これはリライトなのか……。 ( No.9 ) |
- 日時: 2011/01/16 19:36
- 名前: 弥田 ID:IXt.J8AU
熊だった。 昨日のことはよく思い出せない。夜、脳髄がアルコール漬けになってしまいそうなくらい酒を飲んだ。それだけは覚えている。そうして、いつのまにか寝てしまって。 目覚めて、わたし、熊だった。黄土色に毛深い肌から獣の匂いが強くただよって、つんとする鼻の奥に思わず顔をしかめた。 わたしは階段を昇っている。どうして昇っているのか、いつから昇っているのか、わからないけれど、とにかく昇っている。四つ脚で昇っている。階段は長く、無限に続いているように思えるが、しかし、何事にも終わりはある。 廊下の向こう側に部屋があった。白い襖は幼い子供の落書きで一面塗りつぶされていて、色彩が鮮やかに熊の視神経を犯した。わたし、ふらふら、部屋に近づいていって。 襖を開けた。二本脚で屹立して、頭、天井に押しつけながら、前脚で襖を開けた。中をのぞくと、誰かがいる。布団をかぶったまま、うんともすんとも言ってくれない。ふおう、唸ったけれど、依然として黙ったままで。 「ンエー、おー、オうー」 とわたしは言った。そうして、うっかり壊してしまわないよう細心の注意を払いながら、そっと、襖、閉めて。 四つ脚で階段を降りる。わたし、いつまでも、いつまでも、降りていく。 ぎしぎし。背後で軋むのは、へらへらとした笑い声だった。
―――――――― 藤村さんのを改悪させていただきました。なんというか、もはやリライトですらないですね。ごめんなさい。 原作は、あんなにも短いのに幻想的で、妙な手触りがあって、溢れるセンスずるいなあ、と思いました。むかついたのでそのセンスを土足で踏みにじってみました。ごめんなさい。
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