうーんと考えさせられる。 もっと早く知っておくべき作家だったと後悔したのを覚えています。
・金井美恵子『愛の生活・森のメリュジーヌ』(講談社文芸文庫) 女性にしか書けないんじゃないかな、という印象を受けた作品です。 美しくてグロテスクで独りよがりで人をグググと惹きつける。 「兎」という作品はそんじょそこらのホラーなんか足元にも及ばないほどに怖かったです。
他にも好きな作品、好きな作家はいっぱいいるんだけど、きりがないのでこの辺で。
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Re: 夏の読書強化合宿! ( No.6 ) |
- 日時: 2011/07/29 01:06
- 名前: 端崎 ID:R9cT1LBA
『青春は美わし』を読みました。新潮文庫、高橋健二訳。 積んでた本が挙がってましたので、いいきっかけになりました。喝ひとつめ! 中篇サイズの作品がふたつ(「青春は美わし」「ラテン語学校生」)で、頭をからっぽにしてゆったり読んでいると光彩のうつくしー感じが浮かんでくる感じがして、けっこう好みでした。
なんだかいろいろな本があがっててたのしいので、ほかにもあれこれ手にとってみたいとおもいます。
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Re: 夏の読書強化合宿! ( No.7 ) |
- 日時: 2011/07/31 00:09
- 名前: naiki ID:5zF8BQ7.
ドキドキしながら私も並べてみたいと思いマス(///)
『完全なる首長竜の日』乾 緑郎 奇妙なるミステリ。現実に浸食してくる夢と過去。ミステリ的な驚きというよりは結末まで続く不安定さが堪らない一品でした。『インセプション』や『パプリカ』を楽しめた方にはおすすめです。
『ポドロ島』L・P・ハートリー ミステリにして怪奇小説がそろった短編集です。どの話も明快な答えは書かれることなく、事実がぼかされたまま、あるいは唐突に話が急転して閉じてしまう、という形の作品が多いです。あっさりとしているようで、書かれることのない曖昧な部分、空白の部分に、不気味さが漂っており非常に好みでした。
『狂気の山脈にて』『異次元の色彩(宇宙からの色)』『インスマスを覆う影』『闇に這う者(闇の跳梁者・闇をさまようもの)』H・P・ラヴクラフト ラヴクラフト作品をすべて読みこんだ訳ではないのですが、読んできた中では特に好きな作品です。テケリ・リ! いつかニャル子さんとかも読んでみたいデス。
『ザ・キープ』『マンハッタンの戦慄』『触手(タッチ)』『リボーン』『闇の報復』『ナイト・ワールド』F・ポール・ウイルスン この6作品からなる「ナイトワールド・サイクル」です。前半三作で、それぞれ別の物語を描き、後半で物語が立ち上がり、最後で一気に集結するホラーファンタジー。最終作の『ナイト・ワールド』は特に読み応えがあり、オススメです。こんなにたくさん読むのはしんどい、という方は最初の『ザ・キープ』だけ読んでそのまま最終作に入っても特に問題なく読めたりします。
『ダーク・タワー』S・キング キング作品も好きでよく読むのですが、多くのキング作品の核でありながら意外と読まれてなかったりするこの作品を薦めます。過去、現在、未来がごた混ぜになったようないかがわしいとさえ思える世界を軸にして展開される物語は壮大。著者自身が語るようにまさに『指輪物語』の系譜に連なるファンタジーだと思います。文庫で全14冊と長めですがぜひぜひ。
『影が行く』創元SF文庫 B級SF、ホラーがずらりそろった短編集。B級映画をたくさん借りてくるとワクワクしてしまう人、深夜テレビでB級映画が放映されると知ると嬉しくなってしまう人なんかは、読んでいる間、きっと幸せな気分になれる筈……!かも、です。
『トリフィド時代―食人植物の恐怖』ジョン・ウィンダム これもB級的。それでありながら、突然人々が盲目になる中、数少ない目の見える者が、どのように生き延びるかという点を現実的に捉えているサバイバルな物語でもあります。そこに、トリフィドと呼ばれる食人植物がホラーな要素を加えて、読み応えのある作品となっております。
HALさんや山田さんがおすすめしてる『家守綺譚』は、前TCでもおすすめされてたので私も読んでみました。実に……良い作品でした。 あと『高丘親王航海記』なども読んだのですが、あの夢まぼろしの物語にとろけそうになりました(///)
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Re: 夏の読書強化合宿! ( No.8 ) |
- 日時: 2011/08/08 21:18
- 名前: 端崎 ID:9KqYmjAU
内田百閒『冥途・旅順入城式』(岩波文庫)を読みました。 ひゃっけんはいつ手にとるやらと思っていたのですが思い切りがついてようやく読めました。とてもおもしろかったです。ぼくのちんけな想像力は百閒先生のてのひらのうえでした。どういっていいやらうまくつかめないのですが、非常に興奮しました。読めてよかったです、紹介してくださってありがとうございました。
まだもうちょっと読みたいとおもってます。
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Re: 夏の読書強化合宿! ( No.9 ) |
- 日時: 2011/08/09 00:33
- 名前: 弥田 ID:CVGm2ggk
『シュルツ全小説』ブルーノ・シュルツ 数Pの短編が主ですが、文章がやけに読みづらく、こってり脂ましましな内容も相まって非常に力のいる読書を強いられます。夏バテに全力で立ち向かいたい! というかたにどうぞ。
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Re: 夏の読書強化合宿! ( No.10 ) |
- 日時: 2011/08/13 21:58
- 名前: 端崎 ID:rPaqhxaM
山田さんが挙げてくださった小川洋子の『寡黙な亡骸 みだらな弔い』(中公文庫)を読みました。 小川洋子さんはほかにも(ほんのいくつかですが)読んだことがあるのですが、 どれも妙にしずかというか、音のないというか、そんな感じがしてどこか不気味・不思議さがある気がしますね。
・佐藤亜紀『バルタザールの遍歴』(文春文庫) 以前は新潮社から出ていたようですが、いまは文春文庫で出回ってます。ぼくもそちらの版を持ってます。ファンタジーです。幻想のにおいもかぐわしいです。ものごっつおもしろかったのですが、佐藤亜紀さんの小説はほかに読んでいません。絶賛積んでます。読みたい……。内容はほんとうに充実してますので、お気がむきましたらぜひ。
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Re: 夏の読書強化合宿! ( No.11 ) |
- 日時: 2011/08/16 08:11
- 名前: 剣屋一刀 ID:ChQ8W/hs
久しぶりにTCに来ました。
ドキドキする紹介が飛び交っていて、読書欲を促進させますね!
えっと、偏愛本ですので、奇特な方はお手に取ってみてくださいな。 まだ読書歴が2年ジャストになったばかりで渉猟し切れませんが、集めた本の中からセレクトしていきたいと思います。
●A・R・ルリヤ/偉大な記憶力の物語――ある記憶術者の精神生活 ボルヘスの短編『記憶の人フネス』が、もし実在したら? というのを実現しているような人物のお話です。岩波現代新書やったと思います。共感覚なんかに興味ある方はどうぞ。事実は小説よりも奇なりとは、まさにこのことかと。
●ロザムンド・ピルチャー/シェルシーカーズ メロドラマ的作風かもしれませんが、中村妙子氏の超名訳が本当に素晴らしく、これほどまでに美しい訳文は、そうそう拝めるものではないと思います。耽美的な文章ではなく、自然な美しさです。読書にまるで興味がなかった普通の主婦が手にとって『この人の文章、とっても心地いいなあ』と思わされる文章でしょうか。 上下巻合わせて800ページ以上になるハードカバーの大作で、全世界で500万部以上売れた本です。 内容は『高名な画家の一人娘ペネラピが亡き父の『シェルシーカーズ(貝を拾う子供たち)』という傑作とパネルや下絵を所有しているために、絵の売却をめぐって子供たちと確執が発生、舞台はコッツウォルズ、コーンワル、ロンドンに広がり、ヒロインの回想で第二次世界大戦時下のイギリスの苦難状況がまざまざと映し出される。』という感じです。
この作者は、田園作家ミス・リードのように牧歌的な風景や何気ない日常のヒトコマを書かせたら右に出るものは無しと思わせるほどの卓越した滋味溢れる文章力を持っています。自然発生的な猥雑な文章や、意図的な計算高い文章や実存的な文章とは異なり、あくまでも日常に根ざした平易な文章です。
いわゆる世界的な文豪のトーマス・マンだとかドストエフスキーだとかマルケスだとかとは、描いているものもやってることも違うのですが、平明な文章や小うるさくない比喩など馴染みのある文章が、英米圏やアジアで広汎な支持を得ている方です。特に子供の愛くるしい姿、平凡な老女や主婦の描き方が共感を呼びます。大長編なので中だるみすることもあるかもしれませんが、平素だけど偉大な話を是非読んでみて下さい!
堅苦しく、小難しい純文学や寓話などでは描けない、文学のもうひとつの境地がここにあると思います。
●オルハン・パムク/私の名は紅 オスマントルコ時代の細密画師の歴史ミステリ。非常にポリフォニックな小説です。訳文が悪いですが、パムク本来の筆致自体が難解でしょうから、慣れてきます。発想が図抜けており、犬とか悪魔とか木がしゃべったり、しまいには金貨まで喋り出します。谷崎・芥川の影響も感じられるのがナイスです。政治小説『雪』のほうが完成度や国際的な評価は高いと思いますが、パムクの幼年期青年期の経歴(画家を目指していた)を考えますと、彼が作家として一番書きたかったのは、この作品かなと。問答の箇所は、本当に天才的と感じます。彼自身が絶大な影響を受けたウンベルト・エーコの『薔薇の名前』が好きな方はどうぞ。個人的には、エーコよりも評価したいです。
●スタニスワフ・レム/高い城・文学エッセイ 『虚数』やSF古典『ソラリス』を書いたクラクフの賢人の中身が知りたくて読んだのですが、いやはや! SF論や文学論や自伝的小説のようなエッセイ(これが大変に素晴らしい)が主です。ドストエフスキーに対して遠慮なく、や、ボルヘスをぶった切るあたり、レムの痛快さが半端ない。東欧の細密切手と呼びたい作者です。訳者の沼野氏の後書きも味わい深いです。沼野氏の論文『レムはひとりでその全てである』は、けして言葉が勝っているわけではないと思います。
●矢作俊彦/悲劇週間―SEMANA TRAGICA 若き日の堀内大學の話です。題材勝ちといっても過言ではない本です。 主人公が主人公なだけに、扱える語彙が豊富だったり、考えていることも高踏的ですので、言語空間の豊穣さは近来の収穫と言えるほどの出来かと思います。柔らかい古きよき日本語と決して衒学的ではない外来語のオンパレードが現代風に処理されている文体が秀逸です。目の付け所が違うなと思いました。この作者のツイッターのつぶやきは嫌いですが、この作品はグッジョブです。
●トーマス・ベルンハルト/消去 改行一切無しの上下二巻です。厭世的な世界に、呪詛がひたすら続きますが、ムージルやブロッホのような、うねるような錯綜する心理描写・哲学的思弁が素晴らしいです。読み終わった後、誰もが、必ず『ガンベッティ』という言葉をつぶやいてしまうこと請け合いです。『石灰工場』『寒さ』『ふちなし帽』『ヴィトゲンシュタインの甥』など秀作揃いのベルンハルトの集大成です。
あとは……
●スティーヴ・エリクソン/『黒い時計の旅』『Xのアーチ』 ●ダニロ・キシュ/『砂時計』 ●キアラン・カーソン『琥珀捕り』 ●中野美代子/『ザナドゥーへの道』 ●マルグリット・ユルスナール『黒の過程』 ●V.E.フランクル/『夜と霧―ドイツ強制収容所の体験記録』 ●ターハル ベン=ジェルーン/『あやまちの夜』 ●エミーリ・ロサーレス『まぼろしの王都』 ●シモーヌ・ヴェイユ『根を持つこと』←哲学本
円城塔さんの『これはペンです』の芥川賞落選が残念でしたが、かれの『道化師の蝶』は読み応えありました。
あ、あとひとつ!
安部公房崇拝者としては、やはり、この一冊を推薦しておかねばなりますまい。
安部ねり/『安部公房伝』 安部公房全集があれば不用と言いたいところですが、やっぱり手が出てしまいます。今年出た本です。
こんな感じでしょうか。節操ないですが、よろしくお願いします。
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Re: 夏の読書強化合宿! ( No.12 ) |
- 日時: 2011/11/13 14:12
- 名前: 端崎 ID:Px5C8DFE
山田さんの挙げておられる『ペドロ・パラモ』を読みました。 断片が読まれることで物語になっていく感覚というか、なにかそういうふうなことを考えてちょっと新鮮でした。 ほかにもいろいろ気になってはいるのですがどうも手つかずです。
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