「荒野を歩く」リライトへの感想 ( No.52 ) |
- 日時: 2011/02/08 03:41
- 名前: 星野日 ID:/aMyahrM
HALさんの「荒野を歩く」についてリライトした作品について感想を。読み比べるの楽しいですね!! 再構成された語り手も、世界観も、みんな独自のものが描かれているのに、どの作品にも共通するのが登場人物の無名性というのが面白いかも。
> HALさん作「荒野を歩く」のリライト( No.16 ) 片桐さん > 風は果たしてどちらに向かって吹いているのだろう。 リライトを書くときに、五年という月日が何を残し、何を変えたのかを書きたいなあと思いました。だからでしょうかこの作品の一部、 > 勝利とも敗北ともつかぬままに戦が終わり、もう五年という月日が流れていた。戦果を上げた兵士が称えられた期間が過ぎ、それを吹聴すれば人殺しと呼ばれるようになるだけの時。戦で恋人を失った娘が過去を忘れ、あらたに嫁いで母親になるほどの時。そして、人も町も変わる中で、変われない者らが心の燻りを持て余し続けた時。それが五年という月日だった。 を読んだ時、「おおこれだ、これを書きたかった、やられた」と思わせられました(笑 終わり方が原作からはひと捻りしてあって、こういう読み方というか、書き直し方もあるのだなと思えました。原作の雰囲気や描写に引きづられていると仰っていますが、作品としては原作のそういうものと、片桐さんの付け加えた物語なりがよく融合していて、まとまり良くなっていると思います。真面目にリライトした作品だな……!! と我が行いを恥じる(ぁ
>HALさんの荒野を歩くのリライトです ( No.17 ) 新地さん > 真夜中、荒れ野を転がる岩岩はどれも、錆が浮いたように、うっすらと赤い。 すごい。独特の世界が出来上がっている。これがリライト……!!! 書き直しどころか、いい意味での再構築、といっていいくらい、違う味わいになってますね。勉強になる。髑髏が薬になるとか、瓢箪とか、細部のちょっとした演出に、知的さや世界を作るセンスを感じます。こういうの、ちょっと昔の作品に本当にありそうで。原作を呼んで浮かぶ風景と、まったく違う風景が思い浮かびました。面白かったです。
>リライト作品「そして、しゃれこうべたちは見つめ続ける」 ( No.22 )紅月 セイルさん >荒野は相変わらずの静寂と嘆き声のような冷たい風にその身を曝していた。 作者さんの意図すいるところではないかも知れませんが、序盤の方に「しゃれこうべ」の頻出さが、なんだか面白かった(ぇ。かつて、こんなにもしゃれこうべが出てきた作品はああっただろうか!!(? 原作者さんも感想で仰っているように、前向きな方向性が意表を疲れたというか、「おお、たしかにこれもありだ」と眼から鱗でした。原作とあまり使われ方の変わらない手向けの酒なのに、この話の流れだとなんとなく肯定的な意味合いの小道具に見えてくるから、雰囲気って不思議ですね。そういう意味でも面白いなあと思った作品でした。一作品を展開させただけというか、派生させただけなのに、ここまでいろいろな作品ができるんだなあと。
>「ボウズへ」/HALさん「荒野を歩く」に宛てて ( No.31 ) おさん >ボウズへ 何この渋い雰囲気。実はゴーシュを読んで、そのままHALさんの原作も読まず「ボウズへ」も読んでしまったりしました。そんなわけで、「荒野を歩く」をリライトするとき、この作品に引きづられないことをかなり意識した。だからあえて魔法少女をかいたという面もある(ぇ)。「酔っぱらいを描写するにはだれか観察する人がいたほうがいいのでは」とかいたのも、この作品の語り手の、酔っぱらいっぽさに対抗してでした。あれ、引きづられていないよね……!? 上手いなと思うのは、調子のいい語り口と、前へ前へと進む語り手を映すような描写と、気持ちと、周りの殺伐とした風景などの描写などが綯交ぜになって自然と描かれていること。おかげでスラスラと読みながら、場面や人物の心理が読み取れる。真似したい良いテクニックですね。ゴーシュの時も感じたのですが、良い意味で原作のリライトになってるなあと思います。原作を読んでからこれを読み「ああ、こんなふうに書けるのか」みたいなひとつの回答が見えるというか。竜の頭蓋骨のあたりの再構築は素敵すぎると思う。 しいて難点を上げるなら「さっきから背中でがちゃがちゃ音をたてる酒瓶を、バックパックから取り出す。」が妙に客観的で浮いているような感じがするってところでしょうか。まあそれは細かいところですがともかく、全体的にとてもいい雰囲気で、面白かったです。やられた。
>『吹きすさぶ風に乗って』リライト『荒野を歩く』HAL様 ( No.49 ) 笹原さん >吹きすさぶ風に乗って 原作を読んだ時、詩にしたらよさそうだなと思ったのですが、先をこされました!! 嘘です。詩にチャレンジしたけど難しかった…… 「嘆く骨ばかりの木/嘆く殻ばかりの虫」から一転して第三節で「ほむら/ほむら/瞼に映る」と変わったのが、鮮やかに感じられました。静かな場所で目を閉じ、風に当てられながら昔を回想する。そんな状況を一緒に感じられた。 HALさんの原作が風景描写に力を入れてある作品で、その特徴をうまく抽出できていて上手いなあ、と。詩を作ろうとしたとき、「私はまだ生きていてもいいのだ」という部分をなんとか演出しようと思ったのだけど、こういう方向性もクールで素敵ですね!
>【風よ、岩よ、屍よ】 原作:HALさん『荒野を歩く』 ( No.50 ) 星野田 タイトルが内容とマッチしてませんね。チャレンジした詩のなかのワンフレーズをタイトルにもってきただけなのでした。
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