リトライ作品 そして平和が訪れる  原作は星野田さんの『杞にしすぎた男』……に何かが混ざってます ( No.33 )
日時: 2011/02/23 01:33
名前: とりさと ID:X3qIUvf.


 みらいみらい、機械の国の機械が何を思ったか「空が落ちてくるのではないか」と言い始めました。
 そこはとある研究所の屋上に作られたちいさな世界でした。半円の蓋を被せて世界をもしています。機械で生態系真似たらどうなるのかという意味不明な実験です。
 そこでとある機械が思ったのです。空となっている蓋が割れて落ちてきたら潰れて死んでしまいます。
 機械はそうならないように空を支える柱を作り始めました。まわりの機械も同調して、大勢での建築がはじまりました。日ごと柱は高くなっていき、とうとう空の高さを越えて蓋にずぼっと穴をあけました。
 それを目撃した研究員がぷちっとキレました。世界の空となっている屋根の費用はけっこう高かったのです。怒りに任せるまま塔をばらばらに崩しました。ついで、二度と結託できないように機械の言語能力をリセットしてやりました。開いた穴は仕方がないと諦めて、機械たちには「あれは月だ」と新たな認識をアップロードしました。
 しかし機械はポジティブでした。上がダメなら今度は下に逃げようと地面を掘り進めました。
 そして掘り進めること三年。機械は深く掘り進めすぎたため、下の階にずぼっと落ちてしまいました。
 頭の上に落ちてきた機械に、研究員は考えました。心の中では、天井に穴を開けた機械を叩きつぶしたい気持ちでいっぱいでしたが、二度と同じことをやらせるわけにはいきません。そしてふと気がつきました。そういえば、機械に負の感情をインストールしてなかった、と。だからこいつら諦めないんだな、と。
 研究員は落下の衝撃で壊れていた機械を直し「お前はまだ死んでいない。地上へ帰してやろう」といってやりました。そして土産に負の感情のインストールボックスを持たせます。
「この箱ちゃんと開けろよ」
 研究員はそう言いました。しかし修理がやっつけ仕事だったため機械は半ばバグっておりすぐにその命令を忘れてしまいました。
 そのうちにとうとう機械が開けた穴からぴゅーぴゅーとロケットもどきが飛び出してくる段になって、研究員は箱に内蔵させていた通信機で話しかけました。
「おい、これを開けろ」
 しかし機械はバグっています。またロケットもどきが穴から飛んできて、床に落ちて炎上しました。研究員は無言で消火器を使って火を消します。
「開けないとお前の機能を停止させるぞ」
 しかし機械はバグっています。またもやロケットもどきが飛んできて、同僚の頭にぶつかって炎上しました。すぐさま水をかけましたが、同僚はアフロになってました。
「……開ければお前の願いを叶えてやろう」
「ならば空が落ちて来ないようにできますか?」
「おいお前バグってたんじゃないのか?」
 機械はバグっていたのでそれには答えずにパカッと箱を開けました。
 とたん、中に内蔵されていたプログラムが世界に満ちて機械にインストールされていきます。
 嫉妬、疑い、憎しみ、嘘、欲望、悲しみ、後悔、それらが機械に刻み込まれていきます。
 そうしてロケットもどきが飛びでなくなりました。どうやら外の世界が怖くなった模様です。研究員は機械との約束なんて、そもそも守る気はありませんでした。
「もう大丈夫だ。飛びでてくるロケットに忍耐する必要もない。ロケットの後始末をしたくないからと嘘をついて病欠したり、この実験をぶち壊したくなる欲求にかられることもなくなるだろう。明日は希望に満ちている」
 研究員は仲間に言い渡します。
 ロケットが飛びでなくなったので、あちこちが燃え上がることはなくなりました。煙のなくなった研究所の中、研究員は窓から身を乗り出しました。そして上を見上げます。
 眩しいほどに青い青い空が見えました。

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 大変楽しゅうございました。え、何かが混ざっている? 何のことやら。自分の作った世界観なんて知りません。矛盾なんて気にした事はありません。思いついたから何となくやってみただけです。
 あ、星野田さんはいくらでもののしってくださいませ……。