Re: 冷たい話、百御伽 ( No.87 ) |
- 日時: 2013/08/14 04:55
- 名前: tori ID:.EUEjsYE
彼女と生活を始めたばかりのころ、まだ商売はうまくいってなくて、建付の悪い小さな家で暮らしていた。冷たい隙間風があって、ぼくと彼女とは寒さから逃れるように身を寄せて眠っていた。 いまになっては懐かしい思い出だった。 自分には人並み以上には商才があったようで、売上は月単位で跳ねあがる。住む家もいまになって豪邸とよぶにふさわしいものになった。もう身を寄せあう必要はない、ただその代わりに仕事に熱中していて彼女に構うこともなくなっていた。 今日、家に戻ると、そこで待っているはずの彼女はどこにもいなかった。
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